テスラ車オーナーに朗報〜チャデモアダプターの不具合を無料でアップデート

全国SAPAに増設されるつあるニチコン製のマルチプラグ器(EV用チャデモ規格急速充電器)で上限20kWの出力に制限される不具合が生じていたテスラ車専用のCHAdeMOアダプターが無料でアップデート可能になったことが発表されました。テスラ車オーナーへの朗報です。

テスラ車オーナーに朗報〜チャデモアダプターの不具合を無料でアップデート

※冒頭画像は2021年12月大黒PA新型器のお披露目時、CHAdeMOアダプターで充電しようとして出力が低いことを確認した際の写真です。

CHAdeMOアダプターが抱えていた不具合とは?

日本で販売されているテスラ車の充電口(インレット)はテスラ専用規格になっています。そのままでは、日本の公共充電インフラのほとんどを占めるCHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電器で充電することはできません。でも、テスラは2014年に日本で初めてモデルSを発売して以来、「CHAdeMOアダプター」を用意して、テスラ車がチャデモの急速充電器を利用できるようにしていました。

テスラ専用の「スーパーチャージャー」では最大250kWといった超高出力での充電が可能(車種や場所によって72〜250kW程)ですが、CHAdeMOアダプターのスペックは最大出力50kW(最大電流が125A)となっています。テスラ車の急速充電としては控えめな出力ですが、専用のスーパーチャージャーが手薄なエリアだったり、現状、CHAdeMO規格器しか設置されていない高速道路SAPAでの休憩ついでに充電したいといったニーズへの利便を提供してきたのです。

2019年10月、淡路島でCHAdeMO充電。(関連記事

ところが、2021年12月、首都高速大黒PAにニチコン製の新型急速充電器(型番はNQM-UCY04 ※大黒PAでは6台同時充電可能なマルチプラグ器)が設置されると、充電器側の仕様によって最大20kWという出力でしか充電できない不具合が出ていました(関連記事)。

このニチコン新型器は、単体で20kWの電源ユニットを10系統搭載し、合計で200kWの電力供給が可能であり、6基のストール(充電ケーブルを車両に繋ぐマシン)への接続台数によって割り当ての電力を充電器側で切り替える「ダイナミックコントロール」という仕組みを備えています。

テスラ車がCHAdeMOアダプターで充電する際、充電器都合で出力を切り替えるダイナミックコントロールに非対応だったため、ニチコン製新型器の仕様として、最初から割り当ては1つの電源ユニットのみ、すなわち20kWに制限されるというカラクリでした。

今回、テスラジャパンではCHAdeMOアダプターがダイナミックコントロールに対応可能とするアップデートの提供を発表しました。アップデートすれば、全国各地に増えつつあるニチコンのマルチプラグ器でも、晴れてアダプターのスペックである最大50kWで充電できるようになります。

サービスセンターで無料アップデートが可能

車両のおもな機能はOTA(Over The Air)によって自動でアップデートされるテスラ車ですが、通信機能を備えていないCHAdeMOアダプターはOTAでアップデートすることはできません。

テスラの公式サイトでも「Tesla サービスセンターでアップデートを行いますので、最寄りのサービスセンターにお問い合わせください」と案内されています。

EVsmartブログスタッフのテスカスさんや石井さんも、すでにサービスセンターに予約を入れたとのこと。サービスセンターでPCとかに繋いでプログラムの書き換えを行うだけなので、1時間も待たずに完了する、と思います。

料金は無料。なのですが、すでに18日のアップデートを予約したテスカスさんに来た見積もりでは定価が1400円のところ、調整によって無料提供ということになっているようです。

前述のように、ニチコンマルチプラグ器は全国のSAPAに続々と増えつつあります。CHAdeMOアダプターを利用しているテスラ車オーナーの方は、早めにアップデートしておくのがオススメですね。

オーナーの方は先刻ご承知でしょうが、テスラの公式サイトから、日本国内のサービスセンターを紹介するリストページへのリンクを貼っておきます。

【追記】(2023年7月19日)
テスラジャパンにいくつか確認した点の回答をいただきました。
アップデートの作業時間は15分程度。今後購入するアダプターについても「アップデートを進めている」ということです。

CHAdeMOアダプターは先に車両側に接続を

アップデートについて何か情報ないかとググっていたら、EVsmartのフォーラムに石井さん(ハンドルネームはイシツブテ)が「個人的注意点」を書き込んでいました。

CHAdeMOアダプターはそれなりに重いので、先に車両につけてからチャデモ側の充電ケーブルを接続するのがオススメ。「ボディーにぶつけるとへこみます」とのこと。ご注意ください。

ちなみに、スーパーチャージャーでの充電はケーブルを挿すだけですが、チャデモ器での充電は充電カードによる認証など、チャデモ器側のルールに則って利用することが必要です。

と、朗報をお伝えしたところに、新型S/XでCHAdeMOアダプターを使った充電において「CHAdeMO認証急速充電器のうち、システム上限電圧が450Vの機種」で充電できない不具合が確認されたという情報が飛び込んできました。まだデリバリーは始まっていないし、スーパーチャージャーのインフラ網は絶賛拡大中なので、すでに予約している方にとって「もう、チャデモは面倒だなぁ……」って話ではありますが。詳細は、改めて別記事でお伝えしたいと思います。

文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)2件

  1. テスラにはとにかく100kW対応のチャデモアダプターを作って欲しいです!
    高速道路で不便なので・・

  2. せっかくのOTA機能がTeslaについてるならCHAdeMOアダプタを車両に接続しといたら自動的にアップデートしてくれんかな~(笑)

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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