「GREEN JOURNEY」プロジェクトとは?
2025年2月6日、6kW普通充電ネットワーク拡充を進める「EV充電エネチェンジ」のサービスを提供し、このEVsmartブログ運営会社でもあるENECHANGE(エネチェンジ)株式会社が、官民連携による新しいサステナブルな旅のスタイルを推進する「GREEN JOURNEY」プロジェクトの賛同企業となることが発表されました。
【関連サイト】
GREEN JOURNEY 公式サイト
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「GREEN JOURNEY」は、2024年8月20日、日産自動車と日本旅行が発起人となって「推進委員会」を設立したプロジェクト。旅行に伴うCO2排出量の削減や地域の課題解決を目指す新しい旅のスタイル「サステナブルツーリズム」の推進を目的としています。
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具体的には、遠隔地からの移動は鉄道などの公共交通を利用し、現地ではEVレンタカーを活用して旅行に伴うCO2排出量を削減。地産地消の食事を楽しみ、環境に配慮した宿に泊まり、地域の文化や自然と触れ合う(地域のためになる)アクティビティを楽しむ旅を提案することで、サステナブルツーリズムを広げていくことを目指しています。プロジェクト発足当初から、まずは熊本県阿蘇市と三重県志摩市の2エリアで、地元自治体とも連携しながら日本旅行によるパッケージツアーを提案(発売)しています。
エネチェンジでは、自治体や賛同企業と連携し「GREEN JOURNEY対象地域におけるEV充電インフラの整備を進め、環境に配慮した持続可能な観光の実現に貢献」する目的を表明。EVユーザーが電欠の不安を感じることなく、観光を楽しめる環境を整備するために、観光施設のような「ちょい足し充電スポット」、宿泊施設には「フル充電スポット」となるEV充電器を設置し、旅行中の利便性を向上させることを目指します。また、GREEN JOURNEYの公式LINEミニアプリと、充電スポット検索サイトEVsmart、さらにEV充電エネチェンジアプリを連携させて充電スポット情報などを提供します。
今はまだ阿蘇と伊勢志摩だけですが、GREEN JOURNEYプロジェクトでは「2033年までに200地域」に広げる目標を示しています。日産とエネチェンジが協力して、全国津々浦々のEV充電環境が向上するなら、EVユーザーとしても大歓迎です。
EVによるサステナブルツーリズムを広げるポイントは?
先だって『フラッグシップEV 日産アリアで雪の大内宿へ~「テロワージュの旅 in 福島」満喫レポート』という記事でも紹介したように、EVレンタカーの旅は快適です。私自身、遠隔地取材などの際にはできるだけEVのレンタカーを手配するようにしています。とはいえ、全国各地でEVレンタカーを手配するのがなかなか難題。空港や新幹線駅の日産レンタカー店でもEV車種が予約できない(配備されていなかったり満車だったり)こともあります。
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GREEN JOURNEY、すなわちEVレンタカーを活用したサステナブルツーリズムを広げるためにどうすればいいものか。僭越ながら「私だったらこう思う」を考察したポイントを挙げてみます。
なにはともあれEVレンタカーを増やす
EVレンタカーを活用した旅をするためには、旅先の津々浦々にEVレンタカーが用意されている必要があります。エンジン車のように「ガソリン満タン」で返却する必要はなく、スムーズな加速で運転がラク。経路充電が必要なほどの長距離を走ることはあまりないし、個人的に「レンタカーはEVがいい!」と思うのですが。残念ながら、まだEVのレンタカーはそんなに普及していません。
個人的には「レンタカーへのEV導入に、CEV補助金以上に手篤い国の補助金制度があればいいのに」と思います。新車価格800万円超えの高級EVへの補助金よりも、EV普及を効果的に促進できるのではないでしょうか。
あと、最近は日産レンタカーに軽EVのサクラが増えている様子で、それはそれで良いことだと思います。とはいえ、一日も早く次期リーフが発売されて、使いやすいEV車種のバリエーションが広がるといいなと感じます。現行リーフも悪くはないのですが、より「借りてでも乗りたい」と思える新型EVの登場に期待しています。
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日産として懐が広いところをみせるなら、ヒョンデ『インスター』やBYD『ドルフィン』といった新車価格抑えめで実用的なバッテリー容量のEV車種を擁するメーカーや、そうした車種を扱うレンタカー店も参画できるようになれば、EVレンタカー拡大の波はさらに大きくなるのではと夢想します。ちなみに、現在GREEN JOURNEYで紹介されている伊勢志摩のコースでも、伊勢市駅前で借りるレンタカー店は地域密着でEV専門の「Abyレンタカー伊勢市駅店」が連携しています。近隣に日産レンタカーの店舗がなかったという理由もあるようですが、EV専門で充電方法などを熟知したサービスの評判は上々とのことでした。
魅力的な体験プログラムを充実させる
GREEN JOURNEY の公式サイトでは、伊勢志摩エリアのCONNECT PROGRAM(地域とつながる唯一無二の体験)として、浜島漁港での「牡蠣養殖現場体験」や、伝統的な干し芋づくりを体験できる「きんこ芋・ぎんこ芋製造現場体験」といったプログラムが紹介されています。それぞれ、今年度の日程は終了間近なので、3月になると募集情報が消えてしまうかもしれませんけど……。
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黒鯛の団子釣りが趣味の私にとって、伊勢志摩の養殖筏は黒鯛団子釣りの聖地だし、牡蠣は食べるのも大好きってこともあって、かなり真剣に行ってみようかと思いつつ、日程の都合が合わずやきもきしているところでした。
おおざっぱに「阿蘇へ」「伊勢志摩へ」というよりも、こうした具体的かつ魅力的なプログラムがあると、旅するモチベーションが高まりそうな気がします。実は、日産のご担当者にも一度取材して同様の質問をしたところ、伊勢志摩には「現地で意欲的にコーディネイトしてくれるキーパーソンがいたからこそ実現できた」とのこと。阿蘇エリアにはこうしたプログラムがまだ紹介されていないことが示すように、実際にプログラムを用意するのは簡単じゃないということですね。
このあたりの課題感は、いわゆる「町おこし」に通じるところがあると感じます。地域振興には「よそもの、若もの、バカもの」が大事って常套句。よそものの発想や着眼点、若もののエネルギーは大きな力になるでしょう。でも、実際に地方でうまくいっている環境関連活動などを取材していると、地域で地に足を付けて暮らしている方々(若もの含め)が、狭量な常識の枠からはみ出してでも協力してくれる、いわば「バカもの的な協力」の輪を広げることこそが最も肝要な成功の鍵だと気付かされます。
阿蘇や伊勢志摩をはじめ、これから GREEN JOURNEY に参加する各地の自治体関係者のみなさんには、旅行者を受け入れる協力の輪を広げ、魅力的な体験プログラムを充実させてくれることを期待しています。
マイカーEVで参加できるプログラムやスポットを広げる
プロジェクトが立ち上がったばかりで、まだ「阿蘇」と「伊勢志摩」だけってところに恐縮ですが……。「EVで旅する」とか「地産地消の食事」、「地域のためになるアクティビティ」といった主旨には大賛成。とはいえ、東京(全国各地)から阿蘇や伊勢志摩に旅するのはなかなかの大仕事です。
すでに、公式サイトには一般のEVオーナーが「公式LINEアカウントをフォローして、旅をしながらスタンプを集めていくことでGREEN JOURNEYに参加」して、スタンプを集めると特典GETのチャンス! という案内(ひとまずの特典期間は終了してます)が紹介されています。こんな感じで、マイカーEVでも参加できて、たとえば房総や伊豆など東京近郊に対象スポットがあれば、気軽に参加するEVオーナーの幅が拡がるのではないでしょうか。テスラのスーパーチャージャー踏破を楽しむ人がいるように、EVオーナーにはスタンプラリー的なチャレンジ好きな人が多いような気もします。
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阿蘇市や志摩市のように自治体まるごと連携するケースは基本として、飲食店や宿、アクティビティ施設へ個別に訪問してポイント獲得できるような仕組みがあるとうれしいなと思うのでした。
EV旅の気持ちよさを多くの人に体感してほしい
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いろんな記事で何度か書いていますが、私が「マイカーはもうEVしか買わない」と決めたのは、2013年にメインドライバーとして日本一周を走破した「EVスーパーセブン急速充電の旅」が決め手になりました。旅の途中で伊勢志摩や阿蘇も走りました。ほかにも奥入瀬や三陸、瀬戸内海や四万十川、屋久島などなど、全国各地の絶景の中、エンジン音がないEVで走る痛快さが身に染みました。満充電で100kmちょっとしか走れない手作り改造電気自動車で、当時のまだ脆弱だったチャデモ急速充電網だけでもダイナミックな旅を楽しめることを体感し、もうエンジン車には戻れない身体になってしまったのです。
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マイカーをEVに乗り換えるのはまだ不安という方も多いでしょう。そういう方々にこそ、ぜひEVレンタカーでGREEN JOURNEYを体感してみてほしいと思います。
ああ、また伊勢志摩や阿蘇へ旅したくなってきました。これからさらに、プロジェクトの対象エリアが拡がることを期待しています。
取材・文/寄本 好則