EVsmartブログとENECHANGE株式会社が実施した第3回「ジャパンEVオブザイヤー2024」。グランプリがBYD『SEAL』。優秀賞はホンダ『N-VAN e:』、ヒョンデ『IONIQ 5 N』。各社にトロフィーを贈呈しお祝いしてきました。それぞれの熱い思いをお伝えする動画もYouTubeチャンネルで紹介しています。
グランプリ●BYD『SEAL』
日本国内で発売された電気自動車の中から「社会が求める魅力的な電気自動車」を選出する第3回「Japan EV of the year 2024(ジャパンEVオブザイヤー)」。グランプリに輝いたのはBYD『SEAL(シール)』でした。
BYDは2023年1月に『ATTO 3』、2023年9月に『DOLPHIN(ドルフィン)』を発売。昨年の第2回ジャパンEVオブザイヤー(EOTY)ではドルフィンがグランプリ、ATTO 3が優秀賞とダブル受賞でした。2024年6月に3車種目の電気自動車として発売されたシールが今回のグランプリに輝いたことで、BYDとしては2年連続のグランプリ獲得となりました。お祝いインタビューに答えてくださったのは、BYD Auto Japanの東福寺厚樹社長です。
【Q】2年連続グランプリ、おめでとうございます!
東福寺(敬称略、以下同) 日本で発売したモデルすべてが(読者投票が重要なEOTYで)EVユーザーの支持をいただけたことをうれしく思います。BYDのEVはすでに日本で4000人ほどの方に乗っていただいているので、今回はそうしたユーザーさんのご支持をいただけたのではないでしょうか。今回は各社から優れたEVが出揃っていたので、その中で1位となったことを喜んでいます。
【Q】シールへの反響や手応えは?
東福寺 BYDではお求めやすい価格帯で優れた性能や装備を提供する「バリューフォーマネー」を大切にしてきました。シールでは、それに加えてデザインの良さ、クルマ本来の「かっこよさ」からインスパイアされる運転してみたいと思われる魅力が届いたのではないかと思っています。
日本進出当初、BYDというブランド自体、どなたもご存じない状態からのスタートでした。2023年のジャパンモビリティショー(JMS)や長澤まさみさんに出演いただいた「ありかも、BYD」のCMに大きな反響をいただき、パートナーとなっていただいた販売店とともに、展示会や試乗機会の創出など地道に進めてきたことで、知っていただく、乗っていただくという取り組みが拡がってきたかなという手応えを感じているところです。
【Q】日本市場で今後の展開は?
東福寺 毎年1台以上新車種投入という方針は継続し、2026年くらいまでは内容やタイミングが固まりつつあります。当初、日本ではEV1本の方針でしたが、今年中にPHEVを発表。将来的には同じセグメントでBEVとPHEVを選択できるようにしたいと想定しています。
■
BYDはグローバルで高度なADAS「God’s Eye(神の眼)」の全車種標準搭載や、スーパーeプラットフォーム(関連記事)など意欲的な発表を続々と繰り出しています。日本向け車種へのGod’s Eye搭載やコンパクトモデル投入、さらにはJMSで出展されていた上級ブランド「デンツァ」のミニバンEV『D9』導入なども検討を進めているそうです。
EOTYの選考対象はBEV限定ですが、BYDではすでに新型BEVとして『シーライオン7』の発売を発表済み。次回のEOTYで連続受賞を継続できるか注目です。
●インタビュー動画(前編)
●インタビュー動画(後編)
優秀賞(第2位)●ホンダ『N-VAN e:』
ホンダのEVといえばEVsmartブログ読者にもファンが多い『Honda e』がありますが、発売は2020年10月。EOTYの第1回が2021年10月〜2022年9月までの発売車種が選考対象だったので、ホンダからは初ノミネート。さらに商用車としても初めての受賞となりました。開発責任者を務めた電動事業開発本部 BEV開発センター チーフエンジニア、坂元隆樹氏へのお祝いインタビューです。

N-VAN e: 開発責任者の坂元隆樹氏。
【Q】ホンダとして、また商用車の初受賞、おめでとうございます。
坂元 N-VAN e: 開発にあたり、商用車でもありこうした受賞は想定していなかったのでうれしく思っています。候補としていろいろ優れたEVがある中、軽商用EVで受賞できたことがうれしいですね。
【Q】開発でこだわった点と解決策は?
坂元 (エンジン車である)N-VANのパッケージを変えることなく、ホンダの「M・M思想(※)」を守ったままEV化するのが苦労したポイントです。たとえばバッテリーの薄型化。床下に搭載するバッテリーがフロアに影響すると、パッケージの特長であるフラットフロアシートが使えなくなってしまいます。現場の設計力、サプライヤーさんの技術力があってクリアできた課題だと思っています。
(※)M・M思想=「人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に(Man-Maximum、Mecha-Minimum)」を意味するHondaのクルマづくりの根幹となる考え方。
【Q】加速や足回りの良さを評価する声も聞きます。
坂元 アクセルレスポンスなどのセッティングにはこだわりました。電気モーターはエンジンに比べて加速のタイムラグがないのが特長ですが、やり過ぎると商用車としてはかなり運転しづらいことが、実証実験や開発を通じてわかっていました。ドライバーの意思にあった加速には、かなり研究して仕上げたつもりです。
乗り心地の点では、今回、車重が上がっているのでブレーキサイズを上げています。また、タイヤサイズを変えながらサスペンション設定を見直したことが足回りのフィーリングや乗り心地の改善に効いたと感じています。
【Q】今後への展開は?
坂元 商用からしっかりEVを拡げていく、商用でもEV性能をしっかりと担保することはN-VAN e: 開発当初からのコンセプトでした。カブから始まる「働く道具からお客様の喜びを世の中に拡げていく」ホンダの歴史を受け継いで、N-VAN e: で培ったノウハウや知見を、乗用に繋げていきたいですね。
■
ホンダではN-VAN e: と共通のパワートレインを搭載した軽乗用車『N-ONE』のEVモデルを2025年中に発売することを公表しています。価格設定によって、日産サクラ/三菱eKクロスEVを軽く凌駕する大ヒットEVになることは間違いないと期待しています。ちょっと気が早いですが、次回のグランプリ有力候補といえるかもしれません。
●インタビュー動画(前編)
●インタビュー動画(後編)
優秀賞(第3位)●ヒョンデ『IONIQ 5 N』
ヒョンデは今までに日本市場で3車種のEVを発売してきました。2022年の『IONIQ 5』、2023年の『KONA』に続き、今回、2024年6月に発売された『IONIQ 5 N』と、3年&3車種連続で優秀賞の獲得となりました。ヒョンデモビリティジャパン、七五三木(しめぎ)敏幸社長のお祝いインタビューです。
【Q】3年連続の優秀賞受賞、おめでとうございます!
七五三木 一般投票でも大きな支持をいただけたのは本当にありがたいことで、3年連続受賞できたことをうれしく思っています。
【Q】IONIQ 5 N への反響や手応えは?
七五三木 スポーツ走行に大きなアドバンテージがある点がIONIQ 5 Nの大きな魅力と感じていただけています。本来、自動車を購入する方にとっては納車される瞬間が最もテンションが上がるかと思うのですが、IONIQ 5 N では納車時点での喜びはもちろんのこと、乗って、使っていくほどにどんどんオーナーさんのテンションが上がっている手応えがあり、乗れば乗るほど期待値が上がっていく希有なクルマである点が、IONIQ 5 Nのすごいところだと実感しています。
【Q】今後への展開は?
七五三木 1月にINSTER(インスター)発売を発表しました。日本再進出当初から日本にEVを根付かせていきたいという思いは変わりません。使いやすさに徹底的にこだわり、日本の道路事情にマッチしたEV車種を増やすなど、これからさらに、お客様が日常を一緒に過ごす、愛犬のようなEVをお届けしていきたいと思っています。
■
IONIQ 5 Nの価格は858万円(税込)〜。超ハイスペックEVとしてはお買い得という高級車でした。新型スモールEVのインスターはバッテリー容量42kWhのベースモデルが約285万円〜、49kWhの上位モデルでも335万5000円〜と、日本の道路事情だけでなくより多くの方のお財布事情にもマッチした新型車として登場します。N-ONEのEVモデルと並び、次回グランプリの有力候補であることは間違いないでしょう。3年連続優秀賞のヒョンデが、ついにグランプリを受賞できるかにも注目です。
●インタビュー動画(前編)
●インタビュー動画(後編)
「EV普及」とは「売れるEV」が増えることにほかなりません。今回受賞の3社が、次回への受賞有力候補車種をすでに用意しているのは、EV普及に向けて「さすが」の取り組み姿勢と感じます。日本でもこれからもっと、魅力的なEV車種が発売されることに期待しています。
取材・文/寄本 好則(EVsmartブログ編集長)
コメント