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最もお手頃なボルボは電気自動車/400万円台やAWD〜『EX30』が5モデルにラインナップを拡大

最もお手頃なボルボは電気自動車/400万円台やAWD〜『EX30』が5モデルにラインナップを拡大

「最もコンパクトなボルボ車」として人気の電気自動車『EX30』が、400万円台のエントリーモデル、2モーターのAWDモデルなど全5モデルにラインナップが拡大されました。エントリーモデルは479万円。日本で発売されているボルボ車のなかで、最もお手頃な価格を実現しました。

目次

従来の1モデルから大幅にラインナップを拡大

発表会では不動奈緒美社長がプレゼンテーションを行いました。

2025年8月21日、ボルボ・カー・ジャパンは電気自動車『EX30』の新バリエーションについてのプレス発表会を開催。従来の「EX30 Ultra Single Motor Extended Range」1モデルから、容量を抑えたLFPバッテリーを搭載する「EX30 Plus Single Motor」や、ボルボとして伝統的な「Cross Country」の名を受け継ぐAWDモデル「EX30 Cross Country Ultra Twin Motor Performance」など、計5モデルにラインナップを拡大することを発表しました。

搭載するバッテリー容量は「Plus Single Motor」が51kWh(LFPバッテリー)、そのほかのモデルは三元系(NMC)バッテリーで69kWhです。希望小売価格(税込)は、479万円〜649万円。個性も価格も幅広い選択肢から「ボルボの電気自動車」を選べるようになりました。各モデルの違いは、2種類のバッテリー容量、1モーターのRWDと2モーターの電子制御AWD。さらに装備の際によるグレード違いということになります。

【EX30シリーズ 主要諸元比較表】

Plus Single MotorPlus Single Motor
Extended Range
Ultra Single Motor
Extended Range
Ultra Twin Motor
Extended Range
Cross Country
Ultra Twin Motor
Performance
NEWNEW現行モデルNEWNEW
全長×全幅×全高4235×1835×1550 mm4235×1835×1565 mm
最低地上高175mm195mm
車両重量1770kg1760kg1790kg1880kg1880kg
定員5名
駆動方式RWDAWD
最高出力200kW前:115kW
後:200kW
最大トルク343Nm前:200Nm
後:343Nm
総電力量51kWh69kWh
一充電走行距離
(WLTCモード)
390km560km535km500km
価格4,790,000円5,390,000円5,790,000円6,290,000円6,490,000円
CEV補助金360,000円460,000円360,000円

モデルごとのポイントを紹介

2023年に日本発売されたEX30の価格は559万円でした。ボルボ史上最もコンパクトなSUVであると同時に、値頃感のあるボルボ車として存在感を示し、2024年1~4月には累計で942台を販売(登録)し、輸入EVの車名別登録台数で1位となるなど、日本でも人気となってきました。価格や個性に幅のある5モデルに選択肢が拡大されたことで「ボルボの電気自動車」の購入を検討する日本のユーザー層がさらに広がることを期待します。

また、別記事の「Cross Country」試乗レポートで紹介したように、ディスプレイにバッテリーのSOH(State of Health)表示が追加される(全モデル)など、EVとして着実な進化を遂げている点が高く評価できます。

全5モデルの特長など、ポイントを紹介しておきましょう。

「EX30 Plus Single Motor」

前述のように、総電力量51kWhのLFP(リン酸鉄)バッテリーを採用。最先端の運転支援機能やボルボならではの高い安全性を備えながら、助手席パワーシートなど一部装備を抑えることで479万円という価格を実現。マイルドハイブリッドなどを含む現行のボルボ車ラインナップのなかで、最も安価な一台となりました。

WLTCモードの一充電走行距離は390km。実用的に300km程度は一気に走れるでしょう。また、上位モデルと同様に急速充電は最大150kW、普通充電は9kWに対応しているので、街乗りはもちろん、ちょっとした遠出のドライブでもさほどの不便を感じることはないはずです。ただし、エアコンのヒートポンプシステムは非搭載。厳寒期、暖房を使いながらのドライブではある程度の航続距離減少を見込んでおく必要がありそうです。

エントリーモデルとはいえ、0-100km/h加速は5.7秒など走行性能は十二分。ボルボの電気自動車を手頃に所有したい方にオススメです。

「EX30 Plus Single Motor Extended Range」

「Plus Single Motor」以外の4モデルはすべて、69kWhの三元系バッテリーを搭載。「Plus Single Motor Extended Range」は、従来モデルの「Ultra」の装備を抑えることで、500万円台前半の価格となりました。ヒートポンプシステムは非搭載である点は知っておくべきですが、そもそも69kWhの大容量バッテリーを搭載しており、一充電走行距離(WLTCモード)はシリーズ最長の560kmもあるので、実用としてさほど気にする必要はない(適宜充電スポットを選択するくらいの余裕は十分にある)と思われます。

「EX30 Ultra Single Motor Extended Range」

2023年に日本導入されたシングルモーターの最上位モデル。発売以来約2500台が販売されていて、ボルボの電動化をけん引するモデルとなってきました。「Cross Country」以外の各モデルに共通することですが、車高が1550mmに抑えられ、都市部の立体駐車場に多い車高制限(1550mm以下のところが多い)をクリアできるのも魅力となっています。

「EX30 Ultra Twin Motor Performance」

前後にモーターを搭載したAWDモデル。最高出力は前が115kW、後ろが200kWで、システム最大315kW(428ps)を発揮。0-100km/h加速ではボルボ史上最速となる3.6秒を実現。一充電走行距離は同じバッテリーを積むシングルモーターよりも少し短い535kmとなっています。

「EX30 Cross Country Ultra Twin Motor Performance」

ボルボ伝統の「Cross Country」の名を冠した最上位モデル。随所に記された「CROSS COUNTRY」のロゴは、1997年に発売された初代のV70 XC(Cross Country)から全く変わらぬ書体が使われているとのこと。

フロントマスクとテールゲートにマットブラック仕上げを採用したり、専用19インチアルミホイールなどによってワイルドで冒険心満点の個性が与えられているのが特長的。また、他モデルよりも最低地上高が20mm高い195mmとなっていて、悪路走行時などの走破性を高めています。

【試乗レポート】
ボルボ『EX30』にAWDの「Cross Country」を追加発売/日本でも魅力的な四輪駆動EVの選択肢が拡大(2025年8月22日)

不動社長が強調したボルボの理念

東京・南青山の「Volvo Studio Tokyo」で開催された発表会では、ボルボ・カー・ジャパンの不動奈緒美社長がプレゼンテーションを行いました。この日も東京は最高気温が37℃に迫る猛暑でしたが、暗幕が張られ、冬のスウェーデンの映像が流れる冷房の効いたスタジオ内で、不動社長は冬をイメージしたフリース姿で登壇。Cross Countryを中心としたEX30の魅力を紹介しました。

プレゼンテーションのなかで不動社長が繰り返し強調したのが「車は人によって運転され、使用される。したがってボルボの設計の基本は常に安全でなければならない」という言葉。ボルボの創業者であるアッサル・ガブリエルソンとグスタフ・ラーソンによる創業以来の企業理念です。

今回、400万円台のエントリーモデルが追加されましたが、いかに価格を抑えても、安全を最重要とするボルボの理念はいささかも揺らがないことが強調されていました。

いろんな記事で繰り返しているように、日本でEV普及が進展しない最大の原因は「欲しくて買える車種の選択肢が少ないから」だと思っています。今回、ボルボのEX30には、価格や機能のバリエーションさまざまな5モデルが揃うことになりました。ボルボには憧れや好感をもつ日本の自動車ユーザーが多いと思うので、日本のEV普及にとっても大きな一歩となることでしょう。

日本でも、もっともっと多くの人が電気自動車を選ぶようになることを願っています。

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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