アウディのEV『Q4 e-tron』が正式に日本発売〜コンパクトSUVの勝負モデルに?

アウディジャパンが、コンパクトSUVの電気自動車『Q4 e-tron』シリーズのローンチイベントを開催。日本での正式な発売開始をアピールしました。イベントのキャッチフレーズは「Welcome to Progress」。今までの e-tron 各車種に比べて価格を抑えたコンパクトSUVモデルで、アウディのEVシフトが加速します。

アウディのEV『Q4 e-tron』が正式に日本発売〜コンパクトSUVの勝負モデルに?

電動化に突っ走るアウディの普及版モデル

Audi Q4 e-tron は、VWグループが開発したEV専用プラットフォームである「MEB(Modular electric drive matrix)」を採用するコンパクトSUVモデルの電気自動車です。すでに日本で発売されている大型SUVモデルの『e-tron』(まもなく Q8 e-tron にモデルチェンジするはず)や『e-tron GT』が車両価格1000万円超えの超高級車であるのに比べ、総電力量82kWhという大容量バッテリーを搭載しながら、ベースモデル(受注生産)は620万円〜。最上位グレードの『Q4 Sportback 40 e-tron S line』で737万円〜と、比較的価格を抑えたモデル展開となっています。
(※表記の価格は2022年12月以降予定されている改訂後の価格です)

Q4 e-tron についての詳細は、2022年1月の日本導入発表時、『アウディが電気自動車『Q4 e-tron』の日本発売を発表〜価格は日産アリアとガチンコ勝負』という記事で紹介しています。

新型『Audi Q4 e-tron』シリーズ車両本体価格

モデルバッテリー容量最高出力/最大トルク駆動方式価格(税込)
改訂後価格(税込)
Q4 40 e-tron82kWh150kW/310Nm後輪駆動5,990,000円
6,200,000 円
Q4 40 e-tron 
advanced
82kWh150kW/310Nm後輪駆動6,620,000円
6,830,000 円
Q4 40 e-tron 
S line
82kWh150kW/310Nm後輪駆動6,890,000円
7,100,000 円
Q4 Sportback 40
e-tron advanced
82kWh150kW/310Nm後輪駆動6,880,000円
7,090,000 円
Q4 Sportback 40
e-tron S line
82kWh150kW/310Nm後輪駆動7,160,000円
7,370,000 円
※改訂後価格は、すでに発表されている「12月以降」の予定価格です。

1月の記事からの変更点としては、日本のチャデモ規格による急速充電が最大125kW対応とされていたのが「94kW対応」に変更されていること。また、CEV補助金の金額を1月時点の情報で「最大60万円」と紹介していましたが、今年度の補助金は増額されたので、今年度補正予算、また来年度予算で設定されるであろう補助金額は「65万円」になります。

アウディではすでに「2026年以降に発売する新型車はEVのみにする」こと、つまり、EV専門のメーカーになることを発表しています。さらに「2025年までに電動モデルを約30車種に拡大」すること、「うち20車種以上をBEVとする」ことを宣言しています。

現在、アウディが日本市場に投入しているEVのモデルは、e-tron / e-tron Sportback、e-tron GT / RS e-tron GT、e-tron S / e-tron S Sportback という6車種でした。今回、Q4 e-tron / Q4 Sportback e-tron の2車種が正式にローンチされたことで、日本で購入できるアウディの電気自動車は8車種に拡大したことになります。

廉価版モデルでも600万円台〜と、「普及モデル」と呼ぶにはまだまま高額ではありますが、日本の電気自動車市場で最激戦区となっているのが「600〜700万円前後」の価格帯。Q4 e-tron は、アウディにとって電動化戦略のステップアップに向けた足場を固めるための勝負モデルと評することもできるでしょう。

正式にはいつ発売だったのか? 納車はいつになるのか?

日産アリアやトヨタbZ4X、スバルソルテラなどの国産電気SUV、輸入車ではメルセデスベンツのEQAやEQB、ボルボC40 RechargeやXC40 Recharge、さらにテスラモデルYやヒョンデIONIQ 5、フォルクスワーゲンID.4といった強豪車種が鎬を削る価格帯に投入されたQ4 e-tronシリーズ。1月の時点で「発売は秋以降」と発表されていたものの、正式な発売のアナウンスは今回のローンチイベント開催までありませんでした。

一方で、価格はすでに発表済みだったし、ディーラーでの先行受注は行われていたようで、11月の10日を過ぎたあたりから、SNSで「納車された」という投稿が散見されるようになっていました。

はたして、正式な発売はいつだったのか。アウディジャパンに確認したところ、当初は11月の発売予定だったところ「早めに準備が整ったので、10月12日に発売となりました」とのこと。ただし、プレスリリースなどでの案内はなく、すでに先行予約していたオーナーさんに各ディーラーから連絡して正式に受注を確定。納車準備を開始した、ということのようです。

とはいえ、すでにかなりの台数のバックオーダーが入っているらしく、販売会社の方に立ち話で聞いた限りでは「デリバリーまでかなり(1年近く)お待たせすることになるかも」という状況(納期についてアウディジャパンから正式なアナウンスはまだありません)でもあるそうです。

日産では、アリア、リーフ、サクラのEV三兄弟が揃って受注停止中であるなど、半導体不足やサプライチェーンの混乱で各社とも苦労しているようですが……。野生のQ4 e-tronとあちこちで出会えることを楽しみにしています。

(文/寄本 好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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