著者
カテゴリー

e-Mobility Power の最大350kW器がチャデモ認証取得/従量課金実証実験は延長して継続へ

e-Mobility Power の最大350kW器がチャデモ認証取得/従量課金実証実験は延長して継続へ

日本国内のEV用充電インフラ拡充を進める e-Mobility Power が東光高岳と共同開発を進めている次世代急速充電器について、CHAdeMOの最新プロトコルである2.0.2の認証を取得したことを発表しました。また、神奈川県内で実施していたkWh課金(従量制課金)の実証実験を延長して継続することを発表など、気になるニュースをお知らせします。

目次

最大電圧1000Vの次世代超急速充電器

2025年3月31日、日本国内のEV用充電インフラ拡充を進める株式会社 e-Mobility Power (eMP)が、株式会社東光高岳と共同開発を進めていた「最大出力350kW/口」の次世代超急速充電器が、国際標準規格CHAdeMOの最新プロトコルである2.0.2の認証を取得したことを発表しました。

新型の次世代超急速充電器は出力電圧が最大1000Vに対応しています。電力量は「電圧×電流」で決まるので、高電圧であるほど電流は小さくても高出力を実現することが可能です。充電時にケーブルやコネクタが発熱するのは電流値の影響が大きいので、高電圧で充電可能なEV車種であればより効率的に超急速充電を行うことができます。

日本国内では消防法や電気事業法によってEV用急速充電器の最大電圧は500V(プロダクトの主流は450V)以下に抑えられていましたが、2024年10月の規制緩和によって最大電圧800〜1000Vの超急速充電器を設置することが可能となりました。

次世代超急速充電器の特長など

発表された次世代超急速充電器について、eMPでは以下のような開発コンセプトを改めてアナウンスしています。

①より早く充電できる
●CHAdeMO規格一口最大350kW出力(世界初)
●10分で、航続距離約400km相当の充電が可能(※1)
●車両性能の進化を見据えた次世代対応の充電スペック
●EV充電器に係る保安要件の解釈の明確化(※2)の動きを見据えた1,000V仕様とすることで、高電圧バッテリー搭載車両および電動船舶への超急速充電の実現

②誰でも楽に操作できる
●現行製品比で約30%軽量化した新型充電コネクタの採用
●現行製品比で約10%細く、約20%軽量化した新型充電ケーブルの採用
●新型のケーブルマネジメントシステムの採用により、充電コネクタケーブルを片手で楽に操作可能。また、ケーブルが地面に接することなく、高い収納性を実現
●プラグ&チャージを視野に入れたセンサーの搭載

③ 分かりやすく、フレキシブルなサービスとタイムリーな情報提供
●高輝度で視認性が良く、ユーザーが欲しい情報や事業者からの重要告知をタイムリーに表示できる大型液晶画面
●時間課金(分課金)と従量課金(kWh課金)の併用に対応
●充電終了後の放置車両対策(ペナルティ課金)に対応
●再エネの有効活用を促進するダイナミックプライシング(日・時間帯別料金)の導入も視野

④ 視認性が高く、スタイリッシュなデザイン
●インダストリアルデザイナーを起用し、充電器のユーザビリティを追求
●すべてのユーザーにとって使いやすいユニバーサルデザイン
●視認性が高く、遠くからでも充電ステーションの存在が一目で把握できる未来的な外形とライティング
●ガソリン車ユーザーにも「ここにEV充電設備がある」と認知される存在感

(※1)車両が高電圧での急速充電に対応している場合の理論値。実際の充電電力量は、車載電池の残容量や温度、外気温等の条件により変動します。高電圧での急速充電に対応した車両が350kW出力で10分充電した場合、最大で58.3kWh充電することができ、車両電費が7km/kWhの場合、約400kmの走行が可能となります。
(※2)従来、電気主任技術者が不要な一般用電気工作物における直流電路の対地電圧の上限は、450V以下と規定されていました。このたび、経済産業省の「EV充電器に係る保安要件の解釈の明確化」の動きにより、電気主任技術者が必要な自家用電気工作物における直流電路の対地電圧の上限が、1500V以下と明確化されました。

発表された基本スペックは以下の通りです。

充電器の概要
最大電圧1000V
総出力400kW(2口)
最大出力1台充電時:350kW/口
2台同時充電時:200kW/口
CHAdeMO規格CHAdeMO 2.0.2
充電コネクタ
定格電圧1000V
電流短時間:350〜400A(通電時間による)
連続200A
サイズW 300 × H 190mm
概算従量1kg
通電表示LED視認性を向上
充電ケーブル
定格電圧1000V
概算外径現状比約10%細径化
概算重量現状比約20%細径化

eMPによると「CHAdeMO規格において、最大出力350kW/口(総出力400 kW)、最大電圧1000Vの急速充電器の認証取得は世界初」とのこと。無事にCHAdeMO認証取得が完了し、2025年秋に納品開始予定としています。

「ケーブルは液冷?」などの疑問解決は発表会待ち

認証取得のリリースを見た上で、eMPの広報ご担当部署に「ケーブルは液冷?」とか「外観デザインはいつ発表?」や「プラグ&チャージを視野に入れたセンサーって、カメラですか?」、「CHAdeMO 2.0.2 は何が優れているの?」といった質問を投げかけてみたのですが……。デザインやケーブルの仕様、PnC用センサーの正体などはまだ非公表。今後の開催を予定している製品発表会で確認をという回答でした。

CHAdeMO 2.0.2 については「CHAdeMO 2.0→2.0.1→2.0.2と改訂が行われており、市場で発生した不具合等への対応が行われています」とのこと。チャデモ協議会の「認証充電器リスト」を確認すると、EVモーターズ・ジャパン、ニチコン、キューヘンなどが2.0.2規格の急速充電器をラインナップしていました。

テンフィールズファクトリーの「フラッシュ」もすでに最大1000Vでの運用を始めていますが、リストによると「2.0.1」の認証になっているようです。つまり「最大350kW出力、最大電圧1000Vで、2.0.2認証取得は世界初」ということになるようです。ともあれ、ユーザーにはよくわからないのが悩ましいところであるとは感じます。ま、きちんと使える充電インフラを広げてくれればとくに文句はないのですが……。

具体的な設置場所もまだよくわからない

eMPの発表には次世代超急速充電器設置の「ご提案先」が記されていました。

●充電サービス事業者(CPO各社)
●自動車メーカー、自動車ディーラー
●バス会社、タクシー会社、物流会社
●商業施設、自治体、事業所
●船舶業界、港湾関係者など

自動車メーカーやバス会社などに超高出力器のニーズがあることは理解できます。とはいえ、EVユーザー視点で公共の「超高出力器」を設置してほしいのはなんといっても高速道路SAPAを中心とした経路充電スポットです。eMPがどのような計画で自社設置していくかについても言及はなかったので、これもまた開催予定の発表会で確認したいポイントです。

ともあれ、1000V対応の超急速充電器が真価を発揮できるのは、高電圧システムを搭載して高出力の急速充電性能をもったEVで充電する場合(現状では、たとえばヒョンデIONIQ 5とか)限定です。350kW器が認証を取得して社会実装が始まるからといって、性急に「すべからく高電圧対応の350kW器に置き換えるべし!」ということではないと、スマートなEVユーザーとしては理解しておきたいところです。超急速充電はEV側の性能関与が大きいので、自動車メーカーともうまく連携しつつ、これからのEV普及を支えるに足るバランスの良い充電インフラが整っていくことに期待しています。

kWh 課金(従量制課金)実証実験が延長して継続へ

350kW器認証取得のニュースリリースと同じ3月31日、3月末で終了を予定していた神奈川県内の2地点に設置している急速充電器における「kWh 課金(従量制課金)に関する実証実験」を、4月1日以降も継続して行うことが発表されました。

【関連記事】
eMPがEV急速充電従量課金の実証実験実施中/アンケート回答でキャッシュバックも(2025年2月3日)

3月までの実証実験ではモニターに選ばれたeMPカード会員とビジター利用者が対象でしたが、4月1日以降はカード会員のモニター利用は終了し、ビジター利用者のみが対象となります。また、充電料金が改定されました。

2025年4月1日〜9月30日の充電料金は、132円(料金は税込)/kWh、1分あたりの時間課金はありません。従前の実証実験でkWh課金のみの設定だった2024年10月1日〜12月1日の料金は154円/kWhだったので、22円/kWhほど安くなっています。その理由としては「対象充電器における2024年10月~2025年3月のビジター利用の平均充電量(18kWh/30分間)を充電した場合において、従来の時間課金のビジター利用時と同等の充電料金額になるよう設定しました」ということです。

急速充電のkW課金(従量制課金)は、2025年中の実現に向けた動きのはず。今後のタイムラインをeMPに確認したところ「2025年秋以降に設置する急速充電器は、kWh課金対応の充電器を設置予定です。kWh課金の具体的な導入時期につきましては、現在検討中です(2025年度内)」という回答でした。

自動車メーカーが発行するeMP提携充電カードの充電料金がどうなるのかなど、まだ未知数ではありますが。限られた公共充電器を公平に利用できるようにする手段としてkW課金の早期実現に期待しています。

一歩一歩、日本の公共EV充電インフラのさらなる進化を応援したいと思います。

取材・文/寄本 好則

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

コメント

コメントする

目次