充電カードを契約していないため、ビジターとして高速道路などの急速充電器を利用する時の操作が面倒なのをなんとかしてほしい! と思っているEVユーザーに朗報です。ミライズエネチェンジとe-Mobility Powerが共同で、ビジター充電の手続きを簡単にする実証実験「EVおでかけ推進プロジェクト2025」がスタートしました。対象となる方は、ぜひ参加してください。
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
充電カードがなくても簡単に急速充電器が利用できる
2025年7月16日、ミライズエネチェンジ株式会社と株式会社e-Mobility Power(eMP)が共同で、高速道路や道の駅などに設置された急速充電器のビジター充電を使いやすくすることで「EVでの遠出を身近にする」ための試みとして「EVおでかけ推進プロジェクト2025」を実施することを発表しました。

EV充電エネチェンジ公式サイトから引用。
EVオーナーであっても、出先での急速充電を行う機会が少なく、月額会費の負担を避けたいといった理由で自動車メーカーやeMPが発行する充電カードを持たない人が増えています。とはいえ、高速道路SAPAや道の駅、コンビニなどに設置されている急速充電器を、ビジター利用する場合、毎回クレジットカードや連絡先等を入力する必要があって面倒でした。
今回のプロジェクトでは、参加者向けページから事前にクレジットカード情報などを登録することで、期間中、対象となるeMPの急速充電器を都度の入力はなしで利用することができるようになります。登録や月額費用は無料。ビジター充電がスムーズになることで、EVユーザーの行動変容を検証しようという試みです。
【参加案内ページ】
「EVおでかけ推進プロジェクト2025」参加者募集(EV充電エネチェンジ公式サイト)
参加対象は「条件をすべて満たす人」に限定
プロジェクトの実施期間は、2025年7月17日(木)から2026年1月31日(土)まで。下記3点の条件をすべて満たしている方が対象となります。
●急速充電に対応しているEVまたはPHEVを所有している方。
●現在、EV充電カード(eMPネットワーク)を契約していない方。
●本プロジェクトに対するフィードバック(アンケート等)をいただける方。
またプロジェクト参加には定員があるということで、「EV充電エネチェンジ」アプリから応募して、対象者となった方に順次案内メールが届き、専用ページでクレジットカード情報などの必要事項を登録して参加(急速充電器を手軽にビジター利用!)します。なお、参加者は登録情報やアンケートの内容をもとに選定する(選定基準は非公開)とのことで、全応募者が参加できるわけではありません。
おトクな料金で充電できる期間も設定予定
プロジェクト参加について登録や月額などの費用は掛かりません。都度の充電料金は、eMPのビジター料金と同水準となります。
【急速充電の都度利用料金】
●出力50kW以下の急速充電器:1分あたり55円(税込)
●出力50kW超の急速充電器:1分あたり77円(税込)
ただし、プロジェクト実施中の一部期間で、対象の急速充電器を割安な料金で利用できる特別設定を実施予定。対象の充電器や料金などは、参加者のみにメールで案内が届きます。
対象の急速充電器は全国で2500口以上
このプロジェクトで利用対象となる急速充電器は「e-Mobility Powerの公式アプリから利用できる急速充電器」で、全国で1520地点/2543口(2025年7月16日現在)となります。高速道路SAPAに設置されている約半数となる233地点/645口のほか、コンビニや道の駅など一般道が1287地点/1898口を利用できます。
ロングドライブでは高速道路の急速充電器を利用する機会が多く、すべての充電器が対象ではないものの、対象充電器のGoogleマイマップを見ると、安心して遠出するために必要十分な経路充電ポイントがカバーされている印象です。
EVユーザーの利便性を高める進化に期待
急速充電、普通充電ともに、EV用充電器を展開する充電サービスプロバイダー(CPO=Charging point operator)が増えてきました。充電インフラが拡充するのはEVユーザーにとっても歓迎すべきことです。とはいえ、CPOごとに個別の充電カードや専用アプリが必要だったりして、わかりにくい、かつ不便なことが日本のEVユーザーの前に立ちはだかる大きな壁でした。
ミライズエネチェンジでは、今回のプロジェクトに先駆けてEVユーザーに対して「EVでの旅行・遠出」に関するアンケートを実施。2025年7月2日から7月13日の期間中に2,634名からの回答があったそうです。
【おもな調査結果】
●40.8%のEVユーザーが「EVでの旅行や遠出をためらった経験がある」と回答。
●特にためらいがちな距離は片道「200km」以上。
●e-Mobility Powerの急速充電器をビジター利用する時に「使い方がわからなかった / わかりづらかった」「毎回のクレジットカード登録が面倒だった」といった声が多かった。
急速充電、ことにビジター充電はややこしいというのが、多くのEVユーザーが抱いている印象であり、EVでの遠出をためらう要因になっていたということになります。
関係各社もユーザーの利便性を高めるためのさまざまな取り組みを進めています。たとえば、EV充電エネチェンジでは早くからeMP(提携含む)カードで認証できたり、ENEOSチャージプラスのアプリなどで利用可能(ローミング)になっています。また、ENEOSチャージプラスの急速充電器も、eMPカードやエコQ電のカードで利用できるなど、一部ではCPOの枠を超えたシームレス化へのチャレンジが進んでいました。
今回、日本最大のネットワークをもつeMPの急速充電器でビジター充電が簡単になるのは画期的。まずは期間限定&定員ありのプロジェクトですが、EV充電の認証課金方法などがシームレスに進化するための第一歩です。もちろん、近い将来には、充電ケーブルを接続するだけで認証課金が完了する「プラグアンドチャージ(PnC)」や、その場でクレジットカードや電子マネーで決済できるといったサービス形態の普及に期待しつつではありますが……。「EV充電エネチェンジアプリで、eMPの急速充電器を手軽にビジター利用できる」というプロジェクトのスタートを、ひとりのEVユーザーとして歓迎したいと感じます。
日本のEV充電サービスが、ユーザー本位に進化していくことに期待しています。
文/寄本 好則
コメント
コメント一覧 (4件)
自宅で充電してますのでカードは月額無料しか持ってませ。旅先では非常に不便を感じていました。
相変わらず浜名湖および浜松は少なくEVには嫌煙されがち
先月、往復800km程の移動を経験し、主としてSA・PAの充電器を利用しましたが、古い充電器ではパスワードを事前に取得する方法がメインで、パスワードの入力が面倒に感じました。さらに新しい90kW級の充電器ではアプリから認証を得るのですが、クレカの番号の入力が必要になるのですが、一度入力しても次のQCではもう一度クレカを取り出し再度番号を入力する必要があるなど使い勝手が最悪でした。これは月会費を払わせるための、ビジター利用よりも会員登録に誘導するための嫌がらせではないかと思います。ちなみに、道の駅にあったPowerXの充電器では事前に登録してあればその度にクレカの番号入力は必要ありませんでした。それが普通だと思うのでが。
このようなシステム設計の問題は早急に改善していただきたいのですが、それよりも充電量に応じた料金制度の導入が何年も前から約束していながら、一向に進められるアナウンスもないのが信じられません。高速道路上では実質eMPがQCを独占していることの弊害だと思われます。50kWまでしか受け入れられない私のEVでも90kWと150kWの充電器しかない場所で充電するには高い分当たり料金を支払わなければならないのは我慢できません。
やらないよりマシなんですが,依然として時間課金にしているあたりちょっとズレているんですよね。。。。