4カ所中3カ所のSAPAでルール無視が横行
EV充電インフラの拡充が進む高速SAPAが、大変なことになっています。
ゴールデンウィーク前半の4月26日深夜から28日にかけて、マイカーのヒョンデKONA Casual(バッテリー容量48.6kWh)で東京=兵庫を往復してきました。途中の充電は往路、復路ともに2回、合計4カ所の高出力複数口設置のSAPAに立ち寄ったのですが……。なんと、そのうちの3カ所でエンジン車などが充電区画に駐車するルール無視が横行している状況に遭遇してしまいました。
『eMPが高速道路SAPAのEV用高出力急速充電器増強を発表』の記事で賛辞を贈ったように、高速SAPAに高出力複数口設置の快適な充電スポットが急増しているのは喜ぶべきこと。ところが、複数台分の区画があるがゆえの気のゆるみなのか、充電後も駐車する車両や、掟破りのエンジン車の駐車が増えているのが悩ましいところです。
KONAの充電結果とともに、立ち寄ったスポットの状況を説明しておきます。
【往路/充電1回目】新東名浜松SA下り線
8区画中4区画にエンジン車が駐車。浜松SAは充電スペースが一般の駐車スペースと区分されて広めの転回スペースがあるものの、そこにはキャンピングカーと大型トラックがアイドリングしながら駐車。奥の150kW器で充電しましたが、出入りが窮屈な状況でした。
この写真を撮ろうとした瞬間にも爆音の旧車トレノが停めようとしています。が、アリアが充電にやってきたので、トラックを避けて窮屈な車庫入れを終えたばかりのトレノのドライバーの方に「充電するEVが来ましたよ」と声を掛けて移動してもらいました。
<充電結果>
時間/2:37→3:07(30分)
SOC/38%→76%
充電電力量/20.8kWh
【往路/充電2回目】名神草津PA下り線
冒頭写真もこの草津PAです。ニチコンマルチ6区画中、1区画は空き。5区画の中で充電しているのは、私と黒いアウトランダーPHEVの2台だけ。2台はエンジン車で、もう1台のアウトランダーPHEVは充電していませんでした。
さらに新電元2口器の前には、駐停車禁止の表示を隠すようにして、充電用の1区画を塞いでトラックが駐車してました。
<充電結果>
時間/5:24→5:54(30分)
SOC/28%→68%
充電電力量/21.3kWh
【復路/充電1回目】伊勢湾岸道刈谷PA上り線
アプリ「高速充電なび」で4口中2口が空いていることを確認しつつ到着。PAは満車に近い状態で係員が誘導していて「充電です」と充電器へ向かおうとすると「今はいっぱい」とのこと。「充電しなきゃ次へ行けない」と話すと、路肩の待機スペースへ誘導されて、空いたら知らせてくれることになりました。
充電スペースの状況を確認すると、アプリの表示通りに手前のリーフ2台は充電中。となりのBMWはエンジン車。奥のリーフはすでに充電終了していて、ドライバーさんが車内でスマホをいじっていたので「充電、待ってます!」とお声がけして充電器を空けていただき、そんなに待つことなく無事に充電することができました。
<充電結果>
時間/17:08→17:38(30分)
SOC/18%→62%
充電電力量/21.9kWh
【復路/充電2回目】東名駿河湾沼津SA上り線
手前の静岡で充電してもいいくらいのSOCだったのですが、駿河湾沼津上り線の充電スポットはSAに入ってすぐの場所にあり、駐車場をさまよった末に「ええい、停めちゃえ!」となりにくいから「ルール無視は少ないはず」と予想。まっとうな状況も取材しておきたかったので、SOC 15%まで攻めて無事に到着しました。
はたして、6区画中3台のEVはすべて充電。残り3区画にもルール無視の車両はなく健全に運用されていました。また、2区画には「EV車充電専用」と明記されたパイロンがあり。これも、ルール無視を抑制する効果を発揮していると感じました。
<充電結果>
時間/20:19→20:50(30分)
SOC/15%→68%
充電電力量/26.3kWh
EVユーザーとして正しい理解と行動とは?
さて、ルール無視が横行する高速SAPA充電ステーションの危機的現状。EVユーザーとして正しく理解しておきたいこと、そしてどう行動すればいいのかについて e-Mobility Power(eMP)にも確認して、端的にまとめておきます。
充電区画は充電するEVやPHEV専用です。
今回、GWでもあり4カ所のSAPAはいずれも「満車」か、それに近い状況でした。「ほかに空きがないんだからエンジン車が停めてもいいじゃないか」という気持ちになるのはわからないでもないですが……。改めて質問したところ、NEXCOやeMPは充電スペースを「あくまでも充電用の区画」として運用している(一般の駐車マスではない)ことが確認できました。充電は有料のサービスですから、充電できないエンジン車が駐車するのは、ガソリンスタンドの給油スペースに勝手に駐車するのと同じ無法な行為ということになります。
ただし、駐車区画がタイトな都市高速PAなど一部では、EV充電「優先」となっている(その場合は明記されているはず)スポットもあるということなので、ご注意を。
困った時に、どうすればいいの?
エンジン車が停まっていて充電できないといった状況の時は、「充電器に記載されているコールセンター、もしくはNEXCO各社のコールセンターに連絡」するのがオフィシャルな対処法です。無人のPAなどもあるので、どのように対応してくれるかはケースバイケース、ということになるでしょう。インフォメーションセンターに係員がいる場合には、充電しないのに停めているエンジン車などに移動を促す館内放送をお願いするのもいいと思います。
ともあれ、エンジン車で停めちゃうのはそのドライバーさんがルールを知らないケースもあるでしょう。EVユーザーとしてはけんか腰で怒りをぶつけるようなことは控えてスマートな対処を心掛け、「充電区画は充電専用である」ことへの世の中の理解を広げていきたいですね。
全区画にパイロン置けばいいんじゃないの?
パイロン設置にはルール無視を抑制する一定の効果があるでしょう。でも、パイロンを移動するためにSAPA内の通路上に停車して乗り降りするのは「安全上好ましくない」面があります。また、充電スポットのバリアフリーを一緒に取材した青木拓磨さん(関連記事)から「車いすのドライバーにとってパイロンは障害物でしかない」という声を聞いたこともあります。車いすでなくても、パイロンをどかしたり戻すのは面倒だし。ことに高速SAPAにおいては「全部に置けばいい」という単純な課題ではないということですね。
とはいえ「EV」と書かれた路面ペイントやシートだけでは、そこが「エンジン車の駐車場所ではない」と理解できない人がいるのも事実。デザイン的にはちょっと見苦しくなりますが、路面や充電器横などに大きく「充電専用」とか「充電車以外駐車禁止」など、誰でもわかる言葉を明示することが当面は必要なのかも知れません。
充電が終わったら速やかに移動しましょう。
エンジン車が停めちゃうだけでなく、EVやPHEVが充電しないのに駐車したり、充電が終了しているのに停めたまま(充電終了後放置)というケースも目立ちます。EVやPHEVのプラグイン車ユーザーとしては「充電が終わったら速やかに区画を空けて移動する」という基本的なルールを守ることが大切です。
長くなるので、このくらいにしておきましょう。ようするに、お互いにちゃんとルールは守ろうねということです。
今回は交通量が激増するGWの出来事であり、日常的にこんな状況に陥っているわけではありません。また、ことに大型トラックの駐車マス不足はかねて大きな課題となっていて、NEXCO各社や国交省も対策を講じているところです。充電区画の健全運用を含めて、今後の改善に期待したいところです。
EVユーザーとしては、ひとりひとりが充電サービスへの理解を深め、マナーを守って活用することが大切ですね。
各2回の充電で往復できたのが素敵
ところで、バッテリー容量48.6kWhのKONA Casual。東京=郷里の片道約620kmを、往復各2回ずつの経路充電(休憩)で余裕の完走だったのはなかなか「いいね!」なポイントでした。
また、朝8時半過ぎに郷里へ到着。少し仮眠して昼過ぎから行動するため、実家に最寄りの道の駅でSOC 30%くらいから「念のため充電」を行ったのですが。以前設置されていた出力25kWの「中速」充電器が、50kW器に更新されていたのもありがたかったです。
旅程は温かな晴天に恵まれて、高速道路はおおむね90〜100km/h巡航。郷里の道は信号も少なく効率良く走れたので、納車以来の累積電費も余裕で7km/kWhを超えました。
GW後半、EVでロングドライブを計画してらっしゃる方も多いことでしょう。天気は良さそうだし、素敵な連休をお楽しみください!
私のKONA Casual(2024年4月30日現在)
総走行距離 4405.0km
累積電費 7.2km/kWh
取材・文/寄本 好則
ちゃんと国の方で法整備をして駐車違反のひとつとして警察の取り締まり対象としないとこのままでは世の中がEVがどんどん普及してゆけばいくほど、PASAでの充電をめぐる喧嘩や騒動が増えそうです。
EV充電用区画は、通路の一部を削って作られたり駐車場の一部を改装して作られたりしていますよね。
そもそもそれがいけないのではないかと思います。
ガソリンスタンドや水素スタンドの様に、通路や駐車場とは独立させて、充電区画の出入口を明確にした他とは仕切られた専用施設として設ければ、ガソリン車やトラックがワザワザ侵入して来ないのではないでしょうか。
既設の設備はもう手遅れですけど。
たまたまこの記事を読み、あっ…私みたいと思い、写真と日付を確認したら、やはり私でした。新東名浜松SAで充電したアリアのドライバーです。寄本さんには、トレノの方にお声掛けいただいとの由、お世話になり、ありがとうございました。大型トラックも止まっており、充電スペースへ入りにくい状況でしたので助かりました。
その後京都まで行きましたが、帰りの浜松SAでは充電を終えたEVが数台放置されている状況を見ました。ご指摘のように、やはり一人ひとりがSA PAでのマナーを守る、規則とかでなくマナーとしてできるのが美しいと思います。自分の勝手で他人を困らせない、というセンスを持ちましょうよ、トラブルに発展してはつまりませんからね。
月極駐車場で非契約者が駐車した場合、「発見次第1万円申し受けます」という掲示を見ることがあります。「EV・PHEV以外の車の駐車を発見した場合、1万円申し受けます」という掲示をすれば、それなりに抑止力があると思いますが、このような掲示を見たことがありませんね。
eMPの「充電ネットワーク一般提携約款」を見ると特に禁止はされていないようですが、仮に1万円を徴収した場合、誰が受け取るのでしょうか?eMPなのか充電器設置者(一般提携契約者)なのでしょうか。また、訴訟に発展した場合訴訟費用は誰が払うのでしょうか。この定款の「第8条(禁止事項)」を見ると、「単独で又は第三者とともに、充電サービスを利用して不正又は不当と認められる利益を得ること」は禁止されています。また、充電器設置者の収入は提携料だけみたいなので、実際にはこのような掲示はできないのでしょう。しかし、EV・PHEV以外の駐車や充電終了後の放置はよく見かけるので、eMPは何らかの対策を行ったほうがいいと思います。不当駐車の対する罰金請求も認めていいのではないかと思います。
EV ユーザーですが、充電スペースに充電終わっても停め続ける奴もマナーなってない。
ガソリン車を停める奴は論外。日本人のマナーも低下したものだ。
まあ、EV反対の人に何言っても無駄と思う
50%越えたら、たぶん70%越えてからと言うと思う
駐車場の警備員も、雇用主から、細かな指示を受けてないことが多い
私も、ガソリン車にお願いして、移動してもらった経験がありますが
そのガソリン車はあろうことか、わざわざ戻ってきて、前を封鎖するかたちで駐車。
30分もすれば、どこか行くだろうと思い、不要なことは言わずにいたのですが、1時間以上、移動してもらえませんでした。
移動を依頼しても、駐車場に停めているだけ、との回答。
停車している車の前に停車したら駄目と、どこに書いてるか教えてくれ、ルールは?との回答。ルールはないかもしれないですが、常識だと思うのですけどね。
警察に電話しましたが、出払っているとの回答で、来てもらう頃まで、都合3時間程度、その場所から動けませんでした。
EV車は、混雑する場所には、行かない。
遠出する時は、余裕を持った運行気をつけるしかない。
我々EV保有者は、政府に騙された人柱なのです。
そもそも、日本でEVは時期尚早であり、むしろ地球環境に悪いです。
製造時にエンジン車の倍以上の二酸化炭素が出ますし、廃バッテリーの処分方法すら確立されておらず、環境破壊が懸念されています。
そして、何より問題なのが、日本は75%〜80%が火力発電ですので、発電時のエネルギーロスを考えると、普通のエンジン車の方が二酸化炭素排出量が少ない位です。
EVを使うのは、風力発電やソーラー発電と言った再生可能エネルギー発電の割合が、せめて50%を超えてからですね。
太陽光設置の家のみがEV購入可能にしますか?
鶏か卵かって話にも思えますが。
re:つだ
環境を整えてから実施しないと悪化を早めるだけだよ。
受け皿に水を入れたい時に、水を出してから受け皿を置く人は居ない。
悪いと分かっているものに対して鶏か卵かと言う論理は成り立たないんだよ。
何事にも始まりがあって時間をかけて成熟していく、実際購入して使用すらしていないのに環境に悪いと判断するのはこれこそ時期尚早なのでは。
バッテリーや太陽光パネルの廃棄について問題となっているが、そもそも化石燃料の燃焼によるCO2の排出が問題であって、人間の移動に伴うCO2排出を出来る限り抑えるためだと私は考えています。
当然電気自動車の充電には電力が必要です、太陽光発電のパネルを作るにもCO2を排出します、しかし完成して発電を開始すればすぐに回収が可能です。
当家も複数台の電気自動車を所有しオフグリッドの太陽光発電にて充電しています、しかし化石燃料車にはこのような運用はぜったい出来ません。
電気自動車+自宅太陽光発電は持続可能な世界だと思っています。
何年か先には化石燃料は必ず枯渇します、持続可能ではない世界です。
それは無理だろ、と思いました。
ルール無用って、この場合のルールとは、どんなに一般車が長蛇の列でもEV用スペースは空けておけってことですかね。
障害者用トイレでも一般者用が長蛇の列なら使って下さいとしている所を幾つか見ていて、そのほうが合理的に思いました。EV利用者は解って買っているはず。バリアフリーとは同一で語れません。
トイレと充電を一緒に考えてるあたりは的外れですね。充電に30分取られるのに充電もしない車両を待たなきゃならない。マナー違反を分ってEVは買ってませんけど。
ガソリンスタンドに駐車していいかって話と同等って書いてますよ。
名神草津PA下り線
GWなどのピーク時以外でもトラック用駐車スペースが目の前のためか、駐停車禁止の表示を隠すようにして、充電用駐車スペースを封鎖するトラックが頻発しています。
滋賀県栗東市の「滋賀県高速道路交通警察隊 077-554-8488」へ電話を掛けて、「滋賀県内の高速道路でEV充電設備付近の不適切駐車に関して巡視頻度を増やして、不適切駐車が見つかれば「警告」「指導」を行って欲しい」旨を要望しました。
警察の方からも「もし不適切駐車が有れば、遠慮なく110番へ電話してください」と助言をもらえたので情報共有します。
NEXCO西日本へも複数回対策強化を要望していますが、EVユーザーが良くなったと体感できる形で改善していません。
GW中の昨日(5/2)とある道の駅(充電器1基)に飛び込むと
今まさに停めようとしているガソリン車。
怒らせても面倒なので丁寧に移動してもらうと同時に
どうして駄目なのか、念押ししましたが
ドライバーさん曰く「空いている所がない」
というあからさまに嘘、が理由でした。
先週は壇之浦PAで車を停めてタバコをふかせている所に出くわしました。
「空いている所がない」とこれまたあからさまな嘘。
どちらにも言えるのは
遠ければ停めないだろう
は成立しない
ということ。
施設の入口直ぐに充電器かろあるのは、わざわざそこまで戻ってくる手間をかけるだけ面倒なので有効に思います。
そのルールというのはなんですか?
法令?高速道路会社の規約みたいな?
無知なもので教えていただければありがたいです。
充電料金を従量+時間の合算とし、ロック板で確実に時間課金されるようにすれば解決する問題だろう。明らかにシステムの不備である。
余計なコスト掛かるけど、普段は駐車停止板上げて置き、充電カードかざしたら車両が入れる様にするのも有りかも。
俺も何度と無くコンビニ充電駐車スペースに停めている車に声がけしてアウトランダーPHEVを充電した事有るもん。ガソリンで走れてもEV走行は心地良いから(笑)
連休中の長距離移動お疲れ様でした。
エンジン車に止められるのは悩ましいですね。
ひとつの案として、充電区画にはコインパーキングのようなロック板を設置して、充電の有無に関わらず時間課金をすれば良いのではないでしょうか。
時間課金は充電料金と同じ金額にして、充電器自体の使用は無料とすれば、充電する人にとっては通常の充電と同じですし、充電後の放置も抑止できます。
ロック板の設置コストがかかってしまうのが難点ですが。
高速道路の急速充電器だけでなく、ショッピングセンターや店舗併設の公共普通充電器でも同じような現象に遭遇する割合が増えてきました。 放送で呼び出しを依頼したこともありますが、移動のお願い程度のつもりでも呼び出しにストレスを感じ恨み節を吐かれた経験もあります。
寄本さんや青木さんと同意見でパイロン移動は一時駐車時の事故やトラブルの危険も伴うと感じています。
まだまだ圧倒的に多いガソリン車ユーザーからしたら混雑時は特に「空いてる時間位駐車スペースの共有をしてよ」と思うのかもしれません。 ただEVユーザーとしては「空いてれば共有も有り。でも、充電利用希望時にすぐに空けてもらえないなら共有は難しい 」とも感じます。
以前は「もっと併設施設利用に少し不便な所に設置してもらえれば、ガソリン車からの不満も減るのでは…」と思っていましたが、車椅子や高齢者のドライバーのように移動に負担を覚えるドライバーさんもいるのであまり不便なところではパリアフリーではなくなってしまいます。看板や色分け等の視覚情報だけより人感センサーによる音声案内がある場所の方が比較的間違った駐車が少ないイメージです。 監視カメラ設置(もしくは施設側の既存カメラとの共有できる位置に充電器設置してコスト削減)とカメラ設置の表示も有効だと思います。
しかし、以前は車椅子等の優先駐車場への理解と違い、EV充電設備や多額の補助金への理解はありませんでした。マナーの範囲はユーザーにならないと理解しづらいことなので、丁寧な情報拡散が必要もしれません。