ほぼ毎週末に勃発! 閉鎖中の大黒PAでEV用の急速充電器は使えるのか?

毎週末のように閉鎖される首都高大黒PA。電気自動車ユーザー目線で気になるのは、設置されている「EV用急速充電器が使えないと困る!」ことです。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんが直撃取材。安心してください、使えますよ!

ほぼ毎週末に勃発! 閉鎖中の大黒PAでEV用の急速充電器は使えるのか?

高速道路で日本初の急速充電器設置場所

クルマ好きが集まる「聖地」として、日本はもちろん海外の日本車ファンの間でも有名な「大黒パーキングエリア(PA)」は首都高速道路神奈川5号大黒線にある休憩施設。さらに、電気自動車の充電設備にとっても重要なスポットです。

高速道路の休憩施設としては日本で初めて、リーフもi-MiEVもまだ発売されていない2008年10月に急速充電器が設置された場所でもあります。この充電設備は今でもPAの同じ場所にあります。ただし当時のままの充電器ではなく、何度か入れ替えているとのことでした。

「設置検討当時、公共機関等で電気自動車の試行運用が実施されており、また、2009年夏頃に富士重工業(現・SUBARU)「R1e」及び三菱自動車「iMiEV」が販売開始予定でした。当社としては、電気自動車のバッテリー切れの不安を払拭し、電気自動車を使って首都高をご利用いただける環境を事前に整えておくことが必要と考え 2009年夏の電気自動車市販開始を待たずに急速充電器を設置しました。」(首都高広報課)

新型6口器は出口に近いコンビニ前に設置。エンジン車が停まっていることも多い。

また、2021年12月にはPA出口に近いローソン前の一般向け小型用駐車スペースだったところに、6台分の急速充電器(最大出力90kWで6台同時に充電が可能 ※同時充電の台数や車種によって出力が異なります)が設置されました。『新型電気自動車用急速充電器』として2020年度グッドデザイン賞を受賞した美しく、使いやすく、遠くからでもわかりやすいデザインの充電器。日本の充電インフラ整備に取り組む株式会社e-Mobility Powerと首都高速道路が、日本で初めてこの最先端機種を設置したのが大黒PAだったのです。

【関連記事】
首都高大黒PAでEV6台が同時充電可能な新型急速充電器が運用開始(2021年12月17日)

筆者もたびたびこの充電器を利用していますが、充電ケーブルが上から吊り下げられているので、ケーブルの重さをそれほど負担に感じることなく、また、ケーブルが地面に這うこともないので、使いやすさも見た目もとても秀逸です。

なお、首都高ではほかにも平和島や代々木、八潮などのPAに急速充電器を備えていますが、大黒PAは東京方面からでも横浜方面からでも利用が可能という利点があります。

毎週末のように閉鎖されるのはなぜ?

使いやすくて高出力、台数も多い大黒PAの急速充電器ですが、実は他のPAではあまり見られない特殊な事情があります。それは、週末の夜間に大黒PAの閉鎖が定例化していることです。ほぼ毎週土曜日の夜8時半~9時以降に閉鎖がはじまり、翌日朝5~6時まで閉鎖されることも珍しくありません。土曜日以外にも改造車が多く集まって来る金曜日夜や連休中の夜間。お正月三が日には午前中から夕方まで閉鎖されたこともありました。

閉鎖の理由は、「音響族」(大型スピーカーなどを搭載して大音量で音楽を鳴らしながら走る改造車の俗称)など大きな音をたてる改造車などが多く集まって集会などが開催されたり、違法改造車や爆音のスーパーカーが大型車スペースに侵入したり、PA内を周回したりと、迷惑行為によって善良な利用者が利用しづらい状況になるのを防ぐことが主な目的です。

閉鎖中でも大型貨物車は原則利用可。また、トイレ利用と急速充電もOK。

加えて法令で一定時間の走行に対して休憩や仮眠が義務付けられている大型トラックへの配慮でもあります。小型車用の駐車場が混んでくると、本来は禁止されている大型車スペースに駐車する改造車なども現れるため、大型車にとっては大迷惑。「閉鎖」の際は、大型車を除く全てのクルマがPAから出るように誘導されます。

閉鎖は大黒PAの敷地内にある神奈川県警高速隊大黒分駐所によって行われます。筆者の経験ですと閉鎖のアナウンスがあってすべて(大型車以外)のクルマが退出するまでに1時間前後かかる場合もあります。

いったん閉鎖されてしまうと、大黒PAの入り口に首都高や神奈川県警のパトロールカーとカラーコーンが配置され大黒PA内には入ることができません。

ただし、閉鎖中でもトイレの利用は可能です。また、充電器前にあるローソンも開店しているので、トイレに行ったついでにちょっと買い物、ということもできます。

電気自動車の急速充電もできなくなるの?

トイレはOKということですが、EVユーザーにとってトイレよりも深刻なピンチといえるのが電欠です。はたして、EVの急速充電が必要な場合、閉鎖中の大黒PAに入ることはできるのでしょうか?

神奈川県警察高速警察隊大黒分駐所に確認したところ、「閉鎖中でもトイレなどは使用できます。EVの充電器については閉鎖しているPAの入口で警察官か係員に事情を説明していただき、やむを得ない場合は充電できます」との回答でした。

また首都高速広報課からは「PA閉鎖時は原則としてはご利用いただけませんが、やむを得ない場合は、トイレおよびEV充電器の利用は可能ですので、ご利用の際は現地に待機する関係者等にお申し出ください。」という回答でした。

まだ自分自身で確認はできていませんが、EVオーナーの友人が実際に閉鎖中の大黒PAを訪れて、「急速充電器は使えますか?」と聞いた際には、中に入って問題なく充電することができたとのことです。

高速道路をいったん下りると余計な料金が掛かりますし、別の充電スポットまでたどり着けるだけの電気が残っているとは限らないので、台数が多く、高出力の大黒PAで充電できるのはありがたいですね。

大黒PAの急速充電器。利用の際に気を付けることは?

閉鎖しているかどうかに関わらず大黒PAの充電器利用で気を付けることは、ローソン前の充電スペース(6口器)まで来て、すべての充電器(駐車スペース)がふさがっている場合です。

というのも大黒PAの配置上、その先に駐車スペースや待機スペースがなく、周回できるルートもないので、充電スペース前を通り過ぎるとそのままPA出口になってしまうのです。

後戻りできない場所で、トイレやコンビニが近いこともあり、この充電スペースには、充電できないクルマが駐車していることもよくあります。手前から見て6台分全部埋まっている、というときは手前の駐車スペースで待機するのが良いでしょう。

また、メインのPA施設に近い手前(身体障碍者用駐車枠)側には、冒頭で紹介した「高速道路日本初設置」の急速充電器が1台設置されています。最大出力は35kWと新型器に比べて非力ではありますが、空いていればそこで充電したほうが無難です。

また、張り紙にもあるように、ポルシェ・タイカン、アウディe-tronGTなどの車種についてはローソン前の新型6口充電器では充電が不可となっています。張り紙にはHonda eの車名もありますが、ディーラーで対策プログラムへのアップデートを行えば充電可能になるので、オーナーの方はご確認ください。「新型充電器と一部EVとの不具合」については、e-Mobility Power からもニュースリリースが出ています。

【関連記事】
『Honda e』を大黒PAの新型急速充電器で「やっと充電できた」レポート(2022年1月30日)

さらに、閉鎖中の大黒PAに急速充電であることを告げて入ると、ローソン側の新型器に誘導されることが多いようです。新型器で充電できない車種の方は、係員に手前の急速充電器しか使えないことを告げて誘導をお願いするのが良さそうです。

首都高以外の高速道路では?

首都高PAでは現在、20か所あるPAの中で、平和島PA(上り)、用賀PA、代々木PA、志村PA、八潮PA、市川PA、大黒PA、川口PA(川口ハイウェイオアシス)の計8カ所のPAに急速充電器を設置しています。設置PAは首都高ドライバーズサイトでご紹介しており、また、首都高入口やPAの閉鎖状況については首都高お客様センターTEL03-6667-5855(24時間年中無休有人対応)で確認するとよいでしょう。

急速充電器を設置しているPAの中では平和島PA(上り)が、ごくたまに(年に数回?)閉鎖されています。こちらも充電の必要がある場合は現場の係員に確認してください。

高速道路のSAPAも頻度は低いですが閉鎖になることがあります。直近では9月11日に関越道上里サービスエリアで「旧車會」を中心とする爆音バイク集団150台以上が訪れたため一時的に閉鎖となりました。首都高に比べると高速道路のSAPAの閉鎖は圧倒的に少ないですが、このような場合、充電器は使えるのでしょうか?

NEXCO東日本広報室に聞いてみました。

「今年7~8月の2か月間、NEXCO東日本のSAPA数か所で警察の要請によって閉鎖がありました。しかし、いずれも短時間で短い場合は10数分~長くても1時間前後です。また、首都高大黒PAのように、警察による追い出しもやっておりません。閉鎖前にすでにSAPAに入っていて急速充電器を使おうとしている場合は問題なく使えます。ただし、閉鎖されて物理的にSAPAに入れない場合は充電器の使用はできません。工事などによる閉鎖も同様です」

高速道路SAPAの閉鎖状況、急速充電器の設置場所などについてはいずれも24時間対応の「お客様センターで確認してください」ということでした。

NEXCO東日本お客さまセンター
0570-024-024または03-5308-2424

NEXCO中日本お客さまセンター
0120-922-229または052-223-0333

NEXCO西日本お客さまセンター
0120-924-863または06-6876-9031

(取材・文/加藤 久美子)

この記事のコメント(新着順)4件

  1. この記事の内容は嘘です。
    電気自動車でやむを得なくても入れてもらえません。
    JAFを呼べとのことでした。
    あんなやつらを税金で養っていると思うと歯がゆいです。

    1. いやいや。走り屋対策の閉鎖の時はちゃんと入れますよ。
      工事で閉鎖されていた時じゃないですか?
      警察官の方の言ったらどうぞと入れてくれました。
      最近はPAの中まで入れて小型車枠だけ閉鎖しています。

  2. Model3も充電速度が出ないという話を以前見ましたが、それから情報が更新されていないんですね。
    何も書かれていないようなので気になります。

  3. SAに入れなかったら「充電難民」ですね・・
    少なくとも高速道路(首都高以外)では全てのPAに充電器を設置してほしいです。
    また「誘導された充電器の手前にある充電器で充電」などというマニアックな対応は普通の人には不可能なので、分かりやすい表示をお願いしたいものです。

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この記事の著者


					加藤 久美子

加藤 久美子

山口県下関市生まれ。大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。95年よりフリー。2000年に自らの妊娠をきっかけに「妊婦のシートベルト着用を推進する会」を立ち上げ、この活動がきっかけで2008年11月「交通の方法に関する教則」(国家公安委員会告示)においてシートベルト教則が改訂された。 一財)日本交通安全教育普及協会認定チャイルドシート指導員の資格を取得し、育児雑誌や自動車メディア、TVのニュース番組などでチャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 愛車は1998年5月に新車で購入したアルファスパイダー(26.5万キロ走行)

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