ユニークな製品を着実に販売拡大
2023年8月20日、Bell Energy(べルエナジー)株式会社(本社:茨城県つくば市)が、ポータブルEV急速充電器「Roadie V2」国内販売・受注台数が100ユニットを突破したことを発表しました。
Roadie V2(以下、ローディ)については、2021年の発売時につくば市内の本社を訪ねてレポートしています。
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改めて、製品のあらましを紹介しておきましょう。
2021年の発売時からは製品名に「V2」が付加されてアップデートされていますが、基本的な仕様に変更はありません。CHAdeMOコントローラーユニット1個と、容量約3.5kWhのバッテリーユニット2個(計7kWh)が基本ユニットになります。CHAdeMOユニットが約23kg、バッテリーユニット1個が約33kgで、そこそこ重いとはいえ持ち運びが可能。バッテリーユニットは最大4個(約14kWh分)まで接続することができます。
急速充電時の最大出力は20kW(40A)と控えめですが、充電設備がない場所や電欠などの緊急時に使うことを想定すれば、これで十分ともいえる性能です。
2021年の取材時に確認した価格は、基本ユニットが198万円(税別)、バッテリーユニット単体は66万円(税別)ということでしたが、その後、バッテリーの効率がアップするなどさまざまなアップデートが施され「円安の影響などもあって価格はかなり上がっています」(詳細は要問い合わせ)ということでした。
EV開発の現場や電欠救援に活用
ベルエナジーのニュースリリースによると、以下のような納品・採用実績が紹介されていました。
国内自動車メーカー
輸入車インポーター
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)
産業技術研究所(入札)
レッカー・ロードサービス会社
大手自動車部品販売会社
損害保険アシスタント会社
「EV現場充電サービス」実証実験
etc…
「産業技術研究所」とありますが、昨年の夏「BellChargeつくばスポット」が開設された時、一緒に取材&視察に行った産業技術総合研究所(産総研)の櫻井啓一郎主任研究員が「多雪地域などでのレスキューアイテムとしての可能性を見極めたい」と熱心にローディをチェックしていました。
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ベルエナジーのご担当者に確認したところ、この「産業技術研究所」は櫻井先生の産総研と関連はあるけど別の団体とのことでしたが、研究機関での活用法も広がっていると理解しておきましょう。
ともあれ、電欠のピンチに陥った時、最寄りの充電スポットまで移動するための電力を補給できるのがローディーの強み。JAFをはじめとした「電欠レスキュー」に関わる納品先が多いことには納得です。
2年間で100台というのは、EV普及が遅れ気味の日本にあってまずまずの実績ではないかと思います。ベルエナジーによると「今年中にあと100台は販売したい」とのこと。類似のライバル製品はまだ聞いたことないですし、今後、日本でも大衆車EVがさらに増えてくれば、全国各地に電欠レスキュー用のローディが配備されるようになるのではないかと感じます。
YouTubeのベルエナジーチャンネルで、ローディを紹介する動画が公開されていました。
ポータブルEV急速充電器Roadie V2製品動画(YouTube)
蓄電型の高出力急速充電器もいよいよ稼働開始
と、久しぶりにベルエナジーの公式サイトを確認すると、7月26日には『BellChargeつくばスポット、次世代EV急速充電器「Boost Charger」一般開放のお知らせ』というニュースが公開されていました。
8月中は専用サイトから予約の上、充電無料で利用できるとのこと。
【お知らせページ】
次世代EV急速充電器「Boost Charger」一般開放のお知らせ
Boost Charger は最大出力90kWの2口器(2台接続時の出力は最大75kW/台)。160kWhの蓄電池を搭載していて、低圧受電契約でも設置&高出力器としての運用が可能になっています。BellChargeつくばスポットに設置されている普通充電器と同様に、クレジットカード課金で利用できるようにすることを目指して準備中です。
「2023年9月1日(金)以降の利用方法、利用料金は改めてご案内」ということなので、詳細は追ってレポートしたいと思います。
ともあれ、EV普及の足音が高まる中、充電サービスも多様に進化している気配です。ベルエナジーのようなユニークなチャレンジが、日本でもよりEVを活用しやすいサービスやプロダクトを広げてくれることに期待しています。
文/寄本 好則
ほうほう、このCHAdeMO充電器+蓄電池システムは移動充電器はポータブル電源+100V充電器の延長上にあり、イベント等でEV充電器を一時的に増やす/緊急時にEV中速充電器として貸出すなど臨時充電器としては使えそうです。
それこそレンタル業者や電気自動車専門店に普及すればいいと感じました。
バッテリーは耐久性が気になりますが、おそらくリン酸鉄リチウムイオンあるいは東芝製チタン酸リチウムイオン電池が使われるんやないですか!?(当方予想)。
EV充電器インフラ整備が遅れる理由に「お試し設置が難しい」「受電インフラが整っていない」「一時的に借りれる充電設備が知られていない」などもありそうですので、このPRと兼ねて急速充電インフラのお試し設置サービスなども展開するといいのではと思った次第です。
それかいっそ30~44kW充電器の脇に同システム横づけも良いかもしれません。充電器1台が丸々フル出力というわけでもなく、出力が抑制された時間を利用して蓄電池へ充電しつつ同システムで出力できれば少しは多くの電気自動車充電をサポートできるでしょうし。
そもそも高圧受電設備や電気主任技術者選任が必要な充電器がそう多く普及するとは思えません。このような取り組みはもう少し広がってほしいと思います。
同様に蓄電池+3~6kW普通充電器もあってもいいと思いますが、同社のお考えやいかに!?