目標達成に向けて着実に設置が進行中
全国SS(サービスステーション)数ナンバー1のエネオスが提供する電気自動車用経路充電サービス「ENEOS Charge Plus(エネオス チャージプラス)」の急速充電器設置数増加が加速しています。2022年11月にサービス開始を発表。今年2月にはさいたま市内のSSで急速充電を試すレポート(関連記事)をお届けしました。設置基数は徐々に増加して2023年9月時点でSSへの設置数は100カ所強。それが、年末に向けて増加の勢いが加速して、11月15日時点で200基を超えています。
最近、EVユーザーにとっては気になるニュースが多い日本の急速充電インフラ事情。はたして、ENEOSではどんな設置目標を掲げ、どんなサービスにしていこうとしているのか。高出力器設置や従量課金への対応はどうするのか。気になるポイントを、EV事業推進部 EV事業企画グループマネージャーの西山拓雄氏に伺いました。一問一答形式にまとめてお伝えします。
Q. 急速充電器設置計画の進捗はいかがですか?
もともとENEOS Charge Plusでは、2025年までにSSに1,000基、EV普及状況を見つつ2030年までにSSに5,000、その他で5,000で計1万基を設置する目標をお示ししています。今年度については、とくに10月以降設置ペースを上げていて、SSに累計300基以上、その他も合わせると約500基を設置できる見込みです。2025年度時点でのSS累計設置目標数は1,000なのであと2年間で残り約700基。着実に目標達成に向けて進んでいます。
Q. 2基設置したショッピングモールもありますが、複数基(口)設置は?
需要が高い場所では、当然複数基やマルチプラグ器による複数口化は検討します。ただ当面は、まず1カ所1基を中心にして着実に数を増やしていく方針です。
Q. 一時退出無料化の検討も進む中、高速道路IC近くのSSへの設置は?
高速道路IC近くのSSには、高速道路に乗る前の需要もあると考えていて、設置に関して積極的に検討しています。改めて確認したところ、国内高速道路の6~7割程度のICの半径2km以内にわれわれのSSが立地しています。
Q. 高速IC近くの経路充電では高出力も期待したいのですが?
はい、われわれもそうした経路充電では高出力器が適していると考えていて、すでにハイパワー器(筆者注 ※詳細な出力などは検討中とのことですが、90kW×2口で1台で充電時最大150kW器といった仕様を想定していると思われます)の開発を進めていることも公表しています。
Q. 高出力器では従量(kWh)課金に対応しますか?
そうですね、高出力器では従量課金が合理的です。従量課金の制度についても今まさに検討が進んでいるところですから、われわれのハイパワー器もその仕様に合わせて開発することになります(筆者注※つまり、制度が決まらないと先へ進みにくい)。高出力化についても車両側のシステム電圧などが関係してきますし、EVを発売する自動車メーカーがどう対応していくのかといったことにも注視しながら、設置する高出力器の寿命(償却期間)なども勘案して、適切に進めていきたいと考えています。
Q. ところで、急速充電で収益を上げるのは大変ですよね?
1日当たり10台くらいがENEOS Charge Plusの会員料金で充電してくださって、なんとか、というイメージだと思います。現状のEV普及率(新車販売シェア)や新型EVの発売状況などを考慮すると、2030年前後までは先行投資となる厳しい戦いだと思っています。
Q. 厳しくともSSに5,000、合計1万基の目標は目指して進む?
先だって発表された経済産業省の「充電インフラ整備促進に向けた指針」でも、急速充電器の設置数目安として2030年にSSに1万口と明記されました。全体で3万口のうち、道の駅が1,000~1,500口、コンビニが5,000~1万口、自動車ディーラーなどが7,000~1万口と示される中、SSも「1万口」と最大規模の数字が示されていました。これは、これまでガソリン等の燃料を車へ供給してきたSSネットワークへの期待だと感じますし、その期待に応えていきたいですね。
Q. 高速道路SAPAへの設置はいかがですか?
先日、自分でEVを運転して高速道路を使ったロングドライブをやってみて、思った以上に90kW以上の高出力器が少ないことを実感しました。その隙間を埋めるようにして、われわれが高速道路のSAPAに高出力器を置いていくということも選択肢として考えられると思いますし、積極的に検討していきます。
Q. 9月から開始した普通充電サービスの展開は?
EV普及にとって普通充電のネットワークは重要だと思っています。とはいえ、EVsmartブログの運営会社であるENECHANGEをはじめ、普通充電サービスはレッドオーシャンとなっているカテゴリーでもあるので、稼働率を期待できる設置場所を獲得していくのは簡単ではないでしょう。ただ、われわれにはNECと事業譲渡契約を締結した約6,100基の普通充電ネットワークもあり、まずはこれらをENEOS Charge Plusのサービスに組み込みつつ、新規の設置を行うことで、ENEOS Charge Plusの普通充電サービスを拡充していきたいと考えています。
Q. 稼働率が低い大量設置のケースもあるように思いますが?
もちろん、過剰に設置されている場合は精査しながら適切に更新を進めていきます。とはいえ、6,100基といえば市場の設置基数でいうと1/4~1/5程度のシェアはありますし、立地として「いい場所」が多いので、これが着実にENEOS Charge Plusのネットワークになっていくのは、EVユーザーにとっても利便性を高めることに繋がるのではないでしょうか。
Q. そういえば、ENEOS Charge Plusのアプリ開発はENECHANGEと協業されましたね?
「EVsmart」のEV充電スポット情報APIを使った「エネチェンジクラウド EV」のソリューションを活用して開発しました(プレスリリース)。ENEOS Charge Plusのアプリひとつで充電スポット検索から多様な決済手段への対応など、お客様の利便性向上をスムーズに実現するために、さまざまなベンダーさんからご提案をいただきましたが、ENECHANGEさんの提案が魅力的だったということですね。
(インタビュー、ここまで)
10分利用で1口応募できるキャンペーンを実施中!
日本のEV充電インフラ拡充に向けて、ENEOS Charge Plusへの期待が高まるのとともに、高出力化や従量課金といった課題については、やはり自動車メーカーの関与が大切だと感じるインタビューとなりました。e-Mobility Powerネットワークと連携した自動車メーカー各社の充電カードが廃止になったり値上げされたりが相次ぐ中、「ロングドライブの経路充電は高速道路IC近くのENEOSが快適!」という選択肢が増えそうな予感を抱きます。
最後に、ENEOS Charge Plusでは、ENEOSのEV充電を10分利用ごとに「毎週100名にAmazonギフトカード1,500円分が当たる」キャンペーンを実施中(2024年1月14日23時59分まで)です。
ENEOS Charge Plusの急速充電器で、ENEOS Charge Plusの決済手段を使用して10分充電する毎に1口応募となります。e-Mobility Power(旧NCS)提携のカードで充電することも可能ですが、キャンペーンの対象外となるのでご注意ください。
<対象となる決済手段>
ENEOS Charge Plusアプリ
ENEOS Charge Plus充電会員カード
会員ワンタイムパスワード
ENEOS Charge Plusに連携したEneKey/モバイルEneKey
キャンペーンに参加するには、ENEOS Charge Plusの会員登録した上で、特設サイトのフォームでエントリー申込をするだけ。あとは自動的に「10分毎に1口」で応募され、毎週抽選で100名にAmazonギフトカード1,500円分のコードが届く仕組みです。
取材・文/寄本 好則
トヨタと日産の急速充電料金プランが爆上がりし、ホンダは急速充電サービスから撤退。
このような状況でEVのコストメリットを傍受するには、三菱車以外のユーザーは普段は自宅充電に徹し、遠出時はビジター充電で済ますしかない。
急速充電器の維持には費用が掛かるのは理解できるが、ただでさえ不便な急速充電なのに費用面でもHEVより劣るのではマジョリティー層はBEVを選ぶわけがない。
その様な状況の中で、月額無料のENEOS Charge Plusが増えてくれるのは大変ありがたい。
出来ればSA/PAのSS内にも設置を検討して頂きたい。
キャンペーン開始3週間は当選者が100名以下で、今後の展開が鈍らないか心配です。やはりお値段高めの印象なんですかね。
単純に充電に選択肢が増えるのはありがたいです。
料金体系や認証方法についても充電車両ユーザーさんのスタイルによって合うものを選んでいけばいいのかな、と思います。
いる、いらないの感想はユーザーさんで異なることと思います。
ところで最近、近隣の小売店舗にENEOS Charge Plus普通充電器が設置されました。
eMP系充電カード対応ですが、MODE1車両に非対応のようです。
以前、大量にNECの充電器が設置されたときもプログラムの変更で対応することになったことを思い出しました。
私は三菱の車に乗っていますので、残念ながらユーザーの声が充電器メーカーに届いて対応に至った経緯を学習していないような気さえしています。
古い車は切り捨て、ということにならないようMODE1への対応も進めていただけると有り難いです(MODE1非対応はENECHANGE普通充電器についても同様です)。
また、非対応車種についての掲示物等現地での周知も現状必要かと思います。
そもそもEVユーザーの日常に経路充電のニーズはない。
何が悲しくてガソスタにEV充電しに行くのか?
ENEOSはEVをエンジン車の延長でビジネスを考えている。特約店との関係も考える必要があるのだろうけど。
これでは先行きは厳しいね。
200Vのコンセント口を付けた充電器は複数口で作れないでしょうか。
ブルーオーシャンの市場に漕ぎ出して見ては。
まだ、福井県には4箇所、滋賀県には2箇所しかあありません。経済性からいったらそんなもんかもしれませんが。
一番近いところでも60km以上離れているので、キャンペーンへの参加は・・・。