東京都が都有施設の充電設備有料化を発表〜充電は有料が当たり前になる

東京都が都有施設に設置している公共のEV用充電器を10月2日からすべて有料にすることを発表しました。これを受けて、今後は全国的に公的機関が設置している充電器の有料化が進むことが予想されます。

東京都が都有施設の充電設備有料化を発表〜充電は有料が当たり前になる

※冒頭写真は城南島海浜公園の急速充電施設。

都有施設の公共用充電器はすべて有料化へ

2023年8月15日、東京都はこれまで無料で提供していた都有施設の電気自動車用充電設備について、2023年10月2日からすべて有料化することを発表しました。急速充電器だけでなく、普通充電器も有料になります。

東京都は現在、2021年にスタートした『未来の東京戦略』で掲げているゼロエミッション東京戦略に沿って、2030年までに温室効果ガスを2000年度比で50%削減する目標に向けて、自動車部門での脱炭素化「ゼロエミッションモビリティプロジェクト」などを進めています。

「ゼロエミッションモビリティプロジェクト」では急速充電器設置にかかる費用を補助することなどにより、2025年までに公共用充電器を5000基、そのうち急速充電器を1000基にすることなどを目指しています。

こうした将来目標のひとつとして、東京都は充電設備の整備に取り組んでいました。これまでに都が設置した充電設備は26カ所で、そのうち25カ所に急速充電器が設置されています。25カ所のうち10カ所は2基設置で、1カ所(都庁)は2口のコネクターがあります。

普通充電器は26カ所のうち17カ所に設置されていて、駒沢オリンピック公園第一駐車場や木場公園第一駐車場など7カ所は8基が揃っています。

これまで東京都では都の施設に設置された急速充電器について、23カ所を無料で提供していました。有料だったのは、立川合同庁舎駐車場と、高尾の森わくわくビレッジの2カ所です。普通充電器はすべて無料で充電できました。

これらの充電器が、10月2日からはすべて有料になります。

●都有施設の公共用充電設備の設置場所一覧

No.設置場所所在地設置基数備考
1東京都立川合同庁舎駐車場立川市錦町4-6-3急速1基※1
2城北中央公園駐車場練馬区氷川台1-2急速1基
3砧公園駐車場世田谷区砧公園1-1急速1基
4代々木公園駐車場渋谷区代々木神園町2-1 急速1基
5井の頭恩賜公園第二駐車場三鷹市下連雀一丁目地内急速1基
6神代植物公園第一駐車場調布市深大寺北町1-4急速1基
7東京都檜原都民の森駐車場西多摩郡檜原村7146急速1基
8舎人公園第二駐車場足立区古千谷1急速1基
9都庁第一本庁舎地下1階駐車場新宿区西新宿2-8-1 急速1基(2口)※2
10東京ビッグサイト(東京国際展示場)会議棟地下駐車場江東区有明3-11-1急速1基、普通5基
11駒沢オリンピック公園第一駐車場目黒区東が丘2-16急速2基、普通8基
12髙尾の森わくわくビレッジ八王子市川町55急速2基、普通1基※1
13シンボルプロムナード公園駐車場A棟港区台場1-8-1急速2基、普通4基
14シンボルプロムナード公園駐車場B棟港区台場2-5-1急速2基、普通4基
15城南島海浜公園第1駐車場大田区城南島4-2急速2基、普通8基
16東京夢の島マリーナ第3駐車場江東区夢の島3-1-1普通4基
17東京武道館足立区綾瀬3-20-1急速1基、普通3基
18木場公園第一駐車場江東区木場3-18-2急速2基、普通8基
19和田堀公園第一駐車場杉並区大宮2-25急速1基、普通7基
20石神井公園第一駐車場練馬区石神井台1・2丁目 急速2基、普通4基
21中川公園駐車場足立区中川5丁目急速1基、普通8基
22東綾瀬公園駐車場足立区綾瀬1~3丁目急速1基、普通8基
23宇喜田公園第二駐車場江戸川区北葛西3丁目、宇喜多町急速2基、普通1基
24武蔵野の森公園第二駐車場三鷹市大沢5-7-2急速2基、普通8基
25武蔵野公園府中市多磨町2-24-1急速2基
26小金井公園第二駐車場小金井市関野町2-8急速2基。普通8基
(※1)急速充電設備について有料化を実施済み
(※2)急速充電設備の更新工事完了後(令和5年度末予定)に有料開始

充電料金はeMPカードや都が設定した料金に

東京都が都有施設の充電設備有料化を発表〜充電は有料が当たり前になる
東京都庁第一本庁舎地下駐車場の急速充電器。

では、どうやって課金するのでしょうか。方法は2種類です。

ひとつはeMPの提携カードで認証する方法です。この場合、充電料金は提携カードの発行会社の料金が適用されます。

もうひとつは、エネゲートがエコQ電として提供しているQRコードによる認証です。これまでも有料だった2カ所の急速充電設備で、エネゲートの認証システムを採用していたので、それを踏襲したものになります。

この場合の料金は、以下の通り、時間制になります。

①急速充電器:5分以内105円、以降1分21円
②普通充電器(認証器・充電ケーブル付):20分以内60円、以降1分3円
③普通充電器(コンセント型):1分3円

※料金はすべて税別

仮に急速充電器を30分使うと、税込みで693円になります。

比較は難しいですが、例えば日産自動車のZESP3の中でいちばん月額料金が安いプレミアム10の場合、無料で使える回数を超えた場合は10分で385円なので30分だと1155円です。

eMPの会員カードだと、急速・普通充電併用プランで30分825円、ビジター料金だと50kW以下の急速充電器なら30分で1650円なので、料金的にはだいぶ安いと言えそうです。

と言っても、やっておいてなんですが、都保有の充電器は都内限定の行政サービスですし営利目的でもないので、全国で急速充電器が利用できる民間事業者のeMP提携カードの料金設定と比較をしたところで、あまり意味はないようにも思います。

都が設定した料金での利用を前提に利便性を拡大

では今回の有料化に伴って、都がeMPの提携カードを利用できるようにしたのはなぜなのでしょうか。

所管する環境局気候変動対策部の宮田博之課長は筆者の電話取材に対し、「これまでも立川など(の有料設備)ではエネゲートの認証課金を使っていたが、eMPの(提携)カードを持っている利用者が多く、使えるようにしてほしいという声があったので、利便性の観点から」、eMP提携カードも利用できるようにしたと説明しています。

要するに東京都としては、独自に料金を設定した課金方法を基本に、利便性向上のためにeMPの提携カードを追加で使えるようにした、ということになります。

でもこれだけ料金に差があると、わざわざ料金が高くなる提携カードを使う利用者は少ないかもしれないですね。

実は電話取材の時には、料金設定は高くもないし安くもないくらいかなと思ってしまったのですが、思いのほか差がありました。営利目的ではない行政サービスならではの恩恵は、有料化しても続くと言えるかもしれません。

有料化するのは民間事業者の設置数が増えたから

では、今まで無料だったサービスを一転して有料にするのはどのような理由でしょうか。

東京都のプレスリリースによれば、「民間企業で設置している充電設備の有料化が進んできていることを考慮」して有料化するとしています。

担当の宮田課長によれば、民間事業者の充電設備は有料になっているほか、民間の公共用充電器設置会社が参加している経産省の『充電インフラ整備促進に関する検討会』でも有料化を前提に議論が進んでいることから、「総合的に考慮して有料化することにした」とのことです。

自治体がEVの普及を進める上では無料提供を続けるという考え方もあるとは思いますが、民間事業者の設置が進んでいる中で無料提供が続けば民業圧迫にもなりかねないので、個人的には有料化は妥当な変更だと感じます。

それに、無料と言っても電気料金は税金から出ているわけで、普及目的とはいえいつまでも無償提供を続けていると、ちょっといびつな行政サービスになってしまいそうです。

自治体設置の充電器の有料化が拡大しそう

こうした理由からなのか、東京都以外でも、自治体が設置した充電器を有料化する動きが広がりそうです。

茨城県水戸市は2023年6月に、急速充電器の利用料の徴収事務を、BIPROGY(本社・東京)、e-Mobility Power(本社・東京)、エネゲート(本社・大阪)の3社が受託したことを発表しています。水戸市設置の急速充電器が3基なので、3社になったようです。

有料化はすでに始まっていて、普通充電器は1回100円で2時間まで、急速充電器はeMP提携カードの料金か、現地でQRコードを読み込み1回550円(税込み)で30分までという利用方法、課金になります。

このほか東京都中央区でも区役所駐車場に設置している急速充電器について2023年10月に向けて有料化を検討していることを発表しています。また東京都羽村市では2020年に有料化を始めています。

いずれにしても、自治体が設置している充電器も有料での利用が「当たり前」になる方向に向かっているのかもしれません。

他方で、自治体がEV用充電設備を設置するならば、EVユーザーにとって便利な利用しやすい場所に設置が進むといいなあと思います。自治体がこうしたインフラ整備を進めると、ともするとユーザーのニーズは関係なく数を増やすことが目的になってしまって、利用率が下がり、せっかくの設備がもったいないことになってしまうケースがあります。

経路充電、目的地充電のどちらにしても、どのような場所に設置すれば利用者が増えるのか、EVの普及に役立つのかは、利用状況などを分析して、データを公表してほしいところです。

【関連記事】
東京都が設置した公道上のEV用急速充電器を使ってみた〜工夫はいいけど方法には疑問(2023年6月24日)

東京都では、現在の設備の利用状況や管理コストなどを公表していません。理由は、設置目的は安心してEVに乗ってもらいEVの普及を進めることなので、コストなどが評価指標として捉えていないから、としています。

確かに、利用率の高い所ばかりに設置していくと設置場所が偏ってしまって、穴が開いた地域では電欠の不安が高まり、EV普及を阻害する可能性があります。とくに民間の事業者が設置する場合は、その懸念が払拭できません。それでも、そうしたことを含めて、面での整備と拠点整備をあわせて考えながら整備を進め、利用率が低い場所についても透明性をもって説明できるようなロジックが必要だと思うのです。

また民間事業者が設置する場合でも、充電インフラの目的を考えるとある程度は面的な広がりを持っている必要があるわけで、今後はそうした充電器整備計画を担保できるような手法や枠組みが必要になるのかもしれません。

そんなこんなもありますが、地方に行くと自治体が設置している急速充電器の存在はありがたかったりすることが少なからずあるわけで、有料でもいいので、これからも使いやすく頼りになる(できれば50kW以上の複数台設置を希望)充電スポットの数が増えるといいなと思う今日このごろなのでした。

取材・文/木野 龍逸

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					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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