TOYOTA Wallet のEV充電で50%キャッシュバック/エネチェンジ連携でスポット数が爆増

トヨタの決済アプリ「TOYOTA Wallet(トヨタウォレット)」が、アプリでEV充電を利用すると料金の50%をキャッシュバックするキャンペーンを実施しています。11月18日からは「EV充電エネチェンジ」とのローミング連携が始まり利用できる充電スポット数が大幅に増加しました。

TOYOTA Wallet のEV充電で50%キャッシュバック/エネチェンジ連携でスポット数が爆増

黎明期から貢献してきた普通充電ネットワーク

「TOYOTA Wallet(トヨタウォレット)」はトヨタ自動車の子会社であるトヨタファイナンシャルサービス株式会社(TFS)が提供する決済アプリ。トヨタディーラーで購入したクルマのローン支払いや車検代などのメンテナンス費用の支払いに便利なほか、ドライブ先の駐車場予約や支払いができる「Wallet Parking Map」、そしてEV用充電器の検索や認証&支払いができる「EV充電サービス」など、EV(クルマ)でのおでかけに便利なサービスを提供しています。

TOYOTA WalletのEV充電サービスで利用できるスポット数は、公式サイトによると1500カ所程度。2013~2015年頃からの補助金を活用して、おもに全国の宿泊施設に設置された3kW出力の普通充電器が中心でした。さらに、設置当初からNCS(現在はe-Mobility Power ※以下、eMP)カードによる認証決済などの通信に利用していたauの3G回線が停波したことで、該当する充電器の決済方法をTOYOTA Walletに変更した経緯がありました。

日本におけるEV普及黎明期から各地の温泉街の宿泊施設などに多くのEV用充電器が設置された功績は大きかったのですが、ここ数年は充電機器の更新時期を迎えていたり、充電カードによる簡潔な決済ができなくなって暗証番号による手動認証で運用する施設が増えるといった逆風もあり、独自の充電スポット数が伸び悩んでいる状況でした。

長野県白馬村のペンションミーティアに設置されている普通充電器。TOYOTA Wallet認証ではなく、暗証番号での運用を選択しています。

5000口以上の目的地充電器が利用可能に!

トヨタのPHEVやBEV車種も増えるなか、TOYOTA WalletのEV充電サービス充実を望むユーザーにとって、2024年11月18日に発表された「エネチェンジ、TOYOTA Walletとのアプリ連携によりEV充電器ローミング拡大」というニュースは朗報です。この連携によって、従来利用できたTOYOTA Walletの充電サービスが独自に展開する「EV Power Stand」のスポットに加えて、「EV充電エネチェンジ」が展開する全国で5000口超のEV用目的地普通充電器(最大出力6kW ※EVの普通充電性能が3kWの場合は自動的に判別して半額課金)を利用できるようになりました。

「ローミング」というのは、通信事業者が連携してユーザーが相互のサービスを利用できるようにすること。海外で日本のスマホを普通に使える「海外ローミング」を使ったことがある方は多いでしょう。EV充電サービスの相互利用連携を「ローミング」と位置付けて、今年5月に示された公正取引委員会の調査報告書でも「当事者間で十分に協議された上で定められた公正な条件の下で、相互利用連携を推進することが競争政策上望ましい」と指摘されていました。

EV充電エネチェンジは2023年2月にeMPとのパートナーシップ提携を発表。eMPや各自動車メーカーが発行する充電カードでエネチェンジの普通充電器が利用できるようになっています。今回のTOYOTA Walletへのローミング拡大は、「充電器によって認証方法が違うのが面倒」といったEVユーザーの声を聞き届け、ユーザー本位の充電サービスを実現しようとする両社のビジョンが結びついた成果として評価したいと思います。

エネチェンジ充電器の使い方は簡潔でした

今回利用してみたのは東京都目黒区の「チェスナットヒルズ」という施設のコインパーキングに設置された6kW器。ドラッグストアで買い物すると駐車料金が45分間無料になるサービスがありましたが、開店前だったので7分ほどで充電終了して撤退しました。

充電サービスを語るには実際に使ってみることが大事です。なにはともあれ、自宅近くのエネチェンジの充電スポットをTOYOTA Walletアプリで利用してみました。端的な結論としては「エネチェンジとのローミングによってTOYOTA WalletアプリでのEV充電がすごく便利になった」のを実感することができました。

ひとつ目のポイントは、利用可能な充電スポット数が激増していることです。

このスマホ画像、左側はEV充電エネチェンジアプリで認証方法が「TOYOTA Walletのみ」の充電スポットを表示したもの。真ん中が同様のエリアで「TOYOTA Walletとエネチェンジ」のスポットを表示した結果です。円の中の数字は、その周辺に存在している充電スポットの数を表しています。右側は、私の自宅付近を拡大したもので、複数の充電スポットから選べる状況であることがわかります。

充電サービスに登録して価値があるのは自分が使いやすい充電スポットがあってこそ。今回のローミング拡大は、TOYOTA Walletにとっては利用可能な充電スポットの拡大、エネチェンジにとっては充電器の利用機会の拡大をもたらすことが期待でき、両社にとってWinWinの連携といえそうです。

エネチェンジの充電器は使い方が簡単

ふたつ目に実感できたポイントは、エネチェンジの充電器をTOYOTA Walletアプリで使う手順が、TOYOTA Walletの「EV Power Stand」の充電器よりも簡単でわかりやすいことでした。

この画像は、利用開始までのステップを示した私のスマホ画面です。TOYOTA Walletアプリを開き、地図検索で充電スポットに到着。充電器に表示されたQRコードを読み取ると施設名や充電器番号が表示されるので、確認して充電ケーブルを接続、「充電を開始する」をタップするだけで充電が開始されました。事前にクレジットカードを登録しておくといった準備は必要ですが、現場の手順としてストレスはありませんでした。

充電の終了もシンプル。今回は利用手順を確認するのが目的だったので7分ほどで充電終了しましたが、上の画像右側の充電時間表示画面で「充電を終了する」をタップするだけでOK。充電完了のお知らせ画面に変わります。

これが「EV Power Stand」の充電スポットの場合、利用開始するまでに充電器本体のボタンを何度か操作することが必要で、利用番号や暗証番号を入力する手順が増えてややこしくなります。また、利用料金が1時間単位など施設ごとに設定が異なっており、設備エラーなどで払い戻しを受けるにはアプリからキャンセル手続きが必要など、ユーザーにとって少しわかりづらい仕組みになっています。

「EV Power Stand」のスポットに設置されている充電器はそもそも10年ほども前の機種なのでやむを得ないところもあるのでしょうが。ユーザーの使い勝手向上という意味でも、最新機種を続々と設置しているエネチェンジとの連携は大きなメリットがあるように感じました。

充電料金の50%キャッシュバックのキャンペーン

そして、エネチェンジとのローミング連携とともに発表されたのが「EV充電の利用料金50%キャッシュバック」キャンペーンです。EV Power Standのロゴマーク、またはENECHANGEのロゴマークが表示された充電スポットで、TOYOTA Walletアプリ内の「EV充電サービス」を利用して充電すると、もれなく充電料金の50%が「TOYOTA Walletの残高」としてキャッシュバックされます。

今のところ実施期間は明示されていません。エネチェンジの6kW充電器の場合、充電料金は55円/10分=330円/1時間(6kWh)ですが、これが実質半額のおおむね27.5円/kWhで充電できることになっておトクです。

ただし、キャッシュバックを受け取るためにはTOYOTA Walletアプリで受け取り方法を選択したり、利用設定をしておく必要があります。実際に利用してみようという方は、公式サイトの案内をしっかり確認の上、手続きしてください。

50%キャッシュバックキャンペーンについて、動画チームのテスカスさんが動画をアップしてくれていたので埋め込んでおきます。

ともあれ、充電サービスのローミング連携拡大はEVユーザーとしても大歓迎。こうした動きが、日本のEV充電インフラのさらなる進化に繋がっていくことを期待しています。

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 相変わらず EV Power Stand の充電開始手順が煩雑すぎて心底驚きます。
    絶対に使わせたくないという意思表示でしょうか。
    同様にトヨタウォレットの使い勝手も一向に良くなりません。
    一部で言われた、「TS3カードが無いと使えない」という事は無く、他銘柄のVISA/Masterで利用は可能なのですが、UI悪すぎて利用する価値なしです。
    なのでそもそもほとんど存在しないヨタヲレ機ですし、半額キャッシュバックの恩恵に与る為にENECHANGE機を態々ヨタヲレで利用するのもあまり想像できません。
    ENECHANGE機はほとんどの場合でeMP認証が利用できるので、自分の場合はZESP3で利用しちゃいますし。(3.3円/分で6kW利用可能、プレミアムの600分を適用可能)
    逆に運悪く命綱の充電器がEV Power Stand だった時に、ENECHANGEアプリが使えるのは地獄に仏かもしれません。

    1. ローミング=相互利用 だと思って勘違いしていたかもしれません。
      現状、ENECHANGEアプリからEV PowerStation充電器は利用できないようです。
      つまり相互ではなく、ToyotaWalletでENECHANGE充電器が利用できるようになりましたので、皆さんToyotaWalletを使ってね、という事ですか。
      ちなみに、ToyotaWalletでENECHANGE充電器を使用する場合、プリペイド残高は使えず、クレジットカードの登録が必要な様です。(TS3、LEXUSカード以外でも可能)

  2. アプリの決済ではクレジットカードとの連携(紐付け)か必要ですが、トヨタウォレットカードでないと連携できないなど無いのでしょう?
    トヨタウォレットアプリで一般のVISAカードなど連携しょうとしても連携できなかった嫌な経験があります。
    「結局トヨタウォレットカードがないと駄目なんだ…」と。
    支払いについては、交通系のカードではないですが、名称はバラバラでもシステムを統一しないと普及しないと思います。
    とくにデジタル弱者である高齢の方にはハードルが高い。
    アプリもさることながら、普通の買い物みたいにせめてカード決済できないと普及しませんよ。
    今、スーパーではセルフレジがありますが、キャッシュレス端末より、キャッシュ対応レジの方が混んでる現実があります。
    日本はまだまだデジタルに弱い。
    BEVやPHEVは、デジタル弱者を切り捨てるシステムなら仕方ないですが。
    このあたりの支払い規格(方法)の統一を声だかにお願いします。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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