美しいPHEV! シトロエン『C5 X』を手掛けた日本人女性デザイナーが目指した世界観

シトロエンが日本導入を発表したNEW『C5 X』。ブランドのフラッグシップにPHEVモデルが新登場。カラー&マテリアルを担当した日本人女性デザイナーの柳沢知恵さんについて、カーライフエッセイストの吉田由美さんによる直撃レポートをお届けします。

美しいPHEV! シトロエン『C5 X』を手掛けた日本人女性デザイナーが目指した世界観

フラッグシップ誕生に日本人女性デザイナーが貢献!

2022年8月29日、新たなシトロエンのフラッグシップモデル『C5 X』(シーファイブ エックス)の日本導入が発表されました。発表会の会場は日本最大級の延べ床面積を誇る東京都、清澄白河にある東京都現代美術館。ここを新型『C5 X』のお披露目場所に選んだところにシトロエンがこのクルマに込めたデザインへの強いこだわりを感じます。ここを会場にした新車発表会は、これまでも時々開催されていますが、コロナ禍以降では初めて。ただ、ここで開催されるときは美術館は閉館日のことが多く、中を覗いたことはありませんが……。

車名の最後の「X」には、サルーンのエレガンス、ステーションワゴンのダイナミズム、質の高いSUVとしてのスタンスを融合させたという意味が込められたとのこと。個人的には最近ありがちな「クロス」ではなく、「エックス」と呼ばせるのが個人的にはちょっと謎、と一人ツッコミ。と思ったら、かつてDSの後継車として1974年にデビューしたフラッグシップモデルCXに由来する「X」という意味もあるそうです。

会場の装飾にもダブルシェブロンのモチーフが!

プラグインハイブリッド(PHEV)を主力とした新たなシトロエンのフラッグシップモデルには興味しんしん。さらに、今回の発表会では、このクルマの誕生に貢献した「日本人女性デザイナー」の存在が、個人的には最大の注目ポイントでした。

今の時代、ジェンダーレスが常識になっている中、「日本人女性デザイナー」という表現はどうかとも思いますけど。これまでプジョー、シトロエンのエクステリアデザインでは、日本人の男性デザイナー、山本卓身氏がいたり、他の海外メーカーで活躍する日本人デザイナーさんもいましたが、海外メーカーで、しかも女性が活躍するのはやっぱりうれしい。

しかもデザインへのこだわりが強いフランスのメーカー、さらにそのフラッグシップモデルを担当するなんて、もう、誇りでしかありません。なので、あえて「日本人女性デザイナー」とアピールさせてください!

会場も柳沢さんの世界観でいっぱい

柳沢さんと、ちょっとカジュアルにツーショット!

その日本人女性デザイナーが、柳沢知恵さん。NEW『C5 X』のカラー&マテリアルデザインを担当しました。

発表会の会場では、メインエントランスを入り、真っすぐ伸びたパークエントランスまでのコンコースがすべて「C5 X」の発表会会場。会場に入るとすぐに「C5 X ギャラリー」と称する展示スペースに。柳沢さんのポートレートをはじめ、インテリアに使用した素材、柳沢さんがインスピレーションを受けたものなど、まさに、柳沢さんが目指した C5 X の世界観を表現する空間になっていました。

発表会に先駆けて配られた資料の中に、デザイン誌「AXIS」が手掛けた柳沢さんが表紙の企画広告誌がありました。写真の中の柳沢さんは凛とした美しさと強さを併せ持つ素敵な女性。しかし、発表会で見た生の柳沢さんは、写真よりずっと柔らかく可愛いらしい雰囲気の方。最近のトレンドを押さえた白のデザインブラウスがとてもお似合い。ステランティスの広報ご担当者によると「柳沢さんが用意していたお洋服はシックな色が多かったのですが、急遽、白のトップスをお願いしました」とのこと。

こちら、大正解だと思います。何しろ、柳沢さんが登壇して私が真っ先に注目したのがこのブラウスだったので。特に同性の場合は、持ち物や着ている洋服にセンスを感じます。発表会などの場合は近年、スタイリストさんが用意していたりする場合が多いし、女性でも無難なパンツスーツということも多いのですが、今回はご自身で選んだお洋服のとこと。それを見て、非常に私と感覚が近いのではないかと、妙に親近感を覚えたのです。

柳沢さんに質問すると、「あのブラウスは、日本に来てから襟付きの白いものと言われてあわてて買いに行きました。今回の取材で何着かお気に入りの服を選んだのですが、たまたま全部、袖に特徴があったんです。変形だったり、ボリュームがあったり、飾りがついていたり。そういうキャッチーな要素があるものが好きなんです。C5 X に限らず、デザインしているときに気にしている点でもあるかもしれませんね」ということでした。

そもそも日本の文化は、海外の人たちにもシンプルで好まれているとのこと。柳沢さんもほかのデザイナーさんたちに熨斗の水引きとか禅など日本の文化やモチーフを提案したそう。

今回、シトロエンのフラッグシップモデルのカラー&マテリアル担当としては、色や素材で世界観を作ることを意識。同じ柄をモチーフにしながらも、素材によってデザインを使い分け。一体感や統一感を演出することに配慮したとのこと。そして C5 X は柳沢さんが「今、最も美しい車」だと明言する自信作に仕上がりました。

工夫を凝らしたマテリアルとして象徴的なのが、シトロエンのロゴマークである山のカタチ、シェブロンです。2つの山が重なった「ダブルシェブロン」を元に、多様な素材に活用しています。

まずはダッシュボード。「シェブロン」の型押しですが、日本の「紋」を意識したそう。シートのステッチは、シェブロンを一筆書きにしたステッチ。ステッチの下の織り部分にも、和テイストのシェブロンが。ただ、これはちょっと見た目にはシェブロンには見えないかも(笑)。

シートのステッチと織り柄。

さらに、木目調のパネルのシェブロン、も、言われて気づく感じです。そしてレザーシートに開いている小さなパンチング(穴)。ここにもうっすらと「シェブロン」が影のようにデザインされています。一目でわかるものから、捻りの効いたものまで、シェブロンのバリエーションに包まれていて、意外と奥が深い。

デザイナーとして、とくに「コンフォート=居心地の良さ」にこだわったインテリア。C5 X はフラッグシップなので、そのDNAはシトロエンのあらゆる車種に受け継がれます。日本ではデリバリーの関係で、一緒に開発していたC4が先に登場しましたが、たしかにC4でもダッシュボードの型押しやシートデザインのアクセントとなる織り柄などにシェブロンが活かされていたように思います。

PHEVモデルの試乗レポートは乞うご期待!

※欧州仕様車

新型C5 Xのパワートレーンは1.6ℓガソリンターボエンジンと1.6ℓのプラグインハイブリッド(PHEV)の2種類。PHEVモデルは12.4kWhのリチウムイオン電池を搭載して、EV走行可能距離は65㎞(WLTC)。実用的な電費が5km/kWhほどとしても、50〜60kmくらいはそんなに不安なく電気だけで走れそうです。

エンジンモデル、PHEVモデルともに全輪駆動で、1.6ℓガソリンターボエンジンの最高出力は133kW(PHEVモデルは132kW)、最大トルクがともに250Nm。PHEVモデルでは搭載するモーターの最大出力が81kW、最大トルクが250Nmで、システム合計最高出力が約165kW(225ps)、システム合計最大トルクが360Nm(ともにフランス本社公表値)となります。

さらに、PHEVモデルでは、専用の電動対応型8速AT「e-EAT8」(8速エレクトリック・エフィシェント・オートマチック・トランスミッション)を搭載。

ボディサイズは全長4805㎜、全幅1865㎜、全高1490㎜。ホイールベースは2785㎜。低重心と流麗でスタイリッシュなロングボディが魅力の5人乗り。フロントフェイスは最新のブランドアイコンとも呼べるV字シェイプのライティングシグニチャーが特徴的。

シトロエンと言えば「魔法の絨毯」と呼ばれる乗り心地が特徴ですが、C5 X のトピックは、シトロエン独自のハイドロニューマチックサスペンション「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」を全車標準装備したこと。PHEVにはこれをさらに進化させた「アドバンストコンフォートアクティブサスペンション」を採用し、進化した乗り心地を獲得しているそうです。

ガソリンエンジンの C5 X には試乗する機会があって、乗り心地は抜群。段差越えも気にならないぐらいうまくいなされ、路面からのフィードバックも不快さは一切なしの好印象でした。

でも、PHEVモデルにはまだ試乗できていません。さらに進化した「アドバンストコンフォートアクティブサスペンション」を搭載したPHEVモデルこそ、フラッグシップとしての C5 X の本命だと思われます。はたして、どんな乗り心地なのか。また、電動車としての使い勝手や静粛性はどうなのか。近いうちにぜひ試乗レポートをお届けしたいと思います。

(取材・文/吉田 由美)

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この記事の著者


					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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