テスラのイベントで夏野剛氏と EVsmart 安川氏が電気自動車ライフを語る!

2019年10月2日(水)、テスラモーターズジャパンが東京・東雲(江東区)の『A PIT AUTOBACS SHINONOME』特設会場で『モデル3』の納車開始と、同会場駐車場内に設置した『テスラ 東京ベイ スーパーチャージャーステーション』のオープンを記念したイベントを開催。トークショーには初期からのテスラオーナーである夏野剛氏(慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授)と、EVsmartブログチームのリーダーでもある安川洋氏(アユダンテ株式会社代表取締役)が登壇しました。

テスラのイベントで夏野剛氏と EVsmart 安川氏が電気自動車ライフを語る!

エンジン車は20世紀の遺物であることに気付くべき

写真左から、安川氏、夏野氏、前田氏。

トークショーの司会進行はテスラモーターズジャパン マーケティングマネージャーの前田謙一郎氏。テスラを通じてすでに長い付き合いである3人のトークはフランクに本音で盛り上がりました。

夏野氏はモデルSに試乗して即買い

ー 夏野さんがオーナーになっていただいたのは2015年くらいですかね?

夏野 2014年にイーロン・マスクが来日して納車のセレモニーがあった時に注文したんだよね。試乗したらイーロンに会わせてくれるって言うから「え、じゃあ会ってみたい」と。試乗したらすごく気に入って。ただ、僕の一存では買えないので、翌日に奥さんと子供たちを連れて試乗に行ったらみんな気に入ってくれて、すぐに注文しました。

ー それから、もう4年以上乗っていただいている。

夏野 途中で「100」が出たので買い替えました。今は『P100D』ですね。

夏野氏が実感しているテスラの特長は?

ー テスラの特長はどんな点だと感じてらっしゃいますか?

夏野 クルマメディアの皆さんを前にしてこんなこと言うのも申し訳ないんですけど、僕は正直、クルマってそんなにイケてないなと思っていたんです。どうしてかっていうと、形も決まったカタチになってるし、やり尽くされた感があって。ここのところ、テスラの前はスタイル重視でメルセデスのCLSに乗ってて、でも「新しくないな」って感じているときにテスラに試乗したんです。
最初は、電気自動車なんてゲテモノかなと思っていたんだけど、試乗した時に感じた新しさ、iPhoneが出てきたときと同じで「こういうのが欲しかったんだよ」と感じて即買いしましたね。
でも、ショールームに置いてあるPCを自分でオペレーションしてアカウント作って、ペイパルで予約金の50万円を支払わされたのは衝撃でした。ひどいよねぇ(笑)。
まあ、なにしろ新しい、まったく新しいものが出てきたなと感じましたよ。

ー クルマは買った瞬間から古くなっていくものですが、テスラは自動でアップデートしていきます。

夏野 ファームウェアはしょっちゅうアップデートされるので、何が付いたかとかあまり見てないんです。ところが先日、停まっている時だけカメラのマークが出てる。なんだこれは、どう見てもカメラだよなとオンラインマニュアルを見たら、セントリーモードといって、自宅とか勤務地以外に停めている時は、車載カメラが監視カメラになってレコーディングされている。欲しかったよねぇ、こういうの。こうした機能が後から実装されるんだとびっくりしました。
ただ、メールくらいくれればいいのに。もったいないよね。気付くまでに2週間くらいかかりましたよ。

EVsmart はどんなアプリ?

ー 安川さんが運営している、EVsmart という充電スポット検索アプリとは?

安川 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)ユーザー向けの充電スポット検索をする無料アプリです。特長としては、クラウドソースのようなカタチで口コミを集めるだけじゃなく、我々のスタッフが直接電話して、ちゃんとそこに充電施設が存在していて、何時から何時まで利用できるのか、課金の条件などをきちんと確認した上で掲載しています。
ガソリンスタンドは大きな看板が立っていて誰でも見つけられますけど、充電ステーションはコンセント1つのところもあります。これをクルマに乗っていて見つけるのは難しい。たとえば、その施設がビルの裏側にあるのか、地下駐車場であれば地下3階のC3区画のあたりにあるといったレベルの情報を提供するところまで配慮しています。

充電についての印象は?

ー 今回、ここにスーパーチャージャーがオープンしたわけですが、日本は公共の充電設備がたくさんあることをみなさんにお伝えしたいですよね。

安川 日本は面積比率ではおそらく世界一の密度で電気自動車の充電設備がある国です。日本では充電規格が大きく分けて2種類あります。ひとつはCHAdeMOという急速充電規格。もうひとつが普通充電規格です。どちらもグローバルスタンダード、つまり全世界的に運用されている規格です。
さらにテスラはスーパーチャージャーとディスティネーションチャージャーというテスラ専用の設備も合わせて使えるという面白いポジションを築いています。つまり、テスラ車が使える充電スタンドの数が日本国内で最も多いということですね。
都市部や主要な高速道路沿線はもちろん、旅行に出ても、途中や目的地の近くにはほとんど問題なく充電器があるという環境を構築しています。これは自動車メーカーで唯一のやり方といってもいいでしょう。

ー 夏野さんは充電についてどのように感じてらっしゃいますか?

夏野 そうですね。僕は2年前に家を建てて、その時には充電器をつけましたが、その前の3年間はマンションで、機械式駐車場だったから充電設備がない時にテスラを買いました。でも、オフィスがあるビルには充電器があるし、行く先々のビルにほとんど充電器があります。遠出も軽井沢とかしか行かないし、そういったところにも充電器はありますから、充電で困ったことは一度もないですね。
少なくとも、都市部においてはガソリンスタンドより充電スポットのほうが多いでしょ。ちなみに、今、私がもう1台乗っているエンジン車はカブリオレのスポーツカーで、満タンで350kmくらいしか走らない。モデルSのほうが航続距離は長いです。

電気自動車の航続距離を伸ばすには?

ー P100D ですと、600kmくらい?

夏野 まあ、都心を走ってる感じだと(安心して乗っていられるのは)400kmくらいかな。あと、やっぱり一定スピードで高速道路を走っている方が長持ちする印象ですね。

安川 走り方のコツとかあって。電気自動車の電費は運転する人によって随分違いますね。

夏野 なんか、データ取られてそうでやだな。

安川 ははは、テスラさんは多分全部把握してますよ。「この人は飛ばす人だな」って。

ー 電費を伸ばすコツってありますか?

安川 一番大きいのは最高速度だと思います。たとえば100km、なかには100km以上で走る方もいれば、90kmくらいで走る方もいるでしょう。遅ければ遅いほど電費は伸びますね。

夏野 じゃあ、法定速度を守って走れば電費は伸びるんだ。

安川 その通りです。ただ、私も電費にはかなり配慮して運転する方ですが、知人のオーナーさんの中には「この人はどうしても超えられない」という電費運転の達人がいますね。

今後、日本で電気自動車を広げていくのはどうすれば?

ー ジャガーやメルセデスからも電気自動車が発表されました。今後、日本で電気自動車を普及させるためには、どうすればいいと思われますか?

夏野 先入観をいかに取り除いていくかでしょう。電気は不安という高齢の方もいるでしょうが、そもそも高齢であればそれほど長距離は乗らないでしょうと、そういう啓蒙は必要ですよね。
今時、エンジンの付いたクルマに乗っているのは20世紀人ですよ。前世紀の遺物を使っているという概念になっていくと思うんです。それをいち早く先取りして欲しいですね。

納車された『モデル3』は大活躍中!

ー 安川さんには、モデル3も納車されました。

安川 今日はXに乗ってきてしまいましたが(笑)。
モデル3はもう納車されて、会社の社員にもどんどん使ってもらっています。今、若者はクルマ離れといわれていますが、クルマを所有してない社員が土日に「貸して」と言ってくる。エンジン車だとガソリンを満タンにして返さなきゃと思うでしょうが、電気自動車は空っぽで帰って来ても会社の駐車場で充電すればいいだけなので気軽です。カーシェアも広がっていますが、若い人にこそ電気自動車の楽しみを実感してもらえるといいですね。

電気自動車の「楽しみ」とは?

ー 電気自動車の楽しみって、具体的にどういう点でしょう?

安川 そうですね。具体的に挙げるとすればUX(ユーザーエクスペリエンス)などですね。そのあたりは、夏野さんが専門家でいらっしゃいますが。

夏野 UXという点でいえば、これはガソリン車か電気自動車かっていう問題ではないんです。ガソリン車だって今では電装部品満載で。何で、(ガソリン車には)このUIができないんだろうと不思議で、日本の自動車業界はテスラに学ぶべきだと思いますね。
インパネひとつとってもオールドファッション。こんな時代にあって、スマホのカーナビのほうが車載のカーナビより解像度が高いってどういうことなんだ? と思いませんか。未だに不器用な音声認識で、文字のフォントもきれいじゃなくて、設計そのものが20世紀。今でもこんな状況を恥じてないのかとクルマ業界の人に聞くと、今までこうやってきたという。テスラは、きちんと今のIT業界の最先端の技術で作ったらこうなるというUXになっています。すぐにでも真似られるのに、なぜ真似ないのかなと本当に疑問です。

安川 20年前、日本のカーナビは世界最先端でしたけどね。私はマイクロソフトにいたことがあるんですが、当時、ビル・ゲイツも「これはすごい!」とずっと見てました。

夏野 あと、ガソリン車はやっぱりうるさいですよね。ブオーッって。うちには2台のクルマがありますが、子供たちに「どっちで行く?」と聞くと「テスラ!」と答えが返ってくる。犬もそう。エンジン車だと不安がるんです。
よく「Fun to Drive」っていいますけど、日本で Fun to Drive を志向するとほとんど法令違反で捕まりますからね。日本の公道では Fun to Drive は「快適」に置き換えていかないと。

テスラの魅力とは?

安川 テスラの魅力という点でいうと、ノウハウが半端ないなということを感じます。たとえば、国産のCHAdeMOで充電しようとすると、初めての人にとってはどうしても「どうやるの?」から始まるんですが、テスラの充電器は何も説明しなくても直感的に操作できます。iPhone もそうですよね。
あと、奥さんがクルマのキーを持ってクルマに近づくと、シートの位置が自動でアジャストされるとか。充電器のハンドルにしても、加工がきれいです。USBケーブルはタイプCにしても少し引っ掛かりがありますけど、アップルのライトニングコネクターはすっと挿せますよね。何が違うかというと加工なんですよ。自動車業界でそこまでやっているのはテスラだけではないでしょうか。
課金についてもテスラの場合はケーブルを刺すだけで自動的に課金されますし、抜けば課金が止まります。そのあたりは非常によくできていると言わざるを得ないですね。テスラは自動車メーカーで唯一、自社で充電設備を設置しているという根本的な考え方の違いもあるのでしょう。

ー 夏野さんからも、最後にテスラの魅力についてひと言お願いします。

夏野 最近、うちの周りにテスラがすごく増えているんです。テスラ同士ですれ違うときに手を挙げて挨拶したりとか。こないだロサンゼルスに行ったらモデル3が山ほど走ってて、手を振るどころじゃなかったですが。ちょうど、5年前くらいのカリフォルニアの状況に、広尾あたりはなってきたなと感じます。電気自動車が、もっともっと普及するといいですね。

バージョンアップでエンタメが充実した理由

トークショー開始前には、前田氏からテスラの現況についてのプレゼンテーションも行われました。

その中で興味深かったのが、最新のファームウェアについての話題です。テスラ車は全モデルがネットに常時接続されていて、車両の機能を司るファームウェアがワイヤレスで自動的にアップデートされていきます。

そして、先頃アメリカでリリースされたバージョン10(日本未導入)では、車内で Netflix の動画を視聴できたり、Spotifyで音楽を聴くことができる、またゲームやカラオケ(!)などの機能が追加されたのです。

先だってモデル3を試乗した際、ホーンを押すとブーブークッションの音が鳴る設定などに笑いましたが、前田氏によると「こうしたエンターテイメント機能の充実はふざけているわけではなく、電気自動車に必要な充電中の時間を有意義に過ごすためのロジカルな機能として採用されました」とのこと。

このあたり、テスラの志向は「電気自動車を使いこなしている人が、電気自動車ユーザーのために知恵を絞っている」ことが感じられます。欧州勢から登場する電気自動車が「エンジン車を愛してきた自動車ユーザーのための電気自動車」を標榜しているのとは、明らかに異なるスタンスであることを実感しました。

(寄本好則)


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