すでに実用化が始まっている〜ロボタクシーのグローバルな現状と展望

日本ではまだ見かけませんが、アメリカや中国の一部ではドライバーレスで自動運転&電気自動車のロボタクシー・サービスが始まっています。電気自動車普及とともにロボタクシー産業も急成長しているのです。米メディア『CleanTechnica』に現状と展望をまとめた記事が掲載されました。全文翻訳でお届けします。

すでに実用化が始まっている〜ロボタクシーのグローバルな現状と展望

元記事:10 Robotaxi Services — Existing & Planned by Zachary Shahan on 『CleanTechnica

仕事柄(筆者のZachary Shahan氏はCleanTechnicaのCEOにして編集長)、私は自動運転やロボタクシーについて頻繁に情報を得ています。事実”ロボタクシー”という単語は、業界用語になる前、また他のメディアで使われる前に私達が使っていたと思います。しかし未完成のものも含めていわゆるロボタクシー・サービスなるものが急速に増えてきており、驚くべき形で目の前に現れ始めたのを感じています。今日ロボタクシーの新しいサービスが始まったというニュースも見たことですし、既存のもの、近いうちに開始されるものを含めて手短にロボタクシー・ビジネスのまとめをお届けしようと思います。

2018年〜2020年

ウェイモの自動運転車両。画像はウェイモ公式サイトより。

フェニックス/Waymo(ウェイモ)
長年の開発を経てグーグルから飛び出してきたウェイモは、フェニックス大都市圏の一部でサービスを提供しており、2018年12月5日にローンチしました。そのサービスが同業他社に比べ相当先を行っていた一方、多くの人が、ウェイモがカバーするエリアを拡大するのにどれ位時間がかかるのか気にしていました。他の自動運転スタートアップも使っている基本的なテクノロジー・ソリューションに加え、ウェイモの成長能力と競争力に注目していたのです。

2019年ー2020年

ウィーライドのドライバーレス配車サービス。画像はウィーライド公式サイトより。

広州/WeRide(ウィーライド)
世界で2番目にローンチしたサービスは、危うく私達の監視網をすり抜けるところでした。ウィーライドに関しては2019年1月に記事を書いていたのですが、その時点で社は資金集めをしており、500台の自動運転車両を2019年後半に投入する計画を立てていました。そして2019年11月に、計画通りサービスが始まったのです。会社が生まれたのは2017年12月でした。

社によると、「ウィーライドの自動運転走行距離はトータル150万キロメートルに達し、今もその数字を伸ばし続けています。4万5千人以上の人々が私達のレベル4自動運転車両を経験しました」とのことです。

最近ではカルマオートモーティブの新しい自動運転バンについての記事で、ウィーライドについても言及しました。

カルマ L4 E-Flex。画像はカルマ公式より。

カルマのL4 E-FlexバンはNVIDIA社のDRIVE AGX Pegasus™自動運転車用コンピュータープラットフォームで動いており、このプラットフォームのディープラーニングは、1秒間に320兆回の処理ができるという前例のないものです。プラットフォームは、NVIDIA Xavier™プロセッサとテンサ―コアGPUが2つずつ付いた拡大可能なアーキテクチャ上に構築されています。

エネルギー効率が良く、ハイパフォーマンスなこのAIコンピューターは、安全で高度にオートメーション化された完全自動運転を実現するためにたくさんのディープ・ニューラル・ネットワークを同時に動かしています。L4バンのソフトウェアプラットフォームとセンサーのパッケージはウィーライドにサポートされており、LiDar、レーダー、カメラ、GNSS(※全球測位衛星システム)、INS(※慣性航法装置)を含む複数のセンサーを使って、360度の視野をカバーしながら正確でリアルタイムな位置情報を提供します。

2020年

アポロのパイロット版。

長沙/アポロ・ロボタクシー(百度=バイドゥ)
今年のアースデイである4月20日に、中国の検索エンジン大手である百度(中国版グーグルとも言われています)も、無料のロボタクシー・サービスを始めました。このサービスはアポロ・ロボタクシーと呼ばれており、2019年後半に市内で試験が行われたのち45台の自動運転車でローンチしました。

ChinaDailyは、「会社の声明によると、百度のナビゲーションアプリであるBaidu Mapsを使って、市民は自動運転タクシーを無料で使うことができます。現在このサービスは約130平方キロをカバーしており、その中には住宅街、商業エリア、工業団地など多数の都市圏に存在するエリアが含まれています」と報じました。百度は、基本的にはウェイモの足跡をたどりながら、長年にわたり自動運転車両の開発に取り組んできました。

DiDiの配車サービスアプリ。画像はDiDi公式サイトより。

上海/滴滴出行(Didi Chuxing)
1カ月と少し前に、人気の配車サービスを提供するDiDiが、中国の大都市、上海(長沙が人口700万人に対して上海は2,400万人)でロボタクシーのサービスを開始しました。DiDiは5億5千万人以上のユーザーが利用しており、年間100億回の移動のためにサービスを使っています。他社のように、ロボタクシーはジオフェンス(仮想の境界線)の枠内で稼働し、現行では上海のほとんどの地域をカバーしていませんが、これが上手く行けば中国やその他の地域で急速に広がりを見せるのではないかと、個人的には予測しています。他のほとんどの会社のように、このサービスも現在無料で使うことができます。

オートXの車両群。画像はオートX公式サイトより。

上海(もうすぐ深圳、武漢、蕪湖にも展開)/オートX
数日前に、アリババに支援を受けているオートXが上海の嘉定区でロボタクシーのサービスを始めました。こちらも無料で利用できます。月曜日に出された、社のプレスリリースによると「エリア内にいる人は誰でも、アリババのAutoNaviアプリを使って、無人タクシーを呼ぶことができます」。順調に進めば、深圳、武漢、蕪湖にももうすぐ拡大する計画です。

プレスリリースには、「ロボタクシー・サービスのパイロット版を公開したのと同時に、オートXは上海に本部を置く大手タクシー会社であるLetzgoとの戦略的パートナーシップを8月17日に発表しました。現在AutoNaviアプリを使ってLetzgoの車両を配車できるよう準備をしているところです。加えて、中国内の18を超える都市で1万6,000台以上の車両を動かしているLetzgoも、AutoXのロボタクシーを運用する予定です。自動運転ファームは、上海当局から100台の車両を走行させて良いとの許可を得ています」とも書かれています。

2021年~

ジオメトリーA。画像はジーリー公式サイトより。

杭州/ディープルート
2021年か遅くても2022年までに、スタートアップ企業のディープルートはCao Cao Mobilityと共にロボタクシー・サービスをローンチする予定です。ディープルートは、吉利汽車(ジーリー)の電気自動車であるジオメトリーAを使う予定です。

イスラエル/モービルアイとVWグループ
インテル傘下のモービルアイは、フォルクスワーゲングループ、チャンピオンモーターズと共同で2022年にイスラエルでのロボタクシー商業化を計画しています。試験は2019年前半から始められ、2022年前半にテルアビブで100台の車両を使ったドライバーレス・サービスを開始する予定です。

日本/モービルアイとWILLER
日本、台湾、東南アジアで最大手の交通業者であるWILLERとモービルアイは、2021年に日本でロボタクシーの試験を開始し、2023年に商業化する計画です。

地域や時期がまだ不明の企業プロジェクト

テスラ
ロボタクシーを市場に投入するタイムラインが明らかになっていませんが、CEOのイーロン・マスク氏はこれについて言及し、ツイートを数多く行っています。昨年のテスラ・オートノミー・デイでも詳細を語っていました。

クルーズ オリジン。画像はクルーズ公式サイトより。

Cruise(クルーズ)
テスラと同じように、2016年からGMの100%子会社となったクルーズも自動運転車両を市場に出し、ロボタクシー革命に乗り入れようと懸命なことが分かっています。今年1月にクルーズは初の完成した車両であるクルーズ・オリジンをお披露目しました。しかし、いつ・どこでロボタクシー・サービスの商業化が始まるのか、実際の計画については聞こえてきません。

(翻訳・文/杉田 明子)

One thought on “すでに実用化が始まっている〜ロボタクシーのグローバルな現状と展望”

  1. 基礎研究でできることを実証しながら、事業化では先越されるという
    導入が遅れ結果的にすべてがひっくり返される

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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