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令和7年度(2025年度)「CEV補助金」車種別の補助金額発表/東京都はEVに最大100万円

令和7年度「CEV補助金」車種別補助金額発表/東京都はEVに最大100万円

令和7年度(2025年度)クリーンエネルギー⾃動⾞導⼊促進補助⾦(CEV補助⾦)について、4月1日以降新規登録の「銘柄ごとの補助金交付額」が発表されました。また、東京都が新年度の「ZEVの車両購入補助金」の内容を発表。条件次第でEV購入に最大100万円の補助金が交付されます。

目次

EVへの補助金額は「やや増額」の印象

2025年3月28日、国のクリーンエネルギー⾃動⾞導⼊促進補助⾦(CEV補助⾦)の申請受付などを担当する一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV = Next Generation Vehicle Promotion Center)から、令和7年(2025)4月1日以降に新規登録する車両に対する「銘柄ごとの補助金交付額」が発表されました。

補助金の総額は令和6年度補正予算で計上された1,100億円。昨年度(令和5年度補正)の約1,291億円からはやや減少しました。とはいえ「GX推進に向けた鋼材の導入」への評価で最大5万円(軽EVは最大3万円)という新たな加算措置が追加されるなどして、全体として車種別の補助は「やや増額」になった印象です。

令和6年度から導入された「自動車分野のGX実現に必要な価値」という評価基準に対する各メーカーの対応が進んだと考えることができるのかもしれません。ちなみに「GX」とはグリーントランスフォーメーション=化石燃料主体の社会構造から再生可能エネルギーを中心とした脱炭素社会を実現する取り組みのこと。「自動車分野のGX実現に必要な価値」について、各メーカーに対してどのような評価がされたのかという審査結果は非公表です。

「銘柄ごとの補助金交付額」は、NeVがPDFファイルとして公表しています。同車種でもグレードによって金額が違ったり、そもそも日本国内で市販されているEVの車種が膨大になってきてわかりにくいので、EVsmartブログとして注目した車種をピックアップしてみました。

ブランド車名グレード税抜定価(円)補助金額
普通自動車
アウディe-tron GT quattro13,581,81852万8000円
アウディQ445 e-tron advanced6,454,54566万円
ジープアベンジャーAltitude5,272,72769万円
スバルSOLTERRAET-SS(FWD)5,700,00088万円
スバルSOLTERRAET-HS(AWD)6,500,00068万円
テスラモデル3RWD5,102,72887万円
テスラモデル3パフォーマンス6,599,09187万円
テスラモデルYRWD5,124,54667万円
テスラモデルYパフォーマンス6,617,27387万円
トヨタbZ4XG(2WD)5,000,00090万円
トヨタbZ4XZ(4WD)5,909,09190万円
日産アリアB65,991,00089万円
日産アリアB9 e-4ORCE7,261,00089万円
日産リーフX3,710,00089万円
日産リーフe+ G5,304,00089万円
BMWi4 eDrive 40Standard6,818,18265万円
BMWi4 M5010,600,00052万円
BMWiX1 xDrive30M Sport6,527,27365万円
BYDATTO 33,800,00035万円
BYDSEAL類別:0012以外4,800,00035万円
BYDDOLPHINBaseline2,720,00035万円
BYDDOLPHINLong Range3,400,00035万円
ヒョンデKONACasual3,630,00067万円
ヒョンデKONALounge4,450,00067万円
ヒョンデIONIQ 5Lounge5,220,00067万円
ヒョンデIONIQ 5Lounge AWD5,580,00067万円
ヒョンデIONIQ 5 N7,800,00067万円
FIAT600eLa Prima5,318,18269万円
フォルクスワーゲンID.4Pro5,898,18266万円
プジョーe208GT4,658,18269万円
ポルシェMacanベース 2WD(エアサス)10,378,00020万円
ポルシェTaycanベース2WD12,454,54512万円
ボルボEX30Ultra Single Motor5,081,81846万円
ボルボEX40Ultra Twin Motor7,172,72736万円
マツダMX-30 EV MODELEV4,245,00067万円
MINIMINI AcemanE4,463,63645万円
MINIMINI AcemanSE5,054,54565万円
メルセデス・ベンツEQA250+7,045,45566万円
メルセデス・ベンツEQB350 4MATIC8,236,36466万円
メルセデス・ベンツEQE350+11,372,72852万8000円
メルセデス・ベンツEQS450+13,954,54652万8000円
メルセデス・ベンツG 580 with EQ TechnologyEdition 123,954,54636万8000円
レクサスUX 300eVersion C5,272,72790万円
レクサスRZ300eversion L7,454,54590万円
レクサスRZ 450eversion L8,000,00090万円
小型・軽自動車
アバルトアバルト500eツーリスモ ハッチバック5,590,90957万4000円
FIAT500eIcon5,245,45557万4000円
日産サクラG2,802,00057万4000円
三菱eKクロス EVG2,335,00057万4000円
貨物
ASFASF2.02,370,00035万円
HW ELECTROELEMOボックス3,160,00025万円
日産クリッパーEV4シーター急速充電付き2,708,00057万4000円
ホンダN-VAN e:e:FUN2,654,00057万4000円
三菱MINICAB EV4シーター急速充電付き2,310,00056万8000円

ピックアップしても膨大ですね……。長すぎるグレード名などは若干アレンジしています。ともあれ本当に、日本国内で買えるEV車種が増えたことを実感します。Nevのリストではさらにプラグインハイブリッド車や水素燃料電池自動車が続きますが、割愛しました。

ブランドによって補助金額が異なる

ユーザーとして理解しておきたいポイントとしては、以前は一充電航続距離と車両価格、給電機能の有無程度だった算定基準が「自動車分野のGX実現に必要な価値」の評価となって複雑になったため「同じような性能、価格帯のEVであったとしてもブランドによって補助金額が異なる」ことです。たとえば、アウディのe-tron GTへの補助額は52万8000円ですが、同じプラットフォームで車両価格が近いポルシェタイカンは12万円となっています。

また、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェは同じVWグループであっても各ブランドへの評価が異なっているように見受けられますが、プジョー、シトロエン、FIATなどのステランティスは、グループとしておおむね高評価になっています。

そのあたりの理由を含め、全体として「自動車分野のGX実現に必要な価値」の評価が非公表であるゆえに、「わかりにくい」というのが正直な感想です。ユーザーとしては、補助金額で購入する車種を選ぶのではなく、「魅力を感じ、欲しいEVを選んだ上で、その補助金はいくらなのか」を確認するのが精神衛生上ベターではないかと思います。また同ブランドの同車種でも、グレードやトリムによって補助金額が異なる場合があるので要注意です。

ちなみに、車両価格は税抜定価が基準となっていて、メーカー希望小売価格(税抜)が840万円以上の車両については、評価算定された額に0.8を乗じた補助金額となる仕組みです。

ヒョンデとBYDの評価に大きな差?

発表されたリストで目に付いたのが、ヒョンデのEVへの補助金額が大幅に増えたことです。私のマイカーでもあるKONAカジュアルは前年度は35万円だったのが67万円に。IONIQ 5も35〜45万円だったのが、全車種67万円になりました。

一方で、販売拠点数や販売台数を伸ばしつつあるBYDは、おおむね前年並みの35万円(SEALの一部グレードは45万円)に据え置かれています。どんな理由で評価が分かれたのかということは、評価結果が非公表なのでわかりません。

軽や小型車は上限額が低い

ピックアップした表で区分したように、3ナンバーの普通車と、軽自動車と5ナンバーの小型乗用車では補助金の上限額が異なっています。「GX推進に向けた鋼材の導入」への加算額を含めてまとめると、以下のような上限額となります。

種別基本の補助額上限加算額
EV(普通自動車)85万円最大5万円
EV(小型・軽自動車)55万円最大3万円
PHEV55万円最大5万円
FCEV255万円-

小型・軽自動車でピックアップしたFIAT 500eをはじめ、日産サクラ、三菱eKクロスEVなどはほぼ上限額の57万4000円となっています。

4月10日にヒョンデから正式発売となるスモールEVのインスターも5ナンバーでこの「小型」カテゴリーになりますが、まだ型式認証を取得できたばかりで補助金額は未定。おそらく、4月中にも行われる審査で決まるのでしょう。ピックアップしたサクラGグレードの価格はバッテリー容量20kWhで約280万円。インスターの大容量&軽装備グレードのボヤージュは49kWhで税抜価格約300万円ですから、約2.5倍のバッテリーを搭載していながら価格差は20万円ほどしかありませんでした。

今回、ヒョンデがブランドとして大幅な補助金増額になっているとはいえ、インスターに上限額は難しい気もします。はたして、インスターの補助金額がいくらになるのか、注目して発表を待ちたいと思います。

東京都のEV購入補助金は最大100万円に!

EV購入で交付される補助金は、国のCEV補助金だけではありません。地方自治体がEV購入への補助金制度を設けていて、国のCEV補助金と併用できるケースが多いので、EVやPHEVを購入する際にはお住まいの自治体(都道府県と市区町村の両方)の補助金制度を確認するのがオススメです。EV購入への補助金は、自ら申請しないともらえません。

全国の自治体の中でも抜群に手篤い補助金制度を実施しているのが東京都です。2025年3月31日には、令和7年度の「ZEVの車両購入補助金のお知らせ」が発表されました。対象となるのは国のCEV補助金の対象となるZEV=電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)で、個人、事業者ともに申請可能です。

EVの場合で最大60万円の「自動車メーカー別の補助額」に加えて、充放電設備(V2B・V2H)・公共用充電設備導入への上乗せ(10万円)や、再エネ100%電力契約(15万円)や太陽光発電設備設置(30万円)といった再生可能エネルギー電力導入による上乗せがあり、EVの場合で最大100万円の補助額となります。

東京都の報道発表から引用。

東京都の担当部署に発表で疑問に感じた点を確認したところ、「自動車メーカー別の補助額」の最大60万円は、ベース評価の「10万円」、給電機能の有無「10万円」に加えて、報道発表で「内訳」として紹介されている「メーカーのGX実現に向けた取組(最大20万円)」、「車両ラインナップ数(最大10万円)」、「ZEV乗用車の販売実績等(最大10万円)」の合計とのこと。

自動車メーカー別の補助額を見ると、トヨタ、日産、ステランティスなどが高額。BMW、ボルボ、ヒョンデといったメーカーにはやや厳しい金額になっている印象です。前述のCEV補助金では高評価となっていたヒョンデの補助額が低い点などについては、同じようにGXへの貢献度を評価基準としながらも、東京都では車両ラインナップ数やZEV販売実績など「CEV補助金とは異なる要素を加味していることによる差異と考えられる」とのお答え(評価結果は非公表)でした。

申請受付は2025年4月28日からとのこと。詳細や申請は、東京都地球温暖化防止活動推進センター(愛称:クール・ネット東京)のホームページをご確認ください。

いくら国や自治体の補助金制度があっても、多くの自動車ユーザーが魅力を感じる手頃な電気自動車が増えないと、日本でのEV普及が本格化することは望めません。補助金でも高く評価されているように見える日本の自動車メーカーから、どしどし魅力的なEVが登場することを切望しています。

商用EVは別の補助金制度を活用

【追記:2025年4月2日】コメントでご指摘いただいたように、緑ナンバーや黒ナンバーのいわゆる事業用車両のEV購入などについては、経産省のCEV補助金とは別に、環境省が経産省、国交省との連携事業として施行する「商用車等の電動化促進事業」の補助金を活用することになります。

令和6年度補正予算額は400億円。補助対象・補助額の概要は以下の通りです。

【対象車両と補助額】
下記の考え方をベースに車種ごとの評価に応じて補助額を決定。

【トラック】
従来車両(ディーゼル車両等)との差額 に対して、EVは2/3、PHEVが1/2、FCEVが3/4。
【タクシー】
車両本体価格に対し、EVは1/4、PHEVが1/5、FCEVが1/3。
※定員が9人以上の場合。この場合のEVとPHEVは従来車両との差額に対する補助率で、EVは2/3、PHEVが2/3、FCEVが1/2。
【バス】
従来車両(ディーゼル車両等)との差額に対し(FCVのみ車両本体価格に対し)EVは2/3、PHEVが2/3、FCEVが1/2。

【充電設備】
車両と一体的に導入する場合のみ充電設備に対する補助があります。
充電機器は1/2(工事費は1/1)、受電設備・工事費は1/1、V2H機器が1/2(工事費は1/1)、外部給電器が1/3。

国の商用車電動化に対する補助への問い合わせや申請先は、トラックが一般財団法人環境優良車普及機構(公式サイト)、タクシー・バスは公益財団法人日本自動車輸送技術協会(公式サイト)となります。

また、東京都など商用車電動化への補助制度が用意されている地方自治体もあります。東京都についてはクール・ネット東京の公式サイトをご確認ください。

取材・文/寄本 好則
※冒頭写真は2024年の日本EVフェスティバルに集結したEVとPHEVの試乗車。

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • トヨタが恐れているEVメーカーは、テスラではなくディーラー網を構築するBYDだという記事を読んだ覚えがあります。ロビー活動の結果かメーカーへの忖度かわかりませんが、極めて不公平で恣意的な補助金金額の設定です。なにしろトヨタのEV販売実績はみなさんご存知の通りで、会社の規模からすれば微々たるもの。補助金の金額設定基準は公開すべきです。補助金は税金ですから、国民、都民に明らかにするのは当然だと思いますが。

  • 軽貨物 さま、ご指摘ありがとうございます。
    概要ですが、追記しました。

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