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テスラのカーシェア『BOXIV SHARE』が急拡大中/人気ユーチューバーが思い描く未来とは

テスラのカーシェア『BOXIV SHARE』が急拡大中/人気ユーチューバーが思い描く未来とは

5万人以上がチャンネル登録する「僕テス」チャンネルを運営する人気ユーチューバーがテスラのカーシェア「BOXIV SHARE」をスタート。すでに全国9カ所のステーションがあり、さらに着々と拡大中です。はたして、どんな思いで起業したのか。僕テスこと小川聡貴さんに緊急インタビューしてきました。

ステーションは現在9カ所~着々と拡大中です

レンタカーやカーシェアでもっとEVが増えるのは、日本のEV普及を進めるための大きなステップだと思っています。最近、EVレンタカー関連の話題をしばしば取り上げているところに、テスラを愛する人気ユーチューバー「僕テス」のトシさんがテスラのカーシェアサービスを立ち上げたというニュースが入ってきました。

サービス名は「BOXIV(ボクシブ)SHARE」。僕テスチャンネルにサービス開始を紹介する動画がアップされていたのでリンクを貼っておきます。

どんなサービスなのか、ポイントを紹介していきましょう。キャッチフレーズは「アプリ完結型、次世代カーシェア」。専用アプリをスマホにインストールして、予約から貸し出し、シェア利用中の車両コントロール、返却&精算まですべてを行うことが可能になっています。

入会金や月額会費などは一切無料。最初の6時間分のシェア料金が「ミニマムチャージ」に設定されていて、以降1時間ごとの料金が加算される仕組みです。ステーションに備え付けの充電器やテスラ スーパーチャージャーでの充電代はシェア料金に含まれているシンプルな料金体系で利用しやすいのが特長です。

2025年3月17日現在、全国のステーションと配置されている車両、料金はこんな感じです。料金欄の上段は「通常料金」、下段が「土日祝日/ハイシーズン」の設定料金となっています。

ステーション名所在地車両ミニマムチャージアワーチャージ
ISHIGAKI沖縄県石垣市モデル3 LR7,000円
8,400円
700円/1時間
840円/1時間
モデルS 856,000円
7,200円
600円/1時間
720円/1時間
ADACHI東京都足立区モデルY RWD8,000円
9,600円
800円/1時間
960円/1時間
モデル3 LR7,000円
8,400円
700円/1時間
840円/1時間
KONAN東京都港区モデルY RWD8,000円
9,600円
800円/1時間
960円/1時間
SHINAGAWA東京都品川区モデル3 LR8,000円
9,600円
800円/1時間
960円/1時間
OKAYAMA岡山県岡山市モデル3 RWD8,000円
9,600円
800円/1時間
960円/1時間
RINKU愛知県常滑市モデルY RWD9,000円
10,800円
900円/1時間
1080円/1時間
NAHA沖縄県豊見城市モデル3 RWD12,800円
12,800円
800円/1時間
800円/1時間
モデルY RWD12,800円
12,800円
800円/1時間
800円/1時間
MINAMI MORIMACHI大阪府大阪市モデル3 RWD7,000円
8,400円
700円/1時間
840円/1時間
NAGOYA愛知県名古屋市
モデルX 758,000円
9,600円
800円/1時間
960円/1時間

※2025年3月21日現在。
※那覇のモデル3とモデルYは、ハイシーズンも通常料金と同じです。

さらに、公式サイトでは以下のステーションが近日開業予定であることが告知されています。所在地と開業予定を箇条書きしておきます。

●KOCHI(高知県高知市)2025年3月
●FUKUOKA(福岡県福岡市)2025年3月
●TOYAMA(富山県富山市)2025年4月
●MIYAKO(沖縄県宮古島市)2025年春
●NAKASHIBETSU(北海道中標津町)2025年春
●EBINA(神奈川県海老名市)2025年春
●ROKAKOEN(東京都世田谷区)2025年春

開業予定は合計7カ所。すでに開業済みと合わせて、今年の春のうちに全国16カ所まで拡大することになります。福岡とか名古屋とか、利用するチャンスが多いのではないかと感じます。

初回利用割引キャンペーン実施中!

こうしたサービスはなにはともあれ利用するのが最良の応援になることでしょう。公式サイトのリンクを貼っておくので、読者のみなさんも該当のエリアにお出かけの際はどしどし利用してみてください。3月31日まで、初回利用から3回目までシェア料金が5000円オフになるキャンペーン実施中です。ミニマムチャージ8000円とかでモデル3やモデルYといったプレミアムEVを借りられるのがそもそもおトク。そこから5000円オフってことは、6時間3000円ポッキリといった料金で借りられることになります。おトクすぎて申し訳ないくらいです。

さらに、30時間以上の利用でシェア料金から20%割引になる期間限定(2025年3月22日 〜 2025年6月30日)の「ロングトリップ20%割引キャンペーン」もスタートしました。詳しくは公式サイトをご確認ください。

【公式サイト】
BOXIV SHARE

「僕テス」のトシさんにBOXIVへのビジョンをインタビュー

「僕テス」チャンネルを運営しているトシさんは、EVsmartブログと浅からぬご縁。2022年、EVsmart動画チームのテスカスさんや石井さんとともに東京ディズニーランドから本州最北端の大間まで爆走してくれたチャレンジ企画には、大きな反響がありました。

【関連記事】
EVの長距離走行ってどうなの? EV4台で充電レース!『bZ4X/アリア/モデルY/IONIQ 5』充電性能は大切です(2022年12月14日)

私自身、EVキャンプのイベントなどで顔を合わせて軽くご挨拶などは交わしていましたが、きちんと名刺交換するのは初めてのこと。いただいた名刺の肩書きは、株式会社BOXIV 代表取締役CEO。失礼ながら、小川聡貴(としき)というご本名も今回のインタビューで初めて知った次第です。モノローグ的な質問と回答って感じのスタイルで、トシさんのビジョンを紹介します。

そもそも、トシさんは堅気の大手代理店に勤務するサラリーマンユーチューバーと聞いていたのですが……。退職してBOXIVを起業。カーシェアサービスを立ち上げたってことですね?

「会社を設立したのは2023年。前職を辞めて、2024年のはじめくらいからアプリを制作したり、シェアカーを購入するなどの準備を進め、2024年11月から本格的にサービスをスタートしたところです」

前職はイベント関係と聞いていました。BOXIVの事業内容にも「イベント企画運営」があるので、本業はやはりイベント関係?

「いえ、カーシェアが本業です。シェアカーであるモデル3やモデルY用のカーアクセサリーの開発や販売をやってますけど、基本的にカーシェアが主軸です。オリジナルのアクセサリーを活用して車内体験を充実させて、それをシェアする『クルマの新しい楽しみ方』を提案していきたいというのが、そもそも起業するモチベーションでした」

カーシェアには大手の競合も多いですけど?

「そうですね。まずカーシェアには人の介入が少なく24時間手軽に借りられるメリットがあると思っています。でも、思い描いているのはそれだけじゃありません。僕は自動運転時代がもうすぐ実現すると思っていて、テスラのカーシェア事業を始めた大前提にもなっています。いわば、ロボタクシー時代到来を前提にしたサービスですね。そのためにも、効率的なカーシェアサービスを確立したいというのが現段階のステップだと思っています。仲間とも、数年後にはロボタクシー会社になってるかもねと話しています」

自動運転やロボタクシー。夢が広がるビジョンです。とはいえ、アプリ開発とか簡単ではないと思うのですが、どうやって自社開発を?

「シンプルに言うと、友達の紹介です。前職時代から友人に起業プランを話すと、ちょうど手が空いているエンジニアがいるからと紹介してくれたりして。そのエンジニアさんがまた友人に声を掛けてくれて拡がって。今は10名弱のエンジニアが専用アプリの開発に取り組んでくれています」

新たなアプリやサービスのスタート。大変ではあるでしょうが、仕事していて楽しそうです。若さと勢いを感じるスタートっぷりですが、サービスが立ち上がって半年ほど、春までに16カ所のステーションっていうのは、かなりハイペースですよね。

「当面の目標は、2025年の7月までに30カ所のステーションを開業することです。実は、BOXIVのステーションは自社運営だけじゃなく、場所や車両、運営管理などに協力してくれるパートナーさんがいるステーションもあるんです。サービスの立ち上げを告知したら、たくさんの方から問い合わせをいただいて。多くの場所でさまざまなパートナーとコラボしながらステーションを増やしています」

協力パートナーは引き続き募集中?

なるほど、BOXIVとして専用アプリや決済システムをアップデートしていくことを司っていれば、各地の運営管理などは多くのパートナーとコラボする方がスピーディーにサービスを拡大できるということですね。ちなみに、パートナーの条件とかあるんでしょうか。あと、まだまだ募集中?

「協力パターンはいろいろですね。場所と現地での運用管理(おもに充電と車内清掃)をお願いするとか、すでにテスラのレンタカー事業をやっていて、空いてる車両を活用したいとか。個人の方で、テスラが2台あるから1台をシェアしたいとか、テスラを買うからやりたい! って話でも大歓迎です。もちろん、協力パートナーはどんどん募集中なので、興味がある方は公式サイトからお問い合わせください」

個人間カーシェアサービスの「エニカ」が破綻しちゃったのは気になりますが、いろんなスタイルのEVカーシェアに拡がっていきそうですね。

「いわゆる『わ』ナンバーのカーシェアサービスと個人間カーシェアはきちんと区別する必要があるけど、どんどんエニカっぽいサービスに進化させたいと思っています。今計画を進めているのが、集合住宅の駐車場にシェアカーを置いて、登録した居住者がサブスク的にテスラをシェアするようなサービスです。月に1~5万円とかで予約を取れればテスラ使い放題、みたいな。そのためのアプリのアップデートを進めているところです」

集合住宅のEVシェア。すでに実証的なチャレンジを始めているケースもありますが、BOXIV SHAREのように洗練されたサービスとして展開されれば、さらに可能性が広がりそうな予感がします。興味を抱いたデベロッパー関係者などのみなさん、ぜひBOXIVに問い合わせてみてください。

ところで、ステーションにはEV充電器があるんでしょうか?

「いえ、充電器はないステーションが多いです。月極駐車場とかだと設置を許可してくれなかったり、設置コストを考えると採算が合わなくなってしまうので。現状では、運営管理をお願いしている方に、基本的に80%くらいで貸し出しできるように充電してもらっています」

とのこと。でも、ステーションの駐車場に充電器があれば、「返却後は充電ケーブルを挿しておくレギュレーションにして、普通充電の上限を80%に設定しておく」って感じにできれば、いろいろもっとハッピーになりそうです。

EV充電サービスとしては、時間貸し駐車場や集合住宅の占有区画に普通充電器を設置しても、なかなか稼働率が上がらないという課題があります。シェアカーの区画は占有になるでしょうが、ケーブルが届く駐車区画を「EV優先」にして公共用の普通充電器として設置すれば、シェアカープラスアルファの稼働率が期待できるから、充電サービス事業者がコストなどを負担して設置、なんてパートナーシップも成立しそうな気がするのですが、どんなものでしょう。

「文字通り、テスラに乗って人生変わりました」と語ってくれたトシさん。キラキラと輝く瞳で語ってくれたビジョンに夢想がひろがり、サービスのさらなる進化に期待が膨らむインタビューとなったのでした。3月末には福岡取材の予定があるので、ステーションの開業が間に合えばぜひ利用レポートをお届けしたいと思います。

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。
http://s-fac.co.jp/2018/

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