1時間に1%の電力消費で「全く問題なし」を体験
雪の季節がやってきました。今年は暖冬傾向といわれながらも、各地から大雪のニュースが届き始めています。そんな中、SNSのXで「2021年1月の富山大雪で立ち往生を経験しましたが、シートヒーター&USB電熱毛布で1時間1%の消費。全く問題ありませんでした」という T.Yamamura さんのコメントに遭遇しました。
2021年1月の富山大雪で立ち往生を経験しましたが、シートヒーター&USB電熱毛布で1時間1%の消費。全く問題ありませんでした。各所で立ち往生していてロードサービスが来ない中、燃料切れと思われる複数の燃料車が路上に乗り捨てられていました。 pic.twitter.com/eJo9afTTrs
— T.Yamamura (@Tomohiro_toyama) December 14, 2023
EVsmartブログでは今までにも山形県の蔵王まで出かけて38時間の雪道立ち往生実験を行ったり、大雪立ち往生への備えを考察する記事などをお届けしてきましたが、実際に立ち往生に巻き込まれたオーナーさんには、まだ出会ったことがありませんでした。Xのコメントでは「全く問題ありませんでした」ということですが、どんな状況で、どのようにピンチを切り抜けたのか。DMをお送りできなかったのでコメント欄から取材をオファー。快く取材を受けていただけることになったのでした。
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出勤途中の県道で3時間ほどの立ち往生に遭遇
メールのやり取りでアンケート形式の質問に回答をいただき、電話でお話しを伺った内容をレポートします。
T.Yamamura(山村)さんは富山県高岡市にお住まいのテスラ『モデル3』オーナーです。大雪立ち往生に巻き込まれたのは、2021年1月9日の夕刻、17時からの夜勤のために出勤途中の県道でした。
この時は、1月7日から11日の朝にかけて富山県を大雪が襲い、気象庁がレポートを公表しているほどの記録的な大雪になっていました。YouTubeでの当時のニュースなどを見ることができます。
立ち往生に巻き込まれた時間は「3時間ほど」。渋滞発生の原因は不明です。前方だけでなく、後方でも大型車がスタックして、進むことも戻ることもできない状況に陥りました。「立ち往生の解消まで何時間かかるかわからない」という不安を抱きながらも、じっと車内で動けるようになるのを待つしかありません。
覚悟を決めた山村さんは、まずはエアコン(暖房)をオフにしてシートヒーターを使用。USBから給電できる電熱ブランケットを、かねて用意していた毛布とともに身体に巻いて寒さを回避。とくに厚着はしていなかったものの、電熱ブランケットの発熱部分を寒さを感じやすい窓側にもってくるといった工夫で「震えるような寒さを感じることはなかった」そうです。
出勤途中だったこともあって家族などの同乗者はなく、モデル3の大きなモニターでYouTubeのお気に入りチャンネルを視聴して時間をやり過ごし……。警察官の方々の交通整理によって、3時間ほどで立ち往生から脱出することができました。
山村さんのモデル3は、2020年フリーモント製のロングレンジ(AWD)です。バッテリー容量は満充電で75kWh(推定)で、EPAの航続可能距離は約500km。立ち往生に巻き込まれた時、バッテリー残量は約80%で、航続可能距離表示は「391km」だったのが、脱出後の表示では「378km」になっていました。SOCの写真は撮っていなかったものの、3時間で3%程度、シートヒーターと電熱ブランケット、YouTube視聴で1時間に1%程度の電力消費でした。
つまり、山村さんのケースの場合、このままさらに3日間くらい車内に閉じこめられたとしても、電欠せずに過ごすことができたことになります。
立ち往生の中で面倒だったのは「エアコンを切っていたからフロントガラスが曇ること」。状況を確認するために、定期的に拭いていたということです。
スノードライブは「備え」が大切
山村さんに、この体験を通じてEVsmartブログ読者に伝えたいことを伺うと「スノードライブには車種を問わず備えが大切であることを伝えたい」というお答えでした。
モデル3で初めての冬を迎える前に電熱ブランケットを購入したのは「まさにこのようなケースと、寒冷時にエアコンを止めて航続距離を伸ばしたい時があるだろうと思って」とのこと。一緒に身体に巻いた毛布は「電気自動車に乗り替える前から用意していた。毛布は暖を取る以外にも、スタックして空転する側のタイヤの下にお団子状に丸めて詰めると脱出の助けになります(絨毯状に敷いてもダメです)」とアドバイスも。
さらに、雪国ドライバーの常識として「車両の雪を落とすワイパー&窓用スクレイパー、金属製スコップ、寝袋」は常備しているそうです。
また、山村さんがそこそこ快適に立ち往生を乗り切るポイントになったのがバッテリー残量でしょう。当時、富山県地方は連日の大雪が続いていて「8日(立ち往生に巻き込まれる前日)の夜には日勤社員数名が帰宅できず会社に戻って夜を明かしていました。9日朝になってなんとか帰宅できた状態だったので、最大限に警戒していました」と山村さん。自宅ガレージには出力9.6kWで充電できるウォールコネクターを設置して「通常、充電するのは週1回、遠出をしたら2回になる程度だけど、この週は出かける前には80%程度を目安に、毎日充電しておきました」とのこと。
立ち往生に巻き込まれるリスクが予測できるような雪道へ行くときは、バッテリー残量に余裕をもって走るべし、というのは、山村さんの体験が証明する重要な教訓ですね。
ちなみに、雪国に住んでいて電気自動車(テスラ)を購入することに不安はなかったのかと尋ねると「エンジン車ではエンジンを切って寝袋と毛布で対応するつもりだったので、それよりはましになるだろうと思っていた」そうです。
実際、立ち往生を脱出した時には「燃料切れと思われる複数のエンジン車が路上に乗り捨てられていた」ということで、山村さんが想定していた「それよりはまし」を、身を持って体感できたと言えるでしょう。
大雪の危険はエンジン車でもEVでも同じ
寒冷時、EVは航続距離が落ちるのは事実です。「エンジン車は一酸化炭素中毒の危険が高い」という指摘もありますが、エンジン車よりEVが安心なんてことを言うつもりはありません。
以前、北海道のi-MiEVオーナーさんから「地吹雪に閉じこめられて電欠寸前になり、命の危険を感じた」というエピソードを聞いたこともあります。実際、搭載バッテリー容量が小さなEVで、北海道などの過酷な雪道を遠出するには、万全の備えと注意が必要だと思います。
つまり、大雪の立ち往生が危険なのは、エンジン車でもEVでも同じこと。適切な備えが大切だということです。
私が住む東京で数センチの積雪があると、夏タイヤでスタックするクルマが多発して大渋滞が発生するようなケースが目立ちます。これも、エンジン車かEVかは関係ありません。路面凍結などさまざまなトラブルに遭遇することも多くなる冬。みなさん、十分に気をつけてカーライフをお楽しみください。
あ、最後にひとつ。「大雪でEVは危険だぁ」といった意見をSNSなどで目にすることはよくありますが、実際に「EVで立ち往生に巻き込まれて電欠しちゃった」という方に、私は出会ったことがありません。「電欠で死ぬかと思った」といった体験をされた方がいらしたら、コメント欄などで教えていただき、ぜひ取材させていただければと思います。
良いお年を!
取材・文/寄本 好則
今回は電池残量80%ということで余裕のある状態したが、例えば長距離移動後など電池残量が少ない場合はやはり電欠の心配をしなければなりませんね。
おそらく乗り捨てられたエンジン車も元々燃料残が少なかったのではないかと思われます。
3時間後程度のアイドリングで満タン燃料が切れるわけありませんからね。
何より電池は充電時間が長い事や充電施設が少ないことから精神衛生上もよろしくない。ずっとハラハラしながら過ごす車内はリラックスも難しいでしょう。
ガソリン車はガソリンスタンドでしか給油できませんし災害時はガソリンの配送も止まりますがそれにはハラハラしないんですかね?
ちなみに電気はどこでも充電できますし配電が止まっても太陽光パネルさえあれば充電できますが……??
ガソリン車
何か、情報操作されてますね!(¯―¯٥)
渋滞時、乗車中に一酸化炭素中毒事故!
嫌、普通に出る!二酸化炭素は、まんま毒ガス(¯―¯٥)
地下室の工事現場等で起きる!酸欠事故
報道される!のは、酸欠事故で。
決して二酸化炭素中毒事故とは、しない!
其れこそ、暴動が起きるか?
然し、大気中に、僅かに二酸化炭素が増えただけで!眠くなりそのまま( ̄▽ ̄;)
大変に危険な二酸化炭素!
近未来には、大気よりも重い二酸化炭素の為に。
ゼロメートル地帯の多い!
大都市部には、住めなくなると!(¯―¯٥)
近未来?
嫌、地下工事現場では、酸欠=二酸化炭素中毒事故が起きてる!
普通にね!
ガソリン車が停まった場合、「積もった雪でマフラーがふさがれないように定期的な雪掻きを行う必要がある」などと記事によってはさらりと書いていますが、しんしんと雪が降る中でする作業は大変ですし、ドアの開け閉めでせっかく暖まった車内が急速に冷えてしまいます。また、作業中に頭や体に雪をかぶってしまいますから、中に雪を持ち込んで室内を濡らしてしまいます。車の中にこもったままで外に出なくて良いEVは、こうした場面で利点があります。以下、「雪で渋滞したら、電気自動車は危険?」とブログを書いています。
https://evnews.blog.jp/archives/48064119.html
ちなみに2016年にしたアイミーブMグレード(10.5kWh)での実験は以下です。
エアコンのヒーターコントロールダイヤル、暖房側に6段階のうち最少の1段目で使用
送風は8段階の中の最少の1段目で使用
電池残量割合(SOC)は1時間に約4〜5%ずつ減少
計算上、スタート時に残りの容量が40パーセントであれば約8〜10時間、暖を取ることができます。
このevsmart記事にあるようにエアコンをオフにしてシートヒーターを使用、電熱ブランケットと毛布を重ね着すれば、もっと減少は少なくすることができます。実験をした2016年には電熱ブランケットを持っていませんでした。
また、今ではブランケット用にポータブル電源も備えています。準備さえしていればアイミーブでも大丈夫です。
「「暖房」はどれくらいもつのかをやってみた」
https://evnews.blog.jp/archives/13746809.html
12月末よりドルフィンロングレンジのオーナーになった者です。
私の場合は大雪で立ち往生になる様な地域を通る事はないのですが、東日本大震災を経験している身としては「備えは大事」という事を、改めて考えさせられるきっかけになりました。
EV
電気が減るのは走行で、ですね!
多少の暖房では減らない!
まあ、昔の三菱アイ・ミーブEVでは心元ないか?