●前編はこちら
街を散策しながら充電器探し
西安の街を散策しながら、電気自動車や関連施設を探してみました。
思ったより超小型EVを街中で見かけることは少ない印象でした。農村部などへ場所が変われば車事情が大きく変わり、超小型EVの割合が増えるのだと思います。
とはいえ、うさぎカスタムを施した宏光MINI EVがありました。
街中心部の城下町は、文化財保存の面で再開発できない事情があるようです。古い建物が立ち並ぶ一方で、車は新しいものばかりでギャップが激しいです。
思うより超小型EVを街中で見かけることは少なく、農村部などへ場所が変われば車事情が大きく変わってきます。
今まで見てきたショールームは狙って行っていなくたわけではなく、買い物や食事の空き時間に見かけたので入りました。
でも、ここまでEV充電器をひとつも見かけていませんでしたていません。せめて何かしらの充電器一つは見て帰りたいと思い、検索したところ、テスラのスーパーチャージャーが一番近くにあることがわかりました。
スーパーチャージャーがある百貨店について妻に聞いたところ「SKPは入りにくい」と言っていたことが、現地に行って理解できました。出入り口全てにドアマンが立っており、ある程度身なりを整えないと入店拒否されるようです。
地下駐車場にもたくさんの交通誘導警備の方がおり、少々怪しまれながらも充電器に辿り着きました。銀座三越や新宿伊勢丹の敷居をもっと高くした百貨店の地下駐車場にスーパーチャージャーがあるイメージです。ここではエンジン車などが止められないようにロック板で充電区画が確保されており、辿り着けば安心して充電できそうです。
兵馬俑や華清池へ観光しながらEV探索
周辺の観光がてらEV充電インフラ事情などを探索してみました(私は中国の免許証がないので運転も妻にお願いしました)。
西安市街地から50kmほど離れた郊外には、始皇帝陵や兵馬俑の観光エリアがあります。駐車場の一角に急速充電器を発見しました。兵馬俑観光には半日以上かかるため、「なぜ急速充電器が必要なのか?」と感じます。
案の定、充電が終わっている様子のEVがたくさん放置されていましたが、充電器の台数があるので特に困った様子はなかったです。もちろん、駐車場にはEVが至る所に停まっていました。
ちなみに、現地での移動は、妻の実家の車(約15年愛用のホンダシビック)でした。そろそろ乗り換え検討していたので西安モーターショーへ車を見に行きました。妻の父は色々と試乗最中のようで、テスラのモデルY or ジーカーの001の2台で迷っているようです。
兵馬俑と華清池は、西安を訪れる際にはぜひおすすめしたい場所です。
華清池は、世界三大美女の一人「楊貴妃」と深い関わりのある観光スポットで、夜に行われる屋外舞台がおすすめです。また、漫画「キングダム」のファンであれば、兵馬俑や始皇帝陵は当時の圧倒的な規模感や絶大な権力を感じられるアツいスポットですので、ぜひ訪れてみてください。
物価について
物価は、上の写真のような開発エリアのショッピングモールをメインで生活すると、日本と変わらないか、むしろ高い生活コストがかかります。
下町の飲食店では、1食200円以内でお腹いっぱいになることができます。地下鉄は数十円から数百円、タクシーは日本の半額以下で、アプリで呼べばすぐに来るので便利です。
私はスニーカー集めが少し好きなので、中国発祥のスポーツブランドであるLI-NING(李寧)のスニーカーを見に店に行きました。1足2万円前後と、かなり高い価格&欲しいデザインのサイズがなかったため、断念しました。新興エリアで生活するには、稼ぎがないと大変そうです。
XpengやNIOを抑えたお気に入りEV 2ブランド
日本ではあまり聞かない、でも魅力的なEVブランドを紹介します。ちょっと「別枠」にしたかったので、あえて前編では紹介していませんでした。
街で見かける度 3段階
稀に見る⭐︎、まあまあ⭐︎⭐︎、たくさん⭐︎⭐︎⭐︎
ジーカー(極氪)⭐︎⭐︎
街中でも異彩を放つZEEKRです。搭載しているヤマハのスピーカーで音楽をかけさせてもらいましたが、標準オーディオで結構良いと言われるテスラを圧倒していました。内外装もXpengやNIOより高級感がありながら、600万円〜とコストパフォーマンスに優れています。ギミックも充実しており、ドアノブのボタンを押せばドアが開き、乗り込んでブレーキペダルを踏めば自動でドアが閉まるのは、完全にテスラモデルXの機能をコピーしています。
ハイファイ(華人運通)⭐︎ゼロ
最後に紹介するのは走るゲーミング車(?)「HiPhi」です。ホイールは22インチを履いており、フロント255/45/22、リア285/40/22の巨大タイヤを装備しています。トランクは狭く、実用面ではとても不便そうですが、「HiPhiZ」はロマン溢れる車です。ドアノブを無くし、全てボタンで自動開閉し、マッサージ機能がついているのはもちろん、外観のデジタルピクセルをカスタマイズして様々な絵文字を表示することができるなど、意味不明な機能がついています。個性的で、他の人とは被りたくない方にはピッタリのEVです。「HiPhiX」や「HiPhiY」は実用的な車種になりますので、安心して乗ることができます。
最後に、帰路で立ち寄った上海の写真です。
初めて東京に行った時の「都会はすごいな〜」という感覚を再び感じました。南浦大橋という巨大な橋があり、レインボーブリッジに似た形をしているのですが、片側3車線でとても大きかったです。都市部が全てではありませんが、このような都市がまだいくつも中国国内にあると思うと、そのスケールの大きさには恐ろしさを感じます。
空港へ駐車場での注意点
成田空港にはマイカーのテスラ モデルSを11日間停めていました。バッテリーのSOCは、こんな感じです。
行きー自宅94%→成田空港75%
11日間の駐車ー75%→66%へ(1日0.8%消費)
帰りー成田空港66%→寄り道〜自宅27%
駐車中、1日あたりの消費電力は0.1〜1kWhでした。テスラの駐車監視機能「セントリーモード」をOFFにすると、この消費量になります。遠隔操作でアプリを起動すると、車が通信するために電源が起動し、電池を消費します。また、監視機能の「セントリーモード」をONにして駐車すると、カメラが起動してさらに電池を消費します。
私の車の場合、セントリーモードをONにしていると1日あたり5%前後、4〜5kWhを消費します。そのため、空港に停める場合はセントリーモードをOFF。もしセントリーモードをONにして11日間駐車していた場合は、50%前後の電力を消費し、残りの電池が20%になってしまい、充電しないと家まで帰れなくなってしまいます。
長い間、テスラ車を空港へ駐車する時は、以下の点に注意してください。
●セントリーモードをOFFにする(録画されないので心許ないですが、、)
●スマートフォンでアプリを起動しない&ウィジェットも使用しない
●外部サービス(TeslaFiなども)の通信を一時中断する。サードパーティー製のアプリも遮断。
● オーバーヒートプロテクションをOFFにする(1日ですが夏場は節約になります。)。
テスラ車以外のEVも、アプリで車の状態を確認できると思いますが、旅行中はなるべく起動しない方が良いでしょう。今回は複数回アプリ起動、ウィジェットも使用していた状態です。
長くなりましたが、以上で中国訪問記を終わります。
日本国内の報道では、「中国はBEV一本足打法」という印象が一般的かもしれません。私もその一人でしたが、現地を訪れてPHEVの人気と種類の豊富さに驚かされました。PHEVの利点の一つは、電気とガソリンの両方を使用できることです。これにより、長距離移動時にも安心して使用できます。長期休暇の帰省ラッシュでは高速道路が中国では大パンクするので安心材料としてのPHEVはやはり人気なようです。
BEVでは、やはりベンチマークのテスラを研究し、内外装で負けない魅力的な車種を数多く発売しています。しかし、ソフトウェア部分のバグ・不具合のクレームは中国SNSを見ると各社苦しんでいるようにも見えます。
BYDとテスラの2強であるとともに、あれだけの数が走っていて売れている理由は、車も充電網もトータルで「使いやすいから」だと思います。ただし、私は自宅に充電器がなければどのBEVも選択しませんし、迷われている方にもお勧めしません。自宅近くに急速充電器があれば運用できると言っている方を見かけますが、向き不向き、大半の人には受け入れられないと思います。BEVは自宅充電が真価だと言うことを念頭に、ぜひ色々なBEVに乗って使ってみてください。
ENECHANGEの記事で中国BEV普及調査を発見しました。こちらもぜひご覧ください。
「中国のEV普及率、普及拡大の取り組みとは」
写真・文/石井 光春
興味深い記事ありがとうございます。20年前に西安に行ったことがありますが、だいぶ風景が変わったように思います。(当然ですが。。)
ところで、中国の公共充電器(普通、急速)は時間課金なのでしょうか?従量課金なのでしょうか?それとも混在しているような状況なのでしょうか?