西安モーターショー2023で見た電気自動車【中国訪問記】

ゴールデンウィーク(4月28日〜5月3日)に開催された「西安モーターショー2023」に行ってきました。残念ながら、2時間ほど駆け足で見学したため、細かな説明を受けることができませんでしたが、写真館にしますので、展示会の様子と中国自動車メーカーをぜひご覧ください。

西安モーターショー2023で見た電気自動車【中国訪問記】

そもそも西安ってどこ?


西安市は、中国中央部にある内陸の都市です。古都として人気のある観光地であり、人口は約1200万人で、東京都の約1400万人に近い規模です。かつては「長安」と呼ばれ、秦の始皇帝、兵馬俑、楊貴妃、そして漫画「キングダム」など、日本でも馴染みのあるものが多くあります。現地のNEV(新エネルギー車)普及の様子などについては、別記事で紹介する予定です。

西安モーターショー2023


現地での移動手段は家族が所有する年季の入った八代目ホンダシビック。15年近く乗っており、そろそろ乗り換え先の下調べとしてモーターショーへ赴きました。会場は、街の中心からクルマで30分ほど少し離れた西安国際展示場。新しく開発されている区画で街並みは整備されており、試乗車が走り回っていました。


地下駐車場には、緑色ナンバー(新エネルギー車)が多数で、ガソリン車と半々ほどの割合でした。左側には日産アリア、右側にはZEEKR001が駐車しており、その隣には一番よく見かけるテスラモデル3がありました。


急速充電器のエリアを発見しました。誰も使用していなかったようです。
※今回の中国訪問では充電インフラの探索や充電体験はできませんでした。年内に再度行く予定なので、次回体験できたらと思います。


会場の全体図です。上海モーターショーにも出展していたスタッフによると、規模は約3分の1程度の印象で出展メーカーも少ないとのことです。テスラは上海モーターショーにも参加していませんでした。NIOを見たかったのですが、不参加でした。日本勢からはトヨタ、ホンダ、日産、マツダが出展していました。欧州勢はアウディ、VW、ボルボ(実質中国)でした。街で大量に見かけるBMWとメルセデスベンツが不参加だったのは意外でした。


中国のGW明け日(5月2日)であったこともあり、朝一からスムーズに見学できました。じっくり見ると1日では足りなさそうです。それでは、駆け足で見てまわりましょう。※写真も見た順路です。

VW ID.4/ID.3


最初に目に飛び込んできたのはVWのブースです。同社はIDシリーズを前面に押し出しています。私が滞在していた10日間で遭遇したのはID.4が3台、ID.3が5台程度でした。

吉利汽車 熊猫mini


VWブースの正面には吉利汽車。発売したばかりの小型EV「熊猫mini」は、日本円で100万円ほどの価格です。

奇瑞汽車 Arrizo 5 GT


奇瑞汽車の「Arrizo 5 GT」。NEV以外にも、最近発売されたガソリン車も展示されています。こちらは若者向けで、約200万円程度です。

広州トヨタ bZ4X


広州トヨタには「bZ4X」。日本ではリースのみですが中国では購入できます。
滞在していた10日間で遭遇したbZ4Xは1台。

レクサス RZ450e


レクサスのBEV「RZ450e」の価格は750〜900万円です。西安ではレクサスはあまり見かけられず、RX数台、LS2台程度でした。日本車大好き家族はレクサスを車買い替えの第一候補としていましたが、中国メーカーの品質向上とコストパフォーマンスを目の当たりにし、候補から外れてしまいました。

東風本田 e:NS1/CR-V PHEV

東風本田のBEV「e:NS1」は、本田のEVであるホンダeの可愛らしい印象が強かったため、初めて見たときにはEVとは思わなかったです。隣にあった新型シビックに引けを取らないかっこいい車でした。「CR-V PHEV」のEV走行距離は約80km。人気のBYD「宋Plus」とは、車格が近く、ライバルとなる車種です。

上海汽車 CLEVER


100万円ほどのBEVです。宏光miniを含めた中国小型BEVは、日本の軽自動車サイズよりも一回り小さい格安BEVが多いです。日産サクラサイズの車自体少ない印象です。

一汽トヨタ bZ3

一汽トヨタには「bZ3」。トヨタのハイブリッドで培った電動システム×BYDのLFPバッテリーで共同開発されたBEVです。価格は300~400万円。悪きCLCTモード航続距離600kmのところ実際に走れるのは450km前後かと。新型プリウスっぽさもあり、カッコよく日本でも受け入れられそうなBEVでした。

ヒョンデブース


日本へはIONIQ5で再参入してきたヒョンデ。IONIQ5やIONIQ6など見当たらず、ガソリン車が多く展示されていました。

東風日産 ARIYA/啓辰 大V DD-i

東風日産には「ARIYA」BEVが500〜600万円する一方で、価格を抑えたサブブランドの「Venucia(啓辰)」PHEVが300万円ほど。所々ARIYAの面影がある兄弟車がほぼ半額です。
滞在していた10日間で遭遇したアリアは2台。

紅旗(第一汽車) E-HS9/H6/HQ9

一番目立っていた「E-HS9」は1000~1200万円のBEVでまさに豪華絢爛な装備の車です。スポーツセダン「H6」に巨大ミニバン「HQ9」とBEV以外の車種も多様。
紅旗(第一汽車)は日本にも上陸しており、EVsmartブログでも取材して紹介しました。

長安汽車 SL03

長安汽車の「SL03」はBEV、PHEV、FCEVのラインナップがある珍しい車種です。
関連記事はこちら。

哪吒汽車 Neta S/Neta GT

哪吒汽車の「Neta S」は4ドアセダンで最上位グレードはスーパーカーのようなドアの開け方をしていました。価格は400万円~と若者向けの展開をしているとのこと。「Neta GT」は2シーターのBEVで一見小さそうに見えましたが、幅は1,979mmと日常使いには困るサイズです。

BYD(比亜迪) 宋Plus/漢(Han)/海鴎(Seagull)

日本に「ATTO3」で上陸してきたBYD(比亜迪)はPHEVが豊富です。SUVの「宋Plus」は街でよく見かけますし、セダンの「漢(Han)」は送迎車としてたくさん走っていました。BEVに注目されがちですが、本当の意味でのBYD日本進出は格安なPHEVが来る時なのかもしれません。都市部では小型EVをほとんど見ませんでしたが、郊外(中小都市農村部)では、小型EVが通勤、買い物や子供の送迎などで重宝されているようでした。

マツダブース


電動化の雰囲気はありませんでした。

LYNK & CO(吉利汽車) 09EM-P/01EM-F


実質ボルボやロータスの技術が入っていると説明を受けたブランドです。こちらもBYD同様にPHEVが豊富でBEV専用「ZEEKR」と棲み分けがなされているようです。「09EM-P」は600万円~のPHEVで40kWh搭載しており、EVモードでは150kmほど走行可能。浙江吉利控股集団(吉利汽車/ボルボ/ロータス/LYNK &CO/ZEEKR)

ボルボブース


LYNK &COとZEEKRが隣で展示してたためか、ボルボはガソリン車展示が多数。

ORA(長城汽車) Funky Cat


ORA(長城汽車)の「Funky Cat」はVWのID.3に近いサイズのBEVです。欧州で自動車アセスメントを手掛けるEuro NCAPで星5獲得。

Li Auto(理想汽车) L8

Li Auto(理想汽车)はPHEVのみ展開で600〜1000万円の価格帯で人気。街でもすれ違うことが多く一目でわかる外装に冷蔵庫搭載など内装もとても良い車でした。

ZEEKR(吉利汽車) 001/009


ZEEKR(吉利汽車)はBEV専門ブランドです。「001」は価格600万円〜で電池増しオプションを選択すると航続距離1000km目指せるBEVです。モーターは日本電産/オーディオはYAMAHAが採用されており、パーツ一つ一つにこだわっているようです。フロントガラスにあるパリ風景の刻印は何かわかる?と聞かれガラス(SAINT-GOBAIN / サンゴバン)もこだわっていることをすごく主張していました。営業の方々もスタイリッシュな服装に統一されていて独特な世界観のあるブランドでした。

HiPhi(華人運通) HiPhiZ/HiPhiX

最後にHiPhi(華人運通)は1000万円越え高級BEV専門ブランドです。価格を抑えた「HiPhi Y」を今年出すと言っていましたが、名付けが完全にテスラです。別日、西安にできたばかりの一号店舗で説明してもらいましたが、色々な機能がてんこ盛りで使いこなすのが大変そうな反面、唯一無二で所有欲は高そうな車でした。

まとめ

西安という地域特有かPHEVも人気でBEV一辺倒ではない印象でした。初の中国訪問でしたが、たくさん走っている新エネ緑ナンバー=全てBEVではないことを実感しました。一線都市(北京/上海/深圳/広州)や中小都市農村部に行けば事情が変わってくるでしょう。多様性に富んでおり消費者側は選び放題、メーカー側は熾烈な生存争い状態です。国柄もあるでしょうが、少し車を眺めているだけで駆け寄ってきて男女問わずゴリゴリの営業でした。

また、欲しいと思ったNeta(1,980)やLi Auto(1,995)、ZEEKR(1,990)などは全幅1,950mmを軽く超えており、仮に日本で買えたとしても取り回しや駐車場運用で困るのが目に見えています。横に巨大化する中国EVは日本に来ても売れないでしょうし、来ることはないなと残念な気持ちにもなりました。その点、BYDは横幅を抑えたラインナップを持っており、ATTO3とSEALは1,875mm、DOLPHINは1,770mmに抑えています。

来年も中国のモーターショーを訪問できたら写真館にしたいと思います。中国の電動化にはスピードとスケールの大きさに驚かされるばかりでしたが、手篤い補助金制度が終了しました。2024年の北京モーターショーではさらなる飛躍か失速か、注目です。

写真・文/石井 光春

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この記事の著者


					石井 光春

石井 光春

10年落ちドイツ車を所有しつつレンタカーで様々な車を楽しんでいました。 初期日産リーフに乗ってから電気自動車に興味を持ち、AnycaでテスラモデルSP100Dを借りてテスラ購入へ。過走行気味な2台(モデルS &モデル3)の点検様子などもお伝えできればと思います。 続々と発売される新しい電気自動車に乗ってみたい今日この頃ですが、欲しい車はAudi TTRSです。

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