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電気自動車のバッテリー容量
電気自動車やPHEV(プラグインハイブリッド車)のバッテリー容量ってイメージがついていない方も多いのではないでしょうか?スマホをお持ちの方はモバイルバッテリーをお持ちの方も多いと思います。モバイルバッテリーとは出先でスマホの充電がなくなった時に、スマホを充電するものですが、大容量のものには20000mAh(にまんミリアンペアアワーと読みます)のものもありますね。20000mAhあるとiPhoneを10回くらい充電できてしまいます。モバイルバッテリーの電圧は3.7Vなので、容量は3.7 x 20000 / 1000 = 74Wh(ワットアワーまたはワット時と読みます)。74Wの電球を1時間つけっ放しにできる電力です。
電気自動車で最も売れている日産リーフのバッテリーは小さいほうで24kWh。リーフのバッテリーは、モバイルバッテリーの24 x 1000 / 74 = 約324倍、容量が大きいということになります。iPhoneの充電回数で言えば3240回分ということになりますね。1kWhは1000Whで、キロワットアワーまたはキロワット時と読みます。
電気自動車やPHEVのバッテリーは、電池のお化けです。日本の一般的な家庭の一か月の消費電力は300kWhですので、一日当たり10kWh(モバイルバッテリー135個分)。リーフのバッテリーがあれば、2.4日分の家庭の電力を賄うことができます。
実際に、緊急時や災害時などに電気自動車やPHEVから電力を家庭に供給するための技術、V2H(Vehicle to Home)も提供されており、対応車両とV2Hパワーコンディショナーという機器があれば、車の電気を家で使うことができます。
電気自動車・PHEVの車ごとのバッテリー容量の一覧は、電気自動車一覧の記事の一番下に表でまとめてありますのでご覧ください。
電気自動車のバッテリーの種類
先ほどの一覧に掲載されている電気自動車・PHEVはすべて、リチウムイオン電池というバッテリーを搭載しています。バッテリーには一番大きく分けると一次電池、二次電池があり、一次電池は乾電池のように充電ができず使いきりの電池、二次電池はスマホの電池のように充電ができて繰り返し使える電池です。リチウムイオン電池はスマホでも使用されており、二次電池の代表格です。
リチウムイオン電池以外にもいくつか二次電池はあります。その中で有名なのは鉛蓄電池とニッケル水素電池です。鉛蓄電池はガソリン車だけでなく、電気自動車やPHEVの補機用バッテリーとしても搭載されています。電気自動車やPHEVは、事故の際には乗員や緊急対応要員の感電を防ぐために定められた米国のFMVSS 305に準拠して、駆動用のバッテリーを自動的に切り離さなければなりません。そのため、もしエアコンやライトなどの電源を駆動用電池から取っていると、ぶつかった瞬間にエアコンもライトも切れてしまい、ドアや窓が開かなくなったりしてしまいます。鉛蓄電池は容量はあまり大きくありませんが、寿命が長く価格が安いので広く用いられています。最近はAGMと呼ばれる液がこぼれないタイプの鉛蓄電池も普及してきました。
ニッケル水素電池はトヨタがプリウスのハイブリッド用駆動用電池として採用していることで有名です。最新のプリウスにはニッケル水素電池のタイプとリチウムイオン電池のタイプの両方があるのですが、その理由はこれらの電池の特性の違いにあります。ニッケル水素電池は安価で、重く大きく、低温に強いのです。すなわち、寒冷地仕様であれば問答無用でニッケル水素電池が用いられ、低位グレードの車両にも用いられます。逆に燃費を重視(=軽くする必要がある)するグレードや高位グレードの車両はリチウムイオン電池です。リチウムイオン電池は高価ですが、軽く小さく、出力も高いのです。
ではどのメーカーも、電気自動車には同じリチウムイオン電池を使用しているのでしょうか?
いえ、違います。実は、電気自動車にとってバッテリーはエンジンと同じ。バッテリーで車の性能が差別化されるのです。そのため、各メーカー、バッテリーの技術開発にしのぎを削っています。
リチウムイオン電池は「ケミストリー」という内部の物質と、形状の違いでいくつかの種類に分けることができます。電池には陽極(カソード)と陰極(アノード)があり、そこから電気が出てきます。大きな一個の電池を作ることもできますが、万が一異常が発生した場合の対処、冷却のしやすさ、製造のしやすさなどを考慮して、通常はセルという一つの電池を複数組み合わせてバッテリーを構成しています。
セルの形状のうちよく使われているものは、円筒型セルとパウチセルがあります。円筒型はその名の通り乾電池のような金属ケースに入った円筒型をしており、小さいことが多いです。パウチセルはケースではなくパウチ、すなわち袋に電池の中身が入っており、柔軟にいろんな形状のセルを作ることができます。ほとんどの電気自動車メーカーがパウチセルを使用していますが、テスラモーターズだけは円筒型セルを使用しています。円筒型セルでも、並べ方を工夫すればある程度好きな形に配置することができますが、製造のコストは増加します。
通常は円筒形セルよりパウチセルのほうが体積当たりの容量は大きくなります。しかしパウチセルは大きいが故、冷却が難しく、円筒型セルでも充電するとわずかに「膨らむ」のですが、パウチセルは膨らむ量が大きく、形状が変わってしまうという問題点もあります。
ケミストリーはまさに、電池の中に入っている電極や電解液の種類の組み合わせを意味しています。電気自動車に使われているバッテリーのケミストリーは大きく分けて三種類あります。NMC(ニッケル-マンガン-コバルト)、NCA(ニッケル-コバルト-アルミニウム)、LTO(リチウム-チタン)です。NMCケミストリーは最もバランスの取れたケミストリーで、多くの電気自動車に使われています。NCAを使っているのはテスラ(モデルS以降、ロードスターはLCO)、LTOを使っているのは三菱自動車(アイミーブMグレードのみ)となります。日産リーフは以前LMO(リチウム-マンガン)を使っていましたが、海外生産版や新型ではNMCに移行しているようです。各ケミストリーをざっくり一覧にしてみましょう。資料はBattery University: リチウムイオン電池の種類にあります。
ケミストリー | 電圧 | 重量密度 | 充電 | 放電 | 寿命 | 安全性 |
---|---|---|---|---|---|---|
LMO | 3.7V | 100–150Wh/kg | 0.7-3C | 1-10C | 300–700回 | 高 |
NMC | 3.6-3.7V | 150-220Wh/kg | 0.7-1C | 1-2C | 1000-2000回 | 高 |
NCA | 3.6V | 200-300Wh/kg | 0.7C | 1C | 500回 | 中 |
LTO | 2.4V | 70-80Wh/kg | 1-5C | 10C | 3000-7000回 | 超高 |
この表を見ると、小さいスペースにたくさんの電気を貯め込める=航続距離が長くなるのはNCA、充電が高速なのはLTO、放電が高速で高性能な車が作れるのはLTO、寿命が長いのはLTO、そして安全なのもLTOとなります。あれ?LTOって「密度が低いのだけが欠点」なんですね。
電気自動車で最も重要なのは航続距離。LTOが搭載されているアイミーブMは電池の容量が10.5kWhでJC08航続距離は120km、アイミーブXは16kWhでJC08航続距離は180km。同じ車体で、実はMのほうが高速に充電できてバッテリーの寿命も長いのですが、どちらが売れるかというと言わずもがなですね。
Cというのは、電池に流せる電流の単位で、一定の電流で放電して1時間後に電池が空になるような電流を1Cと呼んでいます。例えばモデルSの電池は85kWhですが、これは85kWの電力すなわち85000(W) / 400(V) = 約212.5(A)で一時間放電すると電池が空になりますので、電池パック全体での値としては、1C=212.5Aとなります。逆に、1Cで電池を充電すると1時間で満タンになるはずなのですが、リチウムイオン電池の特性上、80%を超えると電流を減らさざるを得ず、1Cで充電しても充電時間は1時間を超えることがあります。
NMCやNCAケミストリーでも、実際の充電電流は1Cを超えていることが多いです。例えばリーフ24kWhでは1C=60Aですが、実際には125A=2.1Cでの充電となっており、モデルS 85kWhでは1C=212.5Aですが実際には333A=1.6Cとなっています。これでは電池の寿命が短くなってしまうわけですが、急速充電器は車両側と通信しながら充電を管理しており、2.1Cや1.6Cのままずっと充電を継続するわけではなく、電池の状況特に充電量(SOC=State Of Chargeと呼びます)に合わせて充電電流を減らしていきます。
電池の満タン度=SOCや温度、劣化度に応じて、充電電流を変化させつつ、できる限り短時間でたくさんの電気を充電する一方、電池の劣化を最小限に抑える技術は、各電池メーカーの腕の見せ所です。電気自動車ユーザーはなるべく「満タン放置」時間を最小限に抑える以外はあまり使い方を気にする必要はないのですが、電池メーカーによっては温度の高い状態で急速充電を繰り返すと寿命が短くなるケースもあるようです。電池温度が分かる車種では、電池温度が高温になったら80%以上の充電を避けるなど、少しいたわってあげると10万キロを超えて長持ちしてくれることでしょう。
電気自動車のバッテリー交換
ここまで読んでくださった方には、「じゃバッテリーの形を標準化して、電池が空になったらバッテリー交換スタンドで満充電のバッテリーと交換すればいいじゃないか!」とひらめいた方もいらっしゃると思います。事実、このような質問は大変よく聞きます。実はすでにこのアイディアは大規模に事業化され、失敗しています。最初に試みたのはベタープレイス。この会社はルノー・日産グループの協力を得て日本でも東京の虎ノ門などでバッテリー交換型のリーフ(注、市販はされていません)で実験を行っていました。しかし日本を含め、他の国での実験結果もあまりよいものとは言えず、会社はついに破産してしまいました。
もう一社は電気自動車で有名なテスラモーターズです。テスラは現時点で、世界でたった一か所、サンフランシスコとロサンゼルスの中間地点にあるHarris Ranchでバッテリー交換の実験を行っています。カリフォルニア州ではサンフランシスコとロサンゼルスの間を行き来する方が比較的多いのですが、飛行機を使う方と同時に車で長時間かけて移動する方もいらっしゃいます。もちろんモデルSではスーパーチャージャーがあるので無料で旅行できるわけですが、休憩兼充電時間ももったいないという方のためにこのサービスが提供されています。有料であることが理由かどうか分かりませんが、利用者はそれほど多くはないと聞いています。
なぜバッテリー交換はうまく行かないのでしょうか。
一つには技術的困難があります。バッテリーは非常に重く、リーフのバッテリーで約300kg、モデルSのバッテリーで約550kgあります。人間がよいしょと積み替えることはできず、フォークリフトのような専用の機器を使う必要があります。しかもバッテリーは車の底面にあるため、ベタープレイスでは車が坂を登って高いところに行って下側で交換、テスラは地下にバッテリー交換施設を設けて、車が駐車後、車の下の床のドアが開いてバッテリーを交換しています。またテスラの場合にはバッテリーだけでなく、バッテリー内には冷却液も入っているため、冷却液のコネクターも抜き差しした上で空気を抜く必要があります。
さらにバッテリーをどう保管するかも問題です。100%に充電した電池はそのまま保管しておくと、バッテリーの劣化につながり、寿命が短くなってしまいます。でもバッテリー交換スタンドに車が来たらすぐ交換したいですよね?その時に80%充電のバッテリーを渡すというのはどうでしょうか?テスラでは、この問題を、時間を予約することで回避しており、ほぼ100%充電のバッテリーを渡していますが、ベタープレイスでは100%のバッテリーをそのまま保管していたとみられ、寿命の低下につながっていたと推測されています。
もう一点、このブログでは何度も紹介していますが、ガソリン車にとってのエンジンは、電気自動車にとってのバッテリーだ、ということです。ガソリン車ではエンジンによって車の性能(スピード、加速、燃費など)が決まりますが、電気自動車ではバッテリーによって車の性能が決まるのです。それを標準化したら、どの車も同じになってしまいませんか?ベタープレイスはこれを提案し、ルノー・日産は実験に参加しましたが、他のメーカーは参加しませんでした。
つまり、バッテリー交換ができるようなインフラがあっても、それを利用するためには車を共通化せざるを得ず、広く一般に販売するような乗用車では差別化ができなくなるため、採用するメーカーが出てこないということなのです。
こんにちわ。まだ車用のバッテリーについて知らないことが多く重さが300キロ500キロを超えていることを知って驚きました。で、質問についてですがバッテリーの中身ってどうなっているんでしょうか?あと、今より軽量化した小さなバッテリーを複数並べて使うのはどうなんでしょうか?馬力は小さくなると思いますが長時間走行が出来て交換も容易になると予想出来ますが….素人の考えなので笑ってくれて構いません
ガウディ様、コメントありがとうございます。
>バッテリーの中身
電気自動車の駆動用バッテリーは通常バッテリーパックと呼ばれます。バッテリーパックはその中にモジュールという小分けの単位が入っていて、モジュールはさらに小分けの単位であるセルで構成されています。またリチウムイオン電池の最小単位はセルですが、このセルの電圧は3.7Vくらい(満充電で4.2V)しかなく、通常は96セルもしくは、108セル程度を直列に接続して使います。つまり、最低でもバッテリーパック内には96個のセルが入っているわけですね。初代日産リーフでは、これを二組使って全部で192セル、新型リーフでは三組で288セル。テスラモデル3はセル一個のサイズが小さく、全部でなんと4416個のセルを使用しています。内部構成は4モジュールに分かれており、2つのモジュールが23個のグループ(1グループは46セルから成る)、2つのモジュールが25個のグループで構成されています。そういう意味で、今より軽量化した小さなバッテリーを複数並べて使う、、はすでに実現されています。
問題は交換です。
例えば96S2Pという、初代リーフの電池を考えてみましょう。96Sとは、96個のセルが直列になっていることを意味し、2Pとは2つのセルをセットで並列にしていることを意味します。96×2=192個のセルですね。ここではまず先に2並列にして、これを96個直列にする構成を仮定します。これで300kgとするとセル一個あたりは(ほかの構造物の重量を100kgとして正味200kgのうち)約1.04kg。10kgくらいなら持ち上げられますかね?取りあえず10セルを交換できるようにしたいと思います。電池が残3%になった状態で10セルをバッテリーパックから取り外し、満充電にした10セルと交換すると仮定します。この状態で3%分走行するとどうなるでしょうか?
192-10=182セルについては、空になります。
10セルについては97%充電になります。この状態で182セルは切り離さないといけませんので(過放電は電池を痛めます)、電池の電圧は10/192=5.2%まで落ちます。これが100馬力の車だったら、5.2馬力になります。これでは駐車場から走り出せません!
じゃテスラの例で、(実際にはそうなっていないのですが)96S46Pの構成を、最初に96S=96個、直列にしたモジュールを作って、それを46個用意し、並列にしたものを作ってみましょう。テスラの電池パックは仮に400kgとし、100kgをケースと仮定すると、96Sのモジュールは6.5kg。これも2個くらいなら何とか持ち運べそうですね。では先ほどと同じように電池が3%まで放電した時点で、44モジュールは車内に残し、2モジュールだけ満充電したものだけを接続しましょう。44モジュールのほうに2モジュールをつなぐと2モジュールから44モジュールに充電されちゃうので、走り出す前に2モジュール側の電池がなくなってしまいます。
すると電圧だけはきちんと出るのですが、馬力が出ないだけじゃなく、問題は容量が2/46=4.3%しかないということ。
電池交換前=航続距離500kmの車で、3%だったのだから、15km残
電池交換後=500×2/46=22km残
せっかく電池交換したのに、航続距離は7kmしか伸びませんでしたね。
バッテリーを交換する場合、バッテリーパック全体を交換する方法が現時点では現実的で、中国ではNIOが実現し、現在もバッテリー交換ステーションの建設は続いています。
しかし一方、電池製造のトップメーカーである中国CATLや、電気自動車のトップメーカーであるテスラは、セルをシャーシ内に組み込む方法を模索していると言われており、今以上に「取り外せず、シャーシの一部となっている」電池を採用すると言われています。その理由は、電池交換が非常に難しく、また細かい技術的課題が存在しているからとも考えられいます。
一つ例を挙げますと、例えば事故で車両の下回りを強く打ってバッテリーが一部損傷している状態でバッテリー交換ステーションに到着した車がいるとします。このバッテリーは、損傷を受けているので、長時間の振動や継続的な衝撃により破損し、発火するリスクがあります。これがバッテリーが集まっている場所で発生したらどうなるでしょう?またはそのバッテリーが充電され、別の車両にバッテリー交換で取り付けられたとします。その車両が火災を起こした場合、その責任は誰にあるでしょうか?
> 電池には陽極(カソード)と陰極(アノード)があり
逆ではありませんか? カソードが陰極、アノードが陽極だと思いますが。。
ちあき様、ご質問ありがとうございます。半導体などでは、カソードが陰極になるのですが、電池では酸化還元の方向が逆になりますので、カソードが陽極となります。
分かりにくいですよね。
こんにちは
いつもたくさん有益の情報をいただきまして、どうもありがとうございます。
EVのバッテリについて一つ伺いたいとも思います。
一説によりますと、高圧バッテリと接続している電流センサの精度を向上すれば、航続距離がさらに伸びるようです。
その理由は次のようになります。EVを運転するときに、電流センサの出力を積算してバッテリの容量を推測し、運転可能な距離を算出しているようです。電流センサの精度が低い場合、その誤差を見込んだ分のバッテリの容量が使用されていません。実質バッテリの使用可能な容量が少なくなっています。そのために、精度の高い電流センサを使用する場合、バッテリをもっと有効利用できて、つまり航続距離が長くなります。
上記の説は本当でしょうか。何か定量的な参考資料があれば、教えていただきたいと思います。
長文で大変恐縮です。よろしくお願い致します。
EVFan様、コメントありがとうございます。バッテリーの容量予測は電流積算だけではないと思います。電流の積算以外にも、温度が下がれば残容量は減少しますし、エアコンが入ればその消費電力によっても影響を受けます。またバッテリーはわずかずつ劣化していきますので、常に総容量が同じわけでもありません。
そういうことを前提においた上で、正確な容量予測は非常に重要であることは間違いないと思います。現実に多くの場合、テスラでは0%表示まで使い込むことが可能ですし、私も良く5%未満まで使用して、電欠したことはありません。もちろん0%も数回経験しています。
恐らくこれは電池をある程度自社内で製造し、その特性を知り尽くした上でソフトウェアを書かないと実現できないのではないかと思います。というのは電池のベンダーはBMS(バッテリー管理ソフトウェア)を提供すると思いますが、電池がギリギリのとき、急に上り坂になったり、アクセルをベタ踏みされて、そのまま車が指示に従ったら、BMSは急に電圧が硬化したことにより、遮断を選択する可能性がなると思います。こういう場合、車両を制御するソフトウェアは、状況を複合的に判断し、加速を緩やかにしたり出力を制限したりする必要があります。
このあたりのノウハウがある会社の車両は、電池が少なくなっても心理的余裕が大きいです。
電池寿命が長いアイミーブMに乗っています。
調べたところ電池(東芝SCiB)の化合物はLTO(リチウム・チタン酸化物)が使われていますね…サイクル寿命1万回以上とありますから、おそらく車が壊れるまで乗せ換えはなさそうです。
5年落ちの中古の状態で94%の状態。リーフだとセグが欠けていそうな年数ですが、アイミーブMは実際走らせても新品と大差なかったです。カタログ数値120kmに対して冬の実走行距離70km…まぁこんなものでしょうか。
真冬の岐阜県飛騨地方での急速充電も容量ほぼゼロから80%まで15分未満でしたから相当タフでラフに扱っても安心な電池だと思います。
SCiBの記述を調べたところ、10Cまでの充電電流に耐えられるそうですから今のCHAdeMO充電器なら余裕でしょうね。
ただ難点をいうなら高温時の充電速度が遅いことでしょうか…44kW充電器で冬だと125A流せたのが夏(30℃以上)だと100Aまでしか流れませんでした。やはり普通のリチウムイオン電池に同じく高温には弱いようなので駐車場所には気をつけないといけないと思います…自宅に屋根付カーポートをつけないとヤバイかも。
もうひとつ致命的な難点をいうなら電圧の低さからくる容量不足…大概のリチウムイオン電池が3.7VなのにSCiBは2.4Vだから同じアイミーブ同士でもGとMとでは容量も航続距離も1.5倍違います。それがユーザーの不満を招いてMは思ったほど売れなかった気がしますが。
せっかくバッテリーの記事があるのでコメントしましたが…さすがにユーザーが少ないのか?東芝SCiBに関するコメントが少ないなぁと嘆いています。
細菌東芝からアナウンスされた、現行型の倍以上容量がある次世代SCiBがEVに積まれていたらいいなぁ…と思いながら、今年4月でアイミーブMモデルが生産中止になり次が出るのか?不安に思ったりもしています。
個人的には現在、東芝SCiBがもっと普及してくれれば…と思います。では。
ヒラタツ様、SCiBについてのコメントありがとうございます。
現時点では電気自動車のデメリットと世間で思われていることは、ナンバー1が航続距離、ナンバー2が充電速度です。実はSCiBは#2は解決できるのですが、#1が解決できないんですよね。現行型の倍以上の密度になって、やっと現行NMCリチウムイオン電池レベル。さらに密度の高いNCAリチウムイオン電池には到達できず、結果として#1の解決がどうしても難しいため、東芝さんは車両への搭載は諦めたのでしょうか。LTOは寿命が長いというメリットもありますので、電力会社用の蓄電池としての活路がベストかも知れません。
こんにちは、質問させて下さい。
EVカーのバッテリーが非常に重く、即ち燃費にも直結する事から各メーカーは軽量化の検討をしている事と思います。
PHEVのバッテリーも同様に重いのでしょうか?
また各メーカーどのような軽量化を検討しているのか、気になります。
KN様、ご質問ありがとうございます。リチウムイオン電池は、そもそものバッテリーが重く、EV用だろうがPHEV用だろうが重いことには変わりありません。ただ10kWhのPHEV用バッテリーと100kWhのEV用バッテリーでは電池の重さがそもそも10倍違いますので、当然ですがEV用のほうが重くなります。また設計もメーカーによってかなり異なります。以前の車両では車体構造をまず作って、そこに部品としてバッテリーを載せていましたが、軽量化のためにバッテリーも車体構造の一部とするような設計が増えてきたと感じます。確かに燃費というか電費に重量は直結するのですが、航続距離にも直結するわけなので、結果としては現在、少なくともEVに関しては重くなろうが気にせずバッテリーは積めるだけ積む、というのがトレンドではないでしょうか。ガソリン車では回生ができないため重量は燃費に直結していましたが、EVやPHEVではバッテリーが大きく、最大50%以上の加速に使ったエネルギーを減速時に回収することができます。またバッテリーが大きければ大きいほどこの回生効率は高めることができます。ざっくり乱暴に言ってしまうと、EVでは重量の燃費への寄与度は、ガソリン車の半分くらいとも言えると思います。
EVでの電費向上は、航続距離がメインとなります。そして、航続距離はストップアンドゴーではなく、高速道路での航続距離が最も問題になります。そのため、一部のメーカーでは空力特性を最優先で設計し、航続距離を伸ばしている例があります。特に米国の燃費基準では高速で走行するときの燃費/電費が大きく数字に影響するため、米国マーケットを意識している車両は特に空力優先・居住性低優先になっていると思います。
こんにちは。
新エネ車に関する情報でうろ覚えが生じたときにはいつも此方のブログを拝見し、勉強させて頂いております。有益な情報をいつもありがとうございます。
一点お伺いさせてください。
現在、数あるEVバッテリーの内、主流なのはリチウムイオン電池だと認識しております。
一方で、全固体電池の開発が急速に進んでいる状況下、メインで用いられるのが全固体電池になる日も近いのでしょう。
その場合、全固体電池搭載車も”EV”という括りに入りますよね?
同じように電気で動いているFCVがEVという括りから外れるのは、駆動メカニズムと言いますか、自家発電が出来る点で外部充電のEVとは異なる為、という理解で宜しいでしょうか。
ご回答頂けますと幸甚です。
K様、ご質問ありがとうございます。EVというのはElectric Vehicleですから、電気で走行する車はすべてEVと呼んで良いと思います。全固体電池を搭載していても、リチウムイオン電池を搭載していても、EVと言えると思います。またFCVですが別名FCEVとも呼ばれており、FCスタックは圧縮水素を使って発電し、バッテリー(ここでもリチウムイオン電池です)に貯めつつ走行する車なので、結局電気・モーターで走行しています。そのため、FCVもEVの一種と呼んで良いのですが、一般的に混乱が生じるためEVとは呼ばないことが多いですね。現行のFCVはバッテリーの外部からの充電ができないことからも、EVとは呼ばないのだと思います。
ガソリンエンジンで発電し、かつ外部充電も可能なPHEVは、どちらかと言うとEVの仲間になると思います。そうなると、発電機構を持たない純粋なEVというのもあるわけですが、これらはBEV = Battery Electric Vehicleと呼ばれています。
御丁寧に有難う御座いました。
大変勉強になりました。
職種柄、新エネ車はとても興味がある事業領域ですので今後もブログを拝見させて頂きます。
オープンなお立場から、とても貴重な御回答を頂き、ありがとうございます。
おおいに参考にさせて頂き、競技車両規則を制定準備を進めてまいります。
並行して日本の電池メーカー各社(パナソニック、東芝とは既に接点をもっております)、及び日本自動車工業会(既に接点をもっております)を通じて個別自動車メーカーにも御意見を拝聴してまいります。
御多忙のところ、貴重なお時間を頂き重ねて御礼申し上げます。
自動運転自動車レースに出場することのできる自動運転自動車 Autonomous Car (ドライバーレス:レベル5)に搭載する電池を競技車両規則で「レース主催者によって決められた同一仕様の電池のみが全てのエネルギー源であること」としたいのですが、この規則に合致させるのに最適な電池仕様を想定するとしたら、それはどの様な仕様だと思われますか?
Koichi FURUDONO様、ご質問ありがとうございます。なるほど、エンジン車における、同一エンジン使用のこと、というレギュレーションに相当するものということですね。今の電池の世界ではなかなか難しそうに思えます。というのもほとんどの近代的な電気自動車、GMのBOLTやテスラでは、バッテリーは底面搭載となっており、取り外しができず、車両の構造の一部となっているからです。実際にレースを走行するとなると大変多くのエネルギーが必要であるため、エンジンやガソリンタンクのようにポン付けでも動かせる機構と異なり、バッテリーは汎用性というか統一が難しいと感じます。また容量についても同じにしないと、例えば50kWhのバッテリーと100kWhのバッテリーでは、重量も二倍近く違いますが、加速性能も二倍違ってしまいます。
そういう意味では、このようなバッテリーを生産するには、バッテリーメーカーの協力が必要な気がします。以下にいくつかアイディアを示してみますが、私は経験がありませんので、コンバートEVを扱っているところで協力を依頼することをお勧めします。
1. 一番楽なのは、コンバートEVを扱っているショップで販売しているリチウムイオン電池を指定して、その規格を決めてしまうことです。課題は、これら安価なものは中国製であることが多く、同一の仕様のものが入手しづらいということだと思います。また中国製で日本に出回っているものはLiFePO4という種類のリチウムイオン電池で、これは密度が低く、たくさん搭載しても大した容量にならず、おそらくちょっとの距離しか走行できないと思います。
2. 二番目は、できるかどうか分かりませんが、きちんと電池メーカーに話を通して供給してもらうことです。電池をモジュールで販売しているのは東芝さんなどがあります。他のパナソニックさんやトヨタ系のプライムアースEVエナジーさんなどは自動車メーカーしか相手にされないかも知れません。ただこの場合きちんと買うわけですからBMSなども含めて供給してもらえる可能性が高いですし、万が一の事故の際にも安心だと思います。
3. 最後は、自動車メーカーに話を通して、ある車両のバッテリーそのものを供給してもらうということです。この状態なら、モジュール(=ばらばら)ではなく、バッテリーパックとして組み上げ、衝突時の安全性なども考慮したケースにも入っている状態になりますから、大きく重くはなりますが、入手性は高いと思います。もちろん自動車メーカーがノウハウの塊であるバッテリーパックを販売するかどうかは不明ですが、少数であれば応じてもらえる可能性もあるかもしれませんね。
いずれにしろ簡単なお話ではなさそうですが、頑張ってください!
こんにちは。私は車のスペックを眺めながらあれこれ想像するのが趣味な変わり者です。バッテリーについて非常に深い知識をお持ちと見ました。
現行リーフの30kwh版にはNMCバッテリーが採用されていることを知りました。そこで考えてみたのですが、NMCバッテリーの放電レート(2C)を考えると無理な運用をしている気がします。リーフの出力は80kwありますので、30kwhバッテリー場合、最大出力時には放電レートはおよそ2.8C程度(計算については省略させてください)になるのではないかと思います。これはスペック値の上限を超えて使うことですが、何か問題は起こらないのでしょうか。次期リーフでは30kwhを2つ並列にし60kwhとすると思われるのでその悪影響は半分となり、問題はなさそうなのですが…
素人考えを書き連ねましたので間違っている点もあるかと思いますが、これについて教えてもらえますか。
sijoumaniaさん、コメントありがとうございます。私もそこまで詳しいわけではないのですが、電気自動車の世界では、モーターも電池も、定格と瞬間というのは別物として考えて良いようです。確かにそういう意味ではガソリン車も音がでかいのであまり無理はしないと思いますが、ずっと7000回転で走行していたらエンジン壊れるかも知れませんね。実際リチウムイオン電池は一般的に1C前後の放電で利用するのが良いようです。ただそれだと30kWhだと30kWしか出せず、単に遅い車になってしまいますよね。そこである程度瞬間的に超えて利用できるようにしているのだと思います。テスラなどは100kWhバッテリーで最大500kW超まで出力できるようにしていますからピークは5Cにも上ります。ただ、バッテリーが過熱している兆候を検出し、最大出力を半分以下に絞ったり、バッテリーを強制水冷したりしています。
一般の消費者としては、バッテリーを酷使するようなサーキットでの走行や無茶に飛ばす(!?)みたいなことをするのは、バッテリーの寿命を縮める行為になると理解しています。
逆にバッテリー劣化にとって影響が大きいのは、長時間継続することがないピークの放電レートというより、高温でのフル充電での保管や高温下での充電のダメージが大きいと思います。当初リーフなどは80%充電設定ができましたが、現在は100%がデフォルトとなっており、これをこのまま知らずに利用しているユーザーも多そうに思います。これは、EPAが80%と100%の設定があった時代に、それぞれの航続距離の平均値をもってEPA航続距離と査定していたため、100%のみにしたと言われていますが、テスラは50%-100%まで自由に設定できるのに100%時の航続距離で認定を受けています。
レンタカーなどで使われていたリーフは屋外放置で100%充電だったということなので、数年で寿命が尽きてもおかしくない使い方だと思われます。まあ当時24kWhだったわけで、これを80%充電で運用するのは慣れていない方にはちょっと難しかったのかも知れません。
二次電池におわれている化学者諸君!
電気自動車の模型で遊んだことがないいんだろう! 子供に返って遊んでごらんなさい。
電気自動車用バッテリーは一次電池が今後の主力になるんですね?
カナダ・アメリカの大学では1300km走行出来る一次電池を搭載した電気自動車がありますね。ネット上で検索して御覧なさい。
僕など当年80歳の化学研究者です。
広瀬久也様、お世話になっております。
コメントありがとうございます!私は化学者ではありませんが、、ちなみにご指摘いただいていますのはPhinergyですよね?
http://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1322717
確か300Wh/kgをバッテリーパックレベルで達成した、ということでニュースになりました。理論値は1000Wh/kgが実現できるとのこと。
これ、現時点で最もエネルギー密度(Specific Energy)が高いテスラの電池パックと比較してみましょう。85kWhパックが550kgというデータがありますので(最近の100kWhパックなどのデータはまだ見ていません)、154Wh/kgですから、300Wh/kgということはほぼ半分の重量になるということですね。仮にテスラと同等のバッテリーを車両に搭載するということになると、バッテリーの重量だけで275kgも軽量化できますから、バッテリーの容量は仮に8割で済んだ=50kWhと仮定します。この場合、仮想的な50kWh Phinergyパックの重量は220kgです。
一つ問題があることがお分かりいただけると思います。現時点の300Wh/kgでは、50kWhで220kgとなり、これを「フォークリフトなどで交換する」必要があるということです。220kgの重量物を、エンドユーザーが簡単にスタンドで交換できるでしょうか?おそらく専門のスタッフが作業する必要がありますし、220kgのバッテリーはいくつかスタンドにストックしておく必要があるだけでなく、使用終了した220kgのバッテリーも回収してどこかに運ばないといけないので、ガソリンなどと違い運送費も往復分、二倍かかってしまいます。
では1000Wh/kgが達成できると50kWhバックの重量はどのくらいになるでしょうか?66kgです。確かに人間が持ち上げられるかどうか限界のサイズではありますが、一般の方には無理。やはり機械のサポートが必要です。間違えて変なところに落とすと大変な事故になります。
一次電池は一次電池で、重量という大きな問題と戦わなければならないのです。今のところ、二次電池で何とか車両を2t-2.5tに収めるめどが立ち、実際にいくつかの企業が生産計画を開始している(例えばGM BOLTはすでに60kWhを搭載し市販しています)中で、これから60kg以上の重量物を交換するインフラを作るのは、なかなか難しいのではないかと思います。
EVが普及していくと必ず中古車市場(二次流通市場)が出来なければなりません。中古車市場でEVに搭載されているバッテリーの残存能力が信頼できる計測方法で明示/保証されなければ中古EVの価格が決められません。そのような評価基準と評価装置は既にあるのでしょうか。また、3次流通市場としてEVでは使用に不適合なバッテリーの他の使い道とその価値の評価方法が必要と思います。3次利用が終わった上で初めて廃棄されるべきですが、その廃棄またはリサイクルに経済合理性のある方法や機器はあるのでしょうか?
将来EVファン様、コメントありがとうございます。
>評価基準と評価装置
これは、車種によっていろいろ異なりますね。リーフの場合には、Leaf Spy Proというツールがありまして、それで表示されるGID値というもので評価ができると思います。テスラの場合には同様にTM-Spyという、現時点では限定公開のソフトウェアがあり、これを使うと(追加ハードウェア必要)バッテリーパックの総容量が分かりますので、それを新車時のデータと比較すればどのくらい劣化しているか分かります。私のもう下取りに出してしまった2014年9月納車・58000km走行のモデルSは75.7kWh残っていました。新車時の電池パック容量は後輪駆動P85の場合78.2kWhですので、劣化度は約3.2%と計算できます。おそらく他のメーカーでも同様の計測ができるのではないかと思いますが、全車種統一の評価方法が必要とされるのかも知れませんね。
>3次流通市場としてEVでは使用に不適合なバッテリーの他の使い道とその価値の評価方法
それほど詳しいわけではないのですが、EVバッテリーを中古でさらに次の用途に使う、というのは難しいのではないかと思います。実際そういう会社も出てきていますが、、その理由は以下です。
当初、そういうコンセプトが考えられた時には電池は徐々に劣化していくものと考えられていたと思いますが、実際にはそうではなく、きちんと冷却して温度管理すれば劣化は10%未満程度に充分収められ、そもそも車両が廃棄になるときしかバッテリーは出てこないのです。さらに、自動車用のバッテリーはサイクルタイム(充放電回数)はそれほど多く設計されておらず、例えば仮にリーフ24kWhバッテリーが20kWh充電できるとすると、1000回サイクルすると20kWhx1000回x7km/kWh=14万キロと、結構な走行距離になってしまいます。しかし住宅用では毎日1サイクルになってしまう可能性もあり、それだと3年で1000サイクルになってしまいます。また、自動車用EVバッテリーは大電流充電や大電流放電に耐えなければならないため、冷却システムを備えているものがありますが、これらはリサイクル後に取り外しても性能を維持できるのかなどの課題もあります。
リチウムイオン電池の(廃棄するための)リサイクル手段は確立されてきています。想像ですが、自動車用のバッテリーは、車の寿命まで利用されたのち、最後はリサイクルされて一部は資源に、残りは廃棄になるのではないでしょうか。
電池の研究を専門にされている方の間違いも多く見受けられます。
二次電池に関する論文は毎日のように投稿されていますがノイズも多いです。Nature級に掲載される論文ですら間違った表現、説明はあります。学問の世界のあるあるかもしれませんがね 笑
り 様、なるほど、ありがとうございます。実際、電池は新要素技術が次々と発表されてはいますが、一部は株価上昇を狙ったものだったり、まだ実用には遠いものなどもあるようで、実際に大きな変化があったのはNMCとパナソニックのNCAの発展、そしてシリコン負極(ですよね?)くらいでしょうか。今後が楽しみです。実際テスラ(=パナソニック)のシリコン負極バッテリーは90D以降に搭載されていますが、90Dではバッテリーが50%でも100kWを超えて充電できる特性が注目されています。
大学で二次電池の研究をしている者です。そもそもリチウムイオン電池ではアノード、カソードという言い方は正しくありません。なぜならば、どちらの電極においても充放電時に酸化もしくは還元が行われるからです。カソードは還元が行われる電極「のみ」に限定して使われます、アノードも同様です。充電時にはカソードになるものが放電時にはアノードになるのです。そのため、電池では正極、負極という表現をして、英語ではPositive Electrode、Negative Electrodeと言います。
り 様、コメントありがとうございます。アノード、カソードという言い方はしないのですね。そういう意味では専門家と、一般的に使われている言葉が違うのでしょうか?
http://www.gartner.com/it-glossary/silicon-anode-batteries/
http://phys.org/news/2010-10-graphite-anode-silicon-anode-li-ion.html
これらのサイトでも負極のことをアノードと呼んでいるみたいですね。実際放電時には負極から電子が流れ出しているので「アノード(上り口)」という表現も違和感があったりします(笑)
技術的な観点から数値データと合わせて電気自動車発展の鍵となる電池の状況が俯瞰できました。ありがとうございます。
電池交換式のアイデアは前々からあったのにどうして実現しないのだろうと思っていましたが、電池の重量や保安基準を考えれば確かに難しそうですね。
さて、大学で化学を学んだ者として少し気になったのですが、文中で出てくる「ケミストリー」は「化学物質」程度の意味ではないでしょうか。特に今回は「正極活物質」という日本語が化学的には適当かと思います。
また、化学の教科書的には電池の場合アノードを負極、カソードを正極と呼びます。逆に電気分解の場合はアノードを陰極、カソードを陽極と呼びます。
これらは単に学術的な言葉の選び方であって、記事の内容に何ら影響を与えるものではありません。差し出がましいようですが、せっかく技術的に突っ込んだ貴重な記事を書いていただいているので参考にしていただけましたら幸いです。
余談ですが、最近では負極活物質についてもグラファイト系から容量増大が期待されるシリコン系へ技術開発が進んでいるようです。まずはスマホなどライフサイクルが短い製品から採用されるでしょうが、自動車にも採用されるようになるとまた時代が変わるでしょうね。
たびたびすみません。電気分解と電池はアノード/カソードと陰陽が逆でした。
決まりごととしては、電子が電極から外部回路に出ていく(電流が入る)電極がアノード、電子が外部回路から入ってくる(電流が出る)電極がカソードです。
(誤)電気分解の場合はアノードを陽極、カソードを陰極と呼びます。
(正)電気分解の場合はアノードを陽極、カソードを陰極と呼びます。
電池のアノードが負極、カソードが正極なのは大丈夫です。教科書(アトキンス物理化学)を確認しました。(これも電池が放電する時の電流の向きに対応させた話ではありますが。)
いやはや余計なことはするもんじゃないですね。
大変失礼しました。
dekkaino様、コメントありがとうございます!ケミストリーは何か正しい日本語が見つからなくて困っていました。様々な組み合わせがあるようで、最近はご指摘の通りアノード系の改良が多いようです。テスラ(=パナソニック)も90kWhバッテリーでシリコンアノードを採用していることを発言しています。またアノードとカソードの呼び方の違いについてもありがとうございます。私もはじめて電池関係の文献を読んだとき、アノードとカソードが逆じゃね?と思ったので同感です!
2008年からずっとリチウム電池を使用し、長所短所を実際に体験してきました。そして「リチウム電池が、あらゆる分野の技術のボトルネックになっている」と感じています。本当はリチウム電池の登場で、今まさに便利さを享受できるようになったばかりなんですけどねw
だからこそ、このブログは非常に分かりやすくて参考になります。更なる性能アップを熱望する思いを発信するためにも、ブログをリンクさせて頂きたいと思います。今後ともよろしくお願い致します。
TOMO@広島様、コメントおよびリンクしていただけるとのこと、ありがとうございます!リチウムイオン電池に限らず、高性能の二次電池は世界のエネルギーを変える可能性が高いと思います。