電気自動車は寒さに弱い?〜極寒のカナダでテスラ車がどれだけ耐えられるか実験

電気自動車普及が本格化していますが、極寒地域での使用にEVは耐えうるのか不安を抱えている方も多いようです。そこで気温が-30℃まで下がるカナダのテスラオーナーが実験をしました。全文翻訳記事でご紹介します。

電気自動車は寒さに弱い?〜極寒のカナダでテスラ車がどれだけ耐えられるか実験

元記事:Tesla Cold Weather Experiment In -22°F & -31°F Temperatures by Johnna Crider on『CleanTechnica

バージニアでもしもすべての車がEVだったら冬の交通混雑がいかにひどくなるかを論じた、ワシントンポストの社説が間違いであると証明したDirty Teslaさんの動画を、最近ご紹介しました。ここでさらにシェアしたいものが出てきました。このアカウントが体験した本人のものかは確認が取れていませんが、下の投稿を見ると渋滞に巻き込まれて16時間テスラ車に滞在し、キャンプモードを使って居心地よく昼寝もしながら、バッテリー消費は74%から61%に落ちただけだったと書かれています。

また別のテスラオーナーは、私とある実験をしました。彼は自分のまわりにある間違った情報にヒントを得て、この実験を考え付きました。彼は自分の住んでいる場所を「カナダのテキサス」と呼んでおり、石油が強い場所です。バージニアの冬よりも、実験の際の温度はかなり低いものでした。気温は-35℃まで下がったのです。

Darryl Kolewaskiはテスラ車両のパーツやアクセサリーを取り付け・販売するCanada Electric Car Management(CECM)を経営しています。Darrylはまた、アルバータ郊外にある地元でテスラの車両群を使ったタクシーサービス業も営んでいると教えてくれました。ケロウナのタクシーはCurrent Taxiにリースされていますが、所有者はCECMです。

「テスラタクシーを始めて5年ほどになります」。社が所有する車両のほとんどはモデル3とモデルSで、Darrylが最初にテストをしたのは、2014年のモデルSでした。

彼の地元はカナダの中でも石油とガスのコミュニティとして知られており、クリーンエネルギーよりも化石燃料を好むアンチEV派が多くいます。ルイジアナに住むようなものです。EVやクリーンエネルギーに対する態度を変えるのは非常に難しいですが、Darrylは自身の家族、友人、隣人などに、EVはFUD(恐怖、不安、疑念)ほど悪くないと、熱心に見せて回っています。

実験

Darryl Kolewaski氏提供の画像。

彼は冬期バージニアの悲惨な交通状況のインターネット・ミームが出回っていることから、非常事態にテスラがどれだかもつか試そうと考えたそうです。冬の過酷な気象条件で車内に閉じ込められたら、どれくらいの時間暖かく過ごせると思いますか?

私達が会話している時の気温は20℃近くあったのですが、Darrylの実験環境を聞いてヒーターのスイッチをまた入れたくなりました。

「僕が持っているのは約6万5,000マイル(約10万4,600km)を走った2014年テスラ・モデルS 85です。この車で実験して見てやろうと思いました」。

Darrylは平均気温が-21℃で、最低で-30℃~-35℃まで下がっていたと、こともなげに言いました。「ルイジアナではこんな経験はしないだろうね」。

そう願いますよ。

「とても寒いです。車は100%フル充電し、外に停めてキャンプモードの21℃に設定しました。ロックをし、自分は中に留まりませんでしたが、自宅外に駐車してどの位もつのか見ました」。

Darrylはバッテリーの80%を使ったところで、充電率が20%になると人が車にいない場合はシステムが自動的に落ちると説明してくれました。また人が中にいた場合、気温を21℃に留めず、エネルギーを長持ちさせるためベストを尽くすだろうとも話しました。

バッテリーは平均外気温が-21℃の中、1日と17時間持ちました。上のスクリーンショットは、1日と13時間経過した時点のものです。

「緊急事態に陥ったら、キャンプモードで21℃にはしておかないでしょう。使うパワーが少ないシートヒーターを使って、エネルギーをもたせようとするでしょうね。実験はこのようなシナリオで大体どんな感じになるか、というものです」。

まとめ

Darrylの実験とDirty Teslaの実験はともに、極限の冬季緊急事態にテスラがどれだけ耐えられるか見せてくれていると思います。両方のケースでオーナーは車の中にはいませんでしたが、このような状況ではエネルギーを保つために皆ベストを尽くすはずと双方が指摘していました。ちなみにDirty Teslaは延長実験で気温を16℃まで下げています。

個人的には、フォード・マスタング・マッハEやフォルクスワーゲン・ID.4など、他のEVを使った寒い環境でのテストをぜひ見てみたいです。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)14件

  1. この記事を見て昔のモービル石油CMを思い出しました…そう「マイナス40度の世界ではバナナで釘が打てる」「普通の高級オイルも液体でなくなる」ってやつかな。
    しかしいくらバッテリーヒーターのあるテスラ車といえども酷寒の地では厳しいとも思えましたね。いざ電池が切れたらバッテリー自体も劣化は避けられませんから。
    電池容量やエネルギー密度に難がありながらもマイナス30度まで十分耐えられる東芝SCiBを搭載した電気自動車ならどうなんだろう!?とも思ってしまいました。自身アイミーブでマイナス15度にもなる冬の飛騨小坂へ突入する人間ですが車内は厚着で過ごし外付けシートヒーターしかもポータブル電源EFDELTAから取り出すなどしてますよ。
    電池空調が要らない一点でアイミーブMはテスラ超えした世界一低温に強い電気自動車かもしれないですね。

  2. キャンプモード運用時の消費電力はどれほどなのでしょうか.
    一般的にリチウムイオン電池の低温放電特性は,内部インピーダンスの増大に伴う電圧降下が大きく影響し,すなわち出力が大きいほどロス分が大きくなります.
    正直,この検証結果からテスラ車は厳冬期でも問題ない!というのは言えないと思います.

    1. iamlib様、コメントありがとうございます。消費電力は気温によって違うと思いますが、このケースを調べてみましょう。85のデータが見たあらなく、、90Dは83.8kWhが利用可能容量であることが分かっています。85だと79.1kWhと仮定しましょう。今回の実験は100%-20%ですから、消費電力は、
      79.1 x 0.8 / 41 = 1.5kW
      ですね。これは電池にとって0.019Cの負担となりますので、容量低下はあまり気にするほどでもないかと思います。
      テスラの場合、バッテリー温度が下がるに応じて様々な制限が課せられます。最初に充電速度と回生ブレーキが制限、それから出力制限、最後に容量制限が入ります。マイナス36℃で車中泊した方の動画ですが、
      https://youtu.be/capOgUHPz9Q?t=988
      この雪のマークが容量制限が掛かっている状態です。1割も減ってないことがお分かりいただけるかと思います。

  3. 後はバッテリー寿命が何年くらいか分かりますか?5年でこの記事と同じ位持てば良いですね。
    話は変わりますが、全自動運転はまだ早いと思います。事故が起きていますよね。

  4. ワシントンポストの社説は「厳冬期にはハイウェイ上で電欠になったEV が道路を埋め尽くす大惨事が起こる」というものですが、これは「厳冬期はEV の航続距離が20%短縮する」という事実から連想した記者の想像記事です。
    現実にEV の電欠が冬季に多発しているならデータが示されてから議論が行われるべきで、記事はワシントンポストの勇み足に見えます。
    EV のみならずHVも冬季は燃費が悪化あるいはヒーターの効きが悪くなります。これはエンジン車よりエネルギー効率がいいのが原因で、いわば当然の結果です。
    「冬季はエネルギーの必要量が増える」という事を知っていれば対応可能なはずで、メーカーもドライバー自身も実際に対応していると思います。
    記者自身がこのような事実を認識していれば記事が書かれることも無かった気がします。

  5. ちなみにメルセデスはバッテリー部分に冷暖房機が装着しており充電中・走行中一定の温度が保たれるようにできていますが、テスラはどうなの?

    1. tamaちゃん 様、コメントありがとうございます。テスラは2012年モデル以降は全車両、バッテリーの温度管理、すなわち温めたり冷やしたりする機構を標準搭載しています。

  6. 勝手に補足:2014年のモデルSですから、暖房は高効率なヒートポンプ式ではなく、電熱式ですね。内外の気温差が平均41℃(最高56℃)、21℃でcamp mode つけっぱなし、それでも8割の電力を消費するのに41時間かかった、という結果ですね。

    1. ヒートポンプエアコンはマイナス20°cの極寒では動作しないかもしれませんね。

    1. Tesla Model3の取説より抜粋
      「キャンプ」では、車内温度を維持することに加え、USBポートと低電圧コンセントから電子機器の電源を取ることができます。タッチスクリーンは表示されたままになりますので、音楽を再生したり、インターネット検索をしたり、アーケードでゲームをプレイしたり、Teslaシアターで映画を観ることができます。ペアリングした携帯電話でメディアや空調設定をコントロールすることもできます。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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