日産サクラからインスターに乗り替えた筆者が雪道テストを計画。タイミングよく新潟市で開催された「NIIGATA EV CAR FAIR 2026」の取材に新たなマイカーEVで遠征しました。大雪のニュースから一転、気温が急上昇してお目当ての雪道は走れなかったものの、地方独自のEVイベントの活気に触れることができたレポートです。
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新潟のEVイベントに遠征した理由
2月21日(土)〜22日(日)、新潟市産業振興センターにおいて「NIIGATA EV CAR FAIR 2026(新潟EVフェア)」が開催されると聞いて、急遽取材してみることにした。
実は、遠征の主眼はスノードライブだった。筆者がインスターに乗り換えて(関連記事)最初のウインターシーズンということで、もともとインスターの雪道テスト(スタッドレスタイヤやSNOW MODEのレビューなど)を計画していた。新潟まで遠征すれば雪道走行のレビューも可能ではと考えたからだ。
もっというと、インスターのスノーテストについては、2月15日に予定されていた女神湖の氷上ドライビングイベント(TOCJ主催)に参加を申し込んでいた。ここでインスターの雪道や氷上での性能をレビューする計画だったが、あいにくの天候(気温上昇)で氷上イベントが中止となった。
今シーズンのスノーテストは無理かとあきらめていたところ、新潟のEVイベントの告知をSNSで知ることとなり、新潟遠征を決めたわけだ。
ただし結論からいうと、2月に入ってから各地で春めいた日が続くようになり、往復約760kmの行程で道路上の雪はほぼゼロだった。復路はあえて新潟から福島県の会津地方へ、豪雪地帯の国道や県道を抜けて東北道で東京へ戻るルートにしたが、猪苗代湖から東北道白河ICまでの国道294号線のごく一部に融けた雪のなごりがあったくらいで、全行程がドライ路面と言ってよい状況だった。

関越道も路面はドライ。会津を経由する山越えの国道にも雪はなかった。
というわけでインスターのスノーレビューはまたの機会となってしまったが、新潟EVフェアは期待以上に有意義なイベントだった。
多彩なメーカーの最新EVに試乗できるイベント

新潟EVフェアの主催者は地元のエフエムラジオ新潟(FM NIIGATA)だ。2025年にはテスラジャパンも出展し、サイバートラックを持ち込んで話題となったイベントである。この年はHyundai Mobility Japanも出展していたが、2026年は参加していなかった。
しかし、出展が減ったのではない。2025年は地元ディーラーを中心に11ブランドが出展していたが、2026年は、トヨタ・レクサス、ホンダ、ステランティスグループのプジョー、ジープなどが加わり合計で13ブランドと昨年以上に賑わっていた。

試乗会風景。
出展車両をざっと紹介しておく。
(順不同、20日午前中の確認結果 ※は展示のみで試乗不可)
【トヨタ】bZ4X
【レクサス】RZ500e
【ホンダ】N-VAN e: 、N-ONE e:
【日産】サクラ、リーフ、アリア
【BYD】DOLPHIN、SEAL、SEALION 7、SEALION 6(PHEV)、RACCO(※)
【MINI】ACEMAN、COOPER S
【ボルボ】EX30
【ポルシェ】Taycan、Macan
【メルセデス・ベンツ】Maybach EQS(※)、G 580 with EQ Technology
【ランドローバー】ディフェンダー(PHEV)
【プジョー】3008(ハイブリッド ※)
【ジープ】Avenger
このイベントの特徴は、なんといっても出展ブランドのEVに自分の運転で試乗ができることだ。輸入高級車もあるので、試乗目当てで来る人も少なくない。会場となる産業振興センターは、新潟市街から少し離れた、スタジアムやスケートリンクなどがある開発地域。走りやすい周辺の道路を5分から10分のコースが設定されていた。
プジョーは「3008」のハイブリッドを展示していたが、BEVモデルの「E-3008」の発売が発表されたばかり(関連記事)である。
RACCOの内装やシートアレンジが確認できた

今回の展示車両の目玉はやはりBYDの「RACCO」だろう。昨年のジャパンモビリティショーでワールドプレミアとなった軽規格EVの実車が持ち込まれた。ジャパンモビリティショーで展示された車両と同じものだそうで、BYDオートジャパンが現地ディーラーであるBYD AUTO新潟から相談を受け、提供を決めた。
新潟EVフェアは基本的に出展車両を地元のディーラーや販社が提供しているイベントだが、BYDは日本の現地法人が後押しするほど力を入れているということだ。
ジャパンモビリティショーでは、メディアに対してもドアを開けての撮影にはなかなか応じてくれなかったのだが、ここでは、ドアは開放され内装やシートアレンジをじっくり観察することができるようになっていた。

RACCOの運転席。
分割可倒できるリアシートはシートアレンジも国産軽と遜色はない。両側スライドドアは電動(オプション)も設定される予定との情報があった。
会場にはBYDオートジャパンの田川博英氏も来ており、来場者の質問に丁寧に答えていた。田川氏はもと日産のエンジニアでBYDの軽EVプロジェクトでは日本側の担当エンジニアを務めている。
「この車両は、まず形にしてみようと作られたプロトタイプで、1台しか存在しない。モビリティショー後、各地のイベントやディーラーからの要請に応じて展示車両として活躍している。最初のプロトタイプなので、その後の変更や改修はなにも反映されておらず試乗はできないが、開発は最終段階にある」(田川氏)
昨年の発表以降、市場の反響やさまざまな試験によって開発はまだ進行中だ。バッテリー容量やバッテリーマネジメントといった詳細については、航続距離や電費といった数値で答えを出してくれるだろう。
日産・ホンダ・トヨタなどの国産EVも注目

日産もメーカー本社のバックアップを得ての出展だった。参加ディーラーは日産プリンス新潟だが、説明員の中には厚木(愛甲石田)の研究開発拠点からの応援スタッフもいた。愛甲石田には日産先進技術センター、日産テクニカルセンター、グローバルデザインセンターが集中しており、研究施設内の駐車場には急速を含む充電器がいたるところに設置され、従業員は自由に充電ができる。
日産のブースでは昨年発表された新型リーフ、同時期にマイナーチェンジしたアリア、そしてサクラが展示されていた。説明員の話によれば、新潟市内ではリーフがよく売れているそうだ。理由は、単に販売期間が長いからだが、会場ではサクラを熱心に観察し、質問している夫婦も多かった。新型リーフは車格が変わるほどの大改良が施され、性能や機能が充実したため注目度が高い。ブースでもリーフの周りは常に人だかりが絶えなかった。
新型リーフはいまのところB5への反響がよいそうだ。プロパイロット2.0にこだわらなければ、航続距離521km(バッテリー容量55kWh)で実用性とコストパフォーマンスのバランスでB5という選択は合理的だ。
また、会場にはキッチンカー1台と特設の屋台が設置されていたのだが、電源車として用意されたアリアに繋がれたニチコンのパワームーバーから電源をとっていた。
EVでも「軽のホンダ」をめざす

ホンダの注目度も高く、試乗人気が高かったが、説明員によればまだまだEVの認知度が低く、このようなイベントでホンダのEVを知ってもらえることは重要だとする。N-VAN e: 、N-ONE e: はそれぞれ展示車と試乗車が用意され、キャンプ・レジャー用途を意識したブース展開をしていた。試乗では、カタログスペックでサクラを超える航続距離が訴求ポイントとなっていた。
軽EVはセカンドカーとしては最適解でもあるので、地方においては若者や女性に人気が出てほしいところだが、いまのところ「50代男性に売れている」という。
そしてブースには1月の東京オートサロンで発表された「Super ONE」のパネルも展示されていた。他の自動車メディアでは、オーバーフェンダーなどから「シティターボII」の再来、オマージュとも言われているが、ホンダの初量産EVであるHonda eの血を受け継ぐホットEVモデルに期待するファンも少なくない。Honda eは残念ながら生産中止になってしまったが、その動力性能、運動性能はSuper ONEに受け継いでもらいたい。
日本投入を期待、NACS+チャデモのDC急速充電器
EV用充電器も、ミライズエネチェンジの普通充電器とMSIによる家庭用と充電プロバイダー用の急速充電器が展示されていた。MSIは台湾のメーカーで、日本ではパソコンやゲーミングPCのメーカーとして知る人が多い。本国では業務用PCや制御用電子機器、充電ソリューションも展開しており、今回日本で初となる80kWの急速充電器を参考出品していた。

Hyper 80 Dualというこの製品はNACSとチャデモのデュアルガンタイプの急速充電器だ。入力は三相415V(AC)まで受け入れる。DC出力は200~1000V(DC)となっており、NACS、チャデモともに80kW(200A)まで出せる。ISO15118規格のプラグ&チャージに対応し、決済システムも独自カードやクレジットカードも使えるマルチペイメント設計となっている。事業者向けなので充電管理やエネルギーマネジメントなどクラウド側のソリューションも完備している。
NACSとチャデモのデュアルガン充電器は、すでにFLASHなどが提供しているほか、充電器大手のABBも発表している。80kWだと出力が足りないと思うかもしれないが、海外のようにショッピングモールなどに何基も設置するような用途には十分だろう。日本でも発売されることを期待したいが、現時点では検討はしているものの確定した予定はないそうだ。MSIの充電器は、新潟市に本社があるパルコミュニケーションズが日本国内の代理店となり、普通充電器を取り扱うとのことだった。
非EVオーナーが参加するEVイベントへの期待
会場の駐車場は、ほとんどがガソリン車やハイブリッド車でEVはごく少数だった。しかし、見方を変えれば、それだけ非EVユーザーの参加者が多いということであり、EVに対する認識や興味の度合いが日本でも変わりつつあることを感じた。
販売台数ではトヨタの改良型bZ4Xが売り上げを伸ばしており、販売におけるトヨタの実力がうかがえる。BYDは販売拠点や規模では国産OEMや既存輸入車勢には劣るものの、逆にメーカーとの距離の近さを生かし、挙党体制で実績を伸ばしている。BYDは中国企業という色眼鏡でみられがちだが、販売戦略や手法はサービス網や販路を重視する極めて日本的なやり方に見える。
日産は、国産の安心感と長年のEV販売の実績から、ユーザーの気になるところや販売のネックになるところを熟知している強みがある。輸入車ディーラーの一部には、ディーゼルやガソリン車が普通に売れている状況で、EVを売りあぐねている感が見て取れるところもあったが、日産の説明員はサクラ、アリア、リーフに自信をもっていることが伝わってきた。
ホンダも軽自動車を中心にEVラインナップを拡充してきている。来年のこのイベントでは、スズキ、ダイハツ、マツダ、スバルといった国内メーカー、さらにはmibotの全国販売へ歩を進めているKGモーターズなど、幅広い出展を期待したい。
取材・文/中尾 真二






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