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大阪・関西万博で自動運転EVバスを体感したい/現地で乗車レポート&乗り方ガイド

大阪・関西万博で自動運転EVバスを体感したい/現地で乗車レポート&乗り方ガイド

いよいよ開幕した大阪・関西万博では、会場へのアクセスや会場内で100台以上のEVバスが走っています。さらに一部でレベル4の自動運転を実施中。でも、どこでどうやって乗れるのかがよくわからない。そこで開幕直後の会場へ突撃。実際に自動運転EVバスを体験してきました。自動運転EVバスの乗り方ガイドとしてご活用ください。

目次

どこでどうやれば自動運転EVバスに乗れるのか?

2025年4月13日、いよいよ開催・大阪万博が開幕しました。『EVモーターズ・ジャパンが大阪メトロにEVバス100台を納車~まずは大阪万博で快走へ!』(2023年6月29日)という記事でお伝えしたように、万博ではEVモーターズ・ジャパン(以下、EVMJ)が納車した電気バスが100台以上活躍しているはず。さらに、万博の公式サイトでは「未来社会ショーケース」がテーマのひとつとなっており、自動運転や走行中給電を誘導させたEVバスや「空飛ぶクルマ」といった「Smart Mobility」が主要な展示として紹介されています。

個人的な関心を白状すると、実は万博には出かけるつもりもなかったのですが、「EVMJの自動運転EVバスが走っているなら一度乗りに行ってみたい」と思い立った次第。ところが、どこに行けば乗れるのか、どうやってチケットを購入できるのかといった情報がとてもわかりづらいという関門にぶち当たってしまったのです。

ネットや電話取材で情報を集めたところで、混雑する現地に行けばいろんなことが起こるはず。これはもう、実際に自分で会場へ行って、自動運転EVバスに乗ってみるしかないと決断。開幕直後の4月18日に万博会場へ行って来ました。レポートがてら「大阪・関西万博/自動運転EVバスの乗り方ガイド」をお届けします。

新大阪駅→万博会場のシャトルバス

自動運転EVバスが走っているのは、大きく分けて「会場へのシャトルバス」と「万博会場内 外周バス(e Mover)」があります。会場へのシャトルバスには、舞洲の駐車場と会場を結ぶ「万博P&R駐車場シャトルバス(舞洲ルート)」と、新大阪駅や大阪駅(マルビル)と会場を繋ぐシャトルバスの一部が自動運転EVバスとなっています。

予約&乗車には「KANSAI MaaS」への登録やアプリが必要

新幹線で大阪に行った私が乗ったのは、まず「新大阪駅→万博会場」のシャトルバスです。シャトルバスにはほかにもいろんなルートがあるけど、「KANSAI MaaS」で「自動運転」と明記されていたのは、この「新大阪駅→万博会場」ルートのチケットのみ。10時30分新大阪駅発の便を予約しました。

料金は片道1500円。ちなみに、復路の「万博会場→新大阪駅」ルートでは、自動運転バスのチケットは紹介されていなかったのと、翌日の予定のために大阪市内に宿泊する予定だったので片道だけの乗車です。

チケット紹介ページ(KANSAI MaaS)>
シャトルバス利用案内(万博公式サイト)>

自動運転は開通前の高速道路区間のみ

新大阪阪急ビル1階の阪急高速バスターミナルで乗車します。

ほぼ朝イチの新幹線で新大阪駅へ到着。スマホアプリであらかじめ予約しておいたチケットを提示して、スムーズに乗車できました。少し早めに乗車場所へ行ったのですが一番乗り(運転席のすぐ後ろ)はGETできず、発車時間までには満席となりました。

新大阪駅を出発してしばらくは、ドライバーが運転する普通のEVバス状態でした。阪神高速に入って、一般車は侵入できないゲートを過ぎるとき、ドライバーさんが「これから約4kmの区間を自動運転で走行します」とアナウンス。前方のモニターに、ドライバーさんがハンドル操作をしていない様子や、センサーが周囲の状況を把握していることを示す映像が流れます。

きちんと確認しませんでしたが、自動運転で走るのは阪神高速道路の「淀川左岸線」の2期工事部分だと思います。未開通ながら許可車両は走行できるようで、途中のトンネル内で数台の公用車っぽい乗用車に追い越されましたが、基本的には他のクルマや歩行者などと交わることはないクローズドのコースです。また、レベル4相当とはいえ運転席にはドライバーさんがいるので、感覚的には日産のプロパイロット2とそれほどの違いはありません。

自動運転で走行したのは5分ほど。わりとあっけなく普通のEVバスに戻ってしまいました。自動運転だからといって特別な乗り心地になるわけでもなく、実際に乗車した感想としては「ほぼ遊園地のアトラクション」という印象でした。

大阪駅(南)→万博会場ルートなどのシャトルバス

KANSAI MaaS の公式サイトで「自動運転」を検索した画面から引用。

万博会場へのシャトルバスとしては、京阪バスが運行する「大阪駅(南)→万博会場」ルートと、「中之島駅→万博会場」ルートの一部でも自動運転バスが走っています。今回、実際に乗車はできませんでしたが、担当営業所に電話で確認すると出発時間に「★」マークが付いているのが自動運転EVバス就航便で、こちらはBYD製のEVバスを自動運転仕様にして運用しているとのこと。

現状の時刻表を確認すると、新大阪駅ルートと同様に、自動運転の便があるのは往路だけのようです。

京阪バスのシャトルバスも予約などは「KANSAI MaaS」を通じて行う必要があります。

万博P&R駐車場シャトルバス(舞洲ルート)

舞洲のパークアンドライド(P&R)駐車場と万博会場を結ぶシャトルバスも、自動運転EVバスを大阪メトロ(関連情報)が運行しています。乗車定員は24名で、バスへの乗車予約などは不要ですが、舞洲P&R駐車場利用者専用のシャトルバスであり、駐車場は万博公式サイトから要予約。予約するには、万博IDでログインが必要となります。

P&R駐車場はAからE区画までかなり広大。自動運転EVバスが発着するのは「A駐車場」ということなので、予約の際はご注意ください。大阪メトロの案内によるとシャトルバスのルートは約10.5kmで所要時間は20分ほど。レベル2とレベル4相当の自動運転を組み合わせて走行しているということです。

万博会場取材の翌日、淡路島のEVオフ会でこのルートの自動運転バスに乗車したというテスラオーナーの方に遭遇して話を聞いたところ、それなりの区間で自動運転を行っていたものの、まだギクシャク走る印象が否めなかったということでした。もう一度万博へ行く機会があれば、私もぜひこのシャトルバスを体感したいと思います。

【編集部注】 2025年4月28日(月)、舞洲P&Rシャトルバス(自動運転車両)が舞洲万博P&R駐車場待機場において、手動運転で回送中の舞洲P&Rシャトルバス(自動運転車両)による事故が発生したとのことで、自動運転EVバスの運行を4月29日から一時取りやめとする旨の発表(リリースはこちら)がありました。負傷者などはなかったとのこと。運転再開の情報を待ちたいと思います。(2025年4月30日)

万博会場内 外周バス(e Mover)

会場まで電車で行ったとしても、事前予約などの面倒な手間なしで乗車できるのが「万博会場内 外周バス(e Mover)」です。広大な万博会場、夢洲駅があるのは東ゲートで、シャトルバスなどは西ゲートに到着するのですが、e Mover は「西ゲート北ターミナル」と「リング西ターミナル」という西ゲート近くの拠点を双方向にピストン運行しています。

運行しているのは全てEVMJ製のEVバスですが、自動運転しているのは一部の便だけ。また、新大阪駅やP&R駐車場とのシャトルバスは路線バスタイプの大型ですが、会場内のe Moverはコミュニティバスタイプで定員も9名(座席分)だけに限定です。「西ゲート北ターミナル」と「リング西ターミナル」で自動運転バス乗車受付をしているスタッフに声を掛けて、各便につき乗車定員の9名分が用意されている記念乗車証を受け取れば予約完了。出発時間に遅れないようにターミナルに戻って乗車します。

2枚の記念乗車証をGET。

運賃は1回利用が400円。1日乗り放題1000円(大人・小児共通)で、自由な便に乗車できます。自動運転バスも料金は同じです。

ひとつ注意したいのが、普通のEVバスは、よしもと waraii myraii館などに近い「西ゲート南」、アメリカ館などに近い「リング東」、日本館などに近い「東ゲート南」、夢洲駅に近い「東ゲート北」などの停留所で降車できますが、自動運転バスは「西ゲート北ターミナル」と「リング西ターミナル」直結で、途中降車することができません。私も帰途は夢洲駅から地下鉄を利用したので、駅へ向かう際には自動運転ではないEVバスに乗りました。

e Moverの自動運転バスは走行中給電のデモンストレーションもやっていますが、実際に乗っていて「おお、充電されてるぞ」なんて感じることはありません。とはいえ、かなりの区間をレベル4相当の自動運転で走行しつつ、車内のモニターでナビゲーターキャラのMAIちゃんが自動運転バスの秘密を紹介してくれます。

万博会期終了後の大阪でEVバスがいっぱい走る?

空飛ぶクルマは見られなかったので、ポートに設置されていた急速充電器を記念撮影しておきました。

今回の万博会場、直前まで別件でバタバタしていてパビリオンの予約などはまったくしておらず。自動運転EVバスへの乗車を体感して、大屋根リングの上からの眺望を確認。予約なしで入館できた西ゲート近くのフューチャーライフヴィレッジを少し見学しただけ。EVバスとともに「Smart Mobility」テーマの目玉である「空飛ぶクルマ」もこの日は飛行はしておらず……。なにはともあれ、シャトルバスを含めて自動運転EVバスを万博展示のひとつとして楽しめるかな、という印象の駆け足万博訪問となったのでした。

いずれにしても、大阪・関西万博では100台以上のEVバスが活躍しています。会場には急速充電器がいっぱい並んだ充電インフラも整備されていました。

EVバスのターミナルには急速充電器がズラリ。

万博そのものには「もう行かないだろうな」と思いつつですが、万博の会期が終わったあと、シャトルバスや会場内のe Moverとして利用されていた大量のEVバスが、大阪市内を中心とした「街のなか」に飛び出していくことになるはずである点には期待しています。

ディーゼルエンジンのバスと比較すれば想定外のトラブルも起こるでしょうが、半年間の会期中にもEVバス運用の知見やノウハウが積み上がるはず。新大阪駅からのシャトルバスを降りる際、ドライバーさんに「EVバスはどうですか?」と尋ねたら「運転が楽でいいですよ」という答えが返ってきたように、乗用車でもバスでもEVの利点は実際に乗ったり、運転することによって理解できることがたくさんあります。

EVバスも自動運転も、実際に活用することこそが進化への王道に違いありません。万博が終わったあとの大阪が、自動運転EVバスのパラダイスになる日が楽しみです。

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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