観光自動車道で電気自動車優遇策実施中〜実際に走って夢想したEV専用ナンバープレート

EV放浪記2.0【014】 愛車を走らせつつEV関連の話題をレポートする連載の第14回。2023年10月から全国17ヵ所の観光自動車道で電気自動車への優遇策が実施されています。箱根エリアと近畿エリアのEVウェルカムな有料道路をHonda eでドライブしてきました。

観光自動車道で電気自動車優遇策実施中〜実際に走って夢想したEV専用ナンバープレート

全国17カ所の観光有料道路でEVへの優遇策実施

観光道路などでEVを優遇する試みは、日産自動車が一般社団法人日本観光自動車道協会と「電気自動車を活用した脱炭素社会実現に向けた連携協定」を締結してスタートさせました。日産は高速道路のSAPAで「GREEN PASS」という期間限定のEVユーザー優遇策もこれまで3回開催してきました。その際も日産車に限らず、すべてのEVユーザーが対象でしたが、今回の企画もメーカーを問わず「EV」ならOK。ホンダユーザーとしては、ほんとに感謝です。

日本観光自動車道協会と日産自動車、観光道路における電気自動車への優遇策実施による脱炭素社会実現に向け共創(日産自動車ニュースルーム)

日本観光自動車道協会には、全国20ヵ所の観光自動車道が加盟していますが、現時点で優遇策を設定しているのは17ヵ所。通行料金や関連施設の割引、あるいは記念品贈呈など、実施内容はそれぞれ違っています。一覧リストを別掲しておきます。ただし、山間部や高地にある道路も多く、冬季通行止めになっていたりしますので、お出かけ前にご確認くださいね。

各道路のEV優遇策

道路名都道府県優遇策
藻岩山観光自動車道北海道記念品贈呈
津軽岩木スカイライン青森県記念品贈呈
蔵王ハイライン宮城県記念品贈呈
白糸ハイランドウェイ長野県通行料金割引
万座ハイウェー群馬県鬼押出し園入園料割引
鬼押ハイウェー長野県〜群馬県鬼押出し園入園料割引
湯河原パークウェイ神奈川県通行料金割引
芦ノ湖スカイライン神奈川県〜静岡県記念品贈呈
アネスト岩田 ターンパイク箱根神奈川県ドリンク・ケーキセット割引
南富士エバーグリーンライン静岡県遊園地ぐりんぱ・スノーパークYeti(スキー場)割引券贈呈
伊吹山ドライブウェイ岐阜県〜滋賀県通行料金割引、売店のコーヒー割引
伊勢志摩 e-POWER ROAD三重県通行料金割引
奥比叡ドライブウェイ滋賀県峰道レストランでのドリンク無料
比叡山ドライブウェイ 滋賀県ガーデンミュージアム比叡入場券割引
嵐山-高雄パークウェイ京都府通行料金割引、レストランのドリンク割引
信貴生駒スカイライン奈良県記念品贈呈
奈良奥山ドライブウェイ 奈良県記念品贈呈
芦有ドライブウェイ兵庫県検討中

まずは箱根エリアの優遇道路を実走

最初に目指したのは箱根エリアでおなじみの3つの観光道路です。まずは湯河原パークウェイへ向かいました。奥湯河原温泉から箱根方面へ登っていく有料道路。2021年の豪雨で路面が崩落して以来、通行止めになっていましたが、23年11月10日に2年4ヶ月ぶりに開通しています。

温泉街の細い急坂を登っていくと「ここから有料道路」という標識が出てきます。さらに登ると真新しいコンクリートで固められた斜面。崖崩れの現場ですね。復旧工事の大変さに思いを巡らせたのは一瞬だけ。森の中をくねくねと登っていくドライブが楽しすぎる。紅葉のシーズンは過ぎちゃっていましたが、交通量も少なく、自然のど真ん中という感じが満喫できます。視界が開けるとずいぶん下の方に海が見えました。「え、もうこんなに登ってきたの」とびっくり。

料金所は山上の終点付近にありました。普通車600円と言われて、「すみません、これEVなんですけど……」と割引をリクエストしてみると「あ、そうなんですね。それなら500円です」とお兄さん。料金所の窓の横に「EV割引」のチラシも貼ってありました。

領収書をもらいつつ、どうやってEVだと確かめるんですか、と聞いてみると、「わからないんで、自己申告ですね」とにっこり。いいのかなぁ……と思いましたが、たしかにEVか、PHEVか、FCVか、はたまたHVか、料金所の中から見分けるのは至難の業です。いちいち車検証とか見せてもらうのも無理でしょうし。

次は「アネスト岩田ターンパイク箱根」に乗り継ぎます。すぐそこに箱根伊豆連絡線の料金所が見えています。ターンパイクはクルマ・バイク好きにはよく知られた有料道路。EVオフ会なども開催されていて、私も何度が来たことがあります。こちらの特典は料金割引ではなく、ドリンク・ケーキセット割引だとホームページに書かれていました。

早速料金所で聞いてみました。「EV特典というのはどうすれば……」。お兄さんは戸惑いの表情。「えーと、初めて聞きました」。ケーキセットの割引のようです、と説明すると、パンフレットを手渡され、大観山展望台にあるアネスト岩田スカイラウンジを案内してくれました。「2階のティーラウンジが弊社の経営なので、行ってみてもらえますか。ここではケーキ出せないですし(笑)」。ですよね。

教えてもらったティーラウンジを訪ねると、カウンターに「EV割引」のポップを発見しました。お兄さんナイス。会計時にマイカーの写真を見せて、スマホでアンケートに答えると割引してくれるようです。ここでもまた、EVユーザーかどうかの確認は、善意を信じるスタイルです。

1000円のケーキセットを800円にしてもらいました。 写真を撮ってもいいですか? と聞くと、お姉さんから「まだあんまり来てくれていないから、PRしておいて」と頼まれてしまいました。 ラウンジにはフリーWi-Fiもあって、ドリンクはお代わりし放題。「ゆっくりしてってね」というお言葉に甘えて、パソコンを開いて仕事をすることにしました。目を上げれば窓の外には絶景が広がっています。最高のコワーキングスペース。日常的に使えないのが残念です。

続いて「芦ノ湖スカイライン」へ向かいます。箱根外輪山の稜線を走る有料道路で、箱根スカイラインへ乗り継ぐと御殿場へ抜けることができます。雄大な富士山が見えたり、眼下に駿河湾の遠景が広がっていたりして、愛車撮影の映えスポットもたっぷり。走って良し、眺めて良しのワインディングロードです。

こちらの優遇策は「記念品贈呈」。料金所で聞くと「EVなんですね。ではこちらをどうぞ」とステッカーをいただきました。やっぱりグッズをもらうと気分がアップします。三角ペナントやお土産提灯じゃないですけど、なんとなく集めたくなってしまう。なんでしょうこの衝動は。

じつは今回、観光自動車道に協会があるということを初めて知ったのですが、せっかくですから、EVに限らなくてもいいので、スタンプラリーのような企画をやってもらいたいところです。全国のお城でやっている「御城印」みたいに「御道印」とかを作ってもらえれば、きっと集めたくなるはず。

奈良への正月帰省でも優遇ドライブ

と思っていたら、ありました! 年末年始に奈良へ帰郷したので、奈良奥山ドライブウェイと信貴生駒スカイラインを訪ねたのです。奈良のランドマーク・若草山(標高342m)の山頂からの景観や春日山原始林の縦走などが楽しめる奈良奥山ドライブウェイ。入り口でEVだと伝えると、渡してくれた記念品が「御朱印」でした。鹿のスタンプとイラストがかわいい。新日本三大夜景だというのも初めて知りました。

続いて、奈良と大阪の県境にある生駒山地の稜線を走る信貴生駒スカイラインへ。こちらも夜景が有名な景観抜群のワインディングロードです。生駒山上遊園地が残念ながら冬季休園。しかも霧がどんどん濃くなってきたので、早々に下山しました。でもお目当ての記念品はゲットできました。水色のエコバッグでした。車内備品にしておきます。

政府は、新車販売における電動化率を2035年までに100%にする目標を掲げています。充電インフラを拡充して利便性をアップすることがなにより大事ですけれど、こういう草の根的な振興策も私好み。ささやかなことでも「EVでよかった」と笑顔になれる瞬間がいくつもあるのは、悪くないですよね。

5ヵ所回ってみましたが、いずれもEVかどうかは自己申告が必要でした。Honda eという、わりと見分けやすいはずの車種でも、何も言わなければスルーされていた可能性大です。「EVかどうかは見たらわかるよ」と話してくれた係員の方もいましたが、全員にそんな眼力を求めるのは無理。三菱eKクロスとeKクロスEVを一瞬で見分けるとか難しすぎます。

そこで思ったのですが、EVを一目で見分けられるようにできないものでしょうか。ドイツや韓国、中国などのように、一目でEVとわかる専用ナンバープレートなんていいと思えます。大阪・関西万博特別仕様ナンバープレートのような事例はあるわけだし、すぐにでも導入できそう。EV優遇策と連動させて、さらにカッコいいデザインなら、それこそEVの普及促進につながるかも。なんて夢想したEV優遇道路の東西はしごドライブでした。

私のHonda e(2024/1/2現在)

総走行距離 4万9134km
平均電費 9.1km/kWh

取材・文/篠原知存

この記事のコメント(新着順)1件

  1. はじめまして、あまりにも高価で手が出せなかったHonda e ようやく中古ですが、契約しました。
    4月末、整備して納車待ち状態です。今では、公式ページに記載ないベースグレードです。国内で何台製造されたのでしょう。
    初めてのEV普通車で、製造中止、さらに、Honda e 向けの各種サービスが終了している点にとても不安を感じているところです。
    Honda e オーナーズクラブ ご縁があれば、参加希望
    また、原付バイク、niu U というXEAMが取り扱う2輪車、2019年4月~、11,500km
    平均電費33km/kWh 所有しています。

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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