テスラ『モデル3』解体展示など〜『テクノフロンティア 2021』電気自動車関連レポート

2021年6月23日〜25日、東京ビックサイト青海展示場で開催された『テクノフロンティア 2021』のEVの関連展示のレポート。45万円の中国一番人気電気自動車『宏光 MINI EV』レポートに続き、テスラ『モデル3』解体実機展示、東京大学の走行中充電技術のレポートです。

テスラ『モデル3』解体展示など〜『テクノフロンティア 2021』電気自動車関連レポート

テスラ『モデル3』解体展示

日経BPのブースでは、解体されたモデル3の実物が展示されていました。こちらも説明員は不在でした。

フロント

バンパー部分の弧を描いたアルミ製構造物が目立ちます。

左の画像では、ラック&ピニオン式のステアリング機構、右の画像では、ブレーキピストンやブレーキ電子制御ユニットが確認できます。

キャビン

インパネ部分、車体の左右を貫通するように配されたアルミのバーはダッシュボードフレーム。それに貼られた養生テープの手書きメモから、その重量は2kgと推察されます。

ステアリングホイールのエアバッグを外した状態。

後席部分。長方形の穴はバッテリーが置かれる場所。

ラゲッジスペース

後部ラゲッジスペース部分。バスタブのように見える部分は、荷物を置けるスペースになっている。

角度を変えて撮影。

パワートレイン・バッテリー

思いのほか小さいモーター。20cm程度の大きさ。

減速機。奥に写るA4サイズのパンフレットとの比較から、50cm x 25cmほどの大きさ。

バッテリー。左側に映り込むのは、比較展示された2015年製モデルSのバッテリー。

バッテリーをさらに分解したものは画像で展示されていた。

各種コントローラー

モデル3の車両にはヒューズが1つもないとのこと。

コントローラー基盤の数々。

ブレーキブースター用モーターやカメラ、オートパイロット用ECUなど。

細かすぎるモデル3の分解展示で一部は意味を理解しきれないところもありましたが、見ているだけでワクワクしました。

ちなみにこのブースは、日経BPが発行する書籍の数々をプロモーションするもので、その目玉がモデル3とモデルSの徹底分解の本。その価格は、全体編が60万円(オンラインサービス付きは90万)、ECU編が120万円(オンラインサービス付きは180万円)となっていました。

東大が研究開発する「走行中給電技術」

東京大学の「藤本・清水・藤田研究室」はローム社が協力して「走行中給電技術」を研究開発、そのカットモデルの展示ブースを出していました。

この研究開発は、モーターやインバーターなどのパワーユニットをすべてホイール内部に組み込み、道路に埋め込まれた電力線から電気の供給を受け、バッテリーレスで走行するというもの。

給電のタイプは2種類。ひとつは、受電コイルをホイールの外側に配置したタイプで、もうひとつは、受電コイルもホイール内部に組み込んだものでした。

こちらは、受電コイルをホイールの外側(ボディから見るとホイールの内側になる)に配置したタイプのもの。モーター出力は25kWで、1輪あたり20kWの走行中の給電が可能になるとのこと。

こちらは、受電コイルをホイール内部に組み込んだタイプ。赤い板状のものが受電コイル。研究員に話を聞くと、受電コイルと給電線の間にアルミホイールやタイヤ内部のスチールベルトがあり、電力供給の妨げとなっている問題があるとのこと。さらに、ホイールはFRP製など、スチールベルトは非金属素材のものに変更する必要があり、今後の開発課題となっている、とも語ってくれました。

現在、試験車両は実際に走行できるところまできているとのことです。実用化するとしたら、トヨタ ウーブン・シティのようなところで走らせたいと語っていました。筆者は、ゴルフ場のカートや、テーマパークの移動手段としてなら実用性がありそうだと思いました。

以上、「テクノフロンティア 2021」のEV関係レポートをお伝えしました。会場は、コロナの影響で5,000人収容を上限とし、人は少なくないが多くもないといった印象。さまざまなブースの説明員の話を聞くと、コロナ禍のせいか、今年は圧倒的に来場者が少ないとのことでした。ただ、「宏光 MINI EV」とモデル3解体実機の展示は、いつも人が集まっている人気ブースのようでした。

(取材・文/宇野 智)

この記事のコメント(新着順)3件

  1. フロント部分がすっきりして見えますが、これは後輪駆動モデルですか?

    1. hatusetudenn様、コメントありがとうございます。著者に確認しましたが不明とのことです。モデル3のシャーシは、RWD&AWDで共通だと思うのですが、もしかしたら違いがあるかもしれません。

  2. 解体展示されたこの個体の生産国は不明だが、今、日本で販売されているテスラ モデル3の2021年モデルは、大半が中国(上海ギガファクトリー)で生産されているそうだ。(グレードによって生産国が異なる?)
    それによって、売価低廉化と品質向上が同時に達成されているのだという。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					宇野 智

宇野 智

エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元「MOBY」編集長で現在は編集プロダクション「撮る書く編む株式会社」を主宰、ライター/フォトグラファー/エディターとしていくつかの自動車メディアへの寄稿も行う。

執筆した記事