テスラ『モデル3』解体展示
日経BPのブースでは、解体されたモデル3の実物が展示されていました。こちらも説明員は不在でした。
フロント
バンパー部分の弧を描いたアルミ製構造物が目立ちます。
左の画像では、ラック&ピニオン式のステアリング機構、右の画像では、ブレーキピストンやブレーキ電子制御ユニットが確認できます。
キャビン
インパネ部分、車体の左右を貫通するように配されたアルミのバーはダッシュボードフレーム。それに貼られた養生テープの手書きメモから、その重量は2kgと推察されます。
ステアリングホイールのエアバッグを外した状態。
後席部分。長方形の穴はバッテリーが置かれる場所。
ラゲッジスペース
後部ラゲッジスペース部分。バスタブのように見える部分は、荷物を置けるスペースになっている。
角度を変えて撮影。
パワートレイン・バッテリー
思いのほか小さいモーター。20cm程度の大きさ。
減速機。奥に写るA4サイズのパンフレットとの比較から、50cm x 25cmほどの大きさ。
バッテリー。左側に映り込むのは、比較展示された2015年製モデルSのバッテリー。
バッテリーをさらに分解したものは画像で展示されていた。
各種コントローラー
モデル3の車両にはヒューズが1つもないとのこと。
コントローラー基盤の数々。
ブレーキブースター用モーターやカメラ、オートパイロット用ECUなど。
細かすぎるモデル3の分解展示で一部は意味を理解しきれないところもありましたが、見ているだけでワクワクしました。
ちなみにこのブースは、日経BPが発行する書籍の数々をプロモーションするもので、その目玉がモデル3とモデルSの徹底分解の本。その価格は、全体編が60万円(オンラインサービス付きは90万)、ECU編が120万円(オンラインサービス付きは180万円)となっていました。
東大が研究開発する「走行中給電技術」
東京大学の「藤本・清水・藤田研究室」はローム社が協力して「走行中給電技術」を研究開発、そのカットモデルの展示ブースを出していました。
この研究開発は、モーターやインバーターなどのパワーユニットをすべてホイール内部に組み込み、道路に埋め込まれた電力線から電気の供給を受け、バッテリーレスで走行するというもの。
給電のタイプは2種類。ひとつは、受電コイルをホイールの外側に配置したタイプで、もうひとつは、受電コイルもホイール内部に組み込んだものでした。
こちらは、受電コイルをホイールの外側(ボディから見るとホイールの内側になる)に配置したタイプのもの。モーター出力は25kWで、1輪あたり20kWの走行中の給電が可能になるとのこと。
こちらは、受電コイルをホイール内部に組み込んだタイプ。赤い板状のものが受電コイル。研究員に話を聞くと、受電コイルと給電線の間にアルミホイールやタイヤ内部のスチールベルトがあり、電力供給の妨げとなっている問題があるとのこと。さらに、ホイールはFRP製など、スチールベルトは非金属素材のものに変更する必要があり、今後の開発課題となっている、とも語ってくれました。
現在、試験車両は実際に走行できるところまできているとのことです。実用化するとしたら、トヨタ ウーブン・シティのようなところで走らせたいと語っていました。筆者は、ゴルフ場のカートや、テーマパークの移動手段としてなら実用性がありそうだと思いました。
以上、「テクノフロンティア 2021」のEV関係レポートをお伝えしました。会場は、コロナの影響で5,000人収容を上限とし、人は少なくないが多くもないといった印象。さまざまなブースの説明員の話を聞くと、コロナ禍のせいか、今年は圧倒的に来場者が少ないとのことでした。ただ、「宏光 MINI EV」とモデル3解体実機の展示は、いつも人が集まっている人気ブースのようでした。
(取材・文/宇野 智)
フロント部分がすっきりして見えますが、これは後輪駆動モデルですか?
hatusetudenn様、コメントありがとうございます。著者に確認しましたが不明とのことです。モデル3のシャーシは、RWD&AWDで共通だと思うのですが、もしかしたら違いがあるかもしれません。
解体展示されたこの個体の生産国は不明だが、今、日本で販売されているテスラ モデル3の2021年モデルは、大半が中国(上海ギガファクトリー)で生産されているそうだ。(グレードによって生産国が異なる?)
それによって、売価低廉化と品質向上が同時に達成されているのだという。