EVの充電がより簡単かつ迅速になるイギリスの新法

イギリスではEVの充電をより簡単、迅速、確実にするための新しい法律が可決されました。これにより、EVのドライバーはより充電価格の比較や料金の支払いがしやすくなり、信頼性のある充電器が使えるようになります。アメリカのメディア『CleanTechnica』から全文翻訳でお届けします。

EVの充電がより簡単かつ迅速になるイギリスの新法

【元記事】 New UK Laws to Make Charging An Electric Vehicle Easier & Quicker by Guest Contributor on 『Clean Technica

何百万人ものドライバーの充電体験を改善する法律

●EVの充電をより簡単、迅速、確実にするための新しい法律が可決されました。
●EVのドライバーはより充電価格の比較や料金の支払いがしやすく、信頼性のある充電器が使えるようになります。
●これは英政府の「プラン・フォー・ドライバーズ(より英国内を運転しやすくする計画)」に従った施策で、人々がもっと自ら運転するようになったり、2035年のゼロエミッション目標に先駆けて充電インフラの整備を加速させたりすることを目的としています。

昨夜(2023年10月24日)に国会で承認されたこの新法により、何百万人というEVドライバーがより簡単に使えて、より信頼できる(故障しにくい)充電網の恩恵を受けることができるようになります。

この法律により充電器の価格が分かりやすく、比較しやすくなり、新たに設置される充電器の多くが非接触型決済に対応することになります。

充電器事業者はデータの公開が義務付けられるため、EVドライバーは自らのニーズに合った充電ポイントを簡単に見つけることができるようになります。このデータはアプリやオンラインマップ、車載ソフトウェア向けに開放され、ドライバーが充電ポイントを検索し、充電速度を確認し、充電器が稼働していて空いているか確認しやすくなります。

こうした施策が生まれる背景には、公共充電施設の記録的な成長率(昨年比で42%)があります。

技術および脱炭素大臣のジェシー・ノーマン氏は次のように述べています。

「これらの新しい規制は経時的に何百万ものドライバーのEV充電体験を向上させ、ドライバーがニーズに合った充電ポイントを見つけ、様々な選択肢の充電コストを比較し、充電器側の決済手段を最新のものにするのに役立ちます」

「EVへの乗り換えがこれまで以上にスムーズになり、経済にも貢献し、我が国が2035年の目標を達成する役に立ちます」

これらの規制が発効すると、ドライバーは公共の充電器の利用に関して、24時間対応の無料コールセンターに連絡することもできるようになります。また、充電ステーションの運営者は、利用可能な充電器を顧客が簡単に検索できるよう充電ステーションのデータを開示しなくてはなりません。

英国EV協会のCEO、ジェームス・コート氏はこう言います。

「より高い信頼性、明確な価格設定、支払いのしやすさ、そして充電網に大きな変革をもたらす可能性があるオープンデータはどれもEVドライバーにとって大きな進展です。実現すればイギリスは世界有数の充電がしやすい国になるでしょう」

「充電インフラの拡大が加速すると、こうした規制が充電網の品質を担保し、消費者のニーズを中心に据えたEVシフトが実現するでしょう」

これらの規制は、プラン・フォー・ドライバーズを通じて充電網の普及を加速させるために最近政府が発表した一連の施策に基づいています。これらの施策には電力網に充電器を接続するプロセスの見直しや、助成金の対象を学校への充電器の設置にも広げることも含まれます。

政府は地方の充電インフラ設置の拡充も引き続きサポートします。3億8,100万ポンド(約700億円)の地方EVインフラ資金の第1ラウンドは現在自治体からの申請を受付中で、これにより数万カ所の充電器が設置され、自宅充電ができないEVオーナーも充電がしやすくなります。さらに、住宅地用路上駐車充電スキーム(ORCS)もイギリス全土の地方自治体を対象としています。

政府は最近、世界に先駆けて2035年までに自動車の排出ガスをゼロにする計画を打ち出しました。この計画では、2030年までにイギリスで販売される新しい乗用車の80%と、新しい貨物バンの70%をゼロ・エミッション車にすることが義務づけられます。今日発表された規制は、より多くのドライバーが電気自動車に乗り換えるのをサポートするものです。

政府は本日、「交通の未来、ゼロ・エミッション車」協議への回答も発表し、地方交通当局が交通開発計画の一環として充電戦略を策定していない場合は、その策定を義務付ける法律を導入する意向があると発表しています。これにより、国内のすべての地域でEV充電インフラの開発計画が策定されることになります。

翻訳/池田 篤史(翻訳アトリエ)
※冒頭写真は英国の充電事業者GRIDSERVEのプレスリリースから引用。

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この記事の著者


					池田 篤史

池田 篤史

1976年大阪生まれ。0歳で渡米。以後、日米を行ったり来たりしながら大学卒業後、自動車業界を経て2002年に翻訳家に転身。国内外の自動車メーカーやサプライヤーの通訳・翻訳を手掛ける。2016年にテスラを購入以来、ブログやYouTubeなどでEVの普及活動を始める。

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