【7/18予約開始】日本でも発表されたメルセデス「EQC」の魅力とは?

2019年7月4日(木)、ついにメルセデス・ベンツ日本から完全な電気自動車「EQC」が正式に発表されました。限定モデルの「EQC Edition1886」は7月18日午前11時から、メルセデスベンツ・オンラインストアにて先着順にウェブ商談予約が開始されます。

日本でも発表されたメルセデス「EQC」の魅力とは?

奇をてらわずに1000万クラスのBEVを提案

あのメルセデスが満を持して日本市場に投入する純電気自動車。それがこの「EQC」です。すでにさまざまなメディアで発表会の内容が伝えられていますが、EVsmartブログでは、ほぼ同価格帯で日本市場に出揃った純電気のSUV、ジャガー「i-PACE」、テスラ「MODEL X」と比較しつつ、ファーストインプレッションをまとめてみます。

EQC

まずは、気になる価格やスペックの比較表(2019年7月5日現在)です。

メルセデスEQC
●Edition1886
●400 4MATIC
ジャガー i-PaceテスラモデルX
ロングレンジ
新車価格12,000,000円(税込)
10,800,000円(税込)
9,590,000円(税込)10,910,000円(税込)
バッテリー容量80kWh90kWh100kWh
EPA航続距離321km377km475km
システム最大出力300kW294kW404kW
システム最大トルク765Nm696Nm596Nm
全長 x 全高 x 全幅(ミラー抜き)4761 x 1624 x 1884mm4695 x 1565 x 1895mm5037 x 1684 x 1990mm
車両重量2495kg2240kg
※エアサスペンション装着車
2459kg
駆動方法四輪駆動四輪駆動四輪駆動
定員5名5名7名
0-100km/h5.1秒4.8秒4.9秒
急速充電50kW CHAdeMO
※日本仕様は最大出力50kWまでの対応(確認中)
50kW CHAdeMO
※最大出力100kW対応
CHAdeMO
テスラスーパーチャージャー
※最大出力150kW対応

※2019年7月4日発表会配布のスペック表によるデータ

車体サイズとしては、エンジン車の「GLC」と同じくらい。車両価格は、GLCの最上級グレードである「350eスポーツ」やAMGモデルと同じくらい、といった印象です。全体的なボディデザインも、GLCと似ています。

それにしても、1000万クラスの自家用車。ベンツが出すと「当たり前」に感じてしまうのが不思議(私見ですけど)です。

EQC

発表会では、上野金太郎社長とともに、競馬界の大スターである武豊さんも登壇。武豊さんはEQCのブランドアンバサダーに就任したそうです。こうした人選にも、メルセデス・ベンツならではの安定感ある上質志向を感じます、私見ですけど。

ともあれ、端的に「EQC」の印象を表現すると「メルセデス・ベンツが構築してきた自動車の歴史の延長線上に、電気自動車を手堅く置いてきたな」と感じます。あ、全然端的じゃないですね。つまり「余計な冒険はしていない」ってことです。まだ試乗していないのであくまでも見た目の印象ですが、象徴的なのがインテリアです。

EQCのインテリア
EQCのインテリア

EQC_MODEL X
テスラ モデルXのインテリア
EQC_iPACE
ジャガー i-PACEのインテリア

アングルが違って、ことに i-PACE の写真は試乗会の時にスマホでサクッと撮ったものなので、ややわかりにくいですけど。物理スイッチ類を極力排除して大画面モニターを中央に配している「モデルX」には「今までのエンジン車とは違う」という新しさがあるのに比べ、「EQC」そして「i-PACE」は、最新ではあるものの、今までの「自動車」というイメージを踏襲しているといえるでしょう。

インテリアの好みなどは個人的な趣味嗜好の問題なので「どちらがいい」とは言いませんが、モデルXの斬新さを選ぶか、EQCの奇をてらわない安心感を選ぶか、悩ましいところです。ま、それよりも1000万オーバーの値段が個人的には最も悩ましいところですけど。

公式ウェブサイトを見比べるのも面白い。

ちなみに、各車種、メーカーの立ち位置というか、純電気自動車への向き合い方の違いは、それぞれの公式ウェブサイトにも現れています。

●「EQC」のウェブサイト
電動車ブランドである「EQ」特設サイト内に、動画イメージも使ったパララックス風味に手の込んだサイトデザインになっています。

●「i-PACE」のウェブサイト
エンジン車ラインアップと横並びでモデル紹介ページを展開。電気自動車押しはそれほどでもなく、いわゆる高級車ウェブカタログという印象です。

●「MODEL X」のウェブサイト
世界共通のシンプルなウェブデザイン。Appleのウェブサイトなどにも通ずる、ウェブに特化したコミュニケーションが徹底されている印象です。世界標準過ぎて、たまに日本語がおかしいのが玉に瑕。

安心感の「EQC」。エンスー風味の「i-PACE」。あくまでも斬新な「MODEL X」。といった選択ですね。1000万のお買い物ですから、買える方は、ご自身の価値観に照らし合わせて納得のいくチョイスをどうぞ。

付加価値の値段は「EQC」が一番高価

3車種を比べると、電池容量が「EQC=80kWh」、「i-PACE=90kWh」、「MODEL X(LR)=100kWh」と、ちょうど10kWh刻みで並んでいます。車両価格を電池容量で割ってみると、1kWh当たりの価格は以下のようになりました。

電池1kWh当たりの車両価格
「EQC」=135,000円
「MODEL X」=10,9100円
「i-PACE」=106,555円

電池容量は「EQC」が一番小さいですが、単価は2〜3万高くなっています。メルセデス・ベンツならではの「付加価値代」と考えるべきでしょう。ちなみに、EQCに搭載する電池は、ドイツ国内のダイムラーの100%子会社「ドイチェ・アキュモービル社」で生産するそうです。電池の自社生産にこだわるのもベンツブランドの矜持でしょうか。

今回の発表内容の中でも、付加価値を感じる内容がありました。

テレマティクスサービス「Mercedes me connect」を標準設定

事故検知時やSOSボタンを押すと、コールセンターが消防に連絡してくれる「24時間緊急通報サービス」や、24時間ツーリングサポートセンターに繫がる「24時間故障通報サービス」などの安全サービスを最長10年間無償提供。また、駐車した車両の位置をアプリの地図上に表示する「駐車位置検索」などの快適サービスを3年間無償で提供。

Sクラスと同等の、メルセデス・ベンツ最新の「レーダーセーフティパッケージ」

声高に自動運転を謳ってはいませんが、メルセデス・ベンツならではの高度なドライブアシスト機能を装備。高速道路走行時、アクティブステアリングアシストが起動している状態でドライバーがウインカーを点滅させると車両自身が危険が無いことを確認して自動で車線を変更する「アクティブレーンチェンジングアシスト」も備えています。

MBUX(エムビーユーエックス)

「ハイ、メルセデス」と話しかけるだけで、自動対話式音声認識機能が起動。「充電ステーションを探して」など、普段の会話のように話しかけるだけでさまざまな設定が簡単に操作できます。

シェアカー・プラスが利用できる

新車登録日より5年間、走行距離100,000kmのいずれか先に達するまで、一般保証およびメンテナンス保証、24時間ツーリングサポートが無償で提供される「EQケア」を用意。バッテリーは8年間、または走行距離160,000kmのいずれか先に達するまで、特別保証が適用されます。また、EQケアのサポート期間中、好きなメルセデスを無料で借りられる「シェアカー・プラス」を5回まで利用可能。

充電用ウォールユニット無償キャンペーンを実施

EQC
メルセデス・ベンツウェブサイトより

200V30A=6kWの普通充電に対応する充電用ウォールユニット(専用ケーブル付)1基、13万5000円(税込)を無償提供。さらに設置費用として10万円をサポート。ただし、一般家庭の場合、定格電流30A(15Aでの使用も可能)で使用するには電力契約や分電盤の変更が必要になるケースが多いかと思われます。

テスラにもスタイリッシュな「ウォールコネクター」がありますが、メルセデスのユニットもかっこいい。参考までに日産リーフの場合、6kW普通充電をするには、メーカーオプションで車両側の充電装備を変更した上で、電気機器メーカーの壁掛け充電器を購入することになります。

回生ブレーキの強さを4段階選択可能

さらに、個人的に「さすがだなあ」と感じたのが、回生ブレーキの強さに4段階の設定があり、ステアリング横のパドルシフトで変更可能、というところです。完全停止はしないそうですが、最も強い「D- -(強度の回生ブレーキ)」にすればワンペダルドライブが可能とのこと。

さらに、回生ブレーキの効きを解除できる「D+(コースティング)」という設定があるのは、スムーズに運転するのにすごく便利なはずです。私自身、マイカーの30kWhリーフでは「D」と「B」レンジ、さらには「N」と3段階の回生強度を使い分けて走ってますが、走行中に「N」に入れるのは緊急時にアクセル効かないからなんだか後ろめたい気がするし、シフトノブをぐりぐり動かすのが面倒臭いんですよね。って、なんだか貧乏くさい話ですみません。。。

EQC

ともあれ、気になる「EQC」。いつから試乗できるのかまだ確認中ですが、EVsmartブログでも試乗レポートを繰り出します。お楽しみに!

(寄本好則)

この記事のコメント(新着順)6件

  1. こんにちは。
    ここのところ、動きがありましたよ。
    納車が契約前には10月と有りましたが、第一陣は年末に遅れ、私のは年を越えるとのこと。全世界での同時発売で生産が間に合わないとのこと。ハッキリは言いませんでしたが、予約の初日にほとんど55台売れたんではないでしょうか。それも短時間で。補欠合格者?ハハハをかなり抱えているようです。(ふつうモデルに繋げるんでしょうね)

    もう一つが支払方法ですね。
    年越えなのに支払い契約は予定通り10月半ばだそうです。

    そしてMBJはリースで売りたいようです。まー法人契約で全額損金ですからね。現金では旨味がかなり減少しますよね。
    そこでです。カードで1000万切れるところはどこが有るんでしょうか?ダイナースぐらいでしょうか。(仮ですがダイナースはOKもらいました)
    現金払いは現状アウトだそうです。リースに移行することになると言われましたよ。嫌ならキャンセルという運びです。
    現金とリースでは条件が全然違いますよね。
    そもそも私は所有者になりたいのでリース会社所有の車になんか乗りたく有りません。

    なんか変な意味で敷居が高くなってますね。
    現状でした。

    1. tamako様、予約されている方からの情報、ありがとうございます!いよいよ年末ですか、楽しみですね。またリース販売とのこと、理由はちょっと分かりませんが、ホンダさんのFIT EVとかもそうでしたし、Clarity EVやFCVもリースのみ。リースは販社にとっては会計上売上が一気に立たないので嬉しくないはず。どういう理由があるのか興味がありますね。

      カード、高額決済という意味ではダイナースが与信でやってくれますが、アメックスは与信もありますが、振込すればそのぶん枠は広げてくれますのでいくらでも決済できますし、そのぶんのポイントも付与されます。

  2. 10万払って予約しました。
    EQCの魅力はMB製ということでしょうか。
    車の性能もさることながら虚栄心も満足させてくれる車は現状ではこの車でしょうか。テスラじゃないんですよねー。
    ただし,高すぎる事は否めないですね。

    1. tamako様、コメントありがとうございます!予約されたんですね!おめでとうございます。どんどん選択肢が広がることは素晴らしいことだと思います。メルセデスであればサービスや品質は完璧が期待できますしね。初物ですから多少は高いのは仕方ないかも。。軽自動車のアイミーブも当初は400万近かったですし、テスラのモデルSもオートパイロットなしの初期モデルで1400万弱でしたから(笑)

      納車っていつ頃になるんでしょうか。よろしければ教えてください。

  3. 昨日ジャガーに乗ってきました。
    で、車幅がちがっているのではないでしょうか?

    1. 南田さま、ご指摘ありがとうございます。
      ご指摘の通り、車幅、車重などがちょっと古いデータのままでした。
      修正いたしました!

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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