第25回 日本EVフェスティバル開催〜合い言葉は「CO2ゼロ&アクセル全開!」

2019年11月3日(日)、日本EVクラブが主催する『第25回 日本EVフェスティバル 2019』が、茨城県の筑波サーキットコース1000で開催されました。エンジン車を改造した電気自動車、電気レーシングカートによる耐久レースや、メーカー製EVオーナーによるタイムアタックなど、バラエティに富んだプログラムで盛り上がりました。

第25回 日本EVフェスティバル開催〜合い言葉は「CO2ゼロ&アクセル全開!」

改造電気自動車を思い切り走らせたい!

一般社団法人 日本EVクラブは、自動車評論家の舘内端氏を代表理事として、電気自動車普及を目指す市民団体です。設立は1994年10月、エンジン車(マツダロードスター)を手作りで電気自動車に改造する『EV手作り教室』を開催、会員による改造電気自動車製作を支援し、舘内氏自身が製作した電気フォーミュラーカー『電友1号』で、アメリカ・フェニックスで開催されたEVレースに参戦するなどユニークな活動が始まりました。

第1回 日本EVフェスティバルが開催されたのは1995年8月。自作した改造EVを「思い切り走らせたい!」という会員の思いに応えるイベントです。初開催となったフェスティバルには、手作りコンバートEV6台、ERK(電気レーシングカート)11台、EVレーシングカー3台が参加。2000年の第6回フェスティバルには、手作りコンバートEVが32台、ERK19台、レースには参加せず展示だけの手作りEVが10台集まるなど、大きく広がってきたのです。

開会式で挨拶する舘内端代表理事。

記念すべき25回目のフェスティバル。メーカーによる市販EVも増えるなか、自作コンバートEVによる60分耐久レースには7台が参加。ERKによる30分耐久レースには15台が参戦しました。

コンバートEV 1時間ディスタンスチャレンジ

ERK 30分ディスタンスチャレンジ

『何でもEV展示』デモ走行/学生フォーミュラEV

メーカー製EVオーナーズタイムアタック

また、メーカー製EVオーナーズタイムアタックには、三菱のi-MiEV、ミニキャブMiEV、日産リーフe+、旧型リーフ(AZE0)、e-NV200と、全て車種が異なる5台が参加。基準タイムとして定められた「1分00秒」に最も近い(1分より速いと失格)タイムを目指す競技を行いました。

何を隠そう、旧型リーフで参加したのは私(寄本)です。私は日本EVクラブのスタッフでもあり、少しでも盛り上げ役になればと考えての出走だったので優勝を狙うつもりはなく、むしろ「最速にアタックして失格しよう」くらいに思っていたのですが。一番最後、私のスタートを迎えた時のトップタイムが1分3秒台。「あれ、優勝のチャンスじゃん」と欲が出て、失格を回避する走りを実践。1分2秒881という、なんとも中途半端なタイムで優勝してしまいました。参加者のみなさん、失礼しました。m(_ _)m

スーパーGTでも活躍した『チーム タイサン』が連覇を達成

コンバートEVやERKのレースは、搭載する電池性能などによってクラスが分けられています。

30分の耐久レースで争うERKでは、48V電池の「ERK-1」クラスで『Enersys Feat.女子カート部』がコース1000での開催となった2015年から勝ちっぱなしの5連覇を達成。

5連覇を達成した女子カート部の走り。

改造EVで、60分間の周回数を競う「コンバートEV1時間ディスタンスチャレンジ」は鉛電池クラスとリチウムイオン電池クラスに分かれており、最速のリチウムイオンクラスでは、スーパーGTなどエンジン車のレースでも活躍してきた『チーム タイサンCTS』の『TAISAN PORSCHE916』が、昨年に続く連覇を果たしました。

連覇を果たしたチームタイサンCTS、千葉社長の走り。

チームの代表で太産工業代表取締役社長である千葉泰常さんは、日本EVフェスティバルではすでにおなじみの存在。2018年にはスーパーGTから撤退してEVレースに取り組むことを宣言していました。『TAISAN PORSCHE916』は47kWhのリチウムイオン電池を搭載したコンバートEVで、フェスティバルの1時間ディスタンスチャレンジには2013年から連続して参戦しています。当初はマシントラブル(電池温度上昇など)でなかなか勝てない時期もありましたが、25回の記念大会で貫禄の連覇を実現してくれました。

ネットで話題の『e-セドリック』もサーキットを疾走しました

サーキットのパドックでは、さまざまな電動モビリティを披露する『何でもEV展示』や、自動車メーカーなどが出展する『環境EXPO』のコーナーもあります。

e-セドリックもサーキットを疾走しました!

『環境EXPO』には、最近YouTubeで人気になっている『e-セドリック』も登場。中国製の改造キットで生まれ変わった『e-cub(スーパーカブ)』とともに、サーキットのデモランも行いました。

120万回再生の人気動画!

この『e-セドリック』は、私も制作に関わっている『E-MAGAZINE』編集長の陰山さんがオーナー。9月に開催された『ジャパンEVラリー2019』では、白馬までやってきてくれて、少し運転したこともあります。搭載しているのはリチウムイオン電池で、コンバートEVとしては珍しく CHAdeMOの急速充電にも対応しています。改造を手がけた『オズモーターズ』代表の古川さんは日本EVクラブ会員でもあり、ビンテージカーをEVに改造(コンバート)する日本の第一人者といえる方です。

オズモーターズのブースに展示されていた「e-cub」が注目を集めていました。

エンジン車を改造するコンバートEVは、日本EVクラブの原点。当初はもちろん鉛電池だったので、100Vで8時間充電して航続距離は50km! とか当たり前。不便ではありますが、だからこその楽しさがあります。コンバートEVの世界を知れば、一充電航続距離が500km以上なんて贅沢は言えなくなります(笑)。

2人乗り電気フォーミュラーカーが復活

今回の日本EVフェスティバルでは、2007年に世田谷区の「中学生EV教室」で日本EVクラブが製作した『EV SIDE by SIDE』という2人乗り電気フォーミュラーカーが復活のお披露目をする晴れ舞台にもなりました。

復活走行での「サーキット同乗試乗権」はクラウドファンディングのリターンでもありました。

教室で組み立てた中学生たちを乗せて走った後、搭載する電池を失って長く休眠していたのですが、このフェスティバルに向けてクラウドファンディングを実施。無事に復活することができたのです。日本EVクラブでは、子どもたちをサーキットに招待して試乗会を開催。100人以上の子どもたちを乗せてギネス記録に挑戦する計画も進行中です。

比較的手軽に改造してモータースポーツを楽しめる!

できるだけ多くのドライバーが乗ったチームは表彰されます。ドライバー交替もレースの見どころ。

日本ではなかなか市販車のバリエーションが増えない電気自動車ですが、エンジン車を改造すれば、エンジン車が築き上げてきた文化を電気自動車の時代に受け継ぐことが可能です。エンジンやエンジン関連の部品を外し、モーターや電池、コントローラーなどの電動化部品を取り付ける。電気自動車への改造は、手間や費用がかかって決して「簡単」ではありませんが、たとえば「電気自動車をエンジン車に改造する」のと比較すれば、格段に手軽です。

そもそも、舘内端さんが日本EVクラブを設立し、電気自動車普及に取り組む決意をした動機は「持続可能なモータースポーツを楽しみたい」という思いでした。F1マシンのエンジニアなど、エンジン車レースの世界で活躍してきた舘内さんは、地球温暖化問題と真剣に向き合って、電動化しなければモータースポーツは存続できないという危機感を抱いたのです。

つまり、電動化はこれからもモータースポーツを楽しむための避けられない選択であり、日本EVフェスティバルはその心意気を象徴するイベントです。

3年前からプログラムに加わった『自動運転競技車タイムアタック』には、レーシングカートやシニアカーを自動運転に改造した3台が出場。今までの挑戦ではコース1周を完走することがなかなかできませんでしたが、今年は出場した3台全てが完走を果たしました。

ベストタイムで完走した自動運転車『MM1号2019』。LiDERも搭載しています。

自動車ジャーナリストが助手席に同乗して『EV・PHEVサーキット試乗会』も行われました。

日本EVクラブのモットーは「隗より始めよ」。何ごとも、まずは自分がチャレンジして道を拓き、楽しみ方を見つけようという精神です。クラブ設立当初からEVを楽しむ仲間に加わってかれこれ四半世紀以上が過ぎました。ようやく、世界は自動車の電動化へ向けて本格的に動き始めています。これから市販EVに乗る人にも、できるだけ多くの方に、EVのこんな楽しみ方があることが伝わるといいな、と思いつつ、ヘトヘトになるまで楽しんだ秋の休日となりました。

25周年という節目を過ぎて、来年の日本EVフェスティバルは内容を一新するかも知れません。たくさんの市販車オーナーの方が参加しやすいプログラムが加わるといいですね。その際には改めてお知らせしますので、ぜひ奮ってご参加ください!

【関連サイト】
『日本EVクラブ公式サイト』
『日本EVフェスティバル特設サイト』

(寄本好則)


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