38車種101台が参加!『ジャパンEVラリー白馬2024』/愛車のV2L機能が大活躍

長野県白馬村で『ジャパンEVラリー白馬2024』が開催されました。参加台数は16メーカー38車種の101台。白馬村長も愛車のリーフで参加してくださいました。クルマも人も個性いろいろ。苦難の道を歩む日本のEV普及ですが、着実にEVへの理解が広がっていることを実感できるイベントでした。

38車種101台が参加!『ジャパンEVラリー白馬2024』/愛車のV2L機能も大活躍

天気予報が外れて絶好の晴天で開幕!

2024年7月27日(土)〜28日(日)、長野県白馬村のエイブル白馬五竜第3駐車場を主会場として、『第11回 ジャパンEVラリー白馬2024』が開催されました。前日の天気予報は、土曜日が曇り、日曜日は雨模様。主会場の駐車場は未舗装だから「雨が降ったら大変だぁ」と心配していたのですが……。駐車場を拠点に「最新EV・PHEV試乗会」などを行った土曜日は熱中症がヤバいほどの快晴。朝一番で恒例の「EVパレード」を行った日曜日も、朝は晴れ間さえのぞき、イベントが終了して解散となるまで好天が続いてくれました。神さまの慈愛に感謝です。

今年の参加台数は101台。多彩なEVやPHEV(エンジン車を改造した手作りEVも!)、FCEV、そしてオーナーさんたちが集まるのがジャパンEVラリーの特長で、今年はなんと16メーカーの38車種が集まりました。日曜日の「ランチ&表彰式」で挨拶と白馬村長賞のプレゼンターとして参加してくださった白馬村の丸山俊郎村長(就任した2023年が47歳。白馬村史上最年少の村長です)もマイカーの日産リーフで駆け付けてくださったので「参加台数に加えさせていただきました」(日本EVクラブ事務局)ということで。

最も遠くから参加した方に贈られる「白馬村長賞」は、岩手県から日産アリアで参加した金子眞也さんが受賞。なんと、金子さんは前週末に富士山麓で行われた「日産アリア全国オーナーズミーティング」(関連記事)に参加して、そのまま「頭文字D」の聖地巡礼や富岡製糸場、東京都内の友人宅など各地を巡って白馬のEVラリーに参加。9日間で約2400km走ったそうです。

白馬村長賞に輝いた金子さんと、丸山村長(左)。

「多種多様な人とEVが集まるEVラリー。多様な価値観の中でも、揺るぎない意志ある方々がBEVというツールをライフスタイルに入れていると感じました」(金子さん)という感想の言葉に、主催した日本EVクラブ&白馬EVクラブのメンバー(私も事務局メンバーなのでついつい身内報告的になってしまいますが)も感慨しきりでした。

その金子さんとわずか20kmほどの差で白馬村長賞に届かなかったのは、岡山県倉敷市から参加した髙橋利英さん。実は、髙橋さんは昨年も三菱i-MiEVで参加、同じ倉敷市内の参加者より少し白馬に近かった(出発時住所から会場までGoogleマップのルート検索で示される距離で判定しています)ため、急遽設定された「準白馬村長賞」を受賞していました。今年も惜しい差で2位、ということで、表彰式前夜、事務局で相談の上、これまた事前設定はなかった「白馬EVクラブ賞」を贈呈することになったのでした。

倉敷からeKクロスEVで参加の髙橋さん父子。

今年の髙橋さんは義父の形見として受け継いだ三菱eKクロスEVでの参加。「i-MiEVでは往復で20回充電していたけど、今年は10回で完走できます」と、軽EVの進化を実感。「道中の話相手に」と一緒に参加してくれた息子さんは受験生ということでしたが、EVで巡る白馬の夏を楽しんでくれたようです。

参加者のみなさん、お疲れさまでした!

「Top of the EV in HAKUBA」はBYD SEALが受賞

27日の「最新EV・PHEV試乗会」。今年は試乗コースを約20kmに延長、時間枠もたっぷり取って、試乗した参加者が採点。その平均点で最上位のクルマを「Top of the EV in HAKUBA」として表彰しました。

表彰状は東福寺社長に進呈。

代表理事である舘内端さんの思いつきで実施した記念すべき第1回 Top of the EV in HAKUBA に輝いたのは、BYDが先だって発売したスポーティセダン、SEALです。25点満点の採点で、SEALに試乗した参加者の平均点は「22.36」点。2位になった日産アリアは「21.36」点でした。

会場には、BYD をはじめ、テラチャージ、ニチコン、ホンダなどが出展。ホンダのブースには先だって発表されたばかりの「CR-V e:FCEV」が展示されていました。

また、今年は初めて「参加者出展ブース」のコーナーを開設。日産サクラで参加した中村さつきさん、テスラモデル3で参加の「EVごはん」石井啓介さん、そして初期型リーフのバッテリー増量改造(関連記事)などで紹介したこともあるOZモーターズの古川治さんが会場を盛り上げてくださいました。出展のみなさん、ありがとうございました。

マイカーKONAのV2Lが会場内の音響で大活躍

今年もジャパンEVラリーには、私のほかに赤井邦彦さん(初参加!)、木野龍逸さん、篠原知存さんらのEVsmartブログ著者陣が参加して取材してくれたので、それぞれ多彩な視点からのレポートは後日お届け予定です。

私のレポートでは、個人的に印象的だった2点を紹介しておきます。

まず、土曜日に行われた開会式などの際、会場内の音響システムに私のマイカーであるヒョンデKONAのV2L機能が大活躍したことです。KONAには室内V2LとしてAC100V15A(1500W)のアクセサリーコンセントが装備されています。また、室外V2Lとして、普通充電口からAC100V15Aの電気を取り出せるアダプターが標準装備されています。

今回、PAのために用意したポータブルスピーカーは、消費電力が33Wと30Wの2台。ワイヤレスのマイクミキサーは3Wなので、3口の延長コードにまとめて接続しても、余裕です。

室内V2Lのコンセントから電気を取ってもよかったのですが、EVから給電してることをわかりやすくするのと、車内はエアコンを効かせた休憩スペースにしたかったので、あえて室外V2Lのアダプターを使いました。1月の納車以来、車内でパソコン作業する時に電源取るくらいしか使っていなかったですが、室外V2L、やっぱりすごく便利です。今度の週末には、富士山麓で開催される「EV Summer Camp 2024」(関連記事)に参加して、また活用する予定。楽しみです。

もう1点印象的だったのが、日曜日、ランチ&表彰式の後で行った「EVミーティング」でした。今年は「充電インフラの進化と期待」というテーマで、参加者のみなさんからもさまざまな意見を発信していただきました。詳しいレポートは割愛しますが、株式会社電力シェアリングの酒井直樹社長に「昼充電」について解説いただいたり、日本の充電インフラ拡充を担う e-Mobility Power には協賛もいただき、何名もの方が参加してくださっていたので、「高出力複数口への進化」「従量課金」「月額料金」といったテーマで、一般参加者や白馬村民のみなさんを交えてディスカッションさせていただきました。

ファシリテーターは、僭越ながら私と、白馬EVクラブの渡辺俊介さん。「充電インフラについて考える」というテーマで昨年も同様のディスカッションを行って、その際にも感じたことですが。e-Mobility Power をはじめとする充電サービス事業者はもちろん、ひとりひとりのEVユーザーが充電インフラについて理解を深め、よりよいEV社会を望んでいるということが実感できる時間になったのでした。

土曜日夜の懇親会「EV白馬ナイト」には、CHAdeMO協議会の姉川尚史会長、BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長らも参加。おいしいクラフトビールやピザを味わいながら盛り上がりました。

まさに白馬村長賞の金子さんが感想として寄せてくれた言葉の通り「多様な価値観の中でも、揺るぎない意志ある方々がBEVというツールをライフスタイルに入れている」ことを感じることができたジャパンEVラリー白馬。EV普及は嫌がっている人にまで押しつけるべきことではなく、「幸せになれる人からなればいい」が私の持論。いち早くEVオーナーとなったみなさんと、白馬で楽しい時間を過ごすのは、とても意義あることだと再確認できたのでした。

来年は季節が秋になるかもですが、12回目が開催されるはず、です。EVオーナーのみなさん、来年はぜひ、白馬で会いしましょう!

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 寄本様
    ご返信ありがとうございます!
    EVラリー、来年はぜひ参加させていただきます。
    Hondaeのオーナーズクラブが白馬がきっかけで誕生したなんて…素敵ですね。
    MX30もまだまだオーナーが少ない車種なので、知り合いが触れる場になると嬉しいです。KONAの情報もありがとうございます。寄本様が乗り換えの際のブログ、読ませていただいております。いやあ…今年BEVに乗り換えればよかったなあ…と少し後悔しつつも、MX30で目覚めた電気の走り、これからも楽しくこの車と過ごしていきたいとおもいます。そして…私が乗り換えを予定している5年後の2029年(!)に、どんなEVとの出会いが待っているのか…! ローンと貯蓄を同時に頑張ってその日に備えていきます。
    これからもEV SMART様のブログを楽しみに拝読させていただきます!

  2. この春からMAZDAのMX30ロータリーEVに乗り始めました。PHEVですが電気の走りにとても魅了され、電気自動車の記事、動画を観ている中で白馬EVラリーを知りました。ぜひ参加したい!と充電できる宿をさっそく押さえ、申し込み事項を記載したのですが…結局申し込みまで至りませんでした。やはりPHEVであることで最後の最後で臆してしまったというところです。EV、PHEVオーナー参加とのことでしたが、本記事を拝読してもやはり「BEV」という共通事項を持つ人々が集う場なんだと感じた次第です。心配しすぎだったでしょうか。ただ私の中のBEV熱は上昇する一方で、EVsmart様やテスカス様の動画はもちろん、最近はHyundai・KONAに心を奪われつつあり、毎日動画を見ているほど…。残クレ、補助金の関係もあり、今のクルマであるMX30は5年間じっくりと乗っていくつもりですが、そのあとは満を持してBEVに乗ってみたいと夢見ています。定年を迎えているタイミングなので実現できるかわかりませんが。白馬は来年は秋開催をご検討されているのですね。勇気を出して参加してみようかな・・・!今年の参加者でPHEV、そしてMAZDAのオーナーの方はおられましたでしょうか?

    1. そうた さま、コメントありがとうございます。

      MX30ロータリーEV。気持ちいいEVライフへの参加、おめでとうございます。

      もちろんジャパンEVラリーは、PHEVの参加も大歓迎。今回、グレードなど確認してませんでしたけど、MX30で参加いただいた方もいらっしゃいました。Honda e のように、白馬のご縁でオーナーズクラブ誕生! ってなるのもワンダフルでしたね。
      次回はぜひ!

      KONA。私はバッテリー容量が小さい(48.6kWh)Casualを選びました。今回記事で報告したV2Lはもちろん、先進運転支援の出来の良さ、回生パドルスイッチ、クルマとしてのバランスの良さなど大満足。電費がよくて、満充電では400km以上の航続距離表示が出て、実用的にも350kmくらいは走れる(今回白馬も自宅92%から無充電で白馬。宿では3kWのコンセント充電予定だったから、道の駅でSOC21%から64%まで充電しておきました)ので、何の不満もありません。

      強いて挙げれば、IONIQ 5に比べて急速充電性能がプアなのと、Casualグレードに設定がない電動リアハッチはあるとよかったなぁ、くらいです。

      5年後にはマツダをはじめとする国内メーカーからも、多彩なBEV車種が登場しているはず。EVライフ、お楽しみください!

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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