アフリカのモビリティが示す電気自動車による生活の変革〜スタートアップ企業『MFA』の取り組み

世界の電気自動車シフトが加速しています。とはいえ、まだ高価な車両が多いことから、先進国の一部だけで受け入れられるモビリティと見られがち。そんな中、アフリカ辺境地域の経済を電動車両と電力網を包括的にカバーしたプロジェクトで盛り上げようとしているスタートアップ企業の取り組みを『CleanTechnica』が紹介しています。全文翻訳でお届けします。

アフリカのモビリティが示す電気自動車による生活の変革〜スタートアップ企業『MFA』の取り組み

Mobility For Africa Shows How Electric Vehicles Can Transform Lives Where It Matters Most by Remeredzai Joseph Kuhudzai on 『CleanTechnica

アフリカで小規模電力網と電気自動車を活用

次なる大変革や大きなサービス提供を目指して、電気自動車業界にはたくさんのスタートアップ企業が現れています。そのほとんどが、「2秒で時速100kmに到達!」というように派手な文句をつけて、未来的でちょっと架空の産物のような、6桁の価格(10万ドル以上)がつけられたEVを喧伝しています。

時々不思議に思うのは、日常の問題に向けたより現実的なソリューションを、なぜもっと多くの人が見つけようとしないのだろうということです。例えばスタートアップが約束するような、未来的なべーパーウェア(※公開未定のソフトウェアやハードウェアの構想)ではなく、一般の人々に向けたEVです。みんな安全で効率的に目的地に着きたいだけなのです!

正直、日産リーフという現代的なEVの大量生産開始から10年が経過した今、よりバラエティに富んだ実用的なEVが必要とされています。ハイ・パフォーマンスEVは地位を確立しました。テクノロジーの限界に挑戦し続ける人たちに反目する気はありません。ただ現実の人生を考慮し、もっとも必要とされている場所で人々の生活を変えることにフォーカスしてEVとモビリティが提供される場面を見たいのです。

辺境地域に住むほとんどの女性とその家族の生活は、過去20年余りそれほど変わっていません。女性と子供はいまだにどこへ行くにも長距離を徒歩で移動しています。料理や暖房用の薪を集める、井戸や川から水を汲む、近場のクリニックへ行く、街に行くためのバス停に行くなど、さまざまな用のために女性は歩き、さらに農産物を市場に運ぶために重い荷物を頭に載せて中々の距離を歩くこともあります。大量に持ち運びができないので、日保ちのしない農産物を大量に無駄にしないために、何往復もしなければならないことも頻繁にあります。子供も例外ではなく、学校へ行くのに何キロも歩いて往復しています。移動に何時間も取られるのは、コミュニティが経済的もしくは自己開発の潜在的な機会を逃していることを意味します。

MFAの電気三輪車ハンバ。画像はMFAより。

いくつかのスタートアップ企業は現在このような問題に取り組むべく動いており、私達が最近見つけたのがMobility For Africa (MFA)です。 MFAはオーストラリア人の Shantha Bloeman氏によって設立されたスタートアップ企業で、現在ジンバブエの地方にあるウェッザ(Wedza)で電動三輪車を動かしています。MFAのビジョンとは「手が届く値段で効率がよく、アフリカのペリ・アーバン(※都市と地方の境目のエリア)、もしくは地方に適応した太陽光発電による電気交通ソリューションを、女性とその家族に届けること」です。自分達のミッションを達成するため、MFAは「アフリカの地方にいる女性を交通ソリューションで力づけることにより、時間を節約し、市場でより多くの商品を売り、子供をクリニックや学校に連れていき、水を汲むことを可能にして、家庭やローカル・コミュニティ内での経済機会を改善すること」を目指しています。

そして最終的なゴールは女性とその家族の人生のクオリティを高め、同時に「長期にわたるサステナビリティと気候変動の軽減のため、アフリカでの交通用再生可能エネルギーを広めることに貢献する」ことです。

MFAは中国の清華大学、ジンバブエのグエル市にあるミッドランド・ステート大学、ソーラー・シャック(ジンバブエや南部アフリカ地域で再生可能エネルギーソリューション普及に取り組む組織)とパートナーシップを組んで、試験プログラムから結果を計測できるようデータシステムを構築しました。さらにハラレの工業地帯に電動三輪車の組み立て工場を設立しました。中国から半組み立て式キットを運び入れ、電動三輪車をハラレで組み立てるという選択をしたことにより、MFAは失業率が今までになく高いジンバブエの経済環境に、職を得る機会と技術移転プログラムを作り出します。

またMFAは自社のElectric Lady Agents(電気を扱う女性エージェント)用に、トレーニングとオペレーション・マニュアルを開発しました。他には運転マニュアルとバッテリー充電ガイドラインを含めたユーザー向けの運転レッスンとテストを進めています。マニュアルは英語、現地の言語両方のバージョンがあります。

この電動三輪車は『ハンバ』という名前で知られており、現地の言葉で「行く」という意味です。社は試験段階の初期に学んだ経験から、技術部門のパートナーと協力して、三輪車を元々の中国版からアフリカの地方で使いやすくなるように改良しました。

このような田舎にある村のほとんどが電力網から離れているため、太陽光充電拠点(ハブ)の設置が非常に重要です。地球上のこの部分で、太陽光ハブと電気自動車の相乗効果により、この地域の太陽光小規模発電網と電気自動車セクター(編集部注※ セクター = 活用推進の取り組み部分)をともに前進させる効果が期待できます。太陽光ハブの存在によってバッテリー充電や交換用ステーションを複数個所に設置でき、それが電気自動車利用を振興することになるでしょう。これらの村で活用される典型的なEVは二輪車、三輪車、航続距離が短く手が届きやすい価格の電気自動車と大型トラックになると思われます。

MFAは都度払いシステムのPayGoを展開しようと計画しています。アフリカのサハラ砂漠以南のアフリカ地域ではM-Kopa(※2012年に都度払いシステム用プラットフォームを構築)が家庭用の小型太陽光システムを広めたため、PayGoシステムはアフリカの地方でもよく理解されています。試験期間中にMFAはマンスリー/デイリーのレンタルシステムを始め、(利用者の)女性が支払えることを証明しようとしています。さらに将来的にはこのデータを使い資金を増やして、より長い融資のオプションを提供したいと考えています。

MFA はクラウドソーシングにより資金を集め、トライサイクルを詰めた最初のコンテナを船で輸送し、試験プログラムを続けるのに成功しました。さらに国際万博のExpo Live’s network of Global Innovatorsよりイノベーション・インパクト助成金を勝ち取り、また アフリカ・エネルギー競争ファンド(AECF)からも資金を確保しました。またハンバ用の中古リチウムバッテリーをテストするため、最近ドイツの中古バッテリー会社であるbetteriesともパートナーシップを結びました。

MFAはジンバブエにアフリカ全土に向けた自社製品の組み立てと流通拠点となってほしいと考えています。私達もMFAがもっと多くの資金パートナーを見つけ、早くプロジェクトを商業段階に移行できるよう祈っています。そうなれば、会社はアフリカ中の他の国に簡単にコピー&ペーストできるテンプレートを持つことになるでしょう。

※「アフリカのモビリティ〜」パート2に続きます。

<編集部注>
Expo Live という、UAEが展開している『EXPO2020 DUBAI』のYouTubeチャンネルで、MFAの活動を紹介するムービーがあったので紹介しておきます。

Expo Live I Mobility for Africa

(翻訳・文/ 杉田 明子)

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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