著者
充電スポット検索
カテゴリー

EVユーザーの味方! ルートインホテルズの普通充電器が予約可能になったことを歓迎したい

EVユーザーの味方! ルートインホテルズの普通充電器が予約可能になったことを歓迎したい

「ルートインホテルズ」の普通充電器が、2025年5月12日から「宿泊者に限り予約可能」になりました。「宿泊施設の充電器は予約できるようにするべき」と提言してきたEVsmartブログ、また、ひとりの旅好きEVユーザーとしてうれしいアップデートです。「充電器予約可能」が全国の宿泊施設に拡がることを願いつつ、気になる点を聞いてみました。

目次

各ホテルの公式サイトで予約可能であることを発信

ホテルルートイン上山田温泉の公式サイトから引用。

2010年代初頭から意欲的に設置を進めてくれていた「ルートインホテルズ」のEV用普通充電器が、2025年5月12日から「宿泊者に限り予約可能」になりました。とくにグループのニュースリリースなどは発信されていませんが、充電器を設置している各ホテルの公式サイトで、以下のような「お知らせ」が紹介(ホテルルートイン上山田温泉の公式サイトから引用)されています。

<電気自動車(EV)の充電予約開始について>

令和7年5月12日(月)より、ご宿泊者様に限り、電気自動車(EV)の充電をご予約いただけるようになりました。

ご宿泊者様専用の充電予約サイトはこちらから。お電話でも予約を承ります。(お一人様1日1台まで予約可)

■予約できる時間帯:宿泊日の15:00~翌10:00まで
※上記以外の時間帯につきましては、充電器が空いている場合に限りご利用いただけます。

また、宿泊せずに充電器を利用されたいお客様は、宿泊者の予約がない日に限り当日先着順にてご利用いただけます。
充電器には鍵がかけられていますので、ご利用を希望される際にはフロントまでお申し付けください。

【機器概要】
利用方法: 充電カード、もしくは「EV充電エネチェンジアプリ」で利用可能
種別: 普通充電 ※急速充電ではありません
出力: 6kW

(引用ここまで)
※ここでは「お一人様1日1台まで予約可」となっていますが、予約可能な台数(充電器設置口数)は施設によって異なります。

15時~翌10時までは宿泊者が先着順で予約できる

ポイントを整理しておきましょう。

●宿泊者限定でホテル駐車場のEV用普通充電器を予約できる。
●専用の「充電予約サイト」か、宿泊するホテルへの電話で予約する。
●予約可能な時間帯は15時~翌10時。
●宿泊者の予約がなく、ほかに充電する車両がなければ誰でも充電可能。
●充電器には鍵が掛けられている。
●充電利用者はフロントに声を掛けて鍵を借りる。

今まで、施設によっては充電区画にパイロンを置いて予約対応してくれることがありましたが、パイロンをどかせて充電を始められるとどうすることもできませんでした。ひと手間は掛かりますが、充電器に鍵を掛けての運用なら、予約さえ取れたらバッテリー残量ぎりぎりで到着しても安心(故障! なんて可能性もゼロではないですが)です。

この記事冒頭の写真は2024年に宿泊した「ルートイングランティア和蔵の宿 伊賀上野城前」で撮影しました。「予約あり」のパイロンはあるものの、当時はまだ確実な予約はできませんでした。このホテルでも現在は施錠管理して充電器が予約できるようになっています。また、現在ではパイロンのデザインも変わっているそうです。

EVsmartブログでは、今までにもいろんな記事で「宿泊施設の充電器は予約できるようにするべき」と繰り返し提言していました。でも、なかなか予約できるようにならなかったのは、日本のEV充電インフラ拡充の中心的役割を果たしているe-Mobility Power(eMP)の「充電ネットワーク一般提携約款」の中で「充電器に予約機能又はそれに類似した機能を付加すること」が禁止されていたからと、私は認識していました。

はたして、どのようにしてルートインの充電器が予約できるようになったのでしょうか。気になるポイントをルートインホテルズに質問してみました。

専用の予約システム開発で課題をクリア

以下、EV充電器管理担当部署からの回答を、一問一答スタイルで紹介します。

【Q】今まで予約制導入が難しかったのは、eMPの提携規約がハードルになっていると理解していました。今回、宿泊施設充電器の予約はOKなどeMPとの合意形成ができた、あるいはeMPの規約や考え方が変化した、ということでいいでしょうか?

【A】予約制を導入するには、eMP様の規約以外にもホテルの予約管理をどのように行うかというシステム面での課題や、充電器の確保をどのように行うかという運用面での課題がありました。
eMP様の規約については、ミライズエネチェンジ株式会社(前ENECHANGE株式会社)の担当者様を通して「すべてのEVユーザーへの開放は前提としながらも、宿泊者が利用しやすくするために宿泊者の充電予約を承る」という運用に問題がないことが確認できました。
その他の課題も、新たに充電予約システムを導入するなどして解消されたことで、予約制が実現できました。

【Q】今までにも、ホテルによっては電話で予約対応(ただしパイロンを置くだけなので確約ではない)してくれることがありました。今回は鍵を掛けての運用とのこと。これは「予約」を確実に実行するための方法という理解でいいですか。

【A】予約を確実に実行するための方法というご理解で間違いございません。
予約したお客様が確実に充電できるようにするためには、ホテル側で使用開始の管理を確実に行えるようにすることが必要条件でした。そのため、ホテルで鍵をかけて充電器を管理するという運用をとることにしました。

【Q】予約制の運用について、懸念した点や留意事項としてチェーン店スタッフに周知した内容などあれば可能な範囲でご教示ください。

【A】これまでと運用方法を大きく変更したため、長年ご利用いただいていたお客様の中には、ご不便に感じられる方もいらっしゃるかと存じます。しかしながら、ホテルで充電することを前提に移動計画を立てて宿泊を予約されるお客様が、確実に充電できるようにするために予約制へと踏み切りました。
ただし、予約時間帯以外は従来と変わらず全てのEVユーザーが利用できる環境であり、今後も幅広くEVユーザーの充電需要に応えることができる施設でありたいと考えております。
スタッフへの周知ですが、新たに充電予約システムを導入したため、予約管理方法や鍵をかける運用方法の準備を念入りに行いました。複数店舗でのトライアルを実施したうえで、システム改修や運用の軌道修正を重ねて、ようやく全店でのサービスインを迎えました。

【Q】複数口化が進んでいるとはいえ、まだ1口のみの施設も多いと理解しています。今後の複数口化について、いつまでにどのくらい設置を進めるかというビジョンがあればご教示ください。

【A】いつまでにどのくらい設置を進めるかは、具体的に決まっておりません。ただし、ロードサイドにも多く出店しているホテルグループとして、今後も車移動の方々を含めた多くのお客様に選んでいただけるよう、ニーズに合わせて引き続きEV充電器の設置を検討してまいります。

マナーを守って活用しましょう!

「ホテルで充電することを前提に移動計画を立てて宿泊を予約されるお客様が、確実に充電できるようにするため」とか。さすが、EV普及黎明期から充電器設置に意欲的だったルートインさん、EVユーザーの気持ちを理解してくださっていると感じます。

ホテルルートイン小野(兵庫県)宿泊時に利用したEV充電器。

【関連記事】
ルートインホテルズが37施設に6kW EV充電器74口追加導入/合計249施設296口に!(2025年3月6日)
宿泊施設の充電器は宿泊者が予約できると幸せです〜奈良EV講演会からの提言【02】(2024年5月31日)

宿泊はしないけど公共用充電インフラとして使いたいというEVオーナーにとっては、フロントに声掛けて鍵を借りるひと手間が必要になりました。でも「宿泊者が予約できる」メリットのほうが充電インフラの健全な進化にとって有意義です。「面倒だ」とか、フロントに文句言ったりしないようにしてくださいね。

また、宿泊者の予約可能時間は「15時~翌10時」となっていますが、たとえばPHEVや軽EVなどで16時にチェックインして充電を開始すれば「20時には満充電になる」と予測できるケースもあるでしょう。そういう場合、次の人が充電できるよう、予約時間をあらかじめ20時までにしておいて、ちょっと面倒だけど充電区画からクルマを移動するといった配慮があるとワンダフルだと思います。

2010年代の前半、先走ったEVユーザーたちは「ともにEV社会を構築するぞ」といった気持ちで設置された充電器に感謝しつつ利用していたはず。あれから10年以上経ってもなかなか日本のEV普及は進みませんが、充電インフラ(そして設置してくれている事業者さん)への感謝の気持ちは忘れないようにしたいと思っています。

さて、せっかくなので「実際に予約して充電器を使ってみる」というミッションを自分に課して、来週、長野県へ出かけるついでに、ルートインで一泊&充電器の予約を入れてみました。追って、予約~宿泊&充電の流れをレポートします。

取材・文/寄本 好則

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

コメント

コメントする

目次