EVシェアリングサービスの「eemo」にBYD『ATTO 3』と『DOLPHIN』が登場

神奈川県小田原市などでEVシェアリングサービス「eemo」を展開するREXEVが、新たにBYDの電気自動車『ATTO 3』と『DOLPHIN(ドルフィン)』を導入することを発表しました。eemoではボルボ『C40』、『FOMM ONE』などもラインナップしています。

EVカーシェアリングの「eemo」にBYD『ATTO 3』と『DOLPHIN』が登場

小田原市内を中心に多様なEV車種をラインナップ

株式会社REXEV(レクシヴ)が、神奈川県小田原市などで展開する電気自動車のカーシェアリングサービス「eemo(イーモ)」のラインナップに、BYDの『ATTO 3』と『DOLPHIN(ドルフィン)』を新たに加えることを発表しました。

「eemo」は2020年にスタートしたサービスで、神奈川県西部の小田原市(11カ所)、箱根(1カ所)、湯河原(1カ所)、真鶴(1カ所)などにステーションを展開(※BYD2車種導入以前の数)。日産リーフ、サクラ、三菱eKクロスEV、ボルボC40、FOMM ONEなどのEV車種を配備しています。

今回発表された2車種はそれぞれ新たに設置されるステーションに配備されることになるようで、BYD ATTO 3(1台)は「栄町三丁目」ステーション。BYD DOLPHIN(1台)は「リバティ小田原本町第二」ステーションで借りることができるようになります。

ATTO 3はすでに導入済み。DOLPHINは2025年2月予定となっていますが、eemoのアプリで検索してもまだ出てこないので納車待ち段階ということだと思います。

EVシェアリングサービスは着実に前進中

eemoについては、EVsmartブログでサービス開始当初に取材してレポートしています。

【関連記事】
再エネ応援! EVシェアリング『eemo』が小田原市などでサービス開始〜緊急取材(2020年6月19日)

まずは9カ所のステーションに20台の日産リーフを用意して、地域の太陽光発電所など再生可能エネルギー普及を応援する電気で充電。エネルギーの地産地消とEV活用促進を目指した取り組みでした。当初は環境省の脱炭素型地域交通モデル構築事業に採択された3年間の補助事業としてのスタートだったのですが、期間が満了しても着実に歩みが進んでいること(その後の補助金事情などは未取材です)に、まずは賛辞を贈りたいと思います。

私はこの取材時にeemoに入会してスマホ用のアプリもダウンロード済みですが、eemoを利用するには免許証やクレジットカード情報を登録して入会の上、スマホに専用アプリをダウンロードする必要があります。詳細は公式サイトをご確認ください。

App Store より引用。

先日「GREEN JOURNEY」プロジェクトの紹介記事でも書いたように、レンタカーやカーシェアリングの選択肢にEVを増やすのは、EV普及を進める有効な方法だと考えていて、EVsmartブログでは関連情報を丁寧に取材してお伝えしていきたいと思っています。そして、EVレンタカーやEVシェアリングのサービスが拡大するには、利用者が増えることが肝要です。多くの方が、こうしたサービスを積極的に活用してくださることを願います。

REXEVでは、電動キックボードのシェアリングサービス「SEA-Board」を運営する株式会社サンオータス、また神奈川県と協力して、神奈川県西部の2市8町(小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町)で電気自動車と電動キックボードのシェア・レンタルを行い、観光・グルメ情報などを紹介する「西湘・足柄レンたび」(公式サイト)を、2024年10月から実施しています。

ドルフィンやインスターのレンタカーが増えるといいな

私は地方取材もよくあるので、空港や新幹線駅からレンタカーを借りる機会は多い方だと思います。借りたクルマで走る距離は片道100km以内というケースがほとんどだから、EVで何の不安もありません。最近、日産レンタカーで配備が増えているサクラ(バッテリー容量は20kWh)だと経路充電が必要なケースも頻発するでしょうが、バッテリー容量40kWhのリーフであれば充電が必要なケースは激減するし、宿泊するホテルや旅館にEV充電器があればさらに安心です。

日産レンタカーの24時間価格(会員向け)をみると、サクラが9300円、リーフが1万4399円です。店舗にサクラやリーフが配備されていなかったり満車のケースもあって、しばしば借りるノートe-Powerは1万972円です。ドルフィンのベースモデルは363万円〜で44.9kWh、リーフは約408万円〜で40kWhと、ドルフィンのほうが安くて大容量(安心)でもあるので、ドルフィンのレンタカーが24時間1万円〜1万2000円くらいで借りられたら、大喜びで常連になるんだけどなぁと感じます。

さらに、ヒョンデがもうすぐ発売するインスターであれば、49kWhのボヤージュで335万5000円(安全装備などを考えると42kWhで約285万円で最廉価のカジュアルよりこっちがオススメ)と、ドルフィンのベースモデルよりもさらに大容量で安価です。EVはメンテナンスコストが削減できるメリットもあるので、レンタカーやカーシェアリング事業者にとっても強力なツールにできるのではないでしょうか。

懸念すべきポイントとしては、EVは貸し出す方も借りる方にも「慣れ」が必要な面があることです。まず、借りる方が慣れるためには、手頃な価格で借りられるEV車種が増える必要があります。ドルフィンやインスターは、レンタカーやカーシェアリング車両としても大きな可能性をもったEV車種といえるでしょう。もちろん、国内メーカーからも両車に匹敵するコストパフォーマンスを備えたEVがどしどし登場するのを心待ちにしつつ、「ドルフィンやインスターのEVレンタカー(シェアカー)を増やしましょう」と関連業界に提言しておきます。

貸し出す方としても、たとえば返却されて次に貸し出すまでの充電マネジメントをどうするかとか、エンジン車の常識とは異なる運用方法を工夫する必要があるでしょう。ちなみに、eemoのアプリでは、借りようとするEVのバッテリー残量や航続可能距離(見込み)を確認可能。ステーションには充電器が設置されていて、返却時には利用者が充電コネクタを挿しておくレギュレーションになっています。もちろん、実際に営業しているといろんな想定外は起こるでしょうが、2020年からの運用でさまざまな知見やノウハウが見つかっているのだろうと思うので、ぜひ、改めて取材レポートをお届けできればと思っています。

なにはともあれ。eemoのEVシェアリングサービスがさらに発展することを応援しています。

文/寄本 好則

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事