『リビエラ逗子マリーナ』のSDGsフェスに豪華EVが集結〜『アリア』や『iX』も展示

昨年オープンした『マリブホテル』に本格的な「V2B」を導入した『リビエラ逗子マリーナ』で、2021年10月31日、SDGs推進のイベントが開催され、多数の電気自動車が集合しました。イベントの様子をレポートします。

『リビエラ逗子マリーナ』のSDGsフェスに豪華EVが集結〜『アリア』や『iX』も展示

イベントでもサステイナビリティを推進

EVsmartブログでは2020年4月に、『リビエラ逗子マリーナ』にオープンした『MALIBU HOTEL(マリブホテル)』が本格的な「V2B」の設備を導入したことをお伝えしました。電気自動車(EV)の電力をグリッドでも利用することで環境保護や気候変動防止に役立つとは言っても、コストを考えると設置には壁がある「V2B」システムを設置したのは、ホテルやマリーナを運営するリビエラグループ経営陣の心意気のなせる技でした。

【関連記事】
リビエラ逗子マリーナ『マリブホテル』がV2Bを導入した心意気(2020年4月11日)

そんなリビエラ逗子マリーナで、SDGsを推進するイベントが開催されることと併せて、多数のEVが集まるというお知らせをいただきました。EVあるところに、EVsmartブログありです。10月最後の日曜日に、電車とバスを乗り継いで取材に行ってきました。

イベントの名称は『第3回SDGsフェスinリビエラ逗子マリーナ』です。紹介ページを見ると、参加メーカーは、BMW、メルセデス・ベンツ、テスラ、アウディ、トヨタ、日産という面々です。一企業のイベントにこれだけのメーカーやEVが集まるのは、なかなかないことです。

リビエラグループは、2006年から持続可能性の推進に取り組んできました。そんな中、2021年1月にサステイナブルムーブメントの一層の拡大を目指し、人と人をつなぐイベントとして、『SDGsフェス』を初開催しました。残念ながらコロナ禍のため、第1回と第2回(6月)はオンライン開催になってしまったので、今回が初めてのリアルイベントとなりました。

イベントではEV展示のほか、EVを手がけているメーカー担当者によるトークショーも行われました。それだけでなく、SDGsの先進国であるフィンランドの駐日大使によるトーク、冨永愛さんや原日出子さんがゲスト出演した『RIVIERA サステナブルファッションショー by IZA』など、盛りだくさんの内容でした。

なおリリースによれば、ファッションショーなどはチャリティイベントとして開催され、寄付金は『NPO法人リビエラ未来創りプロジェクト』を通じて子どもの教育などに充てられることになっています。

リビエラグループの渡邊華子常務は今回のイベントにEVを展示したことなどについて、次のように話しました。

「リビエラグループは、大自然から恩恵を受けて事業をしている部分があります。時には災害に苦しむこともありますが、自然は非常に素晴らしいので、これをどう続けていけるのかということを20年くらい前から考えていました。その時に、CO2削減がとても大事だということに思い至り、EV普及を進めてきました」

「このスペースは、人と人をつなぐ場所、人が集う場所です。私たちはライフスタイルを提案するためにいろいろなコンテンツを運営していますが、人と人をつなぐ場所を運営するということが根底にあります。だからイベントを企画するのも、そこに人が集まって、何かを持ち帰っていただくことが最大のミッションだと思っています。今回もEVの展示やトークセッション、ファッションショー、子どもたちの作品コンクールなどを実施して、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで私たちのところに集まってくれる人たちがいろいろなものを見ることで、SDGsってこう広がっていけばいいんだなっていうムーブメント、サステイナビリティの連鎖を起こしていきたいと思っているんです」

日本初お目見えのEVも参加

内容が盛りだくさんとはいえ、EVsmartブログとしてはEVに一点集中です。というわけで午前中に現地に着き、受付を済ませて居並ぶEVをぐるっと見て回りました。

展示場所はマリーナのプールサイドです。すぐ横に逗子の海を一望できます。ロケーションはこれ以上ないくらい最高です。渡邊常務によれば、このロケーションが多数のメーカーを呼び込む切り札になったそうです。

「私たちは、地球をひとつにして新しい世界を作っていくためには海が非常に大切であると思っています。その海を背景に、EVがあることがメッセージとして大事なのではないかというお話をしたところ、こういう場所はほかにないのでぜひ出たいと言っていただいたんです」

なるほど納得です、が、朝から天気があいにくの曇り空だったのが残念無念でした。

お昼前には本格的に雨が降り出しました。11月が目前の季節とあって肌寒い1日でした。それでも近所の人たちが散歩の途中で立ち寄るなど、たくさんの人がEVを見ていたほか、テスラなどが用意した試乗車も人気でした。

展示されていたのは以下の車種です。

BMW 『iX』『i3』
メルセデス・ベンツ 『EQC400』『EQA250』
テスラ 『モデル3パフォーマンス/スタンダードレンジプラス』『パワーウォール』
アウディ 『e-tron Sportback 55』『e-tron GT』
トヨタ 『MIRAI』
日産 『ARIYA』『リーフ』

さて、お気づきでしょうか。この中に「あれ?」と感じるEVが含まれています。BMW『iX』と、日産『ARIYA』です。どちらもまだ、日本の街中にはまったく出ていないEVですね。

そのため、ドアを開けて中を見てシートに座ることはできましたが、撮影はNGでした。まだ細部が変わる可能性がある、などが理由でした。まだ秘密のベールがとれなかったのでした。

なおBMW『iX』は、『iX3』とともに11月下旬にはデリバリーが始まる予定だそうです。『iX』は、BMWとしては『i3』以来、久しぶりのEV専用設計です。ちょっとワクワクします。

日産『ARIYA』は、まだほとんど実車がないために日産関係者でも乗ったことがある人は希少だそうです。そんな数少ない経験をしたのが、今は『リーフ』に乗っているリビエラグループの山崎哲雄専務(ご自身がリーフオーナー)でした。詳細を伺う時間はなかったのですが、かなり「いい」車だと感じたという話を、満面の笑みで語ってくれました。

EVsmartブログでも早く乗りたいところですが、販売店のEV担当者ですら乗ったことがないという話だったので、体験はまだちょっと先になりそうです。

さらに、アウディ『e-tron GT』も日本ではこれからデリバリーが始まるところで、実車を見る機会はまだ少ないEVです。このほか、今回はキャンセルになったのですが、電動船の展示も計画されていました。マリーナなのでやっぱり究極は船の電動化のようです。リビエラグループでは東京海洋大学と共同で電動推進船の実証研究を実施しているので、新型電動船の展示はまた機会があるかもしれません。




トークショーで日産担当者が日本のEV普及をアピール

『第3回SDGsフェスinリビエラ逗子マリーナ』では午後1時から、アウディ、BMW、日産それぞれでEVを担当している人たちによるトークショーも行われました。アウディからは広報の丸田靖生さん、BMWは営業ディビジョンのブレット・ランブルさん、日産はマーケティング本部の織田康宏さんが登壇しました。雨が降り始めていましたが、用意された座席はほぼ埋まっていました。

トークショーでは、それぞれのメーカーの電動化の方針、サステイナビリティに関する取り組み、充電インフラなどEV普及への課題に対する考え方など、約45分間という短い時間ながら興味深い話を聞くことができました。

アウディの丸田さんは、パリ協定を背景にヨーロッパではあらゆる分野でカーボンニュートラルに向けた政策が広がっていて、自動車メーカーもそれに沿った方向に進む必要が出てきたこと、「大変革のスタートが切られたのが今」だと話しました。

BMWのランブルさんは、なんと近所に住んでいて自転車で来場したそうです。また「子どもが6人いる」と自己紹介。6人の子どもたちに世界を引き継ぐことを考えると「ガソリンでずっとというのはできないなと。自動車関係の人間でありながら、子どものためにと考えると電動ですよねと、手を挙げて電動化を進める担当になった」そうです。

ランブルさんは、「日本でも日産さん以外からも(EVが)もっと出てきてほしい」と指摘。すると日産の織田さんは、「私も(そう)思っているんです」と答え、次のように話しました。

「日産はEVを10年やってきて、寂しいというのではないですが、やはり1社だと市場としての盛り上がりに欠けるところがあって。正直、(現在は)まったくEVで問題ありません。航続距離も400kmあるし、家で充電できればガソリン車以上に快適に使えます。もし停電になっても電気が使えるなど、ガソリン車以上の価値もあります。でも日産だけではなかなか伝えきれない。みなさんと手を携えて、EVを広げていきたいと思います」

さらに、アウディの丸田さんは『e-tron GT』のように突出した性能の車が出てきていることに関連して、アウディは「むしろEVの方がいい車ができるぞ、という思いを込めて開発者は車を作っています。e-tron GTでEVの上質さを体感していただきたい」と強調しました。

最後にBMWのランブルさんは、「この数日中に渋谷で大きな事をするので、ぜひ立ち寄ってください」と宣言しました。トークショーでは、「まだ言っていいのかどうかわからない」と言っていましたが、いいみたいです。

翌日に検索してみたら、11月4日の午後6時から渋谷のヒカリエで、『iX』『iX3』のお披露目イベントがあることがわかりました。でも応募期間が過ぎているので直接見ることはできないようです。今どきなので後で配信があるかもしれません。

そんな謎の発表を最後に、トークショーは終了しました。応募期間が過ぎてるのに「渋谷に来てみて」と呼びかけた、ランブルさんの発言は意味深で、足を運べば何がサプライズがあるのかと気になってます。

リビエラグループの渡邊常務は、SDGsのイベントは来年以降も続けていきたいと話していました。同時に、EVをはじめとする電動モビリティの普及促進につながることを実施したいそうです。

今後の動きを要チェックです。

リビエラグループ公式サイト
リビエラ逗子マリーナ

(取材・文/木野 龍逸)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

執筆した記事