【お知らせ】千葉の平和交通がEVバス導入で体験フェスタを開催〜試乗できます!

平和交通(本社・千葉県)は2021年2月24日、BYDの電気バス『K8』などの出発式を実施し、千葉市長や地域自治体、関係者らの試乗会を行いました。平和交通では3月18日、20日、25日、27日には電気バスの体験イベントも予定しています。

千葉の平和交通がEVバス導入で体験フェスタを開催〜試乗できます!

※冒頭写真は導入される電気バス『K8』(BYDジャパンウェブサイトより引用)

実際の運行予定路線で試乗会も実施予定

千葉県千葉市の稲毛区を中心に路線バスなどを運行している平和交通に、ビーワイディージャパンは日本で初めての大型電気バス『K8』を2台と、小型電気バス『J6』を納入しました。電気バスが納入された2月24日、平和交通では千葉市長や地域自治体などの関係者を招いて出発式と試乗会を実施しました。

【平和交通公式Twitter】

平和交通のご担当者は取材に対して、「国でも一般の乗用車を含めて電動化、脱内燃機関を進めているので、早いうちに電気バスを始めておこうと考えました」と、理由を話してくれました。まずは使ってみないとわからないから、ということですね。

電気バス体験フェスタの実施は4回を予定

平和交通では電気バスの導入を機に、さらに多くの人たちに電気バスを体験してもらえるよう、子どもたちの春休みに合わせて『電気バス体験フェスタ』を開催します。

※Click to big.

●電気バス体験フェスタ
日時:3月18日(木)、20日(土)、25日(木)、27日(土)
時間:12時~16時(最終入場受付 15時30分)
場所:平和交通本社(千葉県千葉市稲毛区宮野木町577-1)
参加費:300円(小学生まで無料)
アクセス:JR稲毛駅東口から7番バス停「平和交通本社行き」で終点「平和交通本社」下車(駐車場はありません)
問い合わせ:0120-600-366(平和交通株式会社)

『電気バス体験フェスタ』では、電気バスについている1500Wコンセントにオーブントースターをつないで、プラスチック板を加工してオリジナルストラップを作るコーナーや、バス用の巨大な洗車機を体感するコーナーなどのほか、実際に運行を予定している路線に電気バスを走らせる試乗会などを予定しています。

試乗会は30分間隔で、所要時間は15分くらいだそうです。体験試乗で15分も乗れるのはちょっとうれしいですね。詳しくは告知のちらし(上の画像)をご覧ください。

平和交通が営業所を一般に開放する公開イベントは初めてだそうです。電気バスを導入したのは、平和交通にとってもそれだけ大きな意味のある出来事ということでしょう。

平和交通の担当者は「新型コロナのために明るい話題が少ない中ですが、感染防止対策を徹底した上でイベントを実施するので、親子連れで来てほしいと思います。試乗会もするのでぜひ、乗っていただきたいです」と話してくれました。

【平和交通公式Twitter】

電気バスの運行は3路線を予定

今回、平和交通が導入したBYDの大型電気バス『K8』は、すでに国内に納入実績のある『K9』を少しサイズダウンして、全長10~11.5mの日本の路線バスに合わせたタイプです。

また、平和交通では小型の『J6』を今年度中に運行させたいそうです。導入予定の路線は、新検見川駅を発着する検見川線で、営業距離は2kmです。平和交通が創業した時の路線でもあります。

大型の『K9』は申請の手続きがまだ途中でもあり、運行開始はGW前後になりそうです。運行予定の路線は、JR稲毛駅と平和交通本社を結ぶ、平和交通のメイン路線でもある稲毛線(営業距離3.6km)と、海浜幕張地区を循環するベイタウン線の2路線です。

いずれも、従来のディーゼル車のバスに混じって営業運転をすることになります。

平和交通の電気バス導入は、国土交通省が進めている「地域交通グリーン化事業」の適用を受けています。グリーン化事業は電気バスや燃料電池タクシーなどを使った交通サービスの普及、拡大を目指していて、2020年6月に平和交通のほか、関東鉄道(茨城県)や、栃木県日光市など6つの事業者に対して、電気バス導入のための補助金交付を決定しています。

それ以前には、EVsmartブログでも紹介した富士急行の電気バス導入も、「地域交通グリーン化事業」の支援対象になっていました。

【関連記事】
富士急バスが導入したBYDの大型電気バス『K9』に緊急試乗(2020年3月31日)

実際の路線で使ってデータ収集することを重視

導入予定の小型電気バス『J6』(BYDジャパンウェブサイトより引用)

平和交通では2年ほど前から電気バス導入を計画し、準備を進めていたそうです。新型コロナの影響で予定が延びたこともありますが、路線バスを電気に変えるというのは時間がかかるのだなあと改めて思いました。

平和交通では、平成18年に千葉県内で初めてハイブリッドバスを導入したことがあったそうです。会社として、環境・エネルギー問題、排ガスの影響などを懸念していることが理由でした。また、初期投資はかかるものの、いずれこうした車に転換していくのであれば、早いうちに入れてテストをしていこうという思いもあったそうです。

それにしても、千葉県内初のハイブリッドバスといい、今回の『K8』『J6』といい、新しいものに積極的に挑戦していくのが社風のようです。

ところで平和交通としては、ハイブリッドバス導入の狙いのひとつに燃料代を削減したいという切実なものもありました。でもハイブリッドバスは、思ったほどコスト削減につながらなかったと言います。ということは、CO2削減効果も限定的だったということになります。

取材に応じてくれた担当者の方によれば、考えられる理由は、平和交通の営業路線は全体的に短距離、かつ平たんな道が多いことでした。

この話を聞いて、なるほど、それは厳しいかもしれないと思いました。ストップアンドゴーが多いのはハイブリッド車には有利ですが、一方で低速トルクがあり、また低回転での燃料消費が少ないディーゼル車だと、ガソリン車に比べて燃費面でのハイブリッド車のメリットが出にくい可能性は昔から指摘されていました。

でも短距離で平坦な道ならばこそ、電気バスであれば運行コストが低減できるのは間違いないと思われます。平和交通でも「軽油代に比べて電気代のほうが安くなるのは間違いないだろう」という試算はしているそうです。だから今回の導入で試算を実証できて、トータルでコスト低減になることを確認できれば、台数拡大につながるかもしれません。

平和交通では、公式Twitterでも電気バスの情報を積極的に発信していて、会社として前向きに取り組んでいる様子が見てとれます。

【平和交通公式Twitter】

日本ではなかなか増えない電気バスですが、世界では珍しい乗り物ではなくなってきています。まだ電気バスに乗ったことがないという読者の方がいたら、まずは3月のイベントで電気バスの乗り心地を体験してみてほしいと思います。ディーゼル車とはまったく違う静かな乗り心地などを実感してみてください。

(取材・文/木野 龍逸)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 中国製のEVバス導入???
    大変勇気のある経営陣ですね?
    お客に対する安全性は考えたのか?
    バッテリーは、そもそも軍事技術?
    日本では、その極め付きの技術を潜水艦に使用。
    そんな技術を中国が開発済みとは??
    すごいですね‼️

    1. XML様、コメントありがとうございます。
      中国BYD社製のバスは世界中で導入され、グローバルでのシェアは1位です。安全性、とおっしゃっていますが、製品によって、品質基準は異なると思います。例えばiPhoneは電池も本体も中国製ですが、自然発火事故などはあまり聞かないですよね。電池である以上、ガソリンが漏れないことは防止できないように、発火事故を100%防ぐのは難しいです。製造時の品質管理、そして充放電時、また駐車時の常時監視等も含め、自動車メーカーは安全に最大の重点を置いて開発していると考えられます。
      https://blog.evsmart.net/?s=BYD
      BYDについては日本に関係する主要なニュースを日本語でお伝えしていますので、よろしければご覧ください。あの日本の日野自動車もBYDをOEMしています。

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この記事の著者


					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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