【参加者募集】東光高岳が社用車EV化に向けた充電インフラを考えるワークショップを開催

日本国内の電気自動車用急速充電器シェアNo.1である『東光高岳』が「社用車のEV化に向け、あったらうれしい充電インフラの機能・サービス」をテーマとしたワークショップを開催することになり、現在参加者を募集しています。充電インフラ発展のため、意見をお持ちの方はぜひエントリーしてみてください。

【参加者募集】東光高岳が社用車EV化に向けた充電インフラを考えるワークショップを開催

※冒頭写真は、東光高岳の急速充電器が迎えてくれる新名神高速道路宝塚北サービスエリア(上り線)。

急速充電に限らずユニークな充電インフラのアイデアを募りたい

小型化された新型機種。

すでに長年電気自動車を活用しているのであれば、『株式会社 東光高岳(TAKAOKA TOKO CO., LTD.)』という企業名を見ると「ホッとする」という方も多いのではないでしょうか。EVユーザーにはおなじみの、急速充電器メーカーです。国内納入実績は実に3000台以上。今、日本国内のチャデモ急速充電スポット数は約7700カ所とされていますから、単純計算で4割近いシェアを誇っています。

ことに電池容量が小さい初期のi-MiEVや日産リーフオーナーの方であれば、残量ギリギリで高速のSAPAに辿り着き「ありがとう東光高岳さん、ありがとうNEXCOさん」と感じた経験を、きっとお持ちではないかと思います。

東光高岳公式サイト

その東光高岳が「社用車のEV化に向け、あったらうれしい充電インフラの機能・サービス」をテーマとしたワークショップを開催することになり、参加者を募集しています。

企業の社用車、いわゆるフリートをEV化するためのアイデアを見出すことが目的であり、参加者の条件は「企業に所属している方」となっています。また、参加対象者として、以下の項目が例示されています。

【参加対象者】
●EVの導入を推進/検討されている企業の担当者。
●EV社用車を業務で活用している方。
●その他、本のテーマに興味がある方。

EVsmartブログ愛読者のみなさんであれば、多くの方が該当するのではないでしょうか。ちなみに、フリーランスの私自身は微妙に対象外ですが、EVsmartブログとしてこのワークショップの内容を取材、レポートさせていただくことになっています。

【ワークショップ開催概要】※2021年3月17日追記

●日時:4月2日(金)9:00~12:00
●場所:東光高岳本社(豊洲)大会議室
●入場方法:参加が確定した方にご連絡
●応募締切:3月26日(金)

今回のワークショップは、東光高岳と『CUUSOO SYSTEM』というユーザーから広くアイデアを集め商品化などを実現するウェブサービスを提供する会社とのコラボプロジェクトとして実施されます。

募集人数は5名を予定。参加者(企業)には謝礼が用意されているとのこと。事前にプロジェクト専用サイトの投稿フォームに必要事項と「EV導入について感じていること」などを記入して応募。選考を通過すると参加方法などの連絡が来ることになるそうです。

【CUUSOO SYSTEM プロジェクト紹介ページ】
ワークショップ参加者募集

応募方法、その他詳細はプロジェクト紹介ページをご参照ください。

EV活用の付加価値を高めるようなアイデアを!

企業フリートの充電インフラといえば、いわゆる普通充電をイメージします。急速充電器のトップメーカーである東光高岳は、どんな思いや構想をもってこのワークショップを開催しようとしているのでしょうか。早速、豊洲にある東光高岳の本社を訪ね、キーパーソンの方々にお話しを伺ってきました。

写真左から、斎藤さん、大塚さん、田野さん。

対応してくださったのは、執行役員でエネルギーソリューション事業本部長の大塚尊裕(たかひろ)さん、エネルギーソリューション事業本部副本部長/パワーエレクトロニクス営業部長の田野泰(とおる)さん、エネルギーソリューション事業企画部長である斎藤昌和さんの3名です。

まず、大切なポイントとなるのが、今回のワークショップでは「急速充電器に関することに限らず、普通充電器を含めた充電インフラやサービス、フリート車両の運行管理など幅広いアイデアが生まれることに期待している」ということです。

東光高岳では政府が表明した「2030年代半ばのガソリン車新車販売禁止」に向けて、急増するであろう電気自動車やプラグインハイブリッド車の活用に企業として貢献するために、かねてからEV充電インフラに関するワーキンググループを立ち上げ、若手を中心に意見交換。そこで生まれたアイデアなどの経営陣へのプレゼンテーションも完了して、この3月からいよいよ『EV充電インフラ事業推進プロジェクト』をスタートすることになっています。今回のワークショップも、そのプロジェクトの一環ということですね。

そもそも、東光高岳にとって急速充電器などEV充電用インフラは展開する事業のほんの一部であって、むしろ変電設備や配電設備、エネルギーマネジメントの制御システムなど、電力インフラ全体を支える製品やサービスを幅広く展開している企業です。

【参考】
東光高岳の製品・サービス 

東光高岳が提供する66kV需変電設備の例。

新たにスタートする『EV充電インフラ事業推進プロジェクト』では、モビリティの脱炭素化に寄与する再生可能エネルギー発電の推進や、それに伴う需給管理、EVを活用したVPP(Virtual Power Plant=仮想発電所)システムの構築などを含めて、EVと電力インフラ全体を見据えたユニークなサービスの構築を目指すとのこと。

ちょっと話が大きくなりました。身近なフリートでのEV活用というシーンを考えても、日本のEV充電インフラ整備はまだ過渡期。たとえば従量課金や認証システムといった課題にも目を向けて、より利便性の高い機器やシステム実現へのアイデアは大歓迎。さらに、社用車としてEVを活用する上での悩みや疑問、「もっとこうなるといいのに!」というアイデアを募り、すでに運用が始まっている『フリート充電システム』などのサービスの質をさらに高めていきたいといった思いもあるそうです。

ワークショップのテーマには「社用車のEV化に向け」と明記されているのであくまでも「フリート」が主題ではありますが、日頃EVを活用している中で感じている疑問や要望を東光高岳のスペシャリストの方々にぶつけてみるところから、思わぬ「発明」が生まれたりすると素敵です。

高出力急速充電器も今年中にはリリース予定

最後に、EVユーザーとしてやっぱり気になる急速充電器についても質問してみました。現在、東光高岳がラインナップしている急速充電器は最大出力50kWまで。日本でも大容量電池を搭載した高級電気自動車が増え、今年の夏には最大130kWでQCできる日産アリアも登場予定。とくに高速道路SAPAなどロングドライブの中継点となる場所では、高出力な急速充電器へのニーズが高まります。「東光高岳から高出力器は出ないんですか?」と直球で質問してみたところ……。

なんと、今年中に高出力の急速充電器をリリースする計画で、現在、鋭意開発を進めているそうです。欧米では350kWという超高出力のQC網整備も進みつつありますが、個人的に、120~150kWくらいの高出力が電力網や電池への負担といったバランスを考えて「いい線」ではないかと感じています。新登場の機種がどういうスペックになるのか、まだ正式には未発表なので詳細はベールの向こう側ですが……。

フリート充電や急速充電の高出力化ばかりでなく、今回の東光高岳のチャレンジからEV充電インフラの画期的なサービスが誕生するかも知れません。期待しています!

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)9件

  1. まずEV車 と充電設備はセットで!
    EV車を持つなら一定数以上の充電設備を保持しなければならないなんて法律があれば設備は普及しますね。これは車を持つなら車庫を用意するってのと一緒の考えです。
    法人の車両での運用については課金(通勤車両には必要)や充電管理情報の管理はソフトやアプリでなんとかなりそうですが、1つの充電スペースを1台の車が駐車使用してしまうので、急速充電であっても普通充電であっても車で占有されてしまえば同じ使い方にしかならないのが痛いです。
    急速充電でもガソスタの給油時間程度(5分くらい?)なら待ってられるでしょうが、30分とか、普通充電で8時間とかいうのでは車を充電のためにそこに止めておいたことすら忘れそうです。(操車係的な人員を用意できればよいのでしょうが、、、マンパワーをそんなとこに使うのは、もはや後ろ向きすぎるでしょう)
    充電完了後に自動的に充電スペースを空けるような仕組みや充電ケーブル自体の延長はちょっと難しそうなので、急速充電ポスト自体が移かせるとよいでしょうね。
    次の機会(ワークショップ)を楽しみにしています。

  2. ローマ字ではTAKAOKA TOKOと表記されるということは人名を社名にされているということでしょうか?
    閑話休題
    社用車をEV化するのであれば全ての駐車スペースに充電コネクターまたは非接触端末を設けて駐車時は常時グリッドを形成できるようにして欲しいです。
    そうすれば始業時は常に満充電/急を要するクルマに電力を優先的に割り付ける又は他のEVから融通する/電気代の安い時間帯に買電する/災害時に給電するなど自由度の高い運用が出来ると思います。普通ですが…

    1. hatusetudennさんの意見に概ね賛成です。
      以前勤めてた電気保安会社を例にとると、遠方出動(一日80km以上)で始業時に満充電が必要な車両は3kWコネクターでok、予備車・短距離運用(一日30km程度)で昼休みに一旦事務所へ帰る車両はV2Hへ接続して非常停電対策にキープする運用が考えられますね。当然当該事務所にはソーラー発電を設置し、V2Hで電力平準化させ最大電力で決まる電気基本料金を抑えればokということで!
      ただ自身再三会社へ提案するも全て却下(T_T)導入には至ってません…もう人類には早すぎる扱い(=会社を辞めた遠因)。
      仮に30台クルマがあるなら…V2Hが10台分あれば他は3kW充電器でもいい気がします。もっとも高圧受電でデマンド基本料金が高いと全て一度には充電できないかもしれませんが!
      ※電気主任技術者が生業なんで一般人が知らないレベルで語ってます、ご理解を。

  3. 充電はPAYPAYや交通系で払うと、その地域の美味しいごはん処情報が出てきて飲み物無料程度のクーポンがついているサイトにアクセスできる情報が同時に得られるスマホソフトを用意する。それにより、充電することでその地域の情報が得られて手っ取り早いのが良いです。水があるので難しいかも知れませんが、充電中に手洗い洗車してくれたら一番良いけど感電リスク的に難しいですかね。充電中とその残り時間が分かれば行ってみたら充電できないということを回避できると思います。充電終了後の超過料金設定も必要に思います。遠くから見て後何分で充電終了かわかると、わざわざ近くに行って残り時間の確認をしなくても良いですね。私はテスラの乗っているので充電ケーブルは、チャデモとテスラ2口があると良いです。後ケーブルが踏まれないようにバネで吊るすようなものであって欲しいです。急速充電器は高速に4台以上設置で進めてもらえれば充電渋滞解消にも良いと思います。

  4. 拡充どころか急速充電器の撤去が進んでいるのではないかと思っています。(確たる証拠はないですが、見聞きしての感想)
    東光高岳のチャレンジに期待しています!

    1. 次世代自動車振興センターの補助金交付リストの数が泣けるほど少ないですよね。
      やっとトヨタも重い腰を少し浮かせてきた、それだけでもマスコミは大々的に取り上げてみたり、、、
      そのおかげで政府もやはり重い腰を浮かせてきましたから
      とりあえずは全ての市(区)役所や広域公民館などへの公的資金投入での充電器の設置が必要ではないかと思いますね。
      三菱電機がV2H販売から撤退してしまったのは残念なニュースですが
      災害時避難場所には設置を義務付けして普段は施設を開放してくれればもっと普及するのでしょうけどね。

  5. もうすぐ個人事業主[電気管理技術者]になるi-MiEV(Mタイプ)乗りです…三菱/日産ディーラー、コンビニ、高速道路SA/PAなどでどんだけ東光高岳の充電器に遭遇したやら(^^;
    第三種電気主任技術者の有資格者であり高圧受電設備などでも東光高岳の社名は目にしており親近感もありますんで、法人でなくとも興味はありますね。
    充電インフラの在り方も幾多の市民活動の経験から提案提示は可能。さらに充電だけでなく停電した被災地への電気供給も視野に入れてます!
    あと今まで電気主任技術者として勤めた知見から、太陽光発電所との連系も視野に入れるべきかと思います。なんと大型のパワーコンディショナーは日産リーフの電池電圧と大差ない直流400V前後で動いており、電圧変動による逆潮流制限などの効率低下をある程度防ぐ方策として電気自動車を使ってみてはどうかともかねてから思ってました。通勤でしか使わない電気自動車をその駐車場付近の太陽光発電所へ接続すれば電力バッファーになり天候変化に対して電圧変動率を少しでも下げられれば御の字ではないでしょうか!?仮にV2H(6kW)5台分とすれば30kW程度の融通ができる計算になりますよ!?

    現状一個人ながら電気のエキスパートとして参加できれば有難いです。

    1. 追伸です。
      いちばん企業にEV化を促進しやすいのは電力系業種だと思います。各地の電力会社あるいは電気保安協会だったら電気に明るい職員が多く太陽光発電などの電力平準化に一番寄与しやすい業種ですから。国家資格で言うなら電気主任技術者あるいはエネルギー管理士の多い職場。
      そもそも高圧以上の電気代は基本料金の割合が大きく、作業用の車を深夜電力で充電し需要変動を小さくすることで電気代を効率化できます。仮にその事務所が最大電力50kWの高圧自家用電気工作物だとすれば15台は基本料金を変えることなく3kW普通充電で賄えるはずです。そして1日の走行距離が100km以下なら途中充電することももなく経費もガソリン代より格安にもなりますよ!? e-NV200のように給電装置があればエンジン発電機も不要ですし一石二鳥やないですか!?
      ただ事務所だけの場合は大きな効果はなく、深夜に稼働しない工場兼事務所のほうが電気自動車深夜充電の効果が高いともいえますが…このあたりは各社経理担当へ話を持ち掛けるべきでしょうか。
      これはもっと早く自動車メーカーと充電器製造会社が一丸になって取り組んでいれば商用車種が充実して日本の電動化も速かったでしょうが、今からでも遅くはないので法人格の有無にこだわることなく個人商店にも話を持ち掛けるべきですよ!?
      以前屋根にソーラーパネルをつけたコンビニが一定程度普及したように、小さな規模でもだんだんソーラーパネル+V2Hの小売店舗を増やしエコを謳える会社を増やす方策が欲しいと思いませんか!?これはスーパー・ショッピングモール・飲食店でもできることかもしれませんが、そうなると環境や資源エネルギーの部署とも相談が必要かもしれませんね!?

  6. 法人代表者ではあるものの、フリート契約の車両を持てる程の法人ではないので自分には参加資格がありません。
    資格のある方に、

    ・車両4台の同時充電可能な急速充電器の開発
    ・充電順番待ち中にその充電スポットで予約が出来、充電スポットを目指して走行して来る別のユーザーがスマホやナビで充電順番待ち人数を把握できるような認証機の開発

    等、常日頃EVユーザーが感じる不便さを解消できるような機材・サービスの提案をして頂けると助かります。

    今のインフラ拡充ペースでは、2035年には到底間に合いません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事