元記事:Tesla & Fiat Dance An Interesting Tango by Zachary Shahan on 『CleanTechnica』
私達は時々冗談のタネに過去11年間にテスラはすぐ死亡するだろうと批判していた人々のことを話すのですが、ほとんど信じられないことに、テスラはしっかり生き残り、大きく影響力のある企業へと、驚くほど急激に成長したのです。
フィアットは今までテスラとはまったくの反対側におり、電動化に関してとにかく避け、否定し、延期し、文句を言い続けてきました。
長年にわたりテスラを少なからず助けた一つの要因は、カリフォルニア州のクリーン交通政策で、この政策は自動車メーカーに電動化を進めるように要求し、さらに要求以上に電動自動車を売ったメーカーからクレジットを買うように(一種の控除)促しています。クレジットを売っている自動車メーカーとは? もちろんテスラです。お陰でテスラは数年にわたり少なくない収益を増やしてきました。
アメリカのメディア『Financial Times』も、次のように伝えています。
「新しいゲームが始まりました。ヨーロッパはクリーン車両水準を引き上げてきています。そしてまたしても、いくつかの大きな自動車メーカーはそのレベルまでの準備ができていません。今日のニュースは、フィアットが白旗を挙げ、コストを抑えるためにテスラとパートナーシップを結んだというものです」
「フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、テスラ社の生産車両が自社の車両数にカウントされ、新しくなった厳しいEU排出基準に見合わないための罰金を避けるために、テスラに数億ユーロを払うことで合意しました。これによりFCAの車両から出るCO2排出量をテスラ車両で相殺し、平均を基準で許されるレベルに下げることができます。来年から、EUの車両に対するCO2排出基準のターゲットは95g/kmになります。JATO Dynamicsによりますと、2018年では平均的なCO2排出量は120.5g/kmでした。UBSによりますとFCAの昨年の平均は123g/kmで、ターゲットに見合わないかなり大きなリスクがあると指摘しています。」
the Financial Times reports(有料記事)
テスラの成功が規制強化を加速させる
フィアットは数十億ユーロの罰金を課される(可能性)よりも、テスラに数億ユーロを払う道を選んだようです。
これを悪い動きと見る人々もいます。ぐずぐずしたフィアットの動きは有害であり、フィアットは罰金を払うか電動化への体制を整えることを強制されるべきだと批評家は言います。
この議論を逆の視点から見ると、テスラの財政をブーストさせる事が今現在価値があるということです。テスラは間違いなく自動車産業の電動化を、自動車産業界全体がやるよりも相当速く推し進めてきました。実際、テスラが消費者は優れた電気自動車を求めており、事実それを生産するのは可能だと証明したために、フィアットに罰金を払わせるかテスラからクレジットを買わせるレベルにまで規制が厳しいものになったのです。
テスラに数億ユーロを与えることにより、この若い会社を財政的に安定化させ、成長を加速し、ヨーロッパの巨大工場製造をスピードアップさせることもできるでしょう。結論として、テスラの財政をブーストさせる方が、フィアットに最低限の排出基準を守らせるよりも価値があるのでしょうか? それともテスラは既に成熟してよくやっているので、フィアットに電動化の動きを加速することを強制し、お店を閉めさせるか適切な市場に自分達で行けと言うのがより良い策なのでしょうか? これは難しい計算になります。
しかしここで明確なのは、ヨーロッパがモビリティの電動化にますます真剣になってきており、テスラはよりクリーンな空気と安定した気候を求めながら力強くそれを下支えしているということです。他にもこのテスラとフィアットの共演にご意見はありますか? ヨーロッパが果敢に挑む新世界で、テスラが救済する(そして収益を得る)のではないかと考えられる他の自動車メーカーはあるでしょうか?
ちなみに、日本メーカーではトヨタとマツダがこのオープン・プールを結成することになっています。
(翻訳・文 杉田 明子)