GMが作るホンダのEVと、マツダのMX-30 EV&ロータリーREXモデルがアメリカに上陸

ホンダの電気SUVが北米でGMのアルティウムバッテリーを使って生産されるようです。また、日本でもうすぐ発売になるマツダ『MX-30』EVとロータリーエンジンのレンジ・エクステンダーモデルがアメリカでも登場するという情報です。CleanTechnicaから全文翻訳でお届けします。

GMが作るホンダのEVと、マツダのMX-30 EV&ロータリーREXモデルがアメリカに上陸

元記事:GM To Build Honda EVs, Mazda MX-30 With Rotary Range Extender Coming To US by Steve Hanley on 『CleanTechnica

ホンダの電気SUV

ジェネラル・モーターズが2種類のホンダの電気SUVを製造するというのが、アメリカの自動車業界内で急速に出回っている最新の噂話です。昨年9月の北京モーターショーで、ホンダは中国市場向けに、自社初の電気SUVコンセプトカーをお披露目しました。以下はプレス・リリースからの抜粋です。

Honda SUV e:concept. 画像はホンダ公式より。

中国で初となるHondaブランドEVの将来の量産方向性を示すコンセプトモデル。次世代の「Honda SENSING(ホンダ センシング)」として、認識・予測・判断性能を向上させた安全運転支援システム「全方位ADAS」の搭載や、先進のコネクティビティによるAIアシストインターフェースやスマホ連携、無線ネットワークによるアップデート機能を備えた次世代の「Honda CONNECT」により、常に新鮮でFUNに溢れるモビリティ価値を提供する量産車を目指して開発を進めています。

Automotive Newsによると、GMがホンダ印の新しい電気SUVを、シボレー・ブレーザーとエクイノックスとともにメキシコのラモス・アリスぺにある工場で生産する予定だとMotor 1が報じています。アキュラのバージョンもキャデラック・リリックが生産されるテネシーの工場で作られる予定です。

匿名のソースがAutomotive Newsに話したところによると、この2車種は2023年に生産が開始され、GMのアルティウム・バッテリー・テクノロジーが使われるようで、両方ともリリックとほぼ同じサイズになると言われています。ホンダとGMの合同生産体制のさらなる詳細については今年後半に出てくると見られます。写真を見ただけでは航続距離、バッテリーの大きさ、充電スピード、全体の効率などは分かりませんが、コンセプトカーの見た目はとても魅力的で、バッテリーSUV車の購入を考えている人にとっては朗報と言えるでしょう。

マツダ『MX-30』のEVとPHEVがアメリカに

Motor 1によると、北米マツダの社長であるジェフリー・ガイトン氏はDETROIT BUREAUに最近、MX-30をアメリカで発売すると話しました。時期は未定ですが、「私達の初の電気自動車であるMX-30をヨーロッパでローンチしました。将来はロータリーエンジンによるレンジ・エクステンダー(Range Extender=REX)モデルも作る予定です。アメリカに来る可能性はあるかって?はい、ただ公にいつにするかはまだ話していないのです」。

MX-30。画像はマツダ公式から。

レポーターの「アメリカでは(ロータリー・エンジンと)レンジ・エクステンダーのオプションが付きますか? ヨーロッパのように?」という質問に対し、ガイトン氏は「そう計画しています。アメリカ市場には、レンジ・エクステンダーのオプションがより向いているでしょう」と答えました。

日経アジアの記事によると、マツダはMX-30のロータリー・レンジ・エクステンダーモデルの航続距離を、ベースの倍にすることを目標としています。現在、この車の航続距離は1度の充電で124マイル(約200km, WLTP基準)となっています。社はロータリー・エンジンにより車の航続距離は249マイル(約401km)まで延びると見ています。

Autoblogはトヨタがプリウス用に開発したハイブリッドシナジードライブ技術を採用した、MX-30のマイルド・ハイブリッド版も出るとしています。この車は日本ではすでに売られているのですが、マツダは日本以外の市場で出すかについては言及していません。MX-30のEVは欧州では発売済み、日本でも今月発売予定ですが、レンジ・エクステンダー版は来年まで出ない予定です。

マツダは有名な“ビヨンビヨン”コマーシャルの時代から50年もワンケル・エンジン(ヴァンケル・エンジン)の火を消さないできました。

ロータリー・エンジンには永久に変わらない特徴があります。重量に対して高いパワーです。また普通のピストン・エンジンに比べて非常にコンパクトで、電気自動車内部の発電機を動かすには理想的です。現時点で分かっていないのが、ロータリー・エンジンがバッテリーの充電だけに使われるのか、車輪を動かすのにも使われるのか、という点です。恐らく来年の今頃には答えが出ているでしょう。

これらの車種の共通点

ホンダとマツダの新しい電気SUVに共通なのが、世界の新車市場で一番ホットなセグメントに入るコンパクトモデルだということです。可愛い小型トラックをみんなもっと欲しがっており、電気自動車を売りたいならここから始めるのが賢いと言えるでしょう。

(翻訳・文/杉田 明子)

編集部追記

ホンダの電動車が、GMのバッテリーを使いGMの工場で作られる。Steve Hanley 氏は期待を込めた論調で評してくれていますが、このニュースが示しているのはホンダが電池や電動車作りに投資できていなかった現実、とも受け取れます。

ホンダに限らず、欧米や中国メーカーに比べて電池製造への動きが鈍く見える日本の自動車メーカーに、たとえばアップルのiPhoneのように、自社工場で製造せずとも世界に通用するような、プロデュース力やブランド力があるのでしょうか。

欧州や中国での魅力的な新型電気自動車の発表など、世界の電動車普及にとっては朗報、でも日本の未来にとってはちょっと心配なニュースが続いています。

この記事のコメント(新着順)7件

  1. バッテリーコストでのガチな勝負では、既にテスラや中国には追いつけないでしょうから、日本メーカーがいまから攻めるとしたら、バッテリーの搭載量の比較的少ない PHEV しかない気がします。ただ、電動車を高級車から攻めるというのは、テスラが辿ってきた道で、いまからそれをやっても、マーケティングとしては大きな成功は期待できない気がします。高級車としての電動車のセグメントは既に競合が多過ぎるので、ここで一歩抜け出すのは難しいのではないでしょうか…

    だとすると、残されたセグメントは大衆車向けの安価な PHEV しかないと思われます。それも、テスラなどが手を出しそうにない、軽自動車の辺りを狙うとか。実際、日本の田舎道を走っているのは軽自動車ばかりなので、この辺のセグメントをうまく拾えれば、国内を中心にうまく戦えるような気がします。

    安いクルマは利幅も少ないので、やりにくいかもしれませんが、日産などは既に e-power の生産で、インバータなどの電動化部品の量産効果は出てきているはずなので、充電機能を低速充電に絞るとかすれば、いけるのではないかと思っているのですが…

  2. 結局バッテリーを作れない、作るコネクションが既存メーカーにない。
    日産は失敗、トヨタはハイブリッド車だけ

    テスラのような内製も、中国韓国勢のようなバッテリーメーカーの
    本格的な投資はしたくないんでしょうね。

    まだ体力がある自動車メーカーはリスクを嫌って、そこに投資しない
    電機日本メーカーはもう体力がない
    比較的あるソニーや日立は別分野に注力(ソニーは撤退済)

    日本は減価償却の速度が遅く、半導体のように性能陳腐化が早い(逆に言えば投資し続ければ性能アップの恩恵が高い)業種では全く勝てなくなりました

    後は、このブログでも触れられてますが、相変わらず車を売っておしまいのビジネスの発想で、リサイクルリユースやサポートサービスの発想がないから
    原価が高い=高くしないと売れない=儲からない
    という構図にとらわれてるのかもしれませんね。

  3. ちっこいバッテリーのHVは除く。その上で大量生産への投資。という意味だと解釈しました。

  4. MX-30のロータリー版の一番の注目点は価格ですね。
    航続距離400kmでテスラモデル3より高かったら、アメリカでは全く売れないでしょうね。

  5. マツダMX-30 EVは、今月中に日本で個人向け発売と昨年末に急遽発表がありましたが、
    現時点でお店には何の話も来ていないとの事です。
    急速充電器の設置計画や充電カードどうするのか何もアナウンスが聞こえてきません。
    定かではありませんが、個人販売は300台のみとも話もあります。
    国内メーカーの背中を押すのは、国の電動化に対する新たな政策の発表が必要なのかもしれません。

  6. >>ホンダが電池や電動車作りに投資できていなかった現実、とも受け取れます
    電動車だとハイブリッドやPHEVも含むことになると思いますが、それらも含めて投資できていなかったと指摘をなさっているのでしょうか?
    それともEVに限った話ですか?

  7. ロータリーエンジンのレンジエクステンダーですか。
    であるならば発電だけに使われるということでしょう。
    PHVは構造が複雑になっている分コストアップと故障のリスクも高くなるのと
    走行時の制御がモーターだけになるので少しでも安く上げるには良いのではないでしょうか。
    日産のようにバッテリー搭載量を減らして絶えず発電させるか、BMW i3のように基本的には使わない方向で行くのか
    楽しみではありますね。
    外部充電できるようにするのか、またまた外部給電できるようにするのか
    会社によって判断が異なりますが市場がどちらを選ぶのか楽しみでもあります。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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