日本郵便が集配車に電気自動車1200台導入「その先」を考えてみる

3月27日、日本郵便が集配車に電気自動車1200台を導入、そしてヤマト運輸がドイツDHLグループのベンチャー企業と宅配用電気トラックを共同開発と、電気自動車に関する大きな話題が立て続けに飛び込んできました。どちらのニュースも大手新聞などでも概要は伝えられているので『EVsmartブログ』では独自に各社広報部などに取材を敢行。今回のニュースから見えてくる「その先」にある電動化について考察してみました。

【日本郵便株式会社ニュースリリース ※PDFファイル】
『ガソリン車 1,200 台の電気自動車への切り替え』

1200台は軽四輪集配車全体の約4%

日本郵便の発表によると、2020年度末までをメドに、東京都を中心とした近距離の郵便物や荷物の集配に使用する軽四輪自動車1200台を、エンジン車から電気自動車に切り替えるというものでした。1200台というのは、全国の集配車のうちでどのくらいの割合になるのでしょうか?

「軽四輪集配車は、全国では約3万台あります。今回は1200台の導入ですから、割合としては4%程度となります」(広報部)

4%と聞くと、まだまだ少ない気もします。今後、どんどんEVになっていくんでしょうか?

「今回は大きく発表しましたが、実はこれまでにも電気自動車の導入実績はあります。今回導入する車両を含め、実際に活用するなかでパフォーマンスを見極めながら、それが100%EVになるかどうかはともかくとして、環境対応車を導入していくことになると考えています」(広報部)

ちなみに、今回の報道発表で配布された冒頭の車両写真は、現在実際に使用されているミニキャブミーブということです。今回の電気自動車大量導入の理由については、リリースでも触れられています。

日本郵便は、SDGsの達成に向けて、さまざまな取り組みを行っています。主要な事業である郵便・物流事業において数多くの車両を使用しており、車両から排出する CO2 の削減は日本郵便の重要な社会的義務です。
そこで、低排出ガス車両への切り替えや、「身近で差出し、身近で受取り」を基本コンセプトとした「ゆうパックのサービス改善による再配達の削減」等に取り組んでおり、今回の電気自動車への切り替えも CO2削減のための施策の一つです。
今後もさまざまな施策を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

今回、1200台の導入が決まったのは三菱自動車工業の『ミニキャブミーブ』です。一充電航続距離が150kmという報道もありましたから、搭載する電池容量が16kWhの『CD 16.0kWh』の2シーターモデル(税込車両価格約213万円)でしょう。※念のため広報部ご担当者に確認していただいて「16kWhです」という返事をいただきました。

導入時期と台数については、2019年11月にまず200台、2020年2月に200台、さらに2020年4月以降年度末までの間に800台が予定されています。

ホンダと電気バイク普及の取り組みも

日本郵便が取り組む「電動化」はこれだけではありません。2017年にはホンダと電気バイク普及のために協業することを発表しています。

【ホンダウェブサイト ニュースリリース】
『日本郵便とHondaが社会インフラ整備に向けた協業の検討を開始』

ホンダからは昨年11月に電動二輪車「PCX ELECTRIC」(リース販売)を始めていますが、おそらく、日本での発売が待たれている『EV Cub』を郵便配達に使うことを想定し、郵便局のネットワークを活用して電気バイクのための「充電ステーション設置の実証実験」まで行っていく計画です。

「郵便配達に使用しているバイクは全国で9万台あります。CO2排出削減への貢献という点からも、バイクを電動に切り替えていくことには大きな意義があると考えています」(広報部)

働くクルマの電気自動車シフトがいよいよ日本でも本格化?

日本郵便の電気自動車導入といえば、2010年、改造EV1000台以上を導入するとしたものの、車両製作を請け負ったEVベンチャーの『ゼロスポーツ』が納期に間に合わせることができず契約解除、破産申請して倒産するという事件がありました。

【日本郵便プレスリリース】
『ゼロスポーツ社の発言に対する一部報道について』

事件の詳細な真実は明確ではありませんが、当時、エンジン軽四輪の新車ボディを大量に入手してEVに改造するというゼロスポーツの目論見そのものが、あまりにもアクロバティックだったことは否めません。

あれから9年、市販電気自動車を取り巻く状況は変わり、リチウムイオン電池も進化を続けています。もっとも、今回導入が決まった『ミニキャブミーブ』が発売されたのは2011年。私も個人的に大好きなEVですが、すでに最新のモデルとはいえなくなっています。

日本郵便だけで考えても、まだ3万台近くのゼロエミッション軽四輪自動車のニーズがあることが、今回の取材でわかりました。おりしも世界的に電気自動車シフトが本格化している今こそ、最新の電池を搭載し、自動運転や通信機能なども備えた「働く軽四輪EV」を開発すれば、大きな需要があると思います。

日本郵便の場合、軽四輪集配車の一日当たり走行距離は「50km程度」(広報部)とのことでした。そもそも、一日当たりの走行距離が読みやすい近距離配達用などの車両に電気自動車はぴったりです。これから日本でも、働くクルマのEVシフトがますます加速することに期待しています。

【関連記事】
『ヤマト運輸がDHL傘下企業とEVトラックを共同開発、の「謎」を解く!』

(寄本好則)


5 thoughts on “日本郵便が集配車に電気自動車1200台導入「その先」を考えてみる”

  1. とある郵便局の人にこのニュースのことを話したところ、「停電になったらアウトだね」と言われました。停電でも集配業務が行えるよう対策もとっているのか、気になります。

    1. Sato様、コメントありがとうございます!停電、これはよく電気自動車をお乗りになったことのない方が多く気になさることです。実際の充電時間は車によりますが、30分程度から8時間程度が多いです。つまり1時間位停電しても別に何の問題もありません。また停電するということは、自動ドアも開かなくなりますし、コンピュータ類やレジなども全て動かなくなります。つまりガソリンスタンドも営業は事実上できません。手動ポンプがあるじゃん、というのは甚大な災害時であって、そのときは正確に何リットルというのさえ測れませんから、ざっくり何千円みたいな感じで販売することになります。電気はというと、電気が来た隣町まで行ってコンセントを借りるだけです。

  2. コメントありがとうございます。おそらくその方は、激甚災害や戦争など送電線網が機能しなくなった時の郵便インフラの機能維持について気にされたのではないかと思います。ガソリン、ディーゼル車の燃料備蓄と同様、電気自動車への発電機と燃料備蓄も考えているかもしれませんね。郵便集配車が列をなして隣町までチャージに行くのは業務上難しいでしょうから。現実的には全車をEVに置き換えることはしないでしょうね。

    1. Sato様、郵便局がどのような災害対策をされているか分かりませんが、燃料の備蓄は法律の関係もあり多くの量は難しいですし、一旦災害が起こると一週間くらいインフラは使えなくなることが多いようです。少なくとも熊本地震や福井の豪雪などではそのように聞いています。
      電気はどちらのケースでも1日程度でほとんどの地域で復旧しています。これは、災害時も送電線が切れてしまうことは少ないことと、地上の輸送網に頼る必要がないからです。
      災害対策こそ電気自動車化したほうが、有利になることが多いように思います。

  3. ども。電力系EVユーザーです(笑)
    集配のある郵便局は大概屋根が広いのでソーラーパネルなどは設置可能と思われます。
    ソーラー発電も10kW未満であれば全量買取でなく余剰買取となり所内の電力を一部賄えるのでそれを活用する方法が考えられます(もっとも電灯だけで動力は賄えないでしょうが)。
    ここで考えたいのは非常災害時・停電時の電源供給。VtoHを採用して昼間に電気自動車へ蓄え、夜間はその電気自動車から所内電源を確保できるようにすると考えられます…それが郵政の考えていることではないでしょうか。
    もちろん災害時はまともに集配できるとは思えませんが、それでもライフライン供給はできるし電源セキュリティも確保できるので有益ではないでしょうか?
    ミニキャブミーブならその用途には十分応えられるので宜しいかと思われます。

    もしゼロスポーツのEVをそのまま採用していたら…その発想はなかったかもしれません。CHAdeMO採用の有無が鍵!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です