JIDUが『ROBO-01』を発表~EV関連で今年最大の発表だが内容は期待に見合わず

未来的でロボティック、そして感情のあるJIDUのROBO-01は世に出ているEVに似たエクステリア/インテリアのデザインでデジャヴを感じさせます。プロダクションモデル用には不必要で非現実的な部分を削ぎ落し、その約束を実現する時がついに来ました。

JIDUが『ROBO-01』を発表~EV関連で今年最大の発表だが内容は期待に見合わず

ROBO-01発表のライブストリームを見て私が初めに得た感想がそれでした。JIDUから出る待望のコンセプト・ロボカーで、中国スマートEVスタートアップに加わった新しい顔です。

6月8日に『ROBODAY』と銘打たれたバーチャルでの発表は、中国内でのコロナの大流行により約2カ月遅れ(当初は延期された北京モーターショーより早い時期の4月にお披露目される予定でした)、期待は高くなっていました。

BaiduとGeelyが共同開発した電気自動車

55対45で中国IT大手のBaidu(百度)とGeely(吉利汽車)が出資したジョイントベンチャーであるJIDUは、15ヵ月(正確には463日)前に正式に設立されました。中国のスマートEVスタートアップ基準で見ても光の速さです。BaiduのCEO、李彦宏は最近の収支報告でROBO-01のプロダクションモデルの受注が今年後半に開始され、デリバリーは2023年の前半になる見込みだと話しました。

「JIDUの車は市場にあるどの車よりも自動ロボット然としたものになるでしょう。キーポイントは電気ではなく、インテリジェントである事です。私達はインテリジェント・ドライビング・テクノロジーに関してBaiduがトップであると確信しており、これから出るモデルにも活用していきます。したがってこれからのJIDUのセールスポイントはシームレスなハードとソフトの統合と共に、ソフトウェアの方に寄っていきます」

かなり威勢の良い物言いです。

BaiduとGeelyは共に、中国内ではよく知られた巨大企業です。Baiduは国をリードする検索エンジンや情報を中心に据えたインターネットプラットフォーム、AIを取り扱う企業で、自動運転やロボタクシーも先導し、最近北京のオープンな路上でドライバーレスの配車サービスを提供する許可を得た初の企業となりました。一方Geelyは今も拡大し続けている世界規模の自動車、テクノロジー、モビリティの帝国を築き、今では数えきれない自動車ブランドや企業を保有し、最近自社のサテライトを宇宙に送りだしたところです。また新しくスマートフォンの準備をしているところで、中国のスマホメーカーMeizuの株式の過半数を、子会社を通じて取得する計画を発表しました。

JIDUが最新のハード/ソフトを統合した世界初のオープンソースEVアーキテクチャであるGeelyのSEA(サステナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャ)を活用する予定である一方、Baiduは自身の強みであるインテリジェント・ドライビングと9年の経験があるインテリジェント交通を活かしていきます。JIDUはANPとAVP、Apollo用Duer OS、Baidu Mapsなど、Apollo自動運転ソリューションを含むBaiduのテクノロジーをフルに装備するでしょう。

上記に加え、「ロボカー」や「オートロボット」に位置付けられたROBO-01は業界から期待が寄せられますが、「どの位ロボティックなのだろうか。業界がまったく見た事のないものだろうか」と私も考えさせられました。

発表会の内容はやや期待外れながら及第点

結果、その答えはノーでした。

バーチャル発表会はありふれたもので、XiRangと呼ばれるBaidu自身のソーシャル・ネットワーキング・メタバース・プラットフォーム上で行われ、JIDU CEOの夏一平のアバターがすべてのプレゼンを行いました。ROBO-01はXijiajiaと名付けられた、初のデジタル・オーナーで、コンセプトカーの運転や操作をしていました。

イベント前のティーザーではすでにフード上のポップアップLiDARやゼロ・グラビティ・シート、収納可能なヨーク・ステアリング、ウルトラワイド・ディスプレイ、AIピクセルヘッドライトなどの機能を見る事ができました。

公にされた実際のROBO-01は素敵なデザインの施されたクーペSUVです。満足な出来ではないと言いたいですが、勘違いしないでください。クリーンかつシンプルで、個人的にはサイドのシルエットは中国のスマートEVの中でもベストな部類と考えます。

ただ問題もあります。似たような車が多く、目立たないのです。中国のソーシャルメディアでは「これ、前にも見た事ある」という論調に変わりました。ROBO-01のファシアとヘッドライトのデザインはNETA U Pro、スクリーンはByton M-Byteに似ており、HiPhi X が自社のISD(インテリジェント・シグナル・ディスプレイ)とPML(プログラマブル・マトリックス・ライトニング)を用いて完成させたAIピクセルヘッドライトを搭載していました。バタフライドアもXpeng CEOの何小鹏に馬鹿にされ、彼はソーシャルメディア上でXpeng P7 Wing Limited Editionの特徴が「大胆に真似された」と自慢してみせました。

以上が、私が満足できる出来ではないと言い、JIDUが望んでいたものではなかったソーシャル/大手メディアからのリアクションです。しかし、COVIDの大流行と上海ロックダウンの最中、KUDOSからJIDUを駆使して15ヵ月でROBO-01を出せたのは、偉業とは言えないまでも及第点ではないでしょうか。

ROBO-01の今後への期待は高い

1つ覚えておいてほしいのが、車はまだコンセプトの段階だということです。JIDUによると、実際のプロダクションモデルはROBO-01と90%同じ設計で今年秋に披露されます。予想ですが、コンセプトと違う10%分は収納可能なステアリング、ポップアップLiDAR(どこか別の場所にセットされ、動かないようになる可能性が高い)、ゼロ・グラビティ・シートとバタフライドアになるかと思います。李彦宏が収支報告で言ったように20万元(約400万円)クラスの車両にするにはコストの問題がありますし、最終的なプロダクションモデルにするには法律や安全基準の観点でも難しいでしょう。

ROBO-01に付けられた「ロボカー」や「オートロボット」というバッジは、JIDU CEOの夏一平が「インテリジェント・カー3.0時代」と呼ぶものを体現していますが、それも精査が必要でしょう。夏一平はバーチャルイベントで「インテリジェント・カー3.0時代はロボティクスの時代です」と話しました。「この新しい時代への変遷は、究極的にはロボティクスがAIによって自己成長することによって、人間からAIにドライブの主体が変わるということです。3.0時代の自動車業界は、エネルギー革命から商品分布革命まで、大きなシフトを見るでしょう。最終的なゴールは完全に無人の交通体験の実現です。JIDUのロボカーは、新しい時代のインテリジェント・トラベル、車内インテリジェント・アシスタンス、インテリジェント・キャビンに関するユーザーのニーズに見合うことを目指しています」。多くの約束が語られています。

これらの約束を守るために、ROBO-01は最新のハードウェアとソフトウェア機能を搭載しています。クアルコムの第4世代スナップドラゴン・オートモーティブ・コックピット・プラットフォームで動く初の車両で、スクリーンの3D表示、ユーザーのニーズに合ったナビ機能、ゲーム・エンターテインメント、オンラインオフィスなどを可能にする8295チップが搭載されます。またミリ秒レベル・インテリジェント・ボイス・レスポンスやオフライン・インテリジェント・ボイス・アシスタンスが、イマーシブなサウンドとビジュアル体験を通じてユーザーと車両間の自然でスムーズなコミュニケーションを実現します。

加えて、ドアハンドル、シフトレバー、方向指示器その他の物理的なコントロール器は取り除かれています。ただ個人的にはプロダクションモデルではこれらすべてが無くなることはないと考えています。

さらに様々なシチュエーションを想定した自動運転無しに、車は「ロボティック」にはなり得ません。「ロボカー」や「オートロボット」の要素として、車自身で運転できる必要があります。この点に関しては、JIDUは全力を尽くしました。自社をNVIDIAのDual Orin Xチップと2つのLiDARを含む31の外部センサーを搭載した、Apollo自動無人運転及び安全性システムをフルスタックで採用している唯一のスマートEVメーカーとしています。最先端の自動運転用で業界をリードする「本物の冗長性」ソリューションは、JIDUが自社開発したSOAキャビンドライビング・フュージョン・テクノロジー・アーキテクチャをベースに、冗長性のための革新的なデュアルシステムで作られました。ソリューションはJIDU SIMUCar(ソフトウェアが統合されたシミュレーション車両)でのテスト走行に成功し、JIDUの大量生産用最新自動運転システムの安全性と安定性を証明しました。

指定区域内での最先端の自動運転が可能なJIDUのシステムは高速道路、市街地、駐車場の3つのドライビングシナリオに対応可能です。「システムは信号無しの左折、信号認識、障害物回避、高速の乗り降りでテストと認証がされました。ユーザーは運転を始めた瞬間から、前例のない利便性と多様性を提供する最新の自動運転機能を使うことができます」とJIDUの公式プレスリリースには書かれています。

私にはJIDUがROBO-01で約束している自動運転機能はテスラのFSDや多くの中国スマートEVスタートアップが目指している以上のものではないように見えます。すべてのドライバーアシスタンス機能は、車が運転していたとしても運転者が注意を払う必要があり、基本的にはレベル2です。

ROBO-01への期待は高く、JIDUは最高の自動車及びテクノロジー会社のDNAを受け継いでいます。今はプロダクションモデルに不必要で非現実的な部分を削ぎ落し、約束を現実にする段階です。

(翻訳/杉田 明子)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事