ただし、中国でのビジネスにおいては、テスラは複数のバッテリー共同事業者を模索しています。LG化学のみがテスラとビジネスをするという事ではなく、例えば中国のCATLも引き続き協議中のようです。
LG化学は世界有数のリチウムイオンバッテリー生産者で、ボルボ、ルノー、GMなどにバッテリーの供給をしています。ブルームバーグ・ニュー・エナジーファイナンスによると、LG化学は化学部門への依存率を低くするため、電気自動車用バッテリーのセールスを大幅に増やしたいと考えているようです。
今回合意したバッテリーは、モデル3に使用され、後に生産が始まる予定のモデルYにも使われるようです。生産されるのは「2170」規格のEV用バッテリーセルで、アメリカのギガファクトリーでパナソニックと共同生産しているセルと同じフォーマットになります。工場は上海から西に約320kmの南京に位置します。
ヒントは既に出ていた
テスラの2019年第2四半期会議で、イーロン・マスクと技術部門の副社長であるドリュー・バグリノは、経済アナリストのコリン・ラッシュ氏の質問に次のように答えていました。
ラッシュ「中国でのバッテリー計画はどうなっていますか? どのくらいのバッテリーを内部(自社)/外部で賄いますか?」
マスク「バッテリー供給についてはまだ話したくはないのですが、良い感じに進んでいます。来年の中国では内部供給だけに縛られない予定なのですが…… ドリュー、どう思う?」
バグリノ「そうですね、そのような計画です。内部か外部かという話に関しては、来年の早い時期にある会議を待たないといけません。しかし、いくつか既に合意がありまして…… イーロンが言うように来年には上手くいくよう備えています。」
アメリカvs中国
トランプ政権による中国との貿易戦争が過熱する中、テスラは中国国内での生産体制を強化して市場ニーズに対処したい考えです。中国では電気自動車の人気が高まってきていますが、NIOやBYDなどテスラのライバルとなる中国電気自動車メーカーが中国政府からの助成金を得ている一方、アメリカで生産して輸出されるテスラ車両には高い関税がかけられます。
ギガファクトリー3が完成し、全てのパッケージを中国国内で生産できるようになれば、現在人気が高まっている電気自動車をライバルと同じ条件で売ることができるようになるでしょう。テスラは中国国内で製造工場を完全所有する初の外国企業になります。
ただ、既に中国政府は電気自動車企業への補助金減額を決定しています。中国での電気自動車セールス自体は増加しているのですが、自動車産業全体のセールスは1年以上に渡って減ってきており、2019年末に稼働するギガファクトリー3とそこで生産される車両がどうなるのか楽観視はできません。
【参考記事】
Tesla Agrees to Buy LG Batteries for Vehicles Made in China on Bloomberg
Tesla makes battery supply deal with LG for Chinese Gigafactory 3, report says on electrek
(文・杉田 明子)
LGはバッテリーの劣化が心配。今までのクオリティがキープできればいいんだけど。
よいづき様、コメントありがとうございます。現在日産はAESC製、テスラはパナソニック製が主流なので、LG ChemやCATL製のバッテリーがこれからどんどん出てくる中、性能がどうなのかは気になりますね。
あと数年で見えてくるのではないでしょうか?ただ良いニュースとしては、テスラのパートナーであるJeff Dahn教授はリチウムイオン電池の寿命の予測法を確立したとも言える方なので、ある程度の寿命は担保されていると考えてよいのではないでしょうか?
やがて、中国産テスラEVが日本に輸入されるようになりそうニャ😺
中国政府はイーロン・マスクに対して10パーセントの税金免除を約束したのでは無かったでしょうか?