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フラッグシップEV「アリア」をアップデート【Japan Mobility Show 2025】日産「マイクラ」や「N7」の日本発売は?

フラッグシップEV「アリア」をアップデート【Japan Mobility Show 2025】日産「マイクラ」や「N7」の日本発売は?

ジャパンモビリティショー2025から電気自動車関連の注目トピック。世界における量産EVの先駆者である日産についてのレポートです。エスピノーサ社長の「パワートレインは白黒付けるべきではない」という言葉の真意が気になります。

目次

アップデートされたアリアの魅力は?

Japan Mobility Show 2025(JMS2025)の⽇産ブースでは、新型リーフやマイナーチェンジ版アリア、日本未導入の2種のEVなどが展示されました。3代目となる新型リーフの詳細はすでに紹介していますし(関連記事)、横浜のグローバル本社ギャラリーや一部ディーラーで実車を見ることはできますが、まだ機会は限られています。そんな中、JMS2025の日産ブースでは実車を間近に見ることができました。日本の報道関係者は先だって開催された発表会で確認している人も多く、プレスディではさほど注目されませんでしたが、外国人プレスは初めて実車を見るという方も多いのでしょう。注目度は高いものでした。

参考出品として展示されたのが、マイナーチェンジ版のアリアです。プレスリリースにも「年度内にマイナーチェンジを予定」と記載されているので、参考出品とはいえほぼ決まりのモデルと言っていいでしょう。

マイナーチェンジ版アリアはフロントデザインが一新されました。現行モデルはICE車のグリルを意識した黒いパーツが中心部分にあるVモーションでしたが、マイナーチェンジ版はよりEVらしくグリルレスを強調したデザインで、先に発売された新型リーフに近い顔付きになっています。また、ホイールデザインも変更され、ノートオーラに採用されたようなブラック&シルバーのハイコントラストタイプとなっています。

インテリアでは従来は3色だったイルミネーションランプを64色に増色。センターコンソール内に配置されていた無接触充電器はコンソール下側の前方に移動されQi2にも対応となりました。インフォテインメントシステムはGoogleに対応したので、発展性が向上しているはずです。

新しいアリアは普通充電口からのV2Lに対応

また、従来モデルはV2Hのみに対応していましたが、今回のマイナーチェンジ版ではV2Lにも対応しました。新型リーフに採用されたものと同じコネクタを普通充電コンセントに差し込むことで、AC100V 1500Wを取り出せます。使用するコネクタは新型リーフと同じものです。ただし、車室内のアクセサリーコンセントはありません。

さらに、今までのアリアは乗り心地について厳しい意見がありましたが、今回それを解決するためにサスペンションのチューニングが施されました。リリースでは日本の道路事情に合わせたとアナウンスでしたが、具体的なチューニング方法を聞いたところ「スプリングレートを落としてタイヤがよく動くようにし、それによって揺れが増大しないようにショックアブソーバーの減衰力を上げています」とのことでした。

海外市場で注目のEVをお披露目

プレスデー初日には日本初公開となるEVが2台展示されていました。1台は欧州を中心に販売されるマイクラEV、もう1台は中国市場でヒットしている東風日産のN7です。

欧州仕様のマイクラEVは40kWh仕様と52kWh仕様の2タイプがあります。マイクラはもともとマーチの欧州仕様に使われていたネーミングですが2023年に生産を中止しました。2025年には新たにEV専用モデルとしてマイクラが再登場。日本のマーチは3代目までが日本生産、4代目がタイ生産となり2022年で歴史を終えています。

展示されたマイクラEVについて日本への導入についてたずねましたが、基本的にはノーという答えでした。マイクラEVは欧州での価格が日本円で450万円程度で、サイズの割には高額となるため市場性が低いとのこと。今後、日本の経済が急激に上向きになれば輸入される可能性が生まれてくるかもしれません。

東風日産N7は、日産自動車が主導して開発し、東風日産が製造・販売する中国専用モデルです。ボディサイズが全長4930mm×全幅1895mm×全高1487mmのノッチバックセダンです。日本ではセダン市場はずいぶんと縮小されていますが、中国ではセダンの人気が根強く残っています。

2025年4月末から販売が始まり1カ月で1万7215台の受注を記録。中国市場で苦戦していた日産には明るいニュースとなりました。10月17日にはPHEVのN6を発表。日産はNシリーズで中国市場での巻き返しを図っています。こちらのN7についても日本への導入は予定はないとのことでした。

エスピノーサ社長にインタビュー

今回、JMSの開催に合わせて日産が一部メディアとジャーナリストを対象としたラウンドテーブルを開催しました。日産側出席者は、社長兼最高経営責任者のイヴァン・エスピノーサ氏、チーフ パフォーマンス オフィサーのギョーム・カルティエ氏、日本・アセアン・関係会社 マネジメントコミッティ議長の山﨑庄平氏の3名でした。

この場において筆者は
①今後、日産のEV比率はどうなるのか?
②経営が苦しいなかでフォーミュラEなどのモータースポーツ活動に変化はあるのか?
の2点を質問しました。

①について、イヴァン・エスピノーサ社長は「パワートレインは白黒付けるべきではない。ユーザーが求めているものを提供するべきである」という答えでした。少し前まではEV推進色が強い日産でしたが、今はEV推進への積極姿勢が少し緩んできているという印象でした。

②については「モータースポーツは日産にメリットがある。日産のモータースポーツにはファンがたくさんいる。そのファンが口コミなどで日産のことを伝えてくれている。そして技術のフィードバックもある。社員の士気にもつながっている。フォーミュラEについてもスーパーGTについても、モータースポーツを中止するというようなことは考えていません」とのことでした。

さらにエスピノーサ氏は「日産の再建は、リストラクチャリングの第一段階から、ギアをシフトしてセカンドギアに入れて、商品、将来、技術といった段階にきています。日産に何ができるのか、どんな強みがあるのかを今後は発表していきます」と語りました。

2023年のJMSで見た日産は何かブレている印象がありましたが、2025年は大きな決断と新しい方向性を感じるものがありました。今後にますます注目です。

取材・文/諸星 陽一

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この記事を書いた人

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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