新潟県岩室温泉のロックフェスで日産リーフオーナーが「給電」に協力

2019年9月22日(日)〜23日(月・祝)、新潟市西蒲区の岩室温泉で開催された『いわむロック FESTIVAL』に日産リーフオーナーの会の有志が協力。電気自動車からの電気を取り出す機器を活用して、イベント会場での給電に協力するユニークなオフ会を行いました。仲間に呼びかけたリーフオーナーの石澤亜由美さんに、エピソードや「思い」を伺いました。

新潟県岩室温泉のロックフェスで日産リーフオーナーが「給電」に協力

「給電で協力」のアイデアに主催者も賛同

私がこの『いわむロック FESTIVAL』で給電オフ会! の情報を知ったのは、このEVsmartブログでレポートしている『令和元年かもオフ』『Nissan LEAF Owner’s Meeting in FUKUSHIMA 2019』でお会いしたリーフオーナーの石澤亜由美さんから、Facebookでイベントページ(非公開)への招待をいただいたからでした。

写真中央の女性が石澤さん。

イベントページを見てみると「ここ数年続く いわむロックfes で、今年の電源を一部リーフから取るイベントです」とのこと。ただのオフ会ではなく、地元のロックフェスで、リーフからの「給電」を活用して盛り上げよう! という主旨でした。「面白い!」のでぜひ参加したかったのですが、あいにく開催予定の三連休はすでに予定が入っていて、新潟まで駆けつけることはできません。

いわむロックFESTIVAL 公式サイト

やむを得ず、石澤さんにメッセンジャーで連絡を取り、イベント終了後にメッセンジャー取材をさせていただくことになり、今回のレポートをお届けすることができました。

ちなみに、このフェスには日産自動車も協賛していてFacebookの『日産 電気自動車』ページでもイベントの様子が投稿されていました。

石澤さんが今回のフェスに協力することになったのは「職場の斜め前にある電気会社の社長さんがフェスの実行委員会と繫がっていて、声を掛けてもらった」ことがきっかけでした。このフェスには日産自動車も協賛しています。せっかくだから「リーフ仲間で集まってみては?」という誘いに、石澤さんは「ただ、集まるだけでは仲間にも申し訳ないし、集まってるだけでは異様な集団……、何かお手伝いさせて下さい!! 例えば給電!! で、それを仲間がSNSで拡散する → リーフの使い方がもっと沢山の方に知っていただける♡ と提案」。フェス実行委員会も「面白いですね!」と賛同し、今回の試みが実現したそうです。

SNSで緩やかに繫がるリーフオーナーの「あなどれない」絆

石澤さんの呼びかけで、フェスに集まったリーフは20台。27名が参加してくれたそうです。呼びかけたのはFacebookで繫がっているリーフオーナーへの「招待」のみ。新潟市でのイベントに、約1カ月前からの呼びかけで、首都圏をはじめとする津々浦々から20台(うち2台は近所の急速充電スポットで石澤さんと知り合った「QC仲間」らしいです)ものリーフが集まるのは驚きです。

『Nissan LEAF Owner’s Meeting in FUKUSHIMA 2019』のレポートでも少し触れましたが、石澤さんをはじめとするリーフオーナーは、いわゆるオーナーズクラブ的な組織や団体に所属しているわけではなく、Facebookの非公開ページ『日産 リーフ・オーナーの会』で緩やかに繫がっている仲間です。

「2015年にオーナー主催の「全国一斉同時オフ会」を開催した頃から、どんな組織なの? って聞かれることが多いけど、『日産 リーフ・オーナーの会』はリーフオーナーがSNSなどを通じて、自然発生的に繋がり始め、オフ会などを通じて、より一層関係が深くなり、ボランティアの集まりで運営されています」(石澤さん)なのです。

「ロックフェスにリーフで給電しよう!」という呼びかけに、たくさんの仲間がすぐさま「いいね!」と賛同し、実際に20台も岩室温泉に駆けつける。こんなことが実現できるのは、リーフのオーナーになったことで「電気自動車の魅力や価値」に気付き、それをより多くの人に伝えたいという思いを、リーフオーナーのみなさんが共有しているからといえるでしょう。

イベントには4台のリーフから給電

実際に給電したのは4台のリーフからでした。地元の電気会社が所有する白リーフからは出店ブースの電源とアーティストさんの音響に。実行委員会メンバーの青いリーフからはコーヒーショップの電源に。日産本社提供の赤リーフからは子供達のダンスパフォーマンスなどの音響用の電力を。そして、集まったオーナーからはあえて旧型の黒リーフを提供して、キッチンカーの電力を供給したそうです。



リーフから電力(AC)を取り出すためには、ニチコンの『パワームーバー』などの「V2L(Vehicle to Load)」機器が必要です。パワームーバーは1台65万円(税抜)。台数揃えるのは大変です。トヨタ『プリウスPHV』には、普通充電インレットからAC100V1500Wを取り出せる『ヴィークルパワーコネクター』というツールがありますが、日産リーフにはそうしたツールやアクセサリーコンセントはありません。リーフにもぜひ『ヴィークルパワーコネクター』のようなツールを出していただきたい! と思います。

また、この日は折しも千葉大停電の最中でした。日産自動車も千葉県へのリーフ派遣を優先して、給電用に1台、試乗用に1台と、最低限、2台のリーフを提供。「日産ブースでは『わくわくECOスクール』も開かれて、子供たちも楽しんでいましたよ」(石澤さん)とのこと。

電気自動車を活用して災害に強い町づくりを!

石澤さんの自宅では『LEAF to HOME』を設置していて、日常的にリーフを給電に使っているそうです。今回のフェスでの給電は、千葉大停電の報道などもあって集まった人たちの関心も高かったとのこと。

最後に、今回のフェスへの協力を通して感じた、石澤さんの思いを伺いました。

新潟では昨今、災害が増えているように思いますし、被害も大きくなって来ているように思います。

停電時にリーフが使える、動いて電気を運べる……。ガソリン車ではできない、人や物を運ぶだけじゃない、電気自動車だからできることをもっともっと知ってもらえたらうれしいなぁと、給電のお手伝い、その拡散を狙い仲間を集めてさせていただきました。

そして、今回の活動を県の方に見ていただいて、もっともっと災害に強い新潟県づくりを、電気自動車有りきで考え直していただきたいなぁと思います。

県内のオーナーさんも増えました。災害の多い県だからこそ、災害連携協定などにいち早く取り組んでいただきたい。その時のお手伝いは、私達も惜しみなくするつもりです。

石澤さんの仕事は歯科衛生士。環境や行政に仕事で関わっている人ではありません。にも関わらず、電気自動車を災害に強い地域づくりに活かして欲しいという思いを発信し、実際にこうしたアクションを続けてらっしゃるのは、本当に素晴らしいことだと感じます。そして、趣旨に賛同して駆けつける仲間のみなさんのエネルギーも素敵です。

これもまた、日産リーフ、そして電気自動車の魅力ってことですね。石澤さん、ありがとうございました!

(寄本好則)

この記事のコメント(新着順)5件

  1. パワームーバー、4500W出せて携帯できるのは便利ですよね。
    しかし価格が65万円と高いですし、重さも30kg以上あるとか…腰痛持ちには厳しいです(爆)

    自身の持ち物はi-MiEV用に買ったMiEVpowerBOX(1500W/10kg)。これで車中泊や山道ピクニックへ出かけてます。イベントでの給電作戦も目論んでいますが、SNSでの人との繋がりが少なくなかなか実現できてません。
    身の回りに停電災害がないのも仇になってます。おもちゃ修理のボランティアで
    仲良くなった市民活動センターで災害給電ボランティアを募ろうにも個人ボランティアとして地道に活動するしかないのがツライです。
    それだけ日本の電気自動車への理解が低いとしか言えないですよね!?

    土日のイベントで他の団体ともコラボしたくても土日業務てんこ盛り電気屋の悲しい宿命で参加できず…これが悲しい性です(とほほ) SNSで不規則業務仲間を募るしかないですか!?

  2. リーフとホーム以前は補助金半額出ました。今わなし。パワームーバーのような災害時に役に立つ代物の普及促進は国の責任ではないかと思います。
    日本発のチャデモ規格を利用しての給電システム。もっと普及に向けて力を入れてほしいものです。

    1. TMRさんへ:100V給電装置はEVメーカー各社とも出していませんか!?
      三菱はMiEVpowerBOX(15万円/1500W)、日産はAESCからLEAFto100V(30万円/1500W)が出ているはずです。
      僕はi-MiEV乗りで前者ですが、ひとまず電気ケトルなど家電製品の稼動を一通り確認、勤務先の電気設備試験器も条件付で何とか稼動することが確認できました。
      そうなると自治体の責務は電気自動車と給電装置のセットを連絡所ごとに配備することからでしょうかね!?国が動かないなら都道府県や市町村が理解して動くしかないですから!!
      既に自分が知る限り、自治体公用車として整備した町村は幾つかあります。なんと給電装置つきe-NV200が多いですが、ちゃんとそこまで考えて整備したか?聞きたくなりませんか!?
      せっかくハードがあってもソフト(運用方法)が確立してないと宝の持ち腐れになるはず。個人的に聞いてみようと思います。
      (幸いその町村から市民講座のオファーがあったので2019年問題対策の話題に入れたいと考えてますww)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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