ハワイで進展する16の太陽光発電&蓄電プロジェクト

ハワイでは2045年までにすべての電気を再生可能エネルギーとする目標を立てており、当ブログでもハワイアン・エレクトリックがテスラのMegapackを利用した蓄電計画を立てているニュースをお伝えしました。今回は新たに16のプロジェクトの詳細が報じられました。『CleanTechnica』から全文翻訳記事でお伝えします。

ハワイが直近で発注した16の太陽光&蓄電プロジェクト

元記事:The 16 Solar & Storage Projects Hawaii Just Ordered by Zachary Shahan on『CleanTechnica

太陽光発電と大規模な蓄電を組み合わせたプロジェクト

最近私が紹介した記事で、ハワイでゴーサインが出た2つの大規模な太陽光発電&蓄電プロジェクトにハイライトを当てました。その後でわかったのですが、これらは州の開発用に許可された16のプロジェクトの一部だったのです。

画像はKapolei Energy Storage公式サイトより。

1週間前、ハワイアン・エレクトリックは16のプロジェクトについての詳細を自社サイトに掲載しました。名称、場所、開発業者、テクノロジー、サイズと完成予定日はハワイアン・エレクトリックの再生可能プロジェクト ステータス表、もしくは表内に記載されている各プロジェクト名称へのリンク先で見ることができます。各開発業者は将来近隣住民となるコミュニティに現在進行形で働きかけ、計画をよく理解し、心配事があればそれに答える責任を負っています。入札を勝ち取った業者のリストはこの記事の最後に載せますが、ここではトータル460MWになる太陽光エネルギー容量と3GWhの蓄電容量に関しての短いサマリーを書いておきます。

結果としては、オアフ島で8つの太陽光発電&蓄電プロジェクトと、1つの蓄電単体プロジェクト、マウイ島で3つの太陽光発電&蓄電プロジェクトと1つの蓄電単体プロジェクト、ハワイ島で2つの太陽光発電&蓄電プロジェクトと1つの蓄電単体プロジェクトとなり、合計460メガワットの太陽光発電と、約3GWhの蓄電設備となります。

ハワイアン・エレクトリックは2020年末までに再生可能エネルギーからの発電を30%まで引き上げるよう要求されており、これらのプロジェクトがその目標に役立つことになるでしょう。プロジェクトをすべて合わせると、この電力網から作られる再生可能エネルギーは7%ほどになります。

ハワイアン・エレクトリックはクリーンエネルギー由来の電力比率を2030年までに40%、2040年までに70%、2045年までに100%まで引き上げることを求められていますが、社は目標を超えられると予測しています。太陽光発電と風力発電がすでに新しい電力容量向けでは無敵になっており、投資額回収済みである既存の化石燃料発電所に勝ち始めていることを鑑みても、その期待が寄せられています。

ハワイアン・エレクトリックとの契約を勝ち取った16のプロジェクトは以下の通りです。詳細については各プロジェクトの名称をクリックしてください。

(編集部注※Kamaole Solarプロジェクトの受注会社であるPacific Green Ikehu LLCは日本のソフトバンクの子会社で、リンク先でその詳細が見られます)

名称場所開発業者テクノロジー(BESS=Battery Energy Storage System、二次電池電力貯蔵システム)サイズ完成予定日RPS率(グリッド上で再生可能エネルギーが占める比率)
Kapolei Energy Storageオアフ島島島(バーバース・ポイント港)Energy Storage Resources LLCBESS185 MW, 565 MWh2022年N/A
Kaukonuhua Solarオアフ島島(ワイアルア)Kaukonahua Solar LLC太陽光 + BESS6 MW, 25.4 MWh (BESS)2022年0.03
Keahole Battery Energy Storageハワイ島(カイルア・コナ)Hawaiian Electric CompanyBESS12 MW, 12 MWh2022年N/A
Kupehau Solarオアフ島(クニア)Hanwha Energy USA Holdings Corp (174 Power Global)太陽光 + BESS60 MW, 240 MWh (BESS)2022年1.2
Kupono Solarオアフ島(エワ・ビーチ)Bright Canyon Energy太陽光 + BESS42 MW, 168 MWh (BESS)2022年1
Mehana Solarオアフ島(カラエロア)Onyx Development Group LLC太陽光 + BESS6.6 MW, 26.4 MWh (BESS)2022年0.2
Barbers Point Solarオアフ島(カポレイ)Innergex太陽光 + BESS15 MW, 60 MWh (BESS)2023年0.4
Kahana Solarマウイ島(ナピリ・ホノコワイ)Innergex太陽光 + BESS20 MW, 80 MWh (BESS)2023年0.7
Kamaole Solarマウイ島(キヘイ)Pacific Green Ikehu LLC太陽光 + BESS40 MW, 160 MWh (BESS)2023年1.3
Mahi Solarオアフ島(クニア)Longroad Development Company, LLC太陽光 + BESS120 MW, 480 MWh (BESS)2023年3
Mountain View Solarオアフ島(ワイアナエ)AES Distributed Energy Inc太陽光 + BESS7 MW, 35 MWh (BESS)2023年0.3
Puako Solar PV + Battery Storageハワイ島(南コハラ、プアコ)ENGIE Development, LLC太陽光 + BESS60 MW, 240 MWh (BESS)2023年1.8
Pulehu Solarマウイ島(プレフ)Longroad Development Company, LLC太陽光 + BESS40 MW, 160 MWh (BESS)2023年1.1
Waena BESSマウイ島(カフルイ)Hawaiian Electric CompanyBESS40 MW, 160 MWh2023年N/A
Waiawa Phase 2 Solarオアフ島(ワイアワ)AES Distributed Energy Inc太陽光 + BESS30 MW, 240 MWh (BESS)2023年1.2
Waikoloa Village Solar + Storageハワイ島(ワイコロア)EDF Renewables Development, Inc.太陽光 + BESS60 MW, 240 MWh (BESS)2023年1.8

(翻訳・文/杉田 明子)

編集部コメント

再生可能エネルギーによる発電は、モビリティの電動化によって脱炭素を実現していくためにも重要です。大都市や大規模な工場地帯が必要とする電力を再生可能エネルギーに置き換えるには、まだ多くの時間とコストがかかるでしょう。でも、ハワイのような日射しにも恵まれた「島」であれば、比較的スムーズに再生可能エネルギーの比率を高めることは可能です。そして日本にも、沖縄をはじめとしてモビリティの電動化とともに再生可能エネルギー発電への移行を有利に進めるための条件を備えた島がたくさんあります。

『EVsmartブログ』は電気自動車情報をお伝えするウェブメディアですが、モビリティ電動化と発電の脱化石燃料の動きは一緒に前進すべきもの。コロナウィルス感染拡大による移動自粛要請が緩和されたら、日本国内のトピックも積極的に取材してお伝えしていきたいと思います。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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