テスラはバッテリー交換のパイロットプログラムを2014年12月22日より開始しました。米国の低公害自動車関連メディアであるGreen Car Reportsによると、このバッテリー交換施設はサンフランシスコから184マイル(294km)、ロサンゼルスから200マイル(320km)と、ちょうど中間地点となるカリフォルニア州Harris Ranchのスーパーチャージャーから、道を挟んで反対側に設置されるそうです。
バッテリー交換のベータとも言えるこのパイロットプログラムには、何名かは定かではありませんが既存のモデルSオーナーが招待され参加していて、パイロットプログラムの詳細や、どのオーナーが参加できるかなどは、これから1-2週間のうちに決定するとのことです。
テスラによれば、このサービスを利用するには、現時点ではあらかじめ予約をする必要があり、料金は高級セダンのガソリンを満タンにするより安くなるとのことです。Green Car Reportsではおおよそ60ドル(7,200円程度)と推測しています。
このプログラムについて、テスラの発表は注意深い表現になっており、「実験的な試みである」ことや、バッテリー交換について「技術をテストし、需要がどの程度あるか判断する」ことを目的としています。
2013年6月にイーロン・マスクがバッテリー交換を華々しくデモしたときには、90秒間でモデルSのバッテリーパックを交換していました。今回のプログラムでは、バッテリー交換には約3分かかりますが、テスラは最終的には1分以内でできると考えています。ただ、そのためには、バッテリー交換の手順のさらなる自動化と、車両側への変更が必要になる可能性があるとのことです。
このパイロットプログラムによって、テスラはスーパーチャージャーではなくバッテリー交換を選択するユーザーの需要を評価し、さらにこのバッテリー交換システムの開発に追加投資を行うかどうか検討するようです。
電気自動車のバッテリー交換は、現在までに、イスラエルのBetter Place(2007年創業、2013年破たん)だけです。Better Placeは最も多かった時で、20か所以上のバッテリー交換ステーションを運営していました。
モデルSのバッテリーは550kgあると言われており、これを自動的に交換するのは簡単ではないはずです。ベタープレイスでは、バッテリーの所有権はベタープレイス側にあり、自動車のオーナーはバッテリーを常にリースする形式となっていましたが、テスラのパイロットプログラムではバッテリーを交換した後、旅行の帰りに再度自分のバッテリーに交換して戻すようなので、旅行中、バッテリー交換ステーションを出発して戻ってくるまで満タンのバッテリーを借りていることになります。ちなみにバッテリー交換ではなく、通常のスーパーチャージャー(急速充電)の場合、無料で1時間に600km分の速度で充電することができますので、多くの場合30-45分程度で80%まで充電できます。この時間を休憩や食事に充てるのが電気自動車のポイントなのですが、今までの概念とは異なるため、なかなか消費者に受け入れられていないのも事実です。バッテリー交換ができれば、無料だけど少し時間がかかるスーパーチャージャーか、それとも料金を払ってバッテリーを交換するか、選択肢ができることになりますね。
私見ですが、モデルSのバッテリーを空にするには3-4時間程度運転する必要があります。そのため、3-4時間ごとに休憩・食事する使い方に慣れれば、仕事で緊急で移動しなければならない、またはレジャーだけど時間に限りがあってとても急いでいる、という場合を除いては、無料のスーパーチャージャーで十分ではないかと思います。
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[…] ここまで読んでくださった方には、「じゃバッテリーの形を標準化して、電池が空になったらバッテリー交換スタンドで満充電のバッテリーと交換すればいいじゃないか!」とひらめいた方もいらっしゃると思います。事実、このような質問は大変よく聞きます。実はすでにこのアイディアは大規模に事業化され、失敗しています。最初に試みたのはベタープレイス。この会社はルノー・日産グループの協力を得て日本でも東京の虎ノ門などでバッテリー交換型のリーフ(注、市販はされていません)で実験を行っていました。しかし日本を含め、他の国での実験結果もあまりよいものとは言えず、会社はついに破産してしまいました。 もう一社は電気自動車で有名なテスラモーターズです。テスラは現時点で、世界でたった一か所、サンフランシスコとロサンゼルスの中間地点にあるH…。カリフォルニア州ではサンフランシスコとロサンゼルスの間を行き来する方が比較的多いのですが、飛行機を使う方と同時に車で長時間かけて移動する方もいらっしゃいます。もちろんモデルSではスーパーチャージャーがあるので無料で旅行できるわけですが、休憩兼充電時間ももったいないという方のためにこのサービスが提供されています。有料であることが理由かどうか分かりませんが、利用者はそれほど多くはないと聞いています。 […]