テスラとBMW、電気自動車用バッテリーと充電スポットで提携か?

日本時間2014年11月24日、ロイターが報じるところによれば、テスラモーターズはBMWと電気自動車用バッテリー等で提携する可能性がある、と報じました。テスラのCEO、イーロンマスクがドイツの週刊誌Der Spiegelに語ったとのことです。イーロンマスクはインタビューに答え、「我々は電気自動車用バッテリーの技術や充電スポットに関して協力できないか検討している」と語りました。また彼はテスラがバッテリーの工場をドイツ国内に5-6年以内に作ると思うとも話しました。

テスラとBMW、電気自動車用バッテリーと充電スポットで提携か?

以下私見です。以前BMWは6月にテスラと会って、複数の電気自動車をサポートできる充電スポット(充電ステーション)について検討したとも報じられています。BMWはBMW i3でカーボンファイバーのボディを量産成功し、テスラは独自のアーキテクチャーのバッテリーと充電制御システムの実装に成功しています。どちらも電気自動車を成功させるには非常に重要な技術と言え、現時点で両社ともにギリギリのバランスを取っている電気自動車の開発においては、興味深い提携(の可能性)と言えるでしょう。
電気自動車においては、バッテリーの高容量化・高寿命化・低コスト化および、車両全体の軽量化が大きな課題となっています。テスラはバッテリーに関し、パナソニックの協力を得て課題を克服しつつありますし、車両はボディを総アルミ化することで軽量化を図っています。BMWはi3で、バッテリーはサムスンSDIから調達し、21.8kWhのバッテリーを搭載していますが、やはり航続距離(走行可能距離)を伸ばすためには、もっとバッテリー増やす→充電に時間かかる→さらに急速充電が必要になる、という連鎖で、テスラの技術が必要になるのだと思います。テスラモデルSはBMW i3の2.4倍のスピード(注、充電器出力の単純比較)で充電することができます。
一方、イーロンマスクはBMWのカーボンファイバー(CFRP)の部品について同じインタビューで「興味深いし、比較的コスト効率が高い」と発言したそうですが、これも面白くなりそうです。アルミよりさらに軽く強度のあるカーボンファイバーにはいくつか欠点があり、コスト・成型にかかる時間・リサイクル性などです。BMWはCFRPの工場に投資してコストを下げ、新技術で高速に成型でき、リサイクル方法について検討を重ねていると想像できます。BMWBLOGの記事によれば、CFRPボディは凹んだり割れたりした場合には、該当部分を決まった場所で「切り取り」、補修用のCFRPパーツを接着するとのことです。車をぶつけるたびにリサイクルCFRPが大量にできちゃうわけですから、CFRPのメリットは素晴らしいものの、課題もたくさんあるというわけです。
Intrepix / Shutterstock.com

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					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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