パナソニック一社供給という制約から脱却
今まで、アメリカの工場を含めてテスラ車に使用されるバッテリーは日本のパナソニック単独の供給態勢でした。
上海ギガファクトリーの完成に向けて、2019年11月には、テスラが今回契約締結のニュースが流れたCATLのほか、韓国の「LG化学」からも電池調達の協議を進めていることが報じられていました。とはいえ、その後、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏が「比較的小規模」であると語るなど、その詳細は不明で、CATLやLG化学も協議の事実を認めてはいませんでした。
今回は、ロイターがCATLが証券当局に提出した資料をもとに報じたということで、少なくとも上海ギガファクトリーでの生産においては、テスラのバッテリーはパナソニックの一社供給体制から脱却することが明らかになったといえます。
中国のサプライチェーンをローカライズ
証券当局に提出したというCATLの資料を探してみたのですが発見できず……。アメリカを中心とした複数のメディアやナスダックが伝えている情報を整理しておきます。
●契約期間は2020年7月から2022年6月までの2年間。
●購入量はテスラが独自の要件によって(ニーズ次第で?)決定。
というあたりがポイントです。
上海ギガファクトリーが驚異的なスピードで完成し、すでに出荷を始めていることはEVsmartブログでもお伝えしました。
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また、イーロン・マスク氏は上海ギガファクトリーでの生産を現地調達によってローカライズを徹底、関税をなくし、販売価格をより手頃にすることで、中国におけるテスラの存在感をより大きくする戦略も公言しています。
パナソニックのテスラ向け電池事業は黒字化
やや皮肉なことに、テスラとCATLの契約締結が明らかになった2月3日、パナソニックが東京都内で開いた2019年度(2020年3月期)第3四半期(10~12月期)の決算発表会見によると、今まで同社電池事業の収益を圧迫していると伝えられていたテスラ向けの車載円筒型電池事業が、四半期ベースでようやく黒字化したことが明らかになりました。
ただし、テスラ以外に供給している車載用の角形電池事業は、ことに北米向けハイブリッド車などの販売不振の影響で減収減益となり、車載電池事業全体としては増収減益となったとしています。
また、アメリカのギガファクトリーにおけるパナソニックの電池生産量は2019年12月末時点で年間換算30GWhとなっているのを、2020年3月末までには同32GWhまで伸ばしたい考えを表明。
現時点では中国向けを含めてテスラ車の電池はパナソニックが100%供給しているものの、パナソニックが中国で円筒型電池を生産する計画はないことが改めて示されました。
テスラの株価は今日もさらに急騰
先週末、2四半期連続の黒字決算発表を受けて650ドル近くまで急騰したナスダック市場のテスラ株。アメリカ時間の2月3日には780ドルを超える最高値を記録しました。
(文/寄本 好則)