速報!テスラ『モデルY』の生産が2020年第1四半期にも始まる (非公式情報)

モデル3のセールスが好調なテスラが次に出す車両は、SUV型のモデルYになります。元々は高級車だったテスラの電気自動車ですが、モデル3とモデルYは一般に手が届きやすい価格設定になっています。そのモデルYの生産開始が早まりそうだとのリーク情報が入ってきました。全文翻訳記事をお送りします。

速報!テスラ・モデルYの生産が2020年第1四半期にも始まる (非公式情報)

元記事:Breaking! Tesla Model Y Production To Start ~Q1 2020 (Unofficial Leak) by Chanan Bos on 『CleanTehcnica

モデルYの生産開始を前倒し

この記事の内容は喧々諤々の議論を引き起こすものになるでしょう。テスラのモデルYに関するタイムスケールについて、私達が知っていた、いや知っていると思っていたことが、変わろうとしているからです。元々、モデルYは2020年後半に出荷され始める予定でした。今からの新しい注文分は2021年の第1四半期に出荷予定だとテスラのサイトに書いてあります。しかし、匿名の信頼できるソースからの情報によると、テスラは予定を前倒しして、2020年第1四半期の時期に生産をフリーモントの工場で始めるようです(私達は独自に2つ目のソースからも同じ情報を得ました)。

モデルY。画像はテスラ公式サイトから

このソースによると、モデルYは全輪駆動のロングレンジから始まり、生産数が増えた所でスタンダードレンジプラス(SR+)がラインに加えられ、これによってモデルYは十分な総利益を上げるようになります。テスラはこの戦略を以前にも取っています。

テスラがモデル3の生産開始から多くの経験値を積んだため、モデルYの生産拡大はモデル3よりもかなり速くなる可能性がありますが、SR+がいつ出始めるのか確実な情報は現時点ではつかめていません。

他に少々重要な予測要素として、ギガファクトリー1の供給能力にはいまだに制限があるかもしれないことが挙げられます。その場合、テスラは全体の収益性を上げるため、できるだけ顧客にモデルYの「パフォーマンス」および「ロングレンジ」を買ってもらいたいと考えるでしょう。
(この記事を読んでいる批評家の皆様向けにここで手早く書いておきますが、テスラに収益性が無い、と言っているわけではありません。ラインナップを増やしながらも収益性を最大化するために、単に会社が論理的かつ責任を持って行動している、という意味です)

さらにちょっとした面白い技術的情報として私達が聞いたのが、モデルYは新しい革新的なフレキシブル基板による回路を使用し、車全体で必要なワイヤーの長さを短くして、すべての部品をバッテリーとコンピューターに繋がる冗長性設計(バックアップを備えたシステム設計)にしました。これにより車に“内臓や血管”をロボットが挿入することが可能になり、人の手でするケーブル仕事を少なくしたのです。イーロン・マスクが繰り返し言ったように、ロボットは車両に一般的なケーブルを設置するのが不得意なのです。

多くのモデルYの部品はモデル3と似たものになりますが、バッテリーパックを含めてまったく同じものにはなりません。

さてここで多くの質問が出てくるでしょうでしょうから、テスラが全体の計画をどうするのか、いくつか書いていきましょう。

テスラは2018年第4四半期と2019年第1四半期の生産地獄をまた繰り返すのか?

可能性としてはありますが、かなり低いでしょう。モデル3はテスラが初めて年間何十万台のスケールで生産しようと決めた車でした。さらにモデルSやモデルXと共有するパーツがほんの少ししか無かった、ほぼ完全に新しい車両でもありました。社は多くの失敗をし、そこからまた多くを学びました。モデルYとモデル3は部品の約75%を共有したので、ラーニング・カーブはかなり楽なものになったでしょう。

テスラはどのようにしてここまでの過程をやり遂げたのか?

ここ1,2年、多くのメディアはまるで背徳感を伴った快感があるようにテスラを叩き、ありとあらゆる誤った情報、FUD(恐れ、不確かさ、疑い)、破滅への予想を書きたてました。(すわ、破産がやってくる!)

モデル3の計画が遅れている、テスラは大量生産ができない、モデル3では利益が上げられない、スタンダードレンジは市場に永遠に現れない、テスラ自体が利益を上げられない、その他多くをメディアが報じました。テスラはこれらすべての説を、自らの行動で幾度となく覆してきたのです。

マスク氏は本能的にかなり高い目標を掲げ、その戦略は常に利益を生んでいます。目標が高すぎて設定された時間に間に合わなくても、猶予を与えた控え目なタイムスケールよりは相当早く事が進んでいます。ここに有名なボーリング社(マスク氏の所有する“穴掘り”会社)の逸話があります。マスク氏はパーキングのすぐ外にトンネルを作りたいと思い、すべての車を移動させる等、掘削を始めるまでにどの位の準備時間が必要か尋ねました。初めに出された答えは1週間でした。マスク氏はチームに24時間を与え、結果として地面は48時間以内に壊され始めました。似たような話は、モデル3生産に関するインタビューをテスラの社長Jerome Guillen氏にした際にもいくつか出てきました。

モデルYに関しては、個人的な予想ではマスク氏は生産開始を2019年終わり頃に見据えていたが、多くの説得もあって公式には2021年の第1四半期と言わされた、と考えています。社内でのターゲットと、公式のものが初めて乖離した情報でした。さてこれから、マスク氏が“品行方正な”仕事をして、ウォールストリート紙やメディアがテスラの良い側面を取り上げるようになったので、彼の計画がまた遅れているというニュースの代わりに、マスク氏は奇跡の働き手で株価は上がるという文言が見られるようになるでしょう。スタートレックのスコットがどのような“奇跡の働き手”であったのかご存知の方には、このパターンが同じものであることが分かっていただけるでしょう。(これはもちろん私の予想です。投資のためのアドバイスではありません)

※ 現時点で、テスラ代表はこのニュースに関しての質問に答えていません。返事が来ましたらこの記事をアップデートします。

モデルYはどこで生産されるのか?

画像はCleanTechnicaから

私達が現在得ている情報では、モデルYはフリーモント工場で生産されるようです。 長い間私がレポートしようとして実現していなかったのが、工場のどこにGA5(5番目の製造ライン)が作られるのか、という予想です。上の図は生産ラインを表していませんが(予想図を描くことは可能ですが、今日は公開しないでおきます)、私達がGA5が置かれるだろうと考える場所は表示してあります。

この予想は、マスク氏が2019年第1四半期での投資者会議で発言した内容に部分的に依拠しています。

マスク氏:「フリーモントで実現するための道筋を付けた功績はテスラチームにあります。現在倉庫として使われている西側に、さらにビルを付け加えてその中を使用すれば、フリーモントへの影響は最小限でモデルYの生産ができます」

さて、テスラがサービスセンターと名付けている場所は工場施設に隣接している必要がありません。例えば、テスラの座席は数キロ離れた工場で生産されています。サービスセンターでも同じことができるはずです。特許取得済みのテスラ・ユニボディと、モデルYとモデル3の75%が同じ部品を共有するという事実を鑑みるに、生産ラインのある程度の部分が共有される可能性は高いです。テスラがモデルSとモデルXの生産ラインを共有するという噂も出ています。これに関して出せる情報を私達は持ち合わせていないのですが、1つ知っているのは、SとXがGA3よりも多くの人的作業/少ないロボットによる作業を必要としており、理論的にはこのラインは技術的なアップグレードができるのです。

上海で同時にモデルYの生産が始まるのか?

1つ目のソースからは、2020年第1四半期にギガファクトリー3でモデルY生産を始める予定はない、と聞かされました。モデル3は生産が始まってから1年以上経過しています。その間モデル3には小さな問題が多く出てきて、その製造過程での問題も解決され、全体としてプロセスも大分スムーズになりました。モデルYに関しては、3と多くを共有はしていますが、上海にコピペする前にテスラは小さな改良を加えたがると思われます。

これに関しては10月23日に行われる第3四半期の投資家会議で聞けると思われますが、私達も過去数回と同じく多くの情報を付け加えてYouTubeで中継レポートしたいと思います。

2つ目の情報ソースからは、来月開催されるテスラのピックアップトラックのイベントにおいて、モデルYの情報が更に出てくると聞いています。それまで待ちましょう。もしあなたが何か聞いたら、私達にも知らせてください。

※ 上で書いた通り、このリーク情報に関してテスラは何も答えていません。返答を受けた際にはこの記事をアップデートします。

(翻訳・文 杉田 明子)

【編集部追記】
この記事で一番気になるのは「フレキシブル基板による回路を使用し、車全体で必要なワイヤーの長さを短く」の部分ではないでしょうか?

このフレキシブル基板(FPC)というのはiPhoneなどでも使用されており、要するにプリント基板(PCB)の一種です。プリント基板とは、硬い電気を通さない板の上に印刷の技術を用いて回路を構築するもので、その板の上に電子部品も実装することが可能です。フレキシブル基板はプリント基板の板自体がフレキシブル=柔らかく、形を変えることができるもので、狭いところに回路や部品を実装して密度を上げるだけでなく、通常のワイヤーハーネスで使われるケーブルのようにプラプラすることがないので、FPCをロボットが掴んで決まった場所にはめ込むだけで、配線が完了するというものです。

ワイヤーハーネスはケーブルとコネクターからできていますが、コネクターを掴んでもケーブルは動いてしまい、所定の位置に納めるにはなかなか高度な技術が必要です。FPCはそもそもある程度形が決まっていますから(可塑性ではありますが、くにゃくにゃするほど柔らかくはないです)、ガッとはめ込むことができるのです。

FPCでできたワイヤハーネスの長さをどう測るかは微妙ですが、以前イーロンマスク氏は、モデルYのワイヤーハーネスの長さはたった100mになるだろうと発言しています。これはモデル3の1.5kmのわずか6.7%にしか過ぎず、90%以上のワイヤハーネスを短縮できることになります。

(追記:安川 洋)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. エッジコンピューティングの延長のエッジクラスタ化をしたんでしょうね。

    つまり今までは1台(?)の車載サーバで処理をしていたのをモジュールごとにエッジサーバを置いて、それをクラスタ組んだと思います。

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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