フォルクスワーゲンの電気自動車「ID」プレゼンテーション全編翻訳をお届けします!

フォルクスワーゲンのセールス・マーケティング・アフターセールス取締役のユルゲン・シュタックマン氏が、同社の新しい純電気自動車IDシリーズに関するプレゼンテーションをドイツ、ベルリンで行いました。先だってフォルクスワーゲンは電気自動車路線に移ることを発表していましたが、そのファーストステップが明らかになりました。プレゼンテーションの翻訳をお届けします。

フォルクスワーゲンの電気自動車「ID」プレゼンテーション全編翻訳をお届けします!

【フォルクスワーゲンの公式動画紹介ページ】(英語版)


『The all-new VW ID.3 Pre-booking Launch Press-Conference』
Auto Media(YouTube)

【最新情報/2019.11.5】
『VWが電気自動車『ID.3』生産開始。首相出席の式典で示された「本気」の度合い』

Can’t から Can の時代へ

皆様今日はようこそお越しくださいました。私は30年以上あるキャリアの全てを自動車産業で過ごして来ましたが、こんなに楽しみにしたイベントはほんの少ししかありません。私達フォルクスワーゲンは新しいチャプターを始めます、そして産業全体にも新しいチャプターになることを願います。非常に特別な日になります。

レンジが短い、充電時間が長い、車両価格が高い、更に時に退屈。これらが、電気自動車モビリティにポジティブな感覚を持っているフォルクスワーゲンの顧客が実際に電気自動車を買わない理由になっていました。しかしこの「出来ない(Can’t)」状態は過去の事にせねばなりません。

ユルゲン・シュタックマン氏(公開動画よりキャプチャ ※以下同)

今日フォルクスワーゲンは皆様と共に「出来る(Can)」時代に乗り出すのです。今日は全てのIDファミリーの先行予約スキームについてお話をします。今日、フォルクスワーゲンが目指すモビリティの未来が明らかになり、節目の日になります。数年前から私達は基本的なシステムをコンスタントに変えてきました。皆様のいるこの世界は変化の途中にあり、皆様もそれを感じているでしょう。フォルクスワーゲンはこの変化の一部であり、更にそれを形作ってもいます。先数年にこの変化を乗りこなしたいのです。

私達はパリ協定のゴールを目指すために尽力しています。通常これは国が取り組むもので、一会社としては非常に稀なケースです。30年後の2050年までにクライメート・ニュートラルな世界を目指します。子供たちの世代、その次の世代に借りを作ってはいけないのです。今現在の足跡を次世代に残してはいけません。

このゴールを目指すため、私達はフォーカス・パワー・トレイン戦略を取ります。バッテリー駆動車へのフォルクスワーゲンの解決策が出る日が来ました。これは現在CO2削減のために最も効率的な技術で、EU、アメリカ、中国などの政府基準にも見合うものです。この技術は産業全体で一番手っ取り早く取り入れられるものですのでフォルクスワーゲンもこれをすることにしました。技術を議論しなくて良いのです。私達は今日変われるのです。足跡を変えます。

e-モビリティ技術は疑いなく私達の主要な技術になります。このために、フォルクスワーゲン(ブランド)単体で2019年から2023年の間に90億ユーロを投資します。車両、技術、顧客のためのネットワークを含む変更に投資します。次の10年で1000万台の電気自動車をヨーロッパ、中国、アメリカで生産します。20以上のモデルが現在計画中で、更に多くのアイディアが出てきています。フォルクスワーゲンファミリーの中に新しいファミリーを作るのです。2020年に路上に私達のIDという新しい車両が現れるでしょう。純電気自動車の一人目のファミリーメンバーです。

IDはフォルクスワーゲンのプラットフォーム、MEB(modulate electric drive tool kit)をベースにしています。MEBにより、私達は妥協なしに快適な運転体験を電気自動車に与え、今のニッチなものからから大きな市民権を得たものへと変えます。フォルクスワーゲンの大きな経済規模を活用してMEBプラットフォームは遂に多くの消費者が買い求められる価格になりました。更に私達は他のどのメーカーよりも多くの電気自動車の種類を提供します。

しかしここで、インフラの整備が、手の届く価格帯の魅力的な車両と同じくらい重要になってきます。私達はこれを確信しています。そういうわけで私達の努力は車両のさらに向こう側にまで伸びているのです。車両生産だけでは終わりません。IONITYのパートナー企業として、ヨーロッパ全体に急速充電網を整備することに私達は尽力しており、主に高速道路沿いにインフラを整えていきます。2020年の終わりまでに高速道路沿いに400の充電施設を120kmごとに整備し、各施設に平均6基の充電器を設置します。更に2025年までに3500の充電施設をフォルクスワーゲン独自で整備します。私達のヨーロッパにある3000のディーラーも来る変化に備えて充電設備を拡大しています。

更に私達は他産業の企業ともパートナーシップを結んでいます。例えばイギリスの大手スーパーマーケットチェーンのTESCOですが、次3年間で2400の充電ステーションが600のTESCO店舗にインストールされることを、去年の終わりに発表しました。大きな変革が、フォルクスワーゲンが参画したことで始まったのです。私達が産業の中で耳目を集める存在だからです。

私達のグループ企業Elliは今年始まったスタートアップ企業ですが、電気料金やウォールボックスの顧客や企業向けのポートフォリオを作成している、ITベースのコンサル企業です。顧客に設備導入を重荷に感じることなく便利に思ってほしいのです。Elliは再生可能燃料からエコ・パワーを提供し、電気自動車のカーボン・ニュートラルな運転のためだけではなく自宅や企業での使用にも使えるパッケージとなります。グリーンで再生可能な電力供給に変わるのです。

フォルクスワーゲンのエコシステムの一環として、「We Charge」を開発しました。これは360°包括された、フォルクスワーゲン初の充電システムです。自宅と公共の場での充電の包括的なソリューションを提供し、全ての車両を完全コネクテッド化、スマートルート検索、スマート充電、スマートペイメントを可能にします。

ここベルリンでは、もうすぐ「We Share」という電気自動車のみのカーシェアリングサービスが始まります。これはドイツで初めてのカーボン・ニュートラル・カーシェアリングサービスで、世界でも他に少ししかこのサービスをしている企業はありません。既にβ版が始まっていますがお客様には満足していただいており、次に一般に公開したいと思っています。スキームは1500台のエコカーで始めますが、2020年の終わりまでに全ての車両をIDファミリーにします。ドイツ国内の他の都市、更にヨーロッパの他の地域への拡大も計画されています。

私達の顧客も基本的にe-モビリティに関してはポジティブな考えを持っています。ここで私達が間違ってはいけないのは、彼らはポジティブに考えてはいますが懸念も持っているという事です。顧客の不安や疑問を解消するため、フォルクスワーゲンは包括的情報キャンペーンである「ID hub」を始めました。既にオンライン上で公開されています。考えられる疑問に答え、エンターテインメントシステムでお客様は電気自動車について学ぶことができます。お客様からいただく声を反映してID hubにはさらに多くのQ&Aが追加されます。

私達はキャンペーンを始めのID車が出る1年も前から展開してきました。商品そのものだけでなく、フォルクスワーゲンの新しい態度、新しいスタイル、新しいムーブメントに関心があるからです。新しいムーブメントにより、私達は今いる場所から持続可能な社会に移行するのです。IDはそのシンボルになり、このプラットフォームをベースにした車は全てIDと呼ばれます。IDとは知的デザイン、強力な個性、先を見据えた技術を意味します。IDはゼロ・エミッション、自動運転、感覚的オペレーション、個人に合わせたコネクテッド化のコンビネーションでできています。

一番初めのIDモデルはID.3になります。何故1ではなく「3」なのかというと、フォルクスワーゲンは当初からグループ分けの記号を独自に使っており、3はコンパクトクラスに使われてきました。そしてコンパクトクラスはフォルクスワーゲンが得意とするホームクラスになります。ゴルフやティグアンもここに属します。私達は自分のハートがあるミドルレンジという場所から始めるのです。

3から出すことにより、後にアッパーレンジやダウンレンジを出すことになります。計画中の車種がたくさんあるので、3の後はまずアッパーレンジから後続車を出し、次にダウンレンジに移ります。

IDにより、3つ目の大きな転換期を迎えて新しいチャプターが始まります。ビートルはフォルクスワーゲンを強いブランドにし、最初のチャプターを始めました。第2のチャプターはゴルフで、高い技術を持った大衆車を世に送り出し、今日のフォルクスワーゲンを形作りました。

ID.3はe-モビリティプラットフォームMEBをベースにした初のモデルになります。MEBはその他の技術と合わせて、このクラスの車両には考えられない大きさの室内空間を提供します。IDの外側はゴルフと同じサイズになりますが、室内はコンパクトカーではなくミディアムサイズの車と同じ大きさになります。これはあなたの世界に広がる新しい世界です。

ID.3はここベルリンでは効率的に小さく、ファミリーカーとしても適切なものになります。これが革新的な部分で、ID.3は全てのニーズを満たす、最初の電気ファミリーカーになります。ID.3は日常生活に完璧に対応します。

ID.3は45kWh、58kWh、77kWhの3つのバッテリーサイズで展開し、WLTP基準で330kmから550kmのレンジになる予定です。この辺の最終的な数字は9月のフランクフルトモーターショーで明らかになるでしょう。ID.3は最大100~150kWhDC急速充電標準装備になります。30分のコーヒーブレークで60kmを走る充電ができる計算です。

ID.3に関する「4つの約束」を明言

今日は、これ以上は明らかにしたくありません。全貌を明かすフランクフルトのショーを楽しみにしていて下さい。

しかしここで4つの約束をしておきたいと思います。

1つ目は、届けられる車が完璧にカーボン・ニュートラルになるという事です。この目標を完遂するために、パートナー企業と共に100%グリーン・エネルギーを使っていきます。既にZwickauにある自動車工場がグリーン・エネルギーを使っています。カーボン・ニュートラルに人的に達成できない場合、気候変動プログラムにより他の方法でCO2削減に貢献します。また顧客の皆様はグリーン・エネルギーを使った電気を買うこともできます。

2つ目は、ID.3が、手が届く値段になるという事です。以前お約束した通り、価格は30,000ユーロ弱~となります。ID.3ベースモデルは来年夏以降に手元に届きます。多くの国で補助金が出され、最終的にかかる金額は少なくなり、例えば既存の内燃機関エンジンを積んだ車両よりも約30%サービスコストは安くなります。

3つ目はID.3が、車両が手元にある間永久的にアップデート、アップグレード可能という事です。車が常により良い状態に進化し続けるという事です。ディーラーもしくはインターネットを通してアップデートすることができます。ソフトウェアが進化するに従い、IDも進化するのです。

最後4つ目は、楽しい車にするという事です。スリルのある加速度、広々としたインテリア、感覚的な操作を楽しみにしていてください。ここ数週間でIDのテストドライブをしてきましたが、新しいエキサイティングな経験です。フォルクスワーゲンではあるのですが、次世代の新しいフォルクスワーゲンになっています。皆さんもこれがとても気に入るでしょう。

新しいボイス・コントロール・システムによってIDはあなたの声に反応しコマンドを聞きます。私が面白いと思ったのは、ID.3のオーナーが近づいた時に、車両はヘッドライトのアニメーションシステムを点灯させて挨拶をします。私達はID.3がファミリーメンバーになるために、強力な人格を与えたのです。

さて先行予約の話に移りましょう。今日からID.3生産スロットのアプリケーションを受け付けます。このためにスペシャル・エディションであるID.3 1stを製造しました。4バージョン、3色でお届けします。全てのバージョンで大きなタイヤと包括的設備を備えています。

さらに具体的には、ID.3 1stはボイス・コントロールやスタンダード・ナビ・システム等の基本的な装備を備え、ID.3 1st PLUSはIQライト、バイ・カラーのエクステリア、インテリアデザインが付きます。更にID.3 1st MAXは革新的な技術で満たされ、拡大されたリアリティ・ヘッドアップ・ディスプレイが装備されており、全てのシグナルは路上に見えるので、より運転に没頭することが出来ます。天井には大きなパノラマ・ルーフが採用されており、室内が更に広く感じられるようになっています。

3車種とも58kWhのバッテリーを搭載し、WLTP基準で420kmレンジとなります。

過去数年のリサーチで、ID.3 1stは恐らく電気自動車購入を考えている顧客の要望に最も応える形になっています。背後にあるサイト(www.volkswagen.com/id-prebooking)、もしくはID hubから注文をすることができます。デポジットは1000ユーロになりますが、その所有権は支払ったお客様の元に留まり、フォルクスワーゲンには渡りません。例えばドイツとスペインではフォルクスワーゲンの支払いシステムであるe-ウォレットが導入され、支払われた1000ユーロのデポジットはそこに留まります。レジストレーションの後はID.3やe-モビリティに関するエクスクルーシブな情報を送ります。

ID.3 1stの価格は40,000ユーロ弱からのスタートになります。補助金等を考慮するとこの価格もこれより安くなり、より魅力的になるでしょう。初めに購入された方々には特典もついてきます。最初の1年間、公共の充電スポットでの充電が最大2000kWhまで無料になります。これはフォルクスワーゲンの充電システム「We charge」に繋がっている全ての充電ステーションと、IONITY急速充電ネットワークで有効となります。

ID.3 1stは30,000台の限定販売となり、それ以上は生産しません。29のヨーロッパ市場が先行予約に参加し、既に先行予約前からいくつかの国から非常に高い関心を集めています。具体的には電気自動車先進国のノルウェイ、それからドイツ、フランス、オランダ、イギリス、オーストリアです。

先行予約後の話に移りましょう。フランクフルトモーターショーの後から、注文期間に入ります。1000ユーロのデポジットと引き換えにお客様はレジストレーション番号を与えられ、それを元にご自身の好きなディーラーを選択して注文できます。それまではキャンセル料無しでキャンセルする事が出来ます。初めの年は、車両は先行予約をした顧客のために取っておかれます。その後は毎年100,000台のID車を出荷することを目標としています。

(ここでイメージ動画が流れる)

フォルクスワーゲンはドイツサッカー連盟の代理店業務を行っております。もうすぐ5月25日にここベルリンでファイナルの試合が行われます。ドイツ国民全員の注目が集まるこの日に、私達はベルリンの電力化イベントを行います。フォルクスワーゲンは未来のe-モビリティのために色んな側面からアプローチします。ID.3の車両そのものだけでなく、このe-モビリティ事業にも注目してください。

ジャーナリストとの質疑応答

●先行予約車両のバッテリー保証はどうなっていますか?
8年保証で走行距離160,000km以下、最低70%保証となります。

●ここで話されたエネルギー値はNet値、Gross値どちらですか?
Netです。

●エンジンについて今日はお話しされていませんでしたが、それに関して話していただけますか?
これはフランクフルトでお話しします。今日はあまりテクニカルな話は出来ません。

●コバルト不足が指摘されていますが、安定供給はできるのでしょうか?
良い質問です。量だけでなく調達方法についても(倫理的に)正しい方法で行わなければなりません。環境に考慮して倫理的にコバルトを調達できるパートナーと組んでいます。更にこの先、バッテリーに関する化学が変化し、コバルト依存はより少なくなっていきます。コバルトは将来そこまで重要ではなくなります。

●今年末に出るゴルフは、最後のゴルフになるのでしょうか?
確実にNOです。8は素晴らしい車になるでしょうし、ゴルフはフォルクスワーゲンのラインナップに留まります。

●私の会社では燃料電池の大きな発展を予測しているのですが、フォルクスワーゲンは電気自動車に注力することにより、大きな市場(燃料電池)を逃しているとは考えないですか?重要な市場ではないですか?
いいえ、まったく。燃料電池の技術は明確で、将来その役割があるとは思いますが、次の10年を支えるものではありません。私達はCO2削減を「今」行いたいのです。燃料電池が配備、拡大されるのを待つことは出来ません。将来も燃料電池を使わないとは言いませんが、少なくとも今ではありません。そういう理由で自分達の(充電ステーションの)ルートを作ったのです。

●MEBに関して他会社と協力するプランはありますか?
ジュネーブモーターショーから公表していますが、私達はプラットフォームを提供しています。資金的にプラットフォームを開発できないスタートアップ企業などと議論しています。

●バッテリーは今日のスタンダードを鑑みて大きいものですが、重量の問題についてどう解決していきますか?
良い質問です。詳しくはフランクフルトで解説しますが、今少しだけ話すとそれはバランスの問題になってきます。バッテリーの大きさは変えられませんから、適当なサイズの車両、パッケージを提供して理想的なファミリーカーを維持します。しかし詳しくはフランクフルトで話します。

●ディーラー・ネットワークについて。ID.3を扱うディーラーは選ばれた店舗だけですか?
他の(電気自動車)産業にいる企業と反対に、私達は、ディーラーは役立つと考えています。全てのEUディーラーとは新しい契約をし、契約締結したディーラーは全てID車を売ることが出来ます。

●デジタル・トランスフォーメーションによる簡易化されたセールス・システムとはどういうものですか?
フォルクスワーゲンのシステムは、顧客の扱い方が昔と変わったことは分かっていますし、セールス・ピラミッドを変えなければならないのも知っています。しかし顧客とディーラーの間のプロセスを何段階にも分割は出来ず、一つに統合しなければなりません。今日のこの先行予約システムが良い例です。先行予約システムのプラットフォームは不可欠な存在で、私達がチームとしてオペレーションをしましたが、選択必須のディーラーの選択を含めて各予約にはディーラーが関わってきます。ディーラーを追い払うのではなく巻き込んだスキームになっています。人はプラットフォームだけでなく人と話したいのです。ディーラーとは手と手を取り合って協力していきますが、リテイルの方法は変化しました。ディーラーも含めて総合的なシステムを提供しなければなりません。

●現在純電気自動車とPHEV合わせてEU市場の2.5%しか占めていません。しかしあなたはかなり大きな数字の話をしています。今のこのニッチ産業の状態から、どうやってそこまで大きい市場に引き上げるつもりですか?
私達はとても魅力的な車をオファーし、インフラも整備し、他企業とも協力してe-モビリティのために多くのバリアを取り払う努力をしていきます。更にディーラーと共に、e-モビリティに大きく投資をして次の動きのためにプラットフォームを丸ごと変えるのです。この真剣さは、私達が完全に電動化に向かうことを意味します。私達は「何にでもオープンです、すべての技術を採用します。」とは言いません。それはフォルクスワーゲンではないのです。私達は電動化に動きます。そしてフォルクスワーゲンが動けば、物事は動くのです。簡単な事です。この産業の主要メーカーである私達が動けば、多くの人が追随します。
具体的な数字を挙げると、来年私達は純電気自動車、PHEV合わせてヨーロッパで100,000台を目指します。同時に中国でも電気自動車をローンチします。ヨーロッパでのID生産が始まってすぐその後、中国での生産も始まります。中国はものすごい勢いでヨーロッパを追い抜いていきます。あなたが想像もつかないような速さです。中国での電気自動車用の電池需要はすぐにヨーロッパを追い抜くでしょう。その後アメリカでもIDの生産が始まります。IDは世界現象になります。2025年までに「最低」100万台が目標です、それ以上になるとは思いますが。

●広告に関しての質問です。ターゲットはどの層ですか?先ほどの動画ではミレニアル層にフォーカスしているようですが、そこがターゲットですか? それからどこで広告を打ちますか? 昔ながらのTVキャンペーンから始まるのか、それともSNSベースですか?
始めのターゲットは新しいもの好きの人達です。知識があり、前進することに戸惑いのないイノベーティブな人々です。その後さらに大きなマス層にアプローチするためにテレビにもキャンペーンを流します。

●ID.3 1stはスタンダード・ナビ・システムが付いてくるという事ですが、ベースモデルを買った人はナビ・システムにはオプションでお金を払わなければならないのですか?
買わなければならないです。

●アップデートはネットを使って出来るのですか?
IDは生涯保証されているので、ハードもソフトもアップデートが出来ます。ディーラーを通じてアップデートするか、ソフトによってはインターネットを使ってアップデートします。

●バッテリーの安定供給のめどは立っているのですか?
現時点で人的に出来ることは全て行い、供給の目途は立っています。ただ電気自動車生産数が急激に増えた場合もしかしたら問題が出るかもしれません。

●バッテリーの寿命が来た時に、処理をする責任は誰が取るのですか?
チームとして私達が責任を持ちます。既に準備は出来ていて、バッテリーを重荷ではなく財産にしなければなりません。現在、役目を終えたフォルクスワーゲン社製の車両の30%しか私達の元に戻ってきていませんが、バッテリーの原料であるコバルトは価値が高いものでリサイクルしなければなりません。使い終わったバッテリーは、車に使えなくても例えば家で使うこともできます。リサイクリング技術には巨額の投資をしています。

●ID.3 1stで利益を得ていますか?
私達はビジネスをやっていて投資家の方々もいます。利益を出すオペレーションは必要ですので、この車で利益は出していきます。

●アメリカにいるあなたの競合他社(Tesla)は最近大ヒットした車で300,000台の注文予約という記録を出しました。ID3. 1stの予約開始後2週間の目標数値はどれ位になりますか?
大きな数の予約を抱えて多くの顧客を待たせる必要はないと私達は結論付けました。1stは30,000台きっかりしか生産されません。そして私は9月のフランクフルトモーターショーでソールドアウトすると信じています。車は先着順です。その後は通常の生産体制に入ります。

●自動運転装置は付いてきますか?OTAアップデートは提供しますか?
時間軸で見た時に、正直レベル5の自動運転には懐疑的です。予想よりも更に多くの投資と時間が必要だと思います。物理的にはレベル3の自動運転性能が付いてきます。そしてアップグレードが進むにつれそれも顧客に提供できるようになるでしょう。

●車両のセールスに関しては既存のやり方にしか言及していませんが、革新的なやり方のアイディアはありますか?サブスクリプション方式など?
今日お話ししたように革新的な配給システムは構築してきており、ローンチが近づくにつれその全容が明らかになるでしょう。IDを通じて変わります。

●NorthvoltとEBU(European Battery Union)に関して少しお話をしていただけますか?いつこの取り組みはIDに影響を与えますか?
フォルクスワーゲンはバッテリー・エレクトリック開発に将来真剣に取り組まなければなりません。バッテリーは未来のエンジンですから、深いところまで取り組む必要があります。しかしまだヨーロッパでの解決策は出ていません。基本的に現在の技術と知識はアジアからのものになります。私達グループが、もしかしたらヨーロッパの他のパートナーと共に、そのための企業を設立する事を期待していて下さい。ただ、いつ、誰と、などの具体的な話に関しては時期尚早です。

●バッテリーはソフトウェアロックされていますか?その場合、顧客は後からアップグレードや変更することは出来ますか?
アップグレードすることは出来ません。リソース(コバルト)の無駄にもなります。車の寿命が来るまで同じバッテリーを使うことになります。

●ドイツ国内で何台の車を売りたいですか?
市場ごとの数はまだ出しておらず、フランクフルトで回答することになります。ただ先ほども言ったように、ノルウェイとドイツはボリュームゾーンで鍵を握る市場になります。

●いつ通常予約が始まりますか? またそれもオンラインになるのか、それともディーラーを通じてですか?
(何故か質問をスルー)

●全てのフォルクスワーゲン車が電動化された時に、IDはどうなりますか?
IDは各地域で主力になるでしょう。コンパクト・ハッチタイプの車をいつも生産してきたヨーロッパでは鍵を握る車になります。ゴルフが過去40年以上トップを走り続けたように、このID車が未来を牽引すると思います。

●同じロゴを車のフロントで見ることになりますか?
フランクフルトまで待ってください。

(翻訳・文 杉田 明子)

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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